09/18/2024

2024年9月のFOMC見通し:FOMCでの利下げは確実?FRBの四半期毎の経済見通し(SEP)予想と株価への影響に迫る!

a close up of a clock with different colored numbersローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 本稿では、2024年9月18日のFOMCにおける見通し、並びに、FRBの四半期毎の経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)への予想とその株価への影響を詳しく解説していきます。
  • 足元の米国株式市場は、FRBの利上げ幅を巡る議論が続く中、横ばいで推移している一方で、S&P 500イコールウェイト指数は史上最高値を更新し、強気相場が広がっていることを示しているように見えます。 
  • FRBの利下げに関する予想は変動し続けており、現在では年末までに125ベーシスポイントの利下げが見込まれています。ただし、FOMCの経済見通し(SEP)が発表されると予想が変わる可能性があります。 
  • 市場は金利の決定やSEPの更新で変動するものの、株式市場の長期的な上昇トレンドに大きな影響はないと考えており、金融政策の変化のペースが市場の追い風になっていると見ています。

9月16日の米国株式市場は、FRBが明日の会合で利上げ幅を25ベーシスポイントにするか50ベーシスポイントにするかで議論が続く中、ほぼ横ばいで推移しました。

しかし、ここで、昨日のリリースしたレポートにおけるコメントを少し訂正して言うと、実際にはこの利上げ幅はあまり重要ではないと思います。

この騒ぎの中でも、S&P 500のイコールウェイト指数(RSP)で見た平均株価は再び史上最高値を更新しました。

これは、強気相場が一部の大手テクノロジーセクターを超えて広がり、米国経済のソフトランディングが見えてきたことを示しています。

そのため、明日の政策決定がどうなるかについての憶測よりも、市場の動きを注視するべきだと思います。

金融政策で最も重要なのは、明日から緩和サイクルが始まることであり、今年末までの利下げ幅に関係なく、これが2025年の経済成長と企業利益を後押しするはずであると見ています。

(出所:Finviz

数か月前には「利下げなんて全くありえない」と言っていた評論家たちが、今では「FRBが50ベーシスポイントの利下げを始めないと対応が遅れる」と主張しているのは、なんだかおかしく感じます。

今年の利下げに関する見解はずっとブレ続けていて、年初には最大6回の0.25%利下げが予想されていたのが、初夏にはほぼゼロになるとの見方に変わり、そして今では年末までに少なくとも100ベーシスポイントの緩和があると考えられています。

(出所:Bloomberg)

FRBの高官たちが強硬な発言を繰り返してきたことで見通しが大きく分かれていますが、FRBのパウエル議長は非常に慎重な姿勢を貫いています。

しかし、彼はこれまで市場を失望させたことがないので、明日もその期待に応えるでと見ています。

市場が期待している50ベーシスポイントの利下げに進む可能性も高まっており、これはFRBファンド先物市場で67%の確率とされています。

ただし、もし25ベーシスポイントにとどまった場合、一時的に市場を失望させることとなるかもしれません。

私はここ数カ月、今年最後の3回の会合でそれぞれ25ベーシスポイントの利下げを予想してきましたが、正直なところ、ここまで来ると大差はないように感じています。

(出所:CME Group Inc.

私は市場の長期的な予想にはあまり重きを置いていません。

というのも、これらの確率は月ごとに大きく変動することが多いからです。

現在では、年末までに合計で3回の利下げが行われ、結果として125ベーシスポイントの利下げが行われる可能性が最も高いとされています。

しかし、FRBが四半期毎の経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)を発表すれば、これらの予想も変わるでしょう。

FOMCの経済見通しであるSEPには、今後の経済状況や短期金利に関するFRB理事たちの見解が示され、投資家にとって重要な指標となります。

(出所:CME Group Inc.

しかし、予想通り、この見通しは3か月以上先のFRBファンド先物と同じくらい不正確です。

実際に、6月にFRB当局が発表した見通しには私は本当に疑問を感じました。

その理由としては、利下げの予想を25ベーシスポイントで3回から1回に減らした一方で、年末のインフレ予想を引き上げ、経済成長率や失業率には全く変更を加えなかったからです。

なんとも混乱した状態であるように見えます。

インフレ指標(PCE)はすでに6月の年末見通しを下回っており、この見通しは3月の時点からも引き上げられていました。

失業率とGDPの成長率も上がっています。

彼らは当然、年末までに予想している利下げの回数や来年末の金利水準など、全ての数字を見直すこととなるでしょう。

中立金利は3%に近い水準に到達すると私は考えていますが、それは来年末までの話です。

(出所:Federal Reserve System

金利の決定やSEPの見通しの更新で市場は大きく動くでしょうが、株式市場の長期的な上昇トレンドには影響しないと思います。

今や金融政策の変化のペースが、経済と市場にとって追い風になっています。

そして、強気派が主導権を握り、弱気派は引き続き何かしらの懸念材料を探し続けることになるでしょう。


アナリスト紹介:ローレンス・フラー

ローレンス・フラー氏は、1993年にメリルリンチ証券でファイナンシャル・コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。その後、ファースト・ユニオン・ブローカレッジ、モルガン・スタンレー証券、INGグループで同職を務め、30年以上にわたり個人投資家顧客の投資ポートフォリオを管理してきました。

その後、2005年には長期的な目標であったFuller Asset Management LLCを設立し、独立を果たしました。さらに、2013年より米国金融ニュースサイトSeeking Alphaにて、米国投資家に対してマクロ経済・投資リサーチの提供を開始しており、現在では14,000人以上のフォロワーを獲得しております。

フラー氏は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を卒業し、政治学の学士号を取得しております。

また、フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


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