03/25/2025

【米国株配当王】コカ・コーラ(KO)株で配当生活?配当利回り2.96%と配当金0.51ドルは魅力的?

logo, company nameイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場高配当株である「コカ・コーラ(KO:配当王・予想配当利回り2.96%・配当性向67%・1株当たり配当金0.51ドル)で配当生活は可能なのか?」という疑問に答えるべく、2025年2月11日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • コカ・コーラは世界200カ国以上で展開する飲料大手であり、資本効率の高いフランチャイズモデルと高いROIC・ROEを背景に、安定した成長と財務基盤を維持しています。
  • 63年連続増配を達成した配当王であり、配当利回りは2.96%、配当性向は67%と保守的な水準を保ちつつ、今後も持続的な配当成長が期待されています。
  • 株価はやや割高との指摘もある一方で、市場のアナリストの目標株価は上昇傾向にあり、財務健全性や流動性の高さから、引き続き市場では注目されています。

コカ・コーラ(KO)の概要


セクター:ノンアルコール飲料

現在の株価:68ドル

時価総額:2,967.3億ドル

過去5年間の配当成長率:4.00%

前回配当落ち日:2025年3月14日

次回配当支払い日:2025年4月1日

予想配当利回り:2.96%

過去5年間の売上高成長率:6.60%

過去10年間の売上高成長率:0.60%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

コカ・コーラ(KO:配当王・予想配当利回り2.96・配当性向67%・1株当たり配当金0.51ドル)は、1886年に創業され、ジョージア州アトランタに本社を置く世界最大のノンアルコール飲料メーカーです。炭酸飲料、水、スポーツドリンク、エナジードリンク、ジュース、コーヒーなど、200を超えるブランドを展開し、200以上の国と地域で製品を販売しています。

同社のビジネスモデルは、ブランド管理と製品開発に注力し、製造と流通をボトラーに委託する「フランチャイズ制」が特徴で、資本効率に優れた経営を実現しています。売上の約3分の2を海外市場から得ており、新興国における成長も魅力です。財務面では、ROICやROEといった資本効率指標が高く、営業利益率も上昇傾向にあります。

配当は63年連続で増配しており、直近の予想配当利回りは約2.96%です。保守的な配当性向を維持しつつ、安定したキャッシュフローと強固な財務基盤を背景に、今後も配当成長が期待される「配当王」として、配当収入を重視するインカム投資家にも魅力的な銘柄です。

そして、同社は2025211日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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コカ・コーラ(KO)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

コカ・コーラ(KO)は、2025211日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時的な要因を除いたEPS(1株当たり利益)を0.55ドルと報告しました。これは前四半期の0.77ドルからは減少しましたが、前年同期の0.49ドルからは増加しています。希薄化後EPSは0.51ドルで、2024年第3四半期の0.66ドルからは減少しましたが、2023年第4四半期の0.46ドルからは増加しています。1株当たりの売上高は2.674ドルで、第3四半期の2.742ドルからはわずかに減少しましたが、1年前の2.506ドルと比べて改善が見られました。

過去5年間および10年間において、同社の一時的要因を除いた年間EPSは、それぞれ年平均成長率(CAGR)7.70%および6.40%を達成しています。そして、業界予測では、今後10年間にわたり年間約4%の安定した成長が見込まれています。また、今四半期の粗利益率は61.06%で、過去5年の中央値である59.52%を上回り、過去10年の最高水準である62.11%に近い水準となっています。

一方で、同社は控えめな自社株買いを継続しており、過去1年間の自社株買い比率は0.10%、3年間では0.20%となっています。これは発行済株式数の緩やかな減少を意味し、EPSのわずかな改善に寄与しています。なお、自社株買い比率とは、発行済み株式数に対する自社株買いの割合を示す指標です。

今後については、市場のアナリストは同社の売上高が2025年には479億7,656万ドルに達し、2027年には533億3,973万ドルにまで増加すると見込んでおり、前向きな成長軌道が描かれています。2025年通期の予想EPSは2.841ドル、2026年には3.152ドルまで上昇すると予測されています。そのため、これらの予測は、堅調な売上高の成長と効果的な利益率の管理により、良好な見通しを裏付けるものとなっています。

そして、同社は次回の決算発表を2025年4月30日に予定しています。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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コカ・コーラ(KO)の財務パフォーマンスに関して

コカ・コーラ(KOの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、WACCを上回る高いROICを通じて、優れた財務効率と価値創出力を示しています。同社の現在のROICは14.67%であり、現在のWACCである5.83%を大きく上回っています。このプラスのスプレッドは、同社が資本コストを大きく超える収益を上げることで、経済的価値を効果的に創出していることを示しています。

過去5年間において、同社は中央値で13.02%のROICを維持しており、6.12%のWACCの中央値を一貫して上回っています。これにより、株主価値の創出能力が継続的に裏付けられています。さらに、同社の堅調な財務実績は、過去5年間における中央値41.86%という高い自己資本利益率(ROE)によっても明らかです。これは、自己資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示しています。

同社の過去のROE実績は6.22%から49.61%の範囲にわたり、さまざまな経済状況の中でも柔軟に対応し、成長してきた能力を強調しています。

総じて、同社の財務指標は、持続的な経済的価値の創出を重視した、適切に管理された資本配分戦略を反映しているように見えます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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コカ・コーラ(KO)の配当に関して

コカ・コーラ(KO)は、過去63年間に渡り連続して増配を継続する配当王です。過去5年間で4.00%、直近3年間では4.90%という力強い配当成長率を示しながら、一貫した増配を実現しています。最近では、1株あたり配当が0.485ドルから0.51ドルへと増加しており、株主還元への継続的な姿勢がうかがえます。業界全体では利回りにばらつきが見られ、過去10年間の中央値である3.08%をやや下回る水準ではあるものの、現在の予想配当利回り2.96%は競争力がある水準と言えるでしょう。

また、同社の配当性向は現在67.0%であり、かつての100%超という水準から大きく低下しています。これは、配当に対する利益の余力が向上していることを示しており、財務の健全性が高まっているといえます。このような保守的な配当性向は、今後3~5年間で予想される4.77%の配当成長率とも整合しており、持続可能な成長が期待されます。

加えて、同社のEBITDA有利子負債倍率は2.82倍であり、これは中程度の範囲に収まっています。この数値は一定のレバレッジを示してはいるものの、業界内では標準的であり、直ちに債務返済能力に懸念が生じる水準ではありません。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

総じて、コカ・コーラはバランスの取れた財務構造を背景に、安定した配当の見通しと中程度の成長余地を維持しているように見えます。

予想配当利回り2.96%

配当性向:67%

配当カバレッジ・レシオ:1.27倍

過去5年間の配当成長率: 4.00%

EBITDA有利子負債倍率:2.82倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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コカ・コーラ(KO)のバリュエーションに関して

コカ・コーラ(KOの現在の株価は68.95ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である66.22ドルよりも小幅に高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-4.12%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。

また、直近12カ月(TTM)ベースの実績PERは27.91倍で、過去10年の中央値である27.50倍をやや上回っており、株価が過去の平均的なバリュエーション水準に近い水準で取引されていることを示しています。一方、予想PERは23.33倍となっており、将来の収益成長への期待があることを示唆していますが、過去の高水準と比較しても妥当な範囲にとどまっています。

直近12カ月(TTM)のPBR(株価純資産倍率)は11.93倍で、10年中央値の10.68倍を上回っており、簿価ベースでは割高である可能性がうかがえます。また、実績ベースのEV/EBITDA倍率は20.67倍で、過去10年中央値の19.78倍を上回っており、金利・税金・減価償却前利益に対して企業価値がプレミアム評価されていることを示しています。

一方で、実績ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(Price-to-Free-Cash-Flow)は62.82倍と、過去10年の中央値である28.06倍を大きく上回っており、フリーキャッシュフローに対してかなり高い評価がされていることになります。これは、キャッシュフロー創出力と比較した際の割高感を示す懸念材料であり、バリュー志向の投資家にとっては注意が必要です。

しかしながら、市場のアナリストによる目標株価は着実に引き上げられており、現在の目標価格の平均値は74.87ドルと、現在の市場価格をわずかに上回っています。これは将来のパフォーマンスに対する一定の楽観的な見方を示している可能性があります。ただし、28名のアナリストの評価によると、市場の見方は慎重ながらも前向きであると捉えられます。

以上より、現在のバリュエーション指標および本源的価値の分析を踏まえると、同社はやや割高であり、明確な安全域が欠けているように見えます。そのため、投資家は、比較的高い評価水準と将来の成長見通し、さらには市場全体の動向とを慎重に比較検討する必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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コカ・コーラ(KO)のリスクとリターンに関して

コカ・コーラ(KOのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。現在の同社は、財務の健全性という強みを持ちながらも、いくつかの警戒すべきシグナルが見られるという、リスクが入り混じった状況にあります。

まず、同社は過去3年間で34億ドルの負債を発行しており、これは注目すべき点ではありますが、総負債額は依然として管理可能な水準にとどまっています。

一方で、インサイダーによる株式購入が見られず、逆に8件のインサイダー売却があり、合計373,941株が売却されたことは、社内関係者が将来の株価パフォーマンスに懸念を抱いている可能性を示唆しています。さらに、現在の株価は過去10年間の高値に近く、株価売上高倍率(PSR)は過去2年間のピークに迫っており、株価が割高である可能性があり、今後の上昇余地が限定的であることを示している可能性があります。

しかし、ポジティブな側面としては、同社の財務的安定性は堅固であると評価されています。アルトマンのZスコアは4.45で、財務的破綻のリスクが低いことを示しており、ベニッシュのMスコアは-2.27で、財務諸表の操作リスクも低いとされています。また、営業利益率が拡大しており、これは業務効率と収益性の改善を示しています。

ただし、注意点として、予想配当利回りが過去10年間の最低水準に近づいており、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力が薄れている可能性があります。

総合的に見て、同社は堅調な財務体質を維持しているものの、株価の割高感やインサイダー売却といった要因は、慎重な検討を要するポイントであると言えるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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コカ・コーラ(KO)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるコカ・コーラ(KO)のインサイダー取引の動向を見ると、取締役および経営陣による売却の傾向が明確に表れています。直近3カ月間では、インサイダーによる株式購入は一件もなく、8件の売却が確認されています。この売却傾向はさらに遡ることができ、過去6カ月間では10件、過去1年間では合計30件の売却が行われています。

このように、一貫して売却が続いており、それに相殺されるような購入が見られない状況は、インサイダーが高値圏にある株価を活用して利益確定を図っている、あるいは将来の業績に対する自信が薄れている可能性を示唆しています。

こうした売却の動きがある一方で、インサイダーの保有比率は0.77%と比較的低く、経営陣が保有する株式は全体のごく一部にとどまっています。これに対し、プロの機関投資家による保有比率は72.38%と非常に高く、大口投資家が同社に対して引き続き強い信頼を寄せていることがうかがえます。

総じて、インサイダーによる継続的な売却は警戒を促す要因となり得ますが、一方で強固なプロの機関投資家の保有状況は、同社の戦略的方向性および長期的な成長可能性に対する継続的な信頼を示していると考えられます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


コカ・コーラ(KO)の流動性に関して

コカ・コーラ(KO)の流動性および取引に関する分析からは、市場での取引動向に関していくつかの重要な知見が得られます。直近営業日の1日の出来高は12,556,037株で、これは中程度の取引活動を示しています。過去2カ月間の1日平均取引量である19,107,822株と比較すると、現在の取引量は明らかに減少しており、取引活動が最近鈍化していることがうかがえます。これは、市場全体の状況や同社特有のニュースによる影響がある可能性があります。

また、同社のダークプール指数(DPI)は60.79%となっており、かなりの割合の取引が非公開市場で行われていることを意味します。一般的に、DPIが50%を超える場合、ダークプールでの取引が活発であるとされ、これが価格の発見や流動性に影響を与えることがあります。そして、同社のダークプールでの取引の水準は、公的な取引所を介さない形で多くの取引が実行されていることを示しており、それが株価の変動性に影響を及ぼす可能性があります。

総じて、同社は高い平均取引量を背景に健全な流動性を維持していますが、直近の取引量の減少と高水準のダークプール取引の組み合わせにより、短期的な株価の変動や市場の透明性に影響を及ぼす可能性には注意が必要でしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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