04/07/2025

【高配当】シェブロン(CVX)の配当推移と将来性:配当利回り4.76%・配当性向65%・配当金1.71ドル

a chevron gas station at night timeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場高配当株であるシェブロン(CVX:予想配当利回り4.76%・配当性向65%・1株当たり配当金1.71ドル)の2025年1月31日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • シェブロンは、探鉱から販売まで手がける米国の大手統合型エネルギー企業であり、高い生産・精製能力と堅実な配当実績を持つことから、インカム投資家の注目の銘柄です。
  • 財務面では、ROICがWACCを下回る課題を抱えつつも、低い財務レバレッジと高いROEを維持しており、配当の持続可能性も高いと評価されています。
  • 株価は本質的価値を下回っているように見え、複数のバリュエーション指標からも割安感があることに加え、機関投資家の高い保有比率や流動性の高さも同社の魅力となっています。

シェブロン(CVX)の概要


セクター:石油・ガス

現在の株価:143ドル

時価総額:2,522億6,000万ドル

過去5年間の配当成長率:6.20%

前回配当落ち日:2025年2月14日

次回配当支払い日:2025年3月10日

予想配当利回り:4.76%

過去5年間の売上高成長率:13.70%

過去10年間の売上高成長率:3.30%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

シェブロンCVX:予想配当利回り4.76・配当性向65%・1株当たり配当金1.71ドル)は、米国カリフォルニア州サンラモンに本社を構える世界有数の統合型エネルギー企業です。

探鉱、生産、輸送、精製、販売までを一貫して手がけるバリューチェーンを持ち、原油・天然ガスの生産量は日量310万バレル相当、精製能力は180万バレル/日と、規模・効率ともに業界屈指です。

特に北米やアジアでの製油所運営、天然ガス供給網の整備、世界各地での操業体制は同社の大きな強みです。

配当面では、過去5年の配当の年平均成長率は6.2%、予想配当利回りは4.76%と高水準で、四半期ごとの安定した支払いを継続しています。そのため、インカム投資家にとって非常に魅力的な銘柄であり、長期的な保有にも適した配当株として注目されています。

そして、同社は2025131日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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シェブロン(CVX)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

シェブロンCVX)は、2025131日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時項目を除いた1株当たり利益(EPS)を2.06ドルと報告しました。これは、2024年第3四半期の2.51ドルおよび2023年第4四半期の3.45ドルから減少しており、エネルギー価格の変動や事業運営の調整といった要因によって厳しい四半期であったことを示しています。

1株当たりの売上高は前四半期の27.075ドルからわずかに増加し27.174ドルとなりましたが、2023年第4四半期の26.213ドルと比較すると依然として低水準です。

同社の粗利益率は29.43%で、これは過去5年間の中央値と一致している一方で、過去10年の最高値である31.39%は下回っています。このような利益率の安定は、原油価格の変動がある中でも、同社が効果的なコスト管理を行っていることを裏付けています。

また、同社は積極的な自社株買いを実施しており、直近1年間の自社株買い比率は4.50%に達しています。これは過去10年間の自社株買い比率0.30%と比較して大幅に高く、収益の減少がある中でも1株当たり利益の下支えや株主価値の向上を目的とした戦略的な転換を示しています。

将来の見通しとして、市場のアナリストは来期のEPSを10.614ドル、さらに翌年には12.718ドルまで成長すると予測しています。売上高についても今後3年間で徐々に増加し、2027年には1,970億6,237万ドルに達する見込みです。業界の予測では、世界的なエネルギー需要に支えられた安定的な成長軌道が見込まれています。

シェブロンの次回決算発表日は2025年5月2日となっており、変化するエネルギー市場の中での事業運営や戦略的取り組みに関するさらなる洞察が得られる予定です。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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シェブロン(CVX)の財務パフォーマンスに関して

シェブロンCVXの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、過去5年間の中央値で見ると、シェブロンのROICは5.55%であり、WACCの8.68%を下回っています。これは、資本コストが投資収益を上回っているため、平均的には正の経済的価値を生み出していないことを示唆しています。

この傾向は直近の数値にも表れており、現在のROICは5.47%、WACCは8.89%と、依然として資本コストを下回っています。ただし、両指標の過去の高低差を見ると変動性があることがわかり、かつてはROICが13.75%に達した時期もありました。これは、一定期間において強い価値創出がなされた可能性を示していますが、それが継続的でなかったことも示しています。

一方で、株主リターンを示す自己資本利益率(ROE)は11.19%と堅実な水準にあり、経済的な価値創出が限定的であっても、株主にとっては一定のリターンが確保されていることがうかがえます。

総じて、シェブロンは今後、資本効率を改善し、資本コストを安定的に上回る収益を上げることに注力する必要があるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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シェブロン(CVX)の配当に関して

シェブロン・コーポレーション(CVX)は、力強い配当成長を示しており、過去5年間の成長率は6.20%、過去3年間では7.10%となっています。また、直近の増配では、1株当たり配当金が1.63ドルから1.71ドルへと引き上げられました。これは、株主還元が前向きに推移していることを示しています。

さらに、同社の予想配当利回りは4.76%で、過去10年間の中央値である4.00%を大きく上回っており、現在の市場環境において魅力的な利回りであると言えます。同社の財務レバレッジは低く、EBITDA有利子負債倍率は0.55で、一般的な安全基準である2.0を大きく下回っています。これは、債務返済能力が高く、財務リスクが低いことを示しており、安定した財務基盤が配当の維持・増加を支える要因となっています。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2以下であれば財務リスクが低く、4以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

現在の配当性向は65%とやや高めではあるものの、過去10年間の最高値である105.73%を下回っており、同業他社と比べても持続可能性が高いと考えられます。特に、同業種では高い配当性向が一般的であることを踏まえると、シェブロンの配当継続能力は堅実であると言えます。

今後については、今後3〜5年で予想される配当成長率は5.05%と見込まれており、安定した成長が期待されています。次回の権利落ち日は2025年2月14日に予定されています。

予想配当利回り4.76%

配当性向:65%

配当カバレッジ・レシオ:1.49倍

過去5年間の配当成長率: 6.20%

EBITDA有利子負債倍率:0.55倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

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シェブロン(CVX)のバリュエーションに関して

シェブロンCVXの現在の株価は143.28ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である155.3ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が7.74%となっていることから、やや割安である可能性が示唆されています。

予想PERは14.04で、過去10年間の中央値である16.46をやや下回っており、歴史的な水準と比較して割安である可能性が示唆されています。また、直近12ヶ月(TTM)の実績EV/EBITDA倍率は6.56で、これも10年間の中央値である7.43を下回っており、EBITDAに基づく収益性の観点からも割安と見なされています。

直近12ヶ月の実績ベースの株価売上高倍率(PSR)は1.34で、10年中央値の1.52を下回っており、売上高に対しても好ましいバリュエーションであることを示しています。一方で、直近12ヶ月の実績ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は17.25と、過去10年の中央値の15.11を上回っており、フリーキャッシュフローに関してはやや割高な水準にあります。

直近12ヶ月の実績PBRは1.66で、過去10年間の最安値よりは高いものの、中央値は下回っており、企業のファンダメンタルズが引き続き堅調であれば、さらなる上昇余地があることを示しています。

加えて、市場のアナリストの評価は前向きであり、現在の目標株価の平均値は176.79ドルに設定されています。これは、今後の成長見通しに対するアナリストの自信を反映しています。

同社の過去のバリュエーション指標および現在のアナリストの見通しを踏まえると、同社は適度に割安な水準にあると考えられ、成長の可能性を持ちながらも安全余裕率が確保されている状態に見えます。この分析からは、株価が本質的価値を下回っていること、また歴史的なバリュエーション指標やアナリストの前向きな見解と一致していることから、慎重ながらも楽観的な投資スタンスが適していることが示唆されているように見えます。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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シェブロン(CVX)のリスクとリターンに関して

シェブロンCVXのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社は、リスクプロファイルにおいて一長一短の側面を持っています。

過去3か月間におけるインサイダーの売買動向を見ると、9,325株の売却があり、一方で購入は行われていません。このことは、インサイダーによる慎重な姿勢や利益確定の動きがある可能性を示唆しています。

また、現在のPERは16.06で、過去3年間の最高値である17.84に近づいており、過去のレンジと比較して株価が割高である可能性があります。さらに、過去12か月間における売上成長の鈍化は、今後の成長路線を維持するうえで課題があることを示しています。

財務健全性の観点では、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を下回っていることは、資本配分の効率性において課題があることを意味しますが、それでも同社は堅実な財務基盤を維持しています。アルトマンのZスコアは3.84で、倒産リスクが低いことを示しており、またベニッシュのMスコアは-2.92と、利益操作のリスクが低いことも示唆されています。

さらに、同社の株式は魅力的な予想配当利回りを提供しており、これは過去3年間の最高水準に近く、投資家にとって魅力的なインカム収入の機会を提供しています。

総合的に見ると、同社は事業運営面およびバリュエーション面でいくつかのリスクを抱えているものの、強固な財務指標と高い配当利回りによって、これらの懸念がある程度緩和されているように見えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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シェブロン(CVX)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるシェブロン(CVX)のインサイダー取引は、主に売却が中心であり、インサイダーによる購入は一切記録されていません。この12か月間で、インサイダーによる売却取引は6件あり、そのうち2件は過去6か月以内、1件は過去3か月以内に行われています。このような動向は、社内関係者による一貫した持ち株の売却傾向を示していると考えられます。

インサイダーによる購入が見られないことは、短期的な株価のパフォーマンスに対する自信の欠如、あるいは保有株の一部を現金化するという戦略的判断を示している可能性があります。ただし、インサイダーによる保有比率はわずか0.07%と低水準にとどまっており、取締役や経営陣が同社に対して直接的な財務的利害関係をあまり持っていない、または個人資産の分散を図っていることがうかがえます。

一方で、プロの機関投資家の保有比率は76.37%と非常に高く、大手機関投資家による強い関心と投資意欲が示されています。インサイダーによる売却傾向がある中でも、このように機関投資家による高い保有比率があるという事実は、同社の長期的な成長見通しに対する信頼を示している可能性があります。機関投資家は通常、投資前に綿密なデューデリジェンスを行うため、このような保有状況は市場からの前向きな評価を反映していると考えられます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


シェブロン(CVX)の流動性に関して

シェブロン(CVX)は、流動性および取引活動の面で顕著な動きを示しています。直近営業日の取引量は2,011万6,813株で、これは過去2か月の平均日次取引量である820万7,307株を大きく上回っています。このことは、投資家の関心が高まっているか、あるいはニュースを契機とした活発な取引が行われている可能性を示しています。

また、同社のダークプール指数(DPI)は57.11%となっており、取引の多くがダークプールと呼ばれる非公開取引市場で行われていることを示しています。このDPIの数値は、全体の取引量の半分以上が公開市場以外で実行されていることを意味しており、大口取引や機関投資家による取引が非公開で行われている可能性が高いことを示唆しています。

このような高い取引量とDPIの水準は、同社における流動性の高さを裏付けており、大規模な取引であっても株価への影響を最小限に抑えながら実行できる環境が整っていることを意味します。このような流動性の高い状況は、機関投資家はもちろん、個人投資家にとっても効率的な取引を行う上で好ましいものです。

ただし、DPIが高いということは、取引の透明性が低下し、価格発見機能に影響を及ぼす可能性があるという点にも注意が必要です。

総じて、同社は強い流動性を示している一方で、ダークプールでの取引が顕著であることから、市場の動向を評価する際にはその点も考慮すべき要素となるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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