04/08/2025

グローバル化の終わりに対する私の見解

red and black abstract artマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 否定的な見方が広がっているものの、主要な世界的プレイヤー同士の妥協によって足元の米国の関税政策を取り巻く環境は解決に向かう可能性もあると考えています。
  • 世界金融危機の際には、市場が18か月間で56%下落し、潜在的なリスクの大きさが浮き彫りとなりました。
  • 脱グローバル化は、インフレの進行、金利の上昇、サプライチェーンの混乱を引き起こし、経済見通しをさらに悪化させることになります。
  • 関税戦争が企業に与える影響は不透明であり、このような局面を乗り越えるためには、強固なバランスシートが重要となります。

はじめに

本稿では、私が注目する対応策について順を追ってご説明します。また、現在分かっている事実に基づいて背景をお伝えしますが、分からないことについての憶測にはあまり深入りしません。

私が取り上げたい主な問いは、「この苦しい時期がどのくらい続くのか」、そして「今この状況からどのような実践的な行動が取れるのか」という点です。

グローバル経済の終焉?

週末にかけて、現在進行中の関税戦争において何らかの前向きな進展があることを期待していました。ここで明確にしておきたいのは、これは政治の話ではないということです。皆さんもご自身の政治的な見解はここでは脇に置いていただき、現実に起きている事実に基づいて話を進めましょう。

多くの企業が今回の事態で大きな打撃を受けていることは、私も十分に理解しています。私のポートフォリオに含まれる企業の中にも、私がポートフォリオに組み入れをした当時の株価にすら戻れていないものもあります。

しかし現時点では、どの企業が完全に回復するのか、部分的に持ち直すのか、あるいは生き残れないのかを判断するのは不可能であるように見えます。

私自身としては、常に堅実なバランスシートを持つ強い企業に投資することを心がけてきました。なぜなら、景気が順調なときには企業の財務基盤に注目されることは少ないものの、状況が厳しくなると、その差が顕著に表れるからです。困難な局面では、負債が少ない、あるいは負債のない企業の方が柔軟に対応する余地があります。まさにそのことを念頭に置いて、私は常にバランスシートを最優先に考えて投資を行ってきたのです。

どれほど悪化する可能性があるのか?

振り返ってみると、世界金融危機は2007年10月から2009年3月まで続きました。およそ18か月間で、その間に市場は56%下落しました。非常に恐ろしく、異常な時期でした。

ざっくりとした計算ですが、仮に今日市場がさらに3%下落すれば、すでに全体で25%以上の下落となります。

この状況は、世界金融危機のときのように深刻になるのでしょうか?もちろん、その可能性はあります。しかし、現実的かと聞かれれば、私はそうは思いません。

その理由はこうです。私は、2018年第4四半期の暴落、コロナショック、そして2022年の市場低迷を経験してきましたが、今回の苦しい局面は、始まりよりも終わりに近づいていると感じているからです。

確かに、株価はいつでもさらに下がる可能性があります。ただし、すでにこれほど短期間で25%もの下落があったという事実から、多くの悪材料はすでに織り込まれていると私は考えています。

改めて、この減速のスピードについて考えてみてください。完全に突然でした。この種の痛みは長続きしません。わずか5週間で、市場価値の25%が失われたのです。これは、1年半も続いた金融危機のときよりも、はるかに圧縮された形です。

私は自分の資産を増やすために一生懸命努力してきましたし、新しい事実が判明したときには柔軟に対応する準備ができています。過去にも、状況の変化に応じて何度も自分の見解を変えてきましたし、これからもそうするつもりです。

ですから、「何もしないでただ見ていましょう」と言いたいわけではありません。ただ、現時点では、ひと呼吸置いて、もう少し状況が明らかになるのを待つべきではないかと個人的には考えています。

私の注目点とは?

多くの方の間で「今、何をすればいいのか?」という声をよく聞きます。そして、これが難しいところです。

状況が厳しいことは、誰もが分かっています。グローバル化の終焉は、今後さらなるインフレ、金利の上昇、そしてサプライチェーンの継続的な混乱を意味します。

コロナ禍のときには、各国が協力して共通の課題を解決しようとしていましたが、今はその真逆の状況です。対立や報復的な政策が増え、協調姿勢は薄れています。

しかし、これらのことはもはや目新しい話ではありません。あなたも私も、すでに分かっていることです。そして、市場のセンチメントがここまでネガティブになったときこそ、転換点が訪れることもあるのです。

もしかしたら、米国と中国が妥協点を見出すかもしれません。あるいは、英国が米国との関係安定を図る中で、EUがより穏やかな対応を取る可能性もあります。現時点では、それを予測することはできません。

結論

今回の売りは、非常に激しいものでした。それは否定できません。わずか数週間で25%の下落というのは、歴史的に見ても極めて異例の出来事です。しかし、市場は直線的には動かず、このような急激な下落は、始まりと同じくらい急速に収束することもあります。

ここまでネガティブなセンチメントは、永遠には続かないでしょう。やがて市場は落ち着きを取り戻し、買い手が戻ってきます。私たちに必要なのは、すべてが明確になることではなく、割安感を感じた投資家が自信を持って動き出せる程度の明るい材料です。それが現れたとき、市場の流れは一気に変わる可能性があります。

私は過去にもそのような局面を見てきましたし、今回もまた、それほど遠くない将来に同じような転換点が訪れても不思議ではないと思っています。


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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

📍テクノロジー&エネルギー担当

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