ベッセントプットとは?ベッセント氏の発言を受け、米国株は反発も今後の見通しとは?

- 本稿では、「ベッセントプットとは?」という疑問に答えるべく、足元、ベッセント氏の発言を受けて反発した米国株の動向と今後の見通しを詳しく解説していきます。
- ベッセント財務長官の発言や政権の通商政策修正により、市場は反発し、主要株価指数は急騰する展開となりました。
- トランプ大統領はパウエルFRB議長の解任を否定し、市場の安定を図る姿勢を見せましたが、FRBの独立性への懸念は資産売却を加速させるリスクがあります。
- 市場は過激な政策の抑制役を果たしており、短期的には関税緩和の発表だけでもリスク資産価格の下支えにつながると見ています。
ベッセントプットとは?
株式、債券、米ドルが同時に下落した月曜日のような日は、トランプ政権に対して「このままでは誤った方向に進んでいる」との警鐘となります。昨日、そのメッセージは政権に明確に伝わり、通商政策の再転換と大統領の方針撤回が行われました。これにより、主要な株価指数は月曜日の損失を取り戻し、本日はリスク資産価格の急騰が予想される状況となっています。
一昨日の正午ごろ、財務長官のベッセント氏が非公開の場で、「現在の中国との状況は持続不可能である」と発言したと報じられました。関税により米中間の貿易がほぼ停止しており、これは本来政権の目指していたものではないというのが理由です。彼は近いうちに緊張緩和が見られるだろうと予測しています。この発言を受け、株価はさらに上昇し、市場は日中の最高値圏で取引を終えました。
トランプ大統領は財務長官の見解に異議を唱えませんでしたが、「彼ら(中国)は非常に友好的になるはずで、どうなるか見てみよう。ただ最終的には彼らが合意しなければならない。さもなければ、米国と取引ができなくなる」と補足しました。しかし、この発言のタイミングからすると、むしろ「我々こそが合意を急いでいる」という印象を与えかねません。というのも、ベッセント氏は中国との通商協議がまだ始まっておらず、開始されても完了までには2〜3年かかる可能性があると示唆しているからです。
その間にも、新たな関税の脅威が世界経済の成長を脅かしており、ベッセント氏は市場が発しているメッセージに強く懸念を抱いているようです。
(出所:Bloomberg)
私は、ベッセント財務長官がトランプ大統領に対し、「もしパウエルFRB議長を解任すれば、市場にとって壊滅的な影響がある」と進言したのだと考えています。株式市場の取引終了後、大統領は「パウエル議長を解任するつもりはない」と述べ、週末に「パウエルの解任は一刻も早く行うべきだ!」と発言したことと矛盾する形になりました。この発言の撤回は、明らかに市場を落ち着かせる狙いがあり、実際にその効果は出ていますが、代償も伴います。
FRBの独立性を脅かすような姿勢は、たとえ後から取り下げたとしても、米国資産の世界的な売却トレンドを止めることはできず、むしろ加速させる要因になってしまいます。
現在、S&P500指数が2週間前に記録した安値よりもはるかに高い水準で「ベッセント・プット(ベッセント氏の市場安定化発言や行動によって、下落していた市場が反発する現象)」が発動していることは、安心材料だと言えます。また、10年物米国債利回りが4.5%に近づいていることも、政権にとっての次なる対応を促す引き金になると私は見ています。
結論として、市場は、拡大基調と強気相場を終わらせかねない過激な政策を抑制する役割を果たすべきです。今後数週間の間に、実質的かつ詳細な通商合意が結ばれることはないかもしれませんが、関税を緩和する内容の合意発表だけでも、リスク資産の価格を支えるには十分であると考えられます。短期的には、日本やインドがそのような合意の対象として選ばれやすい国になるでしょう。
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