09/16/2024

テクニカル分析入門:テクニカル分析は意味がないのか?株式投資におけるテクニカル分析のおすすめツールからやり方まで徹底解説!

a person holding a cell phone in their handジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、テクニカル分析の入門編として、「テクニカル分析は意味がないのか?」という疑問に応えるべく、株式投資におけるテクニカル分析のおすすめツールから実際のやり方まで詳しく解説していきます。
  • テクニカル分析では、多くのインジケーターが使えるが、最も効果的な戦略は信頼性のある3~4つのインジケーターを使い、シンプルな戦略を構築することであると考えています。 
  • 主要なインジケーターとして、移動平均線、MACD、RSIに注目しており、これらを用いたアルゴリズムがS&P 500を30%以上上回る成績を収めています。 
  • テクニカル分析を活用しつつ、トレードにはリスク管理やメンタルコントロールも重要で、常に学び続けることが成功への鍵であると考えています。

テクニカル分析に関して

今回は私の株式トレーディング戦略と使用しているプラットフォームについてお話しします。トレーディングには、投資できる資産が数千種類あり、それに合わせて使える戦略も数千種類存在します。

多くの戦略が効果的に機能することがありますが、大切なことは、自分に合った戦略とプラットフォームを見つけ、それを一貫して実践することです。そして、私自身のトレーディング手法では、経験を通じて得た一つのシンプルな真実があり、それは、私がすべての決断において常に意識していることです。

インジケーターは少ないほど良い

多くのインジケーターが使えるからといって、それらを全部使う必要はありませんし、たくさん使ったからといって必ずしも成功につながるわけではありません。因みに、インジケーターとは、株価や為替などの価格データを分析し、トレンドや売買のタイミングを判断するためのツールです。チャート上に表示され、価格の動きや勢いを視覚的に捉えるのに使用されます。

テクニカル分析におけるインジケーターは非常に有用ですが、完璧ではありません。互いに矛盾することもあり、多用するとノイズ(市場での価格変動のうち、トレンドや分析にとって重要ではない一時的でランダムな動きのこと)に埋もれて「真実」を見失ってしまうこともあります。

そのため、私は3~4つの信頼性のあるインジケーターを使って戦略を構築しています。最近では、これらを活用したアルゴリズムを作成し、日々のトレードから自身の感情や推測を排除するようにしています。

この記事では、以下の内容について解説していきます。

・テクニカル分析(TA)とは何か

・私が特に重視している3つのインジケーター

・TrendSpiderでのアルゴリズム構築方法

・全体的な投資アプローチの一部として私がテクニカル分析をどのように活用しているか

テクニカル分析入門:本当に効果があるのか?

テクニカル分析とは、過去の価格や出来高のデータをもとに、将来の価格変動を予測する手法です。この分析は、価格の動きにはトレンドがあり、歴史は繰り返すという考えに基づいています。そのため、過去のパターンを調べることで、市場の動きを予測することが可能だとされています。

テクニカル分析の基本:チャート / インジケーター / パターン

テクニカル分析では、主に3つのツールが使われます。それは、「チャート」、「インジケーター」、そして「パターン」です。

「チャート」は、株価の動きを視覚的に表現したものです。ラインチャート、バーチャート、キャンドルスティックチャートなど、さまざまな種類があり、それぞれ価格トレンドを異なる形で示します。これらのチャートは、価格変動の可能性を見極めるための基本であり、テクニカル分析の核となります。

「インジケーター」は、価格や出来高、オープンインタレスト(先物やオプション市場で未決済の建玉の合計数)のデータに数学的な計算を加えたもので、市場の勢いやトレンドの強さ、反転の可能性などを示します。代表的なインジケーターには、価格データを平滑化してトレンドを見つける「移動平均(Moving Average)」、価格変動の速度や変化を測る「相対力指数(RSI)」、トレンドの強さや方向、勢い、期間の変化を見極める「MACD(移動平均収束拡散法)」などがあります。

「パターン」は、チャート上で価格が作り出す形のことです。「ヘッドアンドショルダー」や「ダブルトップ」などのパターンを見つけることで、将来の価格の方向性についてのヒントを得ることができます。これらのパターンは、過去の価格動向が繰り返される傾向に基づいています。

テクニカル分析の基本的な考え方

テクニカル分析の基本的な考え方は、現在の価格にはすべての情報が反映されているというものです。これには、市場のニュースや企業の財務状況、さらには経済全体の動向などが含まれます。この考え方により、テクニカルアナリストは「なぜ」よりも「何」を重視します。具体的には、価格のパターンやトレンドが次にどう動くかを重視するということです。市場の全体的な知識が価格に凝縮されているため、それを将来の動きを予測する信頼できる指標とみなすことができます。

テクニカル分析は本当に効果があるのか?

テクニカル分析の有効性については、特にトレードや投資の初心者から疑問視されることが多いです。簡単に言えば、効果がある場合もありますが、その成否は使う人のスキルに大きく左右されます。テクニカル分析は、正しく使えば市場の動きを予測し、情報に基づいた意思決定を行うのに役立つツールです。しかし、どんなツールもその効果は使い方次第です。

テクニカル分析が効果的な理由は、市場での人間の行動が時間をかけて一貫していることが観察されているからです。市場参加者は似たような状況で似たような反応をするため、パターンは繰り返されます。これらのパターンを早く見つけることで、利益につながるトレードのチャンスを捉えることができるのです。

私のお気に入りのテクニカル分析におけるインジケーター

ここからは、私が日々活用している信頼性のあるインジケーターをご紹介します。

移動平均線(MA:Moving Average)

移動平均線は、価格データを滑らかにし、長期的なトレンドを見つけるために使われる、テクニカル分析の基本ツールです。特定の期間(例:日や週)における価格の平均を計算することで、価格の動きを整え、トレンドをわかりやすくします。

代表的なものに、単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)と指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)の2つがあります。単純移動平均線は設定期間の平均価格をそのまま計算するもので、指数平滑移動平均線は直近の価格により重みを置いて計算します。移動平均線は、トレーダーがサポートやレジスタンスのレベルを見つけたり、トレンドを確認する際に役立ちます。

因みに、サポートとは価格が下落したときに反発しやすい価格帯のことです。ここで買い手の需要が強くなり、下落が止まることが多いです。また、レジスタンスとは価格が上昇したときに反転しやすい価格帯のことです。ここで売り手の供給が強くなり、上昇が抑えられることが多いです。

(出所:TrendSpider)

上のチャートでは、この強気相場で200日指数平滑移動平均線(EMA)がアルファベット(GOOGL)の強力なサポートとして機能しているのがわかります。常にこのサポートが効くわけではありませんが、多くの投資家が注目している水準なので、あなたも注目しておくべきポイントです。

移動平均収束拡散法(MACD)

MACD(移動平均収束拡散法)は、株価のトレンドの強さ、方向、勢い、期間の変化を把握するためのテクニカル分析ツールです。MACDには2本のラインがあります。1つ目がMACDラインで、これは12日と26日の指数平滑移動平均線(EMA)の差を表しています。2つ目がシグナルラインで、これはMACDラインの9日EMAです。MACDラインがシグナルラインを上回ると強気のシグナル、逆に下回ると弱気のシグナルを示します。

また、MACDヒストグラムはMACDラインとシグナルラインの差を視覚的に示し、トレンドの強さについてより詳しい情報を提供してくれます。

(出所:TrendSpider)

MACDは勢いを示す優れたインジケーターであり、特に異なる移動平均線の動きを通してその勢いを把握できます。最もシンプルな戦略の一つは、MACDラインとシグナルラインのクロスオーバー(2本の異なる移動平均線やインジケーターのラインがチャート上で交差すること)に注目することです。これにより、強気・弱気のシグナルを見極めることができます。

相対力指数(RSI)

相対力指数(RSI)は、テクニカル分析で使われるモメンタムオシレーターで、価格の動きの速さと変化を測定します。この指標は0から100の範囲で表示され、銘柄が買われすぎているか、売られすぎているかを判断するのに役立ちます。

通常、RSIが70を超えると、その銘柄が買われすぎであり、調整が近い可能性があることを示します。一方、RSIが30を下回ると売られすぎで、反発が期待できるかもしれません。RSIは株価のトレンドが反転する可能性のあるポイントを見つけるために非常に有用です。

(出所:TrendSpider)

RSIは優れたインジケーターの一つです。例えば、アルファベットのように気に入っている銘柄がある場合、週足などの長期で売られすぎのレベルに達したら買う、というシンプルな戦略が考えられます。

RSIを使って私がよく行うのは、ダイバージェンスを見つけることです。ダイバージェンスとは、価格の動きとインジケーター(例:RSIやMACD)の動きが逆行する現象を指します。例えば、価格が上昇しているのにインジケーターが下がっている場合、トレンドの勢いが弱まっている可能性があり、トレンドの転換を示唆することがあります。

これは2022年に株価が底を打ったときにも見られました。RSIは6月に底をつけた後、価格が下がる中で上昇し続けました。このダイバージェンスは、その銘柄に隠れた強さを示していたのです。

フィボナッチ・リトレースメント/ フィボナッチ拡張 / エリオット波動

フィボナッチ・リトレースメントと拡張は、テクニカル分析で潜在的なサポートやレジスタンスのレベルを見つけるためのツールです。リトレースメントは、トレンドが続く前に価格が押し戻される可能性のある水準を示し、38.2%、50%、61.8%などのレベルがよく使われます。

一方、フィボナッチ拡張は現在の価格水準を超えるサポートやレジスタンスの可能性があるエリアを予測し、利確ポイントを見つける際に使われます。これらのレベルは自然界でも見られるフィボナッチ数列に基づいており、市場心理や行動を読み解く手がかりをトレーダーに提供します。

エリオット波動理論は、市場が繰り返し起こる波形パターンで動くと考えるテクニカル分析の一つです。市場はトレーダーの心理によって動くため、金融市場も同じように繰り返すサイクル(波)で動くとされています。

この理論では、一つのサイクルは5つの上昇(インパルス)波とそれに続く3つの下降(コレクティブ)波から成り立っています。これらの波形パターンを分析することで、トレーダーは今後の価格動向を予測し、市場の転換点を見極めようとします。

(出所:TrendSpider)

上記のチャートからも分かる通り、数週間前の売りが始まる前に指摘したのは、ナスダックや多くの大型テック株が、ベアマーケット(弱気相場)の安値から1.618の拡張レベルに達していたことです。

ここでは、フィボナッチ拡張ツールを使い、2022年の高値からベアマーケットの安値までを測定しました。

他のフィボナッチレベルも、0.786の拡張レベルのように、重要な取引エリアを示していることに注目してください。

テクニカル分析に関するまとめ(私のアルゴリズム)

これらのインジケーターは、それぞれ単独でも組み合わせても活用でき、株の買いタイミングやストップロスの設定、利益確定のポイントを見つけるのに役立ちます。

ですが、今は「AI」の時代です。せっかくなら機械にこの作業を任せてみてはどうでしょう?

ここ3か月間、私はTrendSpiderでアルゴリズムを開発してきました。このアルゴリズムは、特定の条件に達すると自動的に売買アラートを出してくれます。

その結果がこちらです!

(出所:TrendSpider)

このアルゴリズムは、移動平均線(MA)、MACD、RSIを使って、適切な買いと売りのポイントを判断します。

このアルゴリズムを過去5年間でバックテストしたところ、S&P 500を30%以上も上回る成績を収めました。

さらに、下落リスクから資産を守るという点でも優れた効果を発揮しています。

(出所:TrendSpider)

ご覧のとおり、この戦略のベータ値(Beta)は対象資産よりも低くなっています。22回のポジションのうち、68%が勝ち(Wins)で32%が負け(Losses)でしたが、平均損失(Average Loss)を-2.25%に抑えたことで、インデックスを上回る成果を得ることができました。

このアルゴリズムは、テスラのようなボラティリティの高い個別銘柄でもうまく機能します。

(出所:TrendSpider)

このアルゴリズムだけでも十分な効果がありますが、ニュースの材料やファンダメンタルズ、季節性、ショートポジションの状況、さらにはエリオット波動理論やフィボナッチレベルも組み合わせることで、さらに良い結果を引き出すことができるでしょう。

これが、私がスイングポートフォリオで銘柄を選ぶ際に使っている要素です。

以上より、本稿ではトレードにはリスク管理やメンタルコントロールなど、他にも大事な要素がたくさんありますが、ここでは基本的なポイントをしっかり押さえたと思います。

また、投資をする上では学び続けることが重要です。これを機会に、まだ使用されていない方は、TrendSpiderや他のチャートソフトをぜひ試してみてください。

さらに、TrendSpiderに興味がある方は、こちらから是非お試しください。


アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード

ジェームズ・フォード氏は、エコノミストとして、過去10年に渡り、世界市場の分析に従事してきました。そして、自らを「実践的な投資家」と位置付け、資産を継続的に維持・拡大させることを目的とした、分散されたポートフォリオの構築に重点を置いています。

主に、「グローバル・マクロ」、「ハイテク」、「コモディティ」、「暗号通貨」関連銘柄に焦点を当て、ファンダメンタル分析、並びに、テクニカル分析を用いた企業分析を提供しております。

また、フォード氏のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フォード氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

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