【2024年第3四半期】フォーム13Fとは?最新の13Fの分析を通じて、ウォーレン・バフェット氏を含む米国著名投資家の米国株投資戦略を徹底分析!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、「フォーム13F(Form13F)とは?」という基礎的な内容から、直近公表された、最新の2024年第3四半期末(9月末)時点のフォーム13Fを詳細に分析していきます。
- そして、ウォーレン・バフェット氏やビル・アックマン氏等、プロの大手機関投資家がリスク管理やリターンの創出にどのように取り組んでいるかを学び、投資戦略の参考にする方法を詳しく解説していきます。
- 最新のフォーム13Fは、米国の著名投資家たちの戦略的な株式取引や投資テーマを把握するための重要な情報源です。
- 著名な投資家たちは中国テクノロジー株、仮想通貨ETF、割安な冶金用石炭株など、多様な分野への投資を通じて、市場の不透明感や新たなチャンスに対応しています。
フォーム13F(Form13F)とは?
2025年が近づく中、最新のフォーム13F(Form13F)は、世界のトップ投資家たちがどのように動いているのかを知る貴重な手がかりとなります。
フォーム13Fは、米国証券取引委員会(SEC)に提出される報告書で、一定の規模を持つ投資運用会社が保有する株式ポートフォリオを開示するための重要な書類です。
具体的には、この報告書は、管理資産が1億ドル以上の投資運用会社(例:ヘッジファンド、ミューチュアルファンド、年金基金など)に提出が義務付けられており、主に米国株式や特定の債券、オプション、ADR(米国預託証券)などが対象となります。
フォーム13Fには、各銘柄の保有数量や評価額が詳細に記載されており、四半期ごとに提出されます。
提出期限は四半期終了後45日以内と定められており、この報告書を通じて市場参加者は運用会社の投資行動を把握することができます。
このフォームの役割として、市場の投資家が大手運用会社や著名な投資家のポートフォリオを確認し、投資戦略を学ぶ助けとなるほか、市場の透明性向上にも寄与しています。
ただし、フォーム13Fでは空売りポジションや取引履歴などは開示されないため、運用会社の全体像を完全に把握することはできません。
それでもなお、株式市場における主要な動向やトレンドを把握するための重要な情報源として、多くの投資家に活用されています。
そして、本稿では、伝説のバリュー投資家ウォーレン・バフェット氏に加え、ビル・アックマン氏、マイケル・バーリ氏、ハワード・マークス氏といった名だたる投資家たちの動向から見えてくる5つの重要なテーマを取り上げます。
ウォーレン・バフェット氏
「オマハの賢人」として知られる世界的な投資家です。
長期的視点でのバリュー投資を信条とし、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)を率いて多くの企業で成功を収めてきました。
その投資哲学は、堅実さと忍耐力を重視し、長期的な資産成長を追求するものです。
ビル・アックマン氏
アクティビスト投資家として名を馳せる存在です。
彼が率いるヘッジファンドであるパーシング・スクエア・キャピタルは、企業改革を通じて価値を引き出し、株主利益を最大化することを目指しています。
大胆な戦略と鋭い洞察力で市場から注目を集める投資家です。
マイケル・バーリ氏
2008年の住宅ローン危機を予見し、空売りを活用して巨額の利益を得たことで知られています。
映画『マネー・ショート』でその功績が描かれ、金融市場の変化を鋭く見抜く力を持つヘッジファンドマネージャーとして広く認識されています。
ハワード・マークス氏
「リスク管理の哲人」として知られる投資家です。
オークツリー・キャピタルを創設し、独自の視点で市場の本質を洞察する書簡を発信しています。
その内容は多くの投資家から支持され、長期的な投資成功の鍵となるリスクとリターンのバランスを追求しています。
そして、これらの著名投資家の動向を詳細に分析することで、割安な大手企業への投資強化から、不安定なセクターへの挑戦まで、「Smart Money(スマートマネー:賢い資金)」と呼ばれる彼らの来年に向けた行動を把握し、自身の戦略に活用することが出来るでしょう。
本稿で学べる内容
・中国のテック株や冶金用石炭など、割安とされるセクターにトップ投資家たちが注力している理由
・ウォーレン・バフェット氏が市場の不透明さに備え、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオをどのように戦略的に調整しているか
・ヘッジファンドが仮想通貨の復活を見越して、なぜビットコインETFに注目しているのか
・ビル・アックマンがナイキ(NKE)のD2C(直販)戦略に、課題を抱えながらもどのような可能性を見出しているか
一方で、フォーム13Fは取引実行から数か月遅れでしか情報を確認できませんが、現在、私は4つのポートフォリオを運用しており、各ポートフォリオのリアルタイムの詳細は下記のリンク(Snowball Analytics)よりご覧いただけます。
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では、最新のフォーム13Fを詳しく見ていきましょう!
ビル・アックマン氏のナイキ(NKE)への信頼
大手ヘッジファンド「パーシング・スクエア・キャピタル」を率いるビル・アックマン氏は、市場の荒波を恐れない投資家として知られています。
今年、世界的なスポーツウェアブランドであるナイキ(NKE)は、大きな逆風に直面しました。
業績が市場予想を下回り、四半期売上高が10%減少、さらに2025年の業績予測を撤回したことで、ナイキの株価は20%下落しました。
しかし、アックマン氏はこれを警戒すべきサインではなく、むしろ絶好の投資機会と見ています。
彼はナイキの持ち株を14億ドル規模にまで増やし、自身の信念をさらに強調しました。
特に、ナイキが卸売から直販(DTC)モデルへの移行を進めている点に注目しています。
この戦略は、より高い利益率とブランドコントロールの強化を目指したもので、アックマン氏はこれがナイキの長期的な成長を支える鍵になると考えています。
もちろん、この移行は簡単ではなく、中国などの主要市場で消費が低迷している影響も受けていますが、それでもアックマン氏はこの戦略が最終的に成功すると考えています。
ナイキ(NKE)の株価推移
(出所:TrendSpider)
テクニカル面では、私の市場を上回る成果を目指すアルゴリズムもナイキの買いポジションを維持しており、たとえ現在が買いシグナルでなくても、EMA(指数平滑移動平均)のクロスが発生すれば、新たに買いシグナルが点灯する可能性があります。
また、インベストリンゴのテクノロジー・セクター担当のアナリストであるイアニス・ ゾルンパノス氏は、ナイキの直近の決算後に詳細な下記の分析レポートを執筆しております。
もし関心がございましたら、併せてご覧いただければと思います。
中国テクノロジー株:バリュー投資家にとっての理想的なチャンス
マイケル・バーリ氏とハワード・マークス氏は、中国テックセクターの苦境にもかかわらず、注目すべき投資行動を取っています。
規制強化、経済減速、地政学的緊張といった課題に直面するアリババ(BABA)やJD.com(JD)、バイドゥ(BIDU)などの企業は厳しい状況にありますが、その一方でこれらの要因によって株価が大幅に割安になり、賢明な投資家には大きなチャンスが生まれています。
マークス氏は、PDDホールディングス(PDD)とネットイース(NTES)をポートフォリオに加え、それぞれeコマースとオンラインゲーム分野での優位性に注目しています。
一方、2008年の金融危機を予見したことで知られるバーリ氏は、アリババとJD.comへの投資をさらに拡大しています。
これらの企業は、中国のデジタル経済を支える中核的存在であり、膨大な消費者基盤を持ち、欧米の競合からの保護も受けています。
アリババ(BABA)のバリュエーション
(出所:Alpha Spread)
アリババは、株価売上高倍率(P/S:PSR)や株価収益率(P/E:PER)などの指標で見ると、過去と比較して非常に割安な状態にあります。
今後の上昇の鍵を握るのは、中国政府が最近示している親市場的な政策転換です。
これまでの規制強化の流れを経て、政府はインフラ投資や消費者向け補助金といった財政政策を通じて経済の安定化に注力しているように見えます。
(日本語訳)刺激策への期待が高まり、中国株が上昇――重要会議を控えた動き
CSI300指数は一時2.3%上昇し、過去3週間で最大の上げ幅を記録しました。
投資家の間では、中央経済工作会議(CEWC)での政策支援への期待が高まっているとされています。
(出所:Bloomberg)
マークス氏とバーリ氏にとって、この政策の変化は、世界で最も重要な市場の一つである中国での回復を見越して投資を行う、計画的なチャンスを示しています。
ヘッジファンドがビットコインETFに熱視線
仮想通貨市場が再び活気を取り戻し、機関投資家たちが注目しています。
ミレニアム・マネジメントやカプラ・マネジメントなどのヘッジファンドは、ビットコインETF(上場投資信託)の保有量を大幅に増加させています。
これらのETFは、ビットコイン(BTCUSD)を直接保有する際に伴う複雑さを避けながら、規制された方法でビットコインに投資する手段を提供します。
ビットコインが過去最高値に迫る勢いを見せる中、仮想通貨が正当な資産クラスとして認知されつつあることが、こうした関心をさらに高めています。
また、ビットコインETFの登場により生まれた裁定取引の機会は、ヘッジファンドにとって非常に魅力的なものとなっています。
クジラ(仮想通貨の大口保有者)の1日の変動
(出所:CryptoQuant)
短期的な利益を追求するだけでなく、ビットコインの長期的な価格上昇の可能性も、機関投資家を引き寄せる要因となっています。
価格の大きな変動性が広く知られているにもかかわらず、機関資金は引き続き仮想通貨市場に流れ込んでいます。
また、足元、ビットコインの今後の見通しとおすすめのアルトコインに関する下記の分析レポートを執筆しておりますので、関心がございましたら、インベストリンゴのプラットフォーム上より、併せてご覧いただければと思います。
逆張り投資:冶金用石炭への注目
マイケル・バーリ氏は、市場の潮流に逆らう姿勢を再び示しています。
彼はアルファ・メタラジカル・リソーシズ(AMR)やコンソール・エナジー(CEIX)といった冶金用石炭関連株への投資を拡大しました。
環境問題への懸念から需要が縮小している火力発電用石炭とは異なり、冶金用石炭は鉄鋼生産に不可欠であり、現時点でこれを代替できるスケーラブルなグリーン技術は存在していません。
バーリ氏が注目する理由は、これらの企業が割安で評価されている点にあります。
多くの冶金用石炭関連企業は低いPER(株価収益率)で取引されており、安定したキャッシュフローに加えて、配当や自社株買いといった株主還元策を積極的に実施しています。
これらの特徴がバリュー投資家にとって大きな魅力となっています。
バーリ氏の今回の動きは、一般的に見過ごされがちなセクターにおいて、逆張り戦略がいかにして新たな投資機会を見つけ出せるかを示す好例といえるでしょう。
ウォーレン・バフェット氏の戦略的なアップル(AAPL)株売却
ウォーレン・バフェット氏が第3四半期にバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)のアップル(AAPL)株を25%売却した決定は、多くの注目を集めました。
アップルは長年にわたりバークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中核を担っており、現在も700億ドル以上の価値を持つ最大の保有銘柄です。
この売却は、アップルへの信頼を失ったわけではなく、バークシャーの現金準備を過去最高の3,250億ドルに引き上げるための戦略的な判断です。
バークシャー・ハサウェイのアップル株の保有動向
(出所:CNBC)
バフェット氏は以前から、不透明な状況下で流動性を確保する重要性を強調しています。
地政学的リスクやインフレ圧力、米国の金融政策の変化が懸念される中で、バークシャー・ハサウェイを守りの姿勢にシフトさせようとしているようです。
アップル株をPER(株価収益率)37倍という高い評価額で売却することで、大きな利益を確定しつつ、将来の投資機会に備える狙いがあると考えられます。
また、足元、バフェット氏の最新のポートフォリオ分析に関する下記のレポートを執筆しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。
実践的な投資家
最新のフォーム13Fは、トップ投資家たちが複雑な市場環境をどのように乗り越えているかを示しています。
アックマン氏のナイキ(NKE)復活への期待、バーリ氏の大胆な逆張り戦略、バフェット氏の慎重な現金確保――これらの戦略は、あらゆる投資家にとって学ぶべき重要なポイントを提供しています。
これらのテーマを掘り下げることで、優れた投資家がどのように価値を見極め、リスクを管理し、成功への道を切り開くのか、その洞察を得ることができます。
次章では、これらのトピックをさらに詳しく掘り下げ、私が足元で注目している具体的な投資アイデアに関して詳しく解説していきます。
次章では以下の内容を取り上げていきます:
・テクノロジー株はピークを迎えたのか?今注目すべきテック株とは
・中国市場への投資は可能か?答えを示す「秘密の指標」
・私が注目する中国株
・私が注目する仮想通貨とマイニング関連株
※続きは「フォーム13Fよりバフェット氏のアップル株大量売却が明らかに!機関投資家は、米国小型株に加え中国株と仮想通貨に注目!」をご覧ください。
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
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