2024年第2四半期の海外半導体セクター決算速報:エア・テスト・システムズ・TSMC・ASML
ダグラス・ オローリン- 本シリーズでは、海外半導体関連銘柄である、エア・テスト・システムズ(AEHR)、ASML(ASML)、TSMC(TSM)に関する最新の決算を3部作に分けて徹底解説していきます。
- Part 1である本稿では、エア・テスト・システムズ(AEHR)の最新決算は、買収の影響でコアビジネスの弱さが目立ちましたが、将来的な製品発表が多く控えているため、将来の見通しは楽観的であるように見えます。
- 2024年度第4四半期の決算では、EPSが0.84ドル、売上高が1660万ドルで予想を上回り、2025年度の売上高見通しは少なくとも7000万ドルに達する予定です。
- シリコンカーバイド市場に対する自信が高く、電気自動車やAIプロセッサの需要増加により、同社は大きな成長機会を見込んでいます。
2024年第2四半期の海外半導体セクターの最新の決算サマリー
エア・テスト・システムズ(AEHR)は、最近の買収を反映したため、実際のコアビジネスが予想よりも弱い結果となり、やや混乱した内容でした。しかし、将来的な製品発表が多く控えているため、悲観的な見方を維持するのは必ずしも正しいようには思えません。
TSMC(TSM)は、利用率の向上により、予想を上回る売上総利益率を達成しました。ロジックサイクルが本格的に始まっており、私は同社の来年のWFE(半導体前工程製造装置)設備投資は大幅に増加すると見込んでいます。
ASML(ASML)は、2025年度と2026年度の高NA DRAM導入について言及しました。これを実現できるのはサムスン電子(005930.KS)だけであることからも、サムスン電子の成功を祈りたいと思います。
また、輸出規制は避けられないものであり、おそらく、今後、ますます増えることでしょう。規制はいつも10月に発生する傾向があり、過去の経験から、半導体製造装置メーカーへの影響はさらに悪化する可能性があると見ています。
さて、実際の決算報告に関して、まず2024年7月16日に発表された、エア・テスト・システムズ(AEHR)の最新の2024年度第4四半期決算から始めていきましょう。先週のこちらのレポートにおいて、私は同社は魅力的な銘柄だと述べましたが、それが現実となってきています。
さて、問題は、結果を詳しく見れば見るほど疑問が増えるということです。というのも、予想を上回る強いガイダンスには、最近の買収が含まれているからです。
エア・テスト・システムズ(AEHR)の最新の2024年度第4四半期決算に関して
2024年度第4四半期決算
・EPS:0.84ドル(前四半期:-0.05ドル)
・売上高:1660万ドルで7月9日の事前数値と一致(ファクトセット予想:1610万ドル)
2025年度通期ガイダンス
・売上高:少なくとも7000万ドル(ファクトセット予想:6790万ドル)
では、当決算の注目点をハイライトしていきたい。
(原文)Now, turning to our outlook for the current fiscal 2025. For the fiscal year ending on May 30, 2025, we expect total revenue of at least $70 million, which includes the acquisition of Incal Technology.
(日本語訳)さて、現在の2025会計年度の見通しについてです。2025年5月30日に終了する会計年度において、我々はIncal Technologyの買収を含め、総売上高が少なくとも7000万ドルに達すると予測しています。
これを考えると、コアビジネスは予想を下回っていることがわかります。興味深いのは、ここで再びCEOのGayn Erickson氏の将来のビジネスについての楽観的な見解に戻ることです。しかし、シリコンカーバイドの需要が以前の予測よりも強いことについては私も同様の見方をしています。
(原文)I'll cover at least a little on each of these key markets, beginning with wafer level test and burn-in of silicon carbide devices. We continue to have a high level of confidence in this market, which remains an enormous opportunity for Aehr. While most forecasters are saying that the inflection point for silicon carbide and electric vehicles is now the second half of 2025 into '26, from our many meetings with semi suppliers, Tier 1s and electric car companies themselves, it's even more clear now that silicon carbide is the plan of record for electric vehicles and preferred over IGBT.
(日本語訳)これらの主要市場について少しずつ説明します。まず、シリコンカーバイドデバイスのウェハーレベルテストとバーンインから始めます。この市場に対する自信は高く、エア・テスト・システムズにとって非常に大きな機会であることは変わりません。多くの予測者は、シリコンカーバイドと電気自動車の転換点が2025年後半から2026年にかけてになると言っていますが、半導体サプライヤー、Tier 1企業、および電気自動車メーカーとの多くのミーティングを通じて、シリコンカーバイドが電気自動車の標準プランであり、IGBTよりも好まれることが一層明確になりました。
※バーンイン:電子機器やコンポーネントを一定期間稼働させることで、初期の故障や欠陥を検出し、信頼性を向上させるための試験プロセスのこと。
しかし、ここで信じがたいのは、彼らが多くの新しい市場について語っている点です。Gayn氏は、Incal TechnologyがAIプロセッサのバーンインに関与すると言っていますが(完全には真実ではありませんが)、彼らはNAND、HDD、シリコンフォトニクス、およびGaNから利益を得ると主張しています。
これらの市場はどれも現在最も注目されている市場か、或いは、逆に最も厳しい市場であり、同社がすべての市場で成功しているという主張は信じがたいものであり、これでは同社に対する信頼性が薄れるようにも見えます。
彼らが決算説明会で言及したAI関連顧客がエヌビディア(NVDA)ではないのは幸いです。そうでなければ、この話はもっと大きくなっていたでしょう。
(原文)It's a little weird to talk about who it is or who it isn't, but I've actually just -- and this might get me in trouble someday, but it's not Nvidia. I've been trying to be pretty clear with people because it's just not fair. I guess at some point, if Nvidia ever goes with us now, what am I going to say. But they are a revenue-generating company today. They have customers. They're doing very well. It's pretty exciting. I can't -- there's some discussion about being able to go public with them once we have successfully demonstrated it. They really would have a huge benefit by moving their system-level test burn-in to wafer level. And I can't decide who is more excited about this, if it's us or them, with them cheering us on to please hopefully make this work for them.
(日本語訳)誰が顧客であるかについて話すのは少し変ですが、実際のところエヌビディアではありません。これが後々問題になるかもしれませんが、公平であるために明確にしています。将来的にエヌビディアが私たちを採用することがあれば、その時にどうするか考えなければなりませんが、現在の顧客は収益を上げている会社で、顧客もおり、非常に好調です。公開できる段階に達すれば、彼らとの協力について発表する予定です。システムレベルのテストバーンインをウェハーレベルに移行することで、彼らは大きな利益を得るでしょう。誰がこのことにより興奮しているかは明確ではありませんが、私たちも彼らもこの協力を実現させるために非常に前向きです。
したがって、Incal Technologyはエア・テスト・システムズ(AEHR)のビジネスに非常に近く、新しい市場の潜在的な成長も見込めるため、理にかなっていると思います。同社ついては私は強い意見はありませんが、シリコンカーバイドの改善が同社の今後の見通しにとって十分な材料であると思います。そして、同社にショートポジションを維持する人々は厳しい状況に置かれているように見えます。
※続きは「ASML:2024年第2四半期決算後、株価は急落!中国市場における輸出規制の影響と今後の株価見通し・将来性を徹底分析!」をご覧ください。
その他の半導体銘柄関連レポート
1. マーベル・テクノロジー / MRVL:AI・半導体銘柄の最新の2025年1Q決算速報・財務分析と今後の株価見通し&将来性
2. エヌビディア / NVDA / 予想配当利回り0.04%: 2025年1Q決算&株式分割を受けてNVIDIAの株価は急騰(前編)
3. アプライド・マテリアルズ / AMAT:まだ上値を狙えるか、2024年第2四半期決算速報・強み分析と今後の株価見通し・将来性
また、私のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
さらに、その他のエヌビディア(NVDA)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、エヌビディアのページにアクセスしていただければと思います。