12/01/2024

半導体製造装置業界の将来性とは?新たな輸出規制は軽微な内容となる見込みで、中国の半導体メーカーCXMTは対象外?

Oriental Pearl Tower in Shanghai during daytimeダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、12月2日月曜日に発表予定との噂のある新たな輸出規制の分析を通じて、半導体製造装置(セミキャップ)業界の将来性と今後の見通しを詳しく解説していきます。
  • 新たな輸出規制の発表は軽微な内容となる見込みであり、特に中国の半導体メーカーCXMTは対象外とされ、短期的には半導体製造装置関連銘柄への影響は限定的であるように見えます。 
  • iシェアーズ半導体ETF(SOXX)は規制発表後の短期的なパフォーマンスが低調な一方で、6か月後にはポジティブなリターンを示す傾向があり、特にアプライド・マテリアルズやラムリサーチのような半導体製造装置関連銘柄の今後の動向に注目しています。 
  • 長期的には米中貿易摩擦や中国のサプライチェーン再構築が半導体業界に影響を及ぼす可能性がある一方で、現時点では不透明ながらも短期的には業界に安堵の瞬間をもたらすと考えています。

半導体製造装置(セミキャップ)関連銘柄に注目の理由とは?

月曜日には新たな輸出規制が発表されるとの噂があります

ただし、その内容はかなり軽微なものになるようです。

特に注目すべき点として、中国の半導体チップメーカーであるChangxin Memory Technologies Inc(CXMT)は完全に対象外となる模様です。

これまでの歴史を振り返ると、ほぼすべての輸出規制が短期的には悪いリターンをもたらしてきました。

具体的には、発表前後のリターンが低調で、その週も振るわないケースが多かったです。

しかし、iシェアーズ半導体ETF(SOXX)に関しては6か月後にはほぼ確実にポジティブなリターンを記録しており、この傾向は半導体製造装置(セミキャップ)関連銘柄で特に顕著です。

(出所:SemiAnalysis)

簡単に言えば、アプライド・マテリアルズ(AMAT)とラムリサーチ(LRCX)をこの順番で購入するのが良いのではないかと考えています。

ロビー活動が効果を発揮した結果といえます。

アプライド・マテリアルズはこれまで中国のDRAM市場で最も高いシェアを持っています。

また、アプライド・マテリアルズとラムリサーチに関して、直近の最新の決算発表後に、インベストリンゴの半導体セクター担当のアナリストであるウィリアム・ キーティング氏が、下記の詳細な分析レポートを執筆しております。

もし関心がございましたら、インベストリンゴのプラットフォーム上より、併せてご覧いただければと思います。

アプライド・マテリアルズ

ラムリサーチ

加えて、ラムリサーチに関しては、私も直近の10月23日に発表された最新の2025年第1四半期決算直後に下記の分析レポートを執筆しております。

さらにラムリサーチと世界半導体製造装置(WFE)市場に対する理解を深めるために、こちらも併せてご覧いただければと思います。

一方、CXMTのWFE(半導体製造装置)市場でのシェアはわずか数%と低く、この分野全体に重しとなっていました。

ただし、今回の規制がそれを解消する転機となるでしょう。

今後の輸出規制についてはトランプ政権の判断次第ですが、見通しが改善する可能性があります。

また、SOXXにとっては、例年強い動きが見られる12月が近づいています。

今年は規制への懸念から弱含んでいましたが、これが転機となるかもしれません。

(出所:Bloomberg)

中国と米国の貿易関係の長期的な方向性は依然として不透明です。

関税、トランプ政権によるさらなる輸出規制、そして中国が半導体製造装置のサプライチェーンを独自に再構築する取り組みの成功が、半導体製造装置や半導体関連株の将来に影響を及ぼすでしょう。

しかし、今回に限って言えば、この「整理イベント」は買い時かもしれません。

別件ですが、CSIS(戦略国際問題研究所)の記事をいくつか読んで、非常に興味深いと感じました。

中国と米国の関係にはまだ長い道のりが残されており、これが物語の最終章ではないでしょう。

それでも、中国は自らの道を進んでいくと思われます。

2030年代が近づくにつれ、この割合は簡単に10~20%に達する可能性があると考えています。

輸出だけでなく、競争そのものが中国から押し寄せてきているのです。

中国の半導体装置の世界的な需給シェア

中国の半導体製造装置における世界市場シェア

(出所:CSIS)

また、いくつかの問題が発生する可能性があります。

たとえば、ウルトラ・クリーン・ホールディングス(UCTT)、MKSインスツルメンツ(MKSI)、イコル・ホールディングス(ICHR)といった企業が扱う半導体製造装置の部品に対する規制が噂されています。

これらの企業は中国の顧客から大きな収益を得ており、その影響が懸念されます。

さらに、中国におけるHBM(高帯域幅メモリ)の取り締まりが他の分野にも影響を与える可能性があります。

しかし、その全体像が明らかになるのは月曜日以降になるでしょう。

それまでは、「Happy Thanksgiving, Semicap!」といったところです。

正直なところ、これは半導体業界が待ち望んでいた安堵の瞬間だと思いますし、短期的には株価が上昇する可能性が高いと見ています。

ただし、長期的な見通しについては現時点では判断することは難しいと言うのが現状です。

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📍半導体&テクノロジー担当

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