中立アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の将来性とは?最新の2024年第1四半期決算後に株価が大幅下落の理由に迫る!
ウィリアム・ キーティング- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の2024年4月30日に発表された最新の2024年第1四半期決算の分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- AMDのエンベデッド部門は、一部の市場で需要が低調だったため、2024年第1四半期では前年同期比46%の減収となりましたが、下半期には回復が期待されています。
- AMDのサーバー部門は、Zen 4製品の成長によりサーバー・プロセッシング収益が2桁成長を遂げ、伝統的なサーバー向け市場でもリフレッシュサイクルやAIの影響で成長が見込まれています。
- AMDは成長の鈍化を経験しており、インテルと比較しても復活に時間を要すると予想されるため、今後数ヶ月の株価下落が予測されていますが、長期的な成長ポテンシャルを見込んで再投資を検討する投資家もいるでしょう。
※「アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の将来性:時間外で株価急落!最新の決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!」の続き
AMDのエンベデッド部門
先週のインテル(INTC)のアルテラ部門の不振を受け、AMD(AMD)のエンベデッド(Embedded)部門にも同様のことが起こると予想していた。
(原文)Embedded segment revenue was $846 million, down 46% year over year and 20% sequentially as customers continue to manage their inventory levels. Embedded segment operating income was $342 million or 41% of revenue compared to $798 million or 51% a year ago.
(日本語訳)顧客が在庫レベルの管理を続けているため、エンベデッド部門の売上高は8億4600万ドルで、前年同期比46%減、前四半期比では20%減となりました。エンベデッド部門の営業利益は、前年同期の7億9800万ドル(51%)に対し、3億4200万ドル(41%)となりました。
エンベデッド部門に関する質問に対し、ジーン・フーCFOは、エンベデッド部門が通信、産業、自動車セクターを理由に、当四半期は予想より低調であったことを認めている。
(原文)I think the embedded business declined a little bit more than expected really due to the weaker demand in some of the markets. Very specifically, communication has been weak. And some pockets of industrial and automotive, as you mentioned, it's actually quite consistent with the peers.
(日本語訳)エンベデッド部門は、一部の市場での需要減退により、予想よりも少し落ち込んだと思います。具体的には、通信が低調でした。また、産業用や車載用の一部では、ご指摘の通り、同業他社とほぼ同水準となっています。
彼女は、このセグメントが下半期には回復すると予想している。
(原文)Second half, we do think the first half is the bottom of embedded business, and we'll start to see gradual recovery in the second half.
(日本語訳)下半期は、上半期がエンベデッド部門の底だと考えています。そして、年後半には徐々に回復していくでしょう。
2024年度第1四半期のエンベデッド部門は振るわなかったが、スバルとソニーからADASコンポーネントのデザインウィンを獲得したことは興味深い。
このような自動車向け設計の受注は、5年以上のライフサイクルが当たり前であり、非常に粘着性が高い案件であると言える。
AMDのQ&Aに関して
1. AMDのメインストリーム・サーバー
特に、顧客がAIアクセラレーション・ハードウェアに支出を振り向けることによって、メインストリーム・サーバーがカニバリゼーションを続けるかどうかが注目されている。
決算説明会では、AMD(AMD)から2024年度第1四半期に2桁の力強い成長があったというデータを得ることが出来た。
(原文)and a strong double-digit percentage growth in our server processing revenue as a result of growth across our Zen 4 products.
(日本語訳)当社のZen 4製品全体が成長した結果、当社のサーバー・プロセッシング関連の売上は2桁の大幅な伸びとなりました。
Q&Aでは、リサ・スーCEOがこのトピックに関する質問に下記の様に答えている。
(原文)Question: Going back to the earlier question on server demand, more traditional server. As you see the ramp of maybe share opportunities in more traditional enterprise, I'm curious how you would characterize the growth that you expect to see in more traditional server CPU market as we move through '24 or even longer term, how you characterize that growth trend.
(日本語訳)質問:先ほどのサーバー需要に関する質問に戻りますが、より伝統的なサーバーです。 より伝統的な企業向けサーバーでシェアが拡大する可能性があると見ているかと思いますが、24年まで、あるいはさらに長期的に、より伝統的なサーバー向けCPU市場の成長をどのように見ていますか?
この質問に対して、リサ・スーCEOは次のように、定量的というよりは定性的な回答をしている。
(原文)Yeah, I think, Aaron, what I would say is there are -- the need for refresh of, let's call it, older equipment is certainly there, so we see a refresh cycle coming. We also see AI head nodes, as another place where we see growth in, let's call it, the more traditional market. Our sweet spot is really in the highest performance, sort of high core count, energy efficiency space, and that is playing out well.
(日本語訳)そうですね、アーロン、私が申し上げたいのは、古い機器のリフレッシュの必要性は確実に存在するということです。そのため、私達はリフレッシュ・サイクルが来ると見ています。また、AIヘッドノードは、より伝統的な市場において成長が期待できるもうひとつの分野だと考えています。 私たちのスイートスポットは、最高性能、高コア数、エネルギー効率の領域であり、それはうまく機能しています。
私の個人的な感触では、メインストリームサーバーは今年、台数ベースで約10%、売上ベースでそれ以上の成長を遂げるだろうと見ている。
2. AMDのMI300の収益性
MI300の収益性に関して、非常に興味深い質問が投げかけられた。
(原文)Great. Thank you. I wonder if you could address the profitability of MI300. I know you said a couple of quarters ago that it would eventually be above corporate average, but it would take you a few quarters to get there. Can you talk about where you are in that?
(日本語訳)素晴らしい。ありがとう。MI300の収益性についてお聞かせください。 数四半期前に、最終的には企業平均を上回るが、そうなるには数四半期かかるとおっしゃっていたかと思います。現在どのような状況にあるのでしょうか?
そして、この質問に対して、ジャン・フーCFOの答えには少々驚かされたというのが本音である。
(原文)Yeah. Thank you, Joe. Our team has done an incredible job to ramp MI300. As you probably know, it's a very complex product, and we are still at the fourth year of the ramp both from the testing time and the process improvement. Those things are still ongoing. We do think over time, the gross margin should be accretive to corporate average.
(日本語訳)そうですね。ありがとう、ジョー。私たちのチームはMI300を立ち上げるために素晴らしい仕事をしてくれました。 ご存知のように、MI300は非常に複雑な製品です。テスト期間もプロセス改善も、まだ4年目です。 これらはまだ継続中です。 長期的には、売上総利益率は全社平均のプラスになると考えています。
これは良い現状の確認だと思う。
MI300とその立ち上がりに関するすべてのエキサイトメントにもかかわらず、MI300はまだ全社平均の売上総利益率の足を引っ張っているのである。
製品の複雑さとそれに伴う研究開発費を考えれば、これはそれほど驚くべきことではないかもしれない。
しかし、心に留めておくことは重要なポイントである。
AMDへの結論
AMD(AMD)の復活への道のりは、長く曲がりくねったものである。
私が初めて同社について書いた2017年に同社株式を購入し、その間の数年間持ち続けた投資家は、実に大きな報酬を得ているだろう。
他の投資家は、足元のサイクルのどこで購入したかにもよるが、それほど良い結果とはなっていないかもしれない。
また、最近の227ドルのピーク時またはその近くで購入し、現在35%程度の下落に直面している投資家もいらっしゃるかもしれない。
AMDの復活を最も特徴づけているのは、その復活にかかる時間の長さだろう。
過去にも、同社がその地位を固めつつある時期や、期待したよりも成長が鈍化している時期に、多くの投資家が焦りを感じて売却した。
そして、今もその時期のひとつだと思う。
AMDの成長は2023年に失速し、弱さは少なくとも2024年前半まで続くだろう。
同社が今年の成長見通しを示した記憶はないが、もし成長があるとすれば、それは緩やかなものになるだろう。
同社の株価は2023年11月から2024年3月にかけて2倍以上になった。
多くの人々にとって、2024年4月に利益確定をすることを我慢するにはあまりにも魅力的な水準だったと言える。
そして、今回の株価下落を受け、投資家たちはおそらく再び買い戻しを検討するだろう。
結局のところ、我々は2022年の初めにいた場所に戻ってきたのである。
しかし、2022年初頭に始まる死の谷には注意が必要である。
その時点で買えば、黒字転換まで2年待たなければならないかもしれない。
私は、インテル(INTC)と比較した場合には、AMDは復活の軌道に乗っているが、その道のりは長いとことが想定される。
また、途中で数十億のAIアクセラレーション・ハードウェアというおまけもついているが、多くの投資家は、同社が意味のある持続可能な成長を実現するのに時間がかかる点に苦慮することになるだろうと見ている。
エヌビディア(NVDA)が短距離走をする一方で、AMDはマラソンを選ぶしかないといったところだろうか。
従って、私はAMDが今後数ヶ月の間に下降を続けるのを見ても驚かないだろう。
そして、もし同社の株価が100ドル以下になれば、私は再びロングポジションを増やすことを検討するだろう。
さらに、その他のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アドバンスト・マイクロ・デバイスのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
📍半導体&テクノロジー担当
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