02/17/2025

【半導体】AMDの株価はなぜ上がらないのか?最新の2024年度第4四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

black and green lenovo logoイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄である「AMD(予想配当利回り0%・配当性向0%・1株当たり配当金0ドル)の株価はなぜ上がらないのか?」という疑問に答えるべく、同社の2025年2月4日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • AMDは米国の半導体企業で、PC、データセンター、ゲーム機向けに高性能プロセッサを提供しており、特にCPUやGPUでインテルやエヌビディアと競争しています。
  • 同社は成長投資を優先し、配当を支払わずM&Aや研究開発に積極的であり、2022年にはザイリンクスを買収し、5Gや自動車向けの事業を強化しました。
  • 直近の決算では、売上高やEPSの成長が見られましたが、ROICがWACCを下回るなど資本効率の課題もあり、今後の成長戦略が注目されています。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の概要


セクター:半導体

現在の株価:113ドル

時価総額:1,832.8ドル

過去5年間の配当成長率0%

配当落ち日:配当支払いなし

配当支払い日:配当支払いなし

予想配当利回り:0%

過去5年間の売上高成長率:20.70%

過去10年間の売上高成長率:12.80%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD:予想配当利回り0・配当性向0%・1株当たり配当金0ドル)は、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を構える半導体企業で、PC、データセンター、ゲーム機、産業、自動車市場向けに高性能プロセッサを設計・提供しています。特に、x86アーキテクチャを採用した中央演算処理装置(CPU)およびグラフィックス処理装置(GPU)を強みとし、インテル(INTC)やエヌビディア(NVDA)と競争を繰り広げています。

近年では、データセンター向けのEPYCプロセッサが成長を牽引し、AIやハイパフォーマンスコンピューティング分野での競争力を高めています。また、2022年にはFPGA市場のリーダーであるザイリンクス(Xilinx)を買収し、5G、組み込みシステム、自動車向けのソリューションを強化しました。

財務面では、過去5年間の売上成長率は年平均20.7%と堅調で、粗利益率も49.35%と高水準を維持しています。一方で、投資資本利益率(ROIC)は2.91%と、加重平均資本コスト(WACC)の15.94%を下回っており、資本効率の改善が課題です。配当については、1995年以来定期的な支払いを行っておらず、配当利回りは0%です。株主還元よりも成長投資を優先する戦略を取っており、テクノロジーセクターの中でも特に研究開発やM&Aに積極的な企業です。

そして、同社は202524日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、202524日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、非経常項目を除いた1株当たり利益(EPS)は1.09ドルとなり、前四半期の0.92ドルから増加し、前年同期の0.77ドルからも大幅に上昇しました。一方で、希薄化後EPSは0.29ドルとなり、前四半期の0.47ドルおよび前年同期の0.41ドルから減少しました。これは非経常項目の影響を反映した結果です。

しかし、1株当たり売上高は4.687ドルとなり、前四半期の4.168ドルおよび前年同期の3.796ドルから増加しました。また、過去5年間において、AMDの非経常項目を除いた年間EPSは年平均成長率(CAGR)35.40%という高成長を記録しています。

AMDの粗利益率は49.35%となり、過去5年間の中央値である46.12%を上回り、過去10年間の中央値である43.57%を大きく上回りました。これは、同社がコスト管理に優れており、市場での価格決定力を持っていることを示しています。

また、同社は自社株買いには消極的で、過去10年間の自社株買い比率は-8.30%となっています。これは、平均して8.30%分だけ発行済株式数が増加したことを意味しており、発行済株式数が増加することで1株当たり利益(EPS)の減少につながる可能性があります。

今後の見通しとして、アナリストはAMDの売上高が2027年までに440.5億ドルに達すると予測しています。業界の成長見通しは今後10年間で堅調な技術革新が続くとされており、AMDにとっても追い風となる可能性があります。次年度の予想EPSは2.670ドルで、その翌年には3.959ドルに増加する見込みです。

次回の決算発表は2025年4月30日に予定されており、AMDの成長戦略と市場でのポジションについての詳細な情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の財務パフォーマンスに関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMDの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

AMDの財務パフォーマンスを分析すると、資本効率の観点からいくつかの重要なポイントが見えてきます。まず、過去5年間のROICの中央値は4.49%であり、WACCの中央値である13.62%を大きく下回っています。これは、AMDが資本コストを上回るリターンを生み出すのに苦戦しており、この期間中に経済的な付加価値を生み出せていないことを示しています。

現在のROICは2.91%であり、現在のWACCである15.94%を依然として下回っています。この差は、資本効率の改善が必要であることを強調しています。こうした状況では、資本配分戦略の見直しや業務改善の必要性が生じることが一般的です。

一方で、AMDのROICは過去に72.43%という高水準に達したこともあれば、-34.16%まで落ち込んだこともあります。こうした変動の大きさは、同社の価値創造能力が市場環境や戦略に左右されやすいことを示しています。しかし、戦略の改善や市場環境の変化によってROICをWACCに近づけ、または上回ることができれば、株主価値を高めることが可能となるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の配当に関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は長年にわたり、定期的な配当を支払っていません。直近の配当データはなく、最後に特別配当を支払ったのは1995年となっています。そのため、同社の3年および5年間の配当成長率は0.00%であり、株主が配当収入を期待するのは難しい状況です。結果、予想配当利回りも0.00%となっており、AMDは株主還元よりも事業再投資を重視する戦略を取っています。

財務レバレッジの観点では、AMDのEBITDA有利子負債倍率は0.42倍と低く、2.0の閾値を大きく下回っています。これは財務リスクが低く、債務管理能力が高いことを示しており、同社が今後も成長戦略に柔軟に投資できる体制にあることを意味します。

一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

また、AMDが定期的な配当を支払っていないため、今後の配当予測は適用されません。将来の配当成長率の予測も0.00%のままであり、これはAMDの利益を株主還元ではなく、事業の拡大や技術開発に再投資する戦略と一致しています。

さらに、テクノロジーセクター全体では配当よりも成長戦略を優先する企業が多く、AMDの戦略は業界の一般的な傾向と一致していると言えるでしょう。

予想配当利回り:0%

配当性向:0%

配当カバレッジ・レシオ:0倍

過去5年間の配当成長率: 0%

EBITDA有利子負債倍率:0.42倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のバリュエーションに関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMDの現在の株価は113.1ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である127.77ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が11.48%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。

また、予想PER(株価収益率)は24.53倍であり、直近12ヶ月(TTM)の実績PERである114.24倍と比べて大幅に低いことから、今後の利益成長が期待されていることが分かります。

AMDのTTMのPSR(株価売上高倍率)は7.18倍であり、過去10年間の中央値である5.49倍と比べて高く、市場の期待が高いことがうかがえます。

また、EV/EBITDA倍率は34.3倍であり、過去10年間の中央値である41.42倍を下回っているため、歴史的な水準と比較すると適正な評価に近いと言えます。

加えて、TTMのPBR(株価純資産倍率)は3.19倍であり、過去10年間の中央値である17.54倍を大きく下回っています。これは、同社の純資産価値と比較すると、現在の株価が比較的割安に見えることを示唆しています。

一方で、市場のアナリストの見解はやや慎重であり、過去数か月で目標株価の平均値が下方修正されました。3か月前には184.82ドルとされていましたが、現在は147.90ドルに引き下げられています。この傾向は、市場全体の不確実性やAMD固有の課題を反映している可能性があります。

以上より、現在の安全余裕率を考慮しつつも、AMDの成長見通しや業界の動向を慎重に評価する必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のリスクとリターンに関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMDのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、AMDの財務状況には、強みとリスクの両方が存在します。同社の資産成長率は過去5年間で86.9%と急速に拡大しており、売上成長率の20.7%を大きく上回っています。このギャップは、資産の急増が必ずしも収益に直結していない可能性を示唆しています。また、営業利益率は過去5年間で年率21.3%のペースで減少しており、収益性の維持に課題があることが分かります。さらに、ROICがWACCを下回っていることから、資本の活用効率にも改善の余地があります。

一方、AMDのピオトロスキーのFスコアは8であり、財務的な健全性は高いと評価されています。さらに、ベネシュのMスコアは-2.38であり、利益操作のリスクが低いことを示しています。加えて、AMDの株価、PBR、PSRは年間の低水準付近にあり、投資家にとっての買い場となる可能性示しているようにも見えます。また、アルトマンのZスコアは10.16と高く、破綻リスクが低いことを示しています。

総じて、AMDは一部の財務上の課題を抱えつつも、全体的には堅実な財務基盤を維持していると言えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のインサイダー取引を分析すると、経営陣や取締役による売却が買いを大きく上回っていることがわかります。この期間に記録されたインサイダーの株式購入は1件のみであるのに対し、売却は16件ありました。この傾向は、インサイダーが自社株の今後のパフォーマンスに対して強い自信を持っていない可能性を示唆しています。

直近6か月のデータでも、購入1件に対し売却5件となっており、インサイダーの売却傾向が継続していることが確認できます。この売却の動きは、インサイダーが現在の株価が適正または過大評価されていると考えている、あるいは今後の事業環境に不安を抱えている可能性を示唆しているかもしれません。

しかしながら、プロの機関投資家による同社株式の保有比率は65.75%と高水準を維持しており、長期的な視点での投資家の関心は依然として強いことが伺えます。また、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.95%と比較的低く、経営陣が企業の成長に対して直接的な関与度が大きくない可能性も示されています。

総じて、インサイダー取引の状況からは慎重な見方が示されている一方で、プロの機関投資家の高い保有比率は依然として同社の成長戦略に対する期待があることを示唆しています。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の流動性に関して

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の流動性は概ね良好ですが、一部注視すべき点もあります。直近営業日の1日あたりの取引量は約3,213万株であり、過去2か月の平均取引量である4,109万株と比較すると約21.8%減少しています。この取引量の減少は、市場での関心の低下や短期的な流動性リスクを示唆している可能性があります。

また、AMDのダークプール指数(DPI)は46.86%となっています。DPIが50%を下回るということは、取引量の半分以上が公的な取引所で行われていることを意味します。このことは取引の透明性を高める一方で、注文が市場全体に直接影響を与えやすく、ボラティリティが高まる可能性もあります。

全体的に、AMDの流動性は健全な水準を維持しているものの、過去2か月間の取引量の減少やDPIの数値を考慮すると、今後の市場環境の変化を注視する必要があるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


加えて、インベストリンゴの半導体セクター担当であるジェームズ・ フォード氏も、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。

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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

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