中立アムジェンアムジェン / AMGN / 予想配当利回り2.8% / 中立:2024年1Q決算速報・強み(優位性)分析と今後の株価見通し・将来性
イアニス・ ゾルンパノス- アムジェン(AMGN:予想配当利回り2.88% / 配当性向68%)はアメリカの多国籍バイオ医薬品企業である。
- 主力医薬品には、赤血球増加薬のエポジェンやアラネスプ、免疫系増強薬のノイポジェンやノイラスタ、炎症性疾患治療薬のエンブレルやオテズラなどがある。
- 同社は2024年5月2日に2024年第1四半期決算を発表しており、また、過去10年以上連続して増配を続けている。
アムジェン(AMGN)の概要
セクター:医薬品メーカー
現在の株価:312ドル
時価総額:1,676億2,000万ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:292.39ドル
安全マージン:-6.86%
過去5年間の配当成長率:10.10%
直近配当落ち日:2024年5月16日
次回配当支払い日:2024年6月7日
予想配当利回り:2.88%
過去5年間の売上高成長率:8.00%
過去10年間の売上高成長率:8.20%
アムジェン(AMGN)はアメリカの多国籍バイオ医薬品企業であり、主力医薬品には、赤血球増加薬のエポジェンやアラネスプ、免疫系増強薬のノイポジェンやノイラスタ、炎症性疾患治療薬のエンブレルやオテズラなどがある。
同社は2006年に初のがん治療薬ベクティビックスを発売し、骨粗鬆症治療薬のプロリア / エックスジェバ(2010年承認)とエヴェニティ(2019年)も販売している。
また、オニキス社の買収により、カイプロリスによるがん治療薬ポートフォリオが強化されている。
最近の上市品目には、レパサ(コレステロール低下薬)、アイモヴィグ(片頭痛薬)、ルマクラス(肺がん薬)、テズスパイア(喘息薬)などが挙げられる。
加えて、2023年のホライゾン・セラピューティクス社の買収により、甲状腺眼症治療薬テペザを含む複数の希少疾患治療薬を取得している。
さらに、足元、同社はバイオ後続品のポートフォリオを拡大している。
そして、同社は2024年5月2日に2024年第1四半期決算を発表しており、また、過去10年以上連続して増配を続けている。
アムジェン(AMGN)の収益と成長に関して
アムジェン(AMGN)の2024年第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは、2023年第4四半期の4.71ドルに対し、-0.21ドルと減益を報告しており、これは同社の業績に懸念を抱かせる内容であると言える。
また、一株当たり売上高も2023年第4四半期の15.234ドルから2024年第1四半期は13.894ドルに減少している。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は5.30%で、過去10年間の年平均成長率は10.00%となっており、中長期的には持続的な成長を実現していると言える。
さらに、今後10年間の製薬業界は革新的な治療法やヘルスケアの進歩にますます焦点が当てられ、安定した成長が見込まれている。
加えて、同社は比較的安定した財務レバレッジを維持していることからも、成長とリスク管理に対するバランスの取れたアプローチが実現出来ていることを示唆していると言える。
以上より、一貫した成長と収益性の実績を持つアムジェンは、今後も市場シェアを拡大し、収益成長を継続する可能性を秘めていると見ている。
アムジェン(AMGN)の配当に関して
アムジェン(AMGN)は過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は10.10%で、過去3年間の配当成長率は10.00%となっている。
また、同社の予想配当利回りは2.88%で、投資家にとって健全なリターンを示している。
直近の四半期では、同社は1株当たり2.25ドルの配当を発表しており、過去10年以上連続して増配を続けている。
さらに、同社の配当実績を同セクターと比較しても、同社の一貫した配当成長と魅力的な予想配当利回りが、配当収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっていることが分かる。
そして、同社の増配実績と健全な配当性向(68%)の水準の維持は、配当を通じて株主に報いるという同社のコミットメントを示している。
一方で、同社のEBITDA純有利子負債倍率は5.3倍と財務面でのリスクが高いことを示しており、今後の同社の経営、並びに、継続した配当の支払いに影響を与える可能性がある点には注意が必要である。
全体として、足元、アムジェンは連続して増配を維持しており、同セクターの中でインカム・ゲイン(配当収入)と潜在的なキャピタル・ゲイン(株価上昇による利益)の両方を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっている。
予想配当利回り:2.88%
配当性向:68%
配当カバレッジ・レシオ:0.81
過去5年間の配当成長率:10.10%
EBITDA純有利子負債倍率:5.3倍
アムジェン(AMGN)のバリュエーションに関して
アムジェン(AMGN)の現在の株価は312.47ドルとなっており、弊社算出の一株当たり本質的価値である292.39ドルより高く、潜在的な割高感を示している。
また、実績PERは44.64倍で、同社の5年平均と10年平均を上回っており、過去の水準と比較した際に割高である可能性を示唆している。
加えて、株価売上高倍率は5.69倍となっており、業界平均より高く、投資家が同社の売上高1ドルに対して5.69ドルと割高なプレミアムを支払っていることを示している。
さらに、EV/EBITDA倍率は18.49倍と業界平均をやや上回っており、同社のEBITDAと市場価値の観点から、同社株価が相対的に割高であることを示唆している可能性がある。
全体として、アムジェンの現在の株価は、過去のバリュエーション指標の平均値や同業他社のバリュエーション指標と比べて割高な水準で取引されている可能性があり、同社への投資を検討する際にはバリュエーション面で特に注意が必要であると言える。
アムジェン(AMGN)のリスクとリターンに関して
アムジェン(AMGN)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、過去3年間に340億ドルの長期債務を発行していることから、債務負担が増大していることがわかる。
さらに、総資産の成長率が売上高の成長率を上回っていることは、業務効率性の低下を示唆している。
加えて、年率-3%のペースで低下する売上総利益率と2.21倍という低いインタレスト・カバレッジ・レシオは、同社の収益性と財務の健全性に関して赤信号を灯していると言える。
また、営業利益率は年率-7.1%のペースで低下しており、経営上の課題を示している可能性がある。
そして、株価は10年来の高値に近く、さらに、株価売上高倍率も3年来の高水準に近いことから、いずれの観点からも、同社の現在の株価が潜在的に割高であることを示している。
一方プラス面としては、ベニッシュMスコアは-2.35となっており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。
しかし、高いスローン比率と足元のやや低い予想配当利回りの水準は、アムジェン株への投資に対する全体的なリスクプロファイルをさらに高めている。
アムジェン(AMGN)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
アムジェン(AMGN)のインサイダーによる過去12ヶ月間の同社株式の取引は限定的で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない一方で、インサイダーによる同社株式の売却は4件のみとなっている。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有率はわずかに0.62%である点にはご留意いただきたい。
一方、機関投資家による同社株式の保有比率は49.41%となっており、機関投資家が同社株式の取引において大きな存在感を示していることを示唆している。
以上より、同社の取締役および経営陣の売買動向分析からは、同社のインサイダーは同社の株式を積極的に購入はしておらず、これは彼らが短期的に同社株式にさらなる大きな上昇の可能性を見ていないというシグナルである可能性もある。
ただし、機関投資家の保有比率が高いということは、プロの投資家が同社の業績や成長見通しに潜在的な魅力を感じていることを示している可能性がある。
アムジェン(AMGN)の流動性に関して
アムジェン(AMGN)の過去2カ月間の1日当たりの平均出来高は2,624,850株と比較的多く、また、直近営業日の1日当たりの出来高は1,971,452株であることからも、同社株式における一貫した流動性を示唆している。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は44.8%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。