強気アマゾン・ドット・コムアマゾン(AMZN)最新の2Q決算は好調!10年後の株価を見据えてアマゾン株を買うべきか?今後の株価見通しに迫る!

- 本稿では、2024年8月1日に発表された、アマゾン(AMZN)の最新の2024年第2四半期決算、並びに、同社の今後の株価見通しと将来性を分析していきます。
- 同社は強力な競争優位性と多様な収益源を備えた、将来的な成長が期待できる企業であると見ており、最近の株価下落は、長期的な投資家にとって魅力的な押し目買いの好機であるようにも見えます。
- 2024年第2四半期の決算では、前年からEPSを倍増させ、市場予想を上回る結果を報告しており、特にAWSと広告事業が収益成長を牽引し、全事業セグメントでプラス成長を実現しています。
アマゾン(AMZN)に関して
アマゾン(AMZN)は、2024年8月1日に、2024年度第2四半期決算を発表しましたが、最近の高値から株価は15%以上下落しています。
私の見解では、今後数十年間にわたりこの株を購入して保有したいと考えている方にとっては、良い押し目買いの機会であるようにも見えます。
同社は引き続き急速に成長を遂げており、多様な収益源を持ち、強力な競争優位性を持つ現金を生み出し続ける有望な企業です。
次の10年、さらに、100年にわたり、自信を持って保有したいと思える企業はほとんどありませんが、アマゾンはその一つではないかと思っています。
そして、本稿では、下記の5つのポイントを解説していきます。
足元の下落が押し目買いの好機である理由:同社の株価が15%下落した背景と、なぜ今が理想的な投資タイミングであると考えるのか。
AWSとEコマースがアマゾンの成長を牽引:クラウドインフラとEコマースでの支配力が、同社の長期的な成功をどのように支えているのか。
多様な収益源:AWS、広告、サブスクリプションサービスを含む同社の幅広い収益源が、将来の成長の鍵である理由。
現在のバリュエーションが魅力的な理由:同社が歴史的に低いバリュエーションで取引されている理由と、結果として、その低いバリュエーションの同社がなぜ投資対象として魅力的なのか。
注目すべき主要なテクニカル分析とファンダメンタル分析における指標:同社が回復の兆しを見せていることを示唆するテクニカル分析におけるシグナルと財務パフォーマンス。
アマゾン(AMZN)の2024年度第2四半期決算発表に関して
全体的に見て、アマゾン(AMZN)の2024年度第2四半期の結果には一部不安定な点がありましたが、概ね同社は堅調な業績を報告したと考えています。
同社は、前年の0.65ドルのEPSからほぼ倍増し、市場予想を上回る1.26ドルのEPSを報告しました。売上高は1,480億ドルに達したものの、市場コンセンサスを7億6,000万ドル下回りました。一方で、AWSは前年比18.7%の成長を遂げ、263億ドルに達し、ウォール街の予想である17.6%増を上回りました。そして、これらは以下のチャートに示されています。
※Net sales by segment (in $ M):セグメント別純売上高(百万ドル単位)
※North America:北米
※International:海外
※Q/Q change:前四半期比
※Y/Y change:前年比
連結売上高は前年比10%増加し、全ての事業セグメントがプラス成長を示しました。これはどの企業にとっても喜ばしい兆候です。Amazon Web Services(AWS)は、同社で最も成長が速く、収益性の高い部門であり、北米のEコマースセグメントとともに、2024年度第2四半期の売上成長の主な原動力となりました。
それでは、他の同社の各セグメントがどのような成果を上げたかを見ていきましょう。
※Net Sales Millions:純売上高(百万ドル単位)
※Online stores:オンラインストア
※Pysical stores:実店舗
※Third-party service: サードパーティサービス
※Advertising:広告
※AWS:Amazon Web Service
この四半期で際立ったパフォーマンスを見せたのは同社の広告事業で、22%の成長を遂げました。最近、同社はPrime Videoに限定的な広告を取り入れ始め、メディアや映画制作への大規模な投資をより収益化しています。さらに、同社の広告費が顧客の購買の場に近づく傾向が強まっており、消費者が購入を決定するアマゾンのプラットフォーム上で広告の数が増えているようです。
また、上の表は、AWSの売上成長が第2四半期に加速したことを示しており、これは非常に好ましい傾向です。特にAWSは5四半期連続で継続的な売上成長を示しており、季節的な変動がない安定性を示しています。下のスライドは、AWSの営業利益が売上成長を上回っていることを示しており、強力な営業レバレッジを示しているため、売上が増加するにつれて収益性が向上し続ける可能性があることを示唆しています。
セグメント別業績 - AWS
全体として、悪くない四半期であり、同社株式の下落は正当化し難いものであったように見えます。
私がアマゾン(AMZN)を好きな理由
アマゾン(AMZN)は、長期的に所有するのに最も信頼できる株の一つであると私は考えています。もし、100年後も存在している企業に賭けるとしたら、それはアマゾンか、あるいはアルファベット(GOOG/GOOGL)ではないかと思っております。
アマゾンは、最強の企業であるために必要な要素を備えているように思えます。
・経済的なモート(競争優位性)
・多様化された収益源
・健全なバランスシート
・長期的な構造的成長
・収益性とキャッシュフロー
アマゾン(AMZN)の経済的なモート(競争優位性)
経済的なモートに関しては、EコマースとAWSについて述べます。
アマゾンのEコマースにおける優位性は揺るぎないものであり、そのビジネスは雪だるまのように成長し、規模が大きくなるほど力を増し、新しい商人や顧客を引き付けやすくなっています。同社は、電動バンやドローン配達、Amazon Primeのサブスクリプションサービスなどの革新的アプローチで常に限界に挑んでいます。そして、同社は、(アリババを除く)世界のEコマースリーダーとして、主要なヨーロッパ市場でもトップの地位を占めています。
さらに、AWSもまた市場のリーダーです。
Amazon、クラウド市場でリードを維持するも、Microsoftが迫る
(出典:Statista)
AWSは引き続き世界のクラウドインフラ市場を支配しており、2024年第2四半期には31%の市場シェアを保持しています。一方、マイクロソフト(MSFT)のAzureとアルファベット(GOOG/GOOGL)のGoogle Cloudはそれぞれ25%と11%でアマゾンの後を追っています。
この分野でのアマゾンのリーダーシップは、過去10年間に約4,000億ドルをR&Dに投入するなど、成長への積極的な投資の結果です。
アマゾンはR&D支出をセグメントごとに公開していませんが、かなりの割合がAWSに向けられている可能性があります。Amazonの革新への揺るぎない取り組みと強固なバランスシートを考慮すると、同社が今後もクラウド業界でのリーダーシップを維持するための優位な立場にあると見ています。
アマゾン(AMZN)の多様化された収益源
言うまでもなく、アマゾンは堅実で多様化された収益形態を確立しています。
40%以上の売上高が依然としてEコマース(Online Stores)からのものである一方で、アマゾンは今やそれ以上のことをしています。24%の売上高はサードパーティ販売者サービス(Third-party Seller Services)から得られています。
AWSと広告セグメント(Advertising Services)は、現在では売上高の20%以上を占めており、さらにサブスクリプションサービス(Subscription Services)が現在では7%を占めています。
アマゾン(AMZN)の長期的な構造的成長
オンラインストアを除くすべてのセグメントが二桁成長を遂げており、この傾向は今後も続くと予想されています。それでは、いくつかの予測を見ていきましょう。
北米のEコマースは、2032年までに年平均成長率(CAGR)10.2%で成長すると予測されており、アマゾンはこの有利な業界のトレンドを最大限に活用できる立場にあるように見えます。
また、以下のチャートは、デジタル広告における費用(Digital Ad Spending)に関するもので、アマゾンの積極的な市場シェア拡大を示しており、業界の巨人であるアルファベットとメタ・プラットフォームズ(META)とのギャップを着実に縮小しており、2026年までにその差は大幅に縮小すると予測されています。デジタル広告は、アマゾンがすでに強い存在感を示している急成長分野であり、この業界は2030年までに年平均成長率14%で成長すると予想されています。
デュオポリーが薄れ、トリオポリーが確立される中、アマゾンはメタに迫る

※デュオポリー: 2社による独占
※トリオポリー: 3社による独占
そして、クラウドコンピューティング市場はおそらく最も良好な長期的展望を持っており、2032年までに年平均成長率(CAGR)で17.8%の成長が予測されています。
2020年から2032年までの世界のクラウドコンピューティング市場(10億米ドル単位) / 2032年までの年平均成長率(CAGR)は約17.8%

アマゾン(AMZN)の健全なバランスシート
アマゾンはS&P 500の中でも最も強力なバランスシートを持っており、下記のグラフの通り、Alphaspreedはアマゾンに80というの信用度スコアを付与しています。

(出典:Alpha Spread)
同社は負債を大きく上回る資産を持ち、現金および短期投資は約900億ドルに達しています。
アマゾン(AMZN)の収益性とキャッシュフロー
過去5年間で、アマゾンはキャッシュを生み出す企業となりました。これは、同社の利益率を見れば明らかです。

(出典:Alpha Spread)
※TTM Gross Margin:直近過去12カ月間ベースの粗利益率
※TTM Operating Margin:直近過去12カ月間ベースの営業利益率
※TTM Net Margin:直近過去12カ月間ベースの純利益率
営業利益率は8%を超えるまで上昇しており、同社が高い利益率の事業からより多くの収益を上げるにつれて、規模と技術の向上を通じてさらに事業を最適化することで、今後も拡大するでしょう。
営業活動によるキャッシュフロー
また、上記のチャートからも分かる通り、同社のキャッシュフローの増加は驚異的なスピードであると言えます。
アマゾン(AMZN)のバリュエーション
最近の株価下落と収益の改善を受けて、アマゾン(AMZN)はほとんどの指標においてこれまでで最も割安な水準にあるように見えます。
(出典:Alpha Spread)
※P/S(PSR):株価売上高倍率
※P/E(PER):株価収益率
※P/OCF:株価対営業キャッシュフロー倍率
※P/FCFE:株価対株主フリーキャッシュフロー倍率
※P/B(PBR):株価純資産倍率
※EV/S:企業価値対売上高倍率
※EV/GP:企業価値対売上総利益倍率
※EV/EBITDA:EV/EBITDA倍率
※EV/EBITDA:EV/EBITDA倍率
※EV/EBIT:EV/EBIT倍率
※EV/OCF:企業価値対営業キャッシュフロー倍率
また、歴史的に見ても、同社はPERやEV/EBITDA倍率といった指標において、現在は約90%の期間よりも割安であることがわかります。
(出典:Seeking Alpha)
直近過去12カ月間ベースのPEGレシオ(PEG GAAP TTM)が0.17倍、将来の予想ベースのPEGレシオ(PEG Non-GAAP FWD)が1.51倍であることを考えると、業界と比較して非常に適正な価格であり、他のメガキャップのテクノロジー株と比較するとさらに割安であると言えます。
アマゾン(AMZN)のテクニカル分析
(出所:TrendSpider)
最近の下落により、アマゾン(AMZN)の株式は200EMA(200日指数平滑移動平均線)を下回り、日次RSIは売られ過ぎの領域に入りました。実際、10月の安値からの反発の38.2%リトレースメントで反転し始めました。
現在50EMA(50日指数平滑移動平均線)で抵抗に遭遇する可能性がありますが、底が形成されたように見えます。
たとえこれが底でなかったとしても、139ドルの200 Weekly EMA(200週指数平滑移動平均線)を下回ることがあれば驚きで、その価格帯では、押し目買いの好機であると見ています。
アマゾン(AMZN)に対する結論
結論として、アマゾン(AMZN)の最近の下落は、長期投資家にとって魅力的な押し目買いの好機を提供しているようにも見えます。同社は、AWSや広告を含む多様な収益源によって堅実な成長を実現し、強力なバランスシートを維持しながら、収益性とキャッシュフローを拡大しています。
同社のEコマースとクラウドインフラにおける揺るぎない競争優位性、イノベーションと市場リーダーシップへの取り組みを踏まえると、将来に向けて最も堅実で有望な投資先の一つではないかと考えています。株価が歴史的に低いバリュエーションで取引されている今、同社をポートフォリオに加えることを検討する理想的なタイミングではないかと見ています。
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