08/09/2024

強気
アップラビン
強気
同社の強力な成長見通しと慎重な財務戦略を考慮すると、足元のバリュエーションは割安であるように見え、私は2024年末までの同社株式の目標株価を「110ドル」としています。
アップラビン(APP)の将来性は?最新の2024年第2四半期決算は業績好調も時間外で株価下落の理由に迫る!

person using black smartphone with gray and pink caseマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目の米国テクノロジー企業であるアップラビン(APP)の2024年8月7日に発表された最新の2024年第2四半期決算の分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 2024年第2四半期に予想を上回る業績を報告し、ソフトウェア部門で中期的に20-30%の成長が期待されていますが、株価は15%下落しました。
  • モバイルアプリ開発者と広告主を結びつけるサービスを提供し、安定した収益成長を背景に、2025年までに売上成長率が年平均20%に達する可能性があると見ています。
  • 足元では将来の予想フリー・キャッシュフローの10倍というバリュエーションで取引されていますが、私は2024年末までの同社株式の目標株価を「110ドル」としています。

アップラビン(APP)に関して

アップラビン(APP)は、2024年8月7日に2024年度第2四半期決算を発表し、予想を上回る業績を報告しましたが、株価は時間外取引で15%下落しました。

また、ストップロスを設定し、その結果売却されてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際、同社の最新の業績は素晴らしいものであったと個人的には認識しています。

同社の経営陣は2024年度第3四半期以降の具体的なガイダンスを提供していませんが、同社は中期的にソフトウェア部門が20%から30%の成長を遂げると予想しています。

また、私の推定では、同社は現在、将来の予想フリー・キャッシュフローの10倍というバリュエーションで取引されています。

そして、以前から繰り返している通り、私は今年末までに同社の株価が1株110ドルに達する可能性もあると見ています。

では、本決算には注目すべき点がたくさんありますので、一緒に詳しく見ていきましょう。

アップラビン(APP)とは?なぜ注目しているのか?

アップラビン(APP)はモバイルアプリ開発者や広告主向けにサービスを提供しています。

簡単に言えば、アプリ開発者が広告を通じてアプリから収益を得られるように支援しています。

要するに、同社は、アプリ開発者がアプリを収益化したいと考えているときに、モバイルユーザーに製品を宣伝したいと考えている広告主の間で仲介役を果たします。

このプラットフォームを利用することで、企業はターゲットとするユーザーに効果的にリーチすることができます。

同社は、ソフトウェアモデルの継続的な改善による安定した収益成長を背景に、短期的な強い見通しを示しています。

2024年度第2四半期には、第1四半期の大幅な増加と前年比75%の成長に続き、ソフトウェア事業が前四半期比で5%の売上高成長を遂げました。

そして、同社はこの勢いを維持し、ソフトウェア部門で年20%から30%の長期成長を見込んでいます。

この楽観的な見通しは、広告主が測定可能な成果を確認できる成果ベースのプラットフォームによって支えられており、それにより広告主の支出が増加することを促しています。

また、ウェブ広告などの新しい分野にも進出しており、初期段階の試験で有望な結果を示しており、2025年にはさらなる成長の機会を開く可能性があります。

しかし、同社の楽観的な成長予測にもかかわらず、ソフトウェア部門は大きな課題に直面しています。

主な課題は、現在のシステムが広告主の収益目標を満たす限られた数のユーザーを見つける能力に依存しており、これにより既存の需要を十分に活用できないという点です。

この問題に対して、テクノロジーの改善が徐々に対応することが期待されていますが、これらの改善が進む速度は時間がかかる可能性があり、同社のソフトウェア部門が強い成長軌道を維持する能力に影響を与えるかもしれません。

さらに、モバイルゲーム市場全体の成長率が鈍化していることも、同社のソフトウェア部門が中期的に20%から30%の成長を遂げる可能性を弱める要因となっています。

その理由としては、同社のビジネスはこのモバイルゲームセクターのパフォーマンスに大きく依存しているためです。

また、市場の飽和状態により、広告主の収益目標を満たす新しいユーザーを特定しリーチすることがますます難しくなっています。

このような背景を考慮し、次に同社の財務パフォーマンスについて見ていきましょう。

アップラビン(APP)の売上高:2025年の売上高成長率は年平均成長率20%に達する可能性

アップラビンの売上高成長率%

前回のレポートにおいて、私はアップラビン(APP)について下記の様に述べています。

もしアップラビンの第3四半期のガイダンスが約20%のトップライン成長またはそれ以上であれば、市場の投資家は、同社が一時的なものではなく、安定した急成長を遂げる、プレミアムに値するアドテック企業であるという私の見解に賛同し始めると考えています。そして、現時点ではそのバリュエーションが適切に反映されていないと考えています。

もし、前回のレポートの詳細に関心がございましたら、インベストリンゴのプラットフォーム上より、是非、下記のレポートをご覧いただければと思います。

アップラビン(APP)の目標株価:株価は割安で最大50%上昇する可能性も?110ドルに向けた成長&リスク要因を徹底分析!


私が同社に期待していた成長率は約20%でした。

ご存知のように、私は常に分析において保守的でありたいと考えていて、その理由としては、安全マージンをしっかり確保したいからです。

そして、今回のガイダンスで30%以上の売上成長が示されたことには驚いています。

しかし、同社には課題があります。

それは、上記のグラフにもある通り、比較対象の売上高成長率が徐々に厳しくなることです。

つまり、2024年第4四半期以降は、特に2025年の上半期は非常に厳しいものになるでしょう。

それでも、同社の現在の勢いを考えると、2025年には約20%の年平均成長率で安定して成長できると考えています。

参考として、私の予測は市場のアナリストの現在の予想よりも高いですが、私は市場のアナリストの見通しは悲観的すぎると見ています。

そのため、今後数日から数週間で、市場のアナリストが来年の予想を引き上げる可能性もあるのではないかと見ています。

基本的に、今のところ同社は、投資家にこのビジネスが一過性のものでないことを信じさせる条件が揃っていると思います。

同社が年間50億ドルの売上高を目指していることは非常に挑戦的であり、真剣に評価されるべきことであり、より高いバリュエーションに値すると思っています。

アップラビン(APP)のバリュエーション:来年の予想フリー・キャッシュフローの10倍

以前のアップラビン(APP)に関するレポートにおいて、同社の2024年と2025年のフリー・キャッシュフローの見積もりについて下記の様にお話しさせていただきました。

「先月、アップラビン(APP)のフリー・キャッシュフローについての考えを述べたので、ここでは繰り返さない(詳細はこちら)。要点としては、同社の非常に強力な第1四半期のフリー・キャッシュフローを2024年全体にわたって想定することは危険だと考えている。したがって、現時点では、2024年のフリーキャッシュフローを15億ドルと見積もっている。」

「しかし、既に2024年の半ばに差し掛かっていることを踏まえると、これは現時点ではそれほど重要ではない。むしろ、2025年に対する見通しを形成することが最も重要である。」

「この点に関して、現時点では、同社のフリー・キャッシュフローが約19億ドルになる可能性があると見積もっている。これは今年のフリー・キャッシュフローから約25%の増加である。来年のこの時期には、同社の総売上高の80%がソフトウェア部門から来ると考えられ、ソフトウェア部門は非常に強力な利益率を持っていることを踏まえると、これは妥当な数字であると考えている。(上記の図を参照)。」

もし、こちらのレポートにも関心がございましたら、インベストリンゴのプラットフォーム上より、是非、ご覧いただければと思います。

アップラビン(APP)今後の株価見通し:目標株価は110ドル!AXON2とソフトウェア部門の成長により株価は割安?

現時点で、同社のEBITDAからフリー・キャッシュフローへのマージンは約73%です。

これを考慮すると、2023年第3四半期のEBITDAのガイダンスに基づき、多少の誤差を見込んでも2024年の最初の9ヶ月で約12億ドルのフリー・キャッシュフローを見込めると考えています。

そして、2024年第4四半期は選挙年に当たります。

今年の第4四半期は広告業界にとって特に強力な時期であり、同社はこの期間に約18億ドルのフリー・キャッシュフローを生み出す可能性があると考えています。

これらを踏まえ、2025年の見込みを約22億ドルに上方修正するのが妥当だと思います。

私の仮定として、2025年に同社が前年比20%の売上成長を遂げるとします。

これにより、フリー・キャッシュフローは2024年と比較して少なくとも25%増加すると予想されます。

しかし、余裕を持たせるために、フリー・キャッシュフローが20%しか増加しないと仮定しても、2025年には22億ドルを達成する見込みです。

総じて、同社は来年の予想フリー・キャッシュフローの10倍の価格で取引されており、割安なバリュエーションであるように見えます。

一方で、同社は30億ドルの純負債を抱えており、これは投資家が強く意識している点です。

しかし、将来の予想フリー・キャッシュフローの10倍のバリュエーションで評価されているということは、同社株式の利回りが約10%であることを意味します(これは株価フリー・キャッシュフロー倍率を逆にしたものです)。

そして、同社株式の利回りが10%であれば、負債を返済するよりも自社株を買い戻す方が合理的と言えます。

これを踏まえた上で、以下の紫色の線に注目してください。

キャッシュフローと発行済み株式数

Cash Flow from Operations:営業活動によるキャッシュフロー

Free Cash Flow:フリー・キャッシュフロー

Shares Outstanding:発行済み株式数

下記のグラフからも分かる通り、同社の発行済み株式数(Shares Outstanding)は時間とともに減少しています。

株式数が減少しているアドテック企業や既存のソフトウェア企業はあまり多くないのではないでしょうか。

アップラビン(APP)に対する結論

アップラビン(APP)は、将来の予想フリー・キャッシュフローの10倍というバリュエーションと、その驚異的な成長率と戦略的な資本管理能力を踏まえると魅力的な企業に見えます。

同社は、テクノロジーの継続的な改善やウェブ広告のような新しい分野への拡大を通じて、中期的にソフトウェア部門の力強い成長を見込んでいます。

さらに、同社は積極的に発行済み株式数を減らしており、これはアドテック企業や既存のソフトウェア企業の中では珍しく、株主価値をさらに高めていると言えます。

以上より、同社の強力な成長見通しと慎重な財務戦略を考慮すると、足元のバリュエーションは割安であるように見え、私は2024年末までの同社株式の目標株価を「110ドル」としています。

さらに、その他のアップラビン(APP)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アップラビンのページにアクセスしていただければと思います。

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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

📍テクノロジー&エネルギー担当

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