やや強気アレス・キャピタルすべて表示【高配当】アレス・キャピタル(ARCC)今後の株価見通しは良好!予想配当利回り8.93%の米国高配当BDCの将来性に迫る!
ヴェンカット・ ラガーヴァン- 本稿では、注目の米国高配当BDCであるアレス・キャピタル(ARCC:予想配当利回り8.93%)の10月30日発表の最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 特定の株式を長期で持つべきか短期で持つべきかは、その企業の経営陣の先見性と質で決まると言っても過言ではありません。
- 特に配当収入を重視するインカム投資家にとっては、好景気の時だけでなく、どんな状況でも安定した配当収入が得られることが大切であることから、派手な投資に気を取られず、堅実な優良銘柄をしっかり見極めることが大切です。
- そして、BDC(事業開発会社)は、主に中小企業や新興企業に資金提供する投資会社で、高い配当利回りが特徴でインカム投資家に人気の資産クラスとなっています。
- 中でも、アレス・キャピタル(ARCC)は、安定した配当収入基盤を提供するBDCで、他社と異なり資本を温存し、収益の安定を維持する戦略をとっています。
- 同社は、今後の不況においても安定した配当支払いが期待でき、ポートフォリオに組み入れる価値がある企業と見ています。
BDC(Business Development Company)とは?
家を建てるとき、土台は何よりも大切です。
建物の安定は地面との接地部分から始まり、ここで手を抜くと、どれだけ上にしっかりしたものを積み上げても、将来に問題が生じかねません。
「賢い人は岩の上に家を建て、愚かな人は砂の上に家を建てた」という昔の歌を思い出します。
生涯にわたって、あるいは少なくとも引退後まで続く収入を生み出す投資ポートフォリオを作る際も、最初の基盤作りが肝心です。
多くの人が手軽に真似できる解決策を求めますが、ポートフォリオは一人ひとりの状況に応じてカスタマイズされるべきものです。
リスク許容度、収入目標、ライフスタイル、経済状況など、あなたにとっての最適なポートフォリオは、それらに基づいて決まります。
本稿では、不況でも保持しておきたい私のお気に入りのBDC(Business Development Company:ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)について詳細に解説していきます。
米国におけるBDCとは、主に中小企業や新興企業に対する資金提供を目的とした投資会社の一種です。
通常、BDCは未上場企業や成長段階にある企業に対して資金を提供し、その企業の成長を支援します。
また、BDCは高い配当利回りを提供することが多いため、配当収入を重視するインカム投資家に人気があります。
BDCは、アメリカの証券法に基づき、特定の条件のもとで課税上のメリットが認められており、利益の90%以上を配当として株主に還元することが義務付けられています。
そのため、リート(不動産投資信託)に似た仕組みを持っており、安定的な配当収入源として期待されることが多いです。
そして、今回は、私の注目するBDCの最新の決算内容を見ながら、経営陣がどのようにして私たちの配当による収入源を守り、他のBDCが配当を減らす中でむしろ成長させようとしているかを探ってみましょう。
それでは、始めましょう!
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アレス・キャピタル(ARCC:予想配当利回り8.93%)で安定した配当収入基盤を構築!
アレス・キャピタル(ARCC)は、約9%の予想配当利回りを提供するBDCで、中堅市場の企業に資金を供給する重要な役割を担っています。
これらの企業の多くは非公開企業であり、米国経済の大部分を支えています。
同社は今四半期も好調な業績を報告し、純資産価値(NAV)は過去最高の19.77ドルに達しました。
コア収益は前四半期からやや減少し、1株あたり0.57ドルとなりましたが、これは金利の低下とFRBの積極的な政策が正常化する中で、BDC業界全体で見られる傾向です。
財務およびポートフォリオのハイライト
(出所:アレス・キャピタルの2024年度第3四半期決算資料)
また、同社の新規投資額は売却額を13億ドル上回り、前年同期比でポートフォリオが18%拡大しました。
そして、同社の動向を振り返ると、投資先企業数は昨年2023年9月末時点の490社から2024年9月末時点では535社へと増加しています。
主要な過去の財務情報(続き)
(出所:アレス・キャピタルの2024年度第3四半期決算資料)
さらに、同社はポートフォリオ内の第一順位担保付きローン(上記の図:First-Lien Senior Secured Loans)の割合を43%から53%に大きく引き上げました。
これは主に第二順位担保資産(上記の図:Second-Lien Senior Secured Loans)の割合を減らすことで実現され、株式の保有比率は優先株(上記の図:Preferred Equity)が10%、普通株(上記の図:Other Equity)が9%でほぼ変わっていません。
加えて、固定金利ローン(上記の図:Fixed Rate)の割合も若干増やして14%としています。
そして、同社の配当支払いは非常に安定しています。
他の多くのBDCが追加配当を選ぶ中で、同社は資本を確保し、簿価の成長を優先する戦略をとっています。
そのため、収益が多少減少しても配当は引き続き安定すると予想されます。
さらに、同社のポートフォリオの信用品質は安定しており、昨年ウォッチリストが一時的に増加した後は徐々に落ち着きを見せています。
現在、同社の公正価値(Fair Value)のうち、最も低い2つの評価カテゴリー(Grade 1とGrade 2)に分類される資産はわずか3%にとどまっています。
格付け別ポートフォリオ
(出所:アレス・キャピタルの2024年度第3四半期決算資料)
さらに、不良債権(Loan on Non-Accrual Status)は減少し、コストベースの1.3%まで低下しました。
因みに、「Loan on Non-Accrual Status」とは、通常の利息計上が停止された貸付金のことを指します。
これは、借り手が利息や元本の支払いを一定期間滞納している場合に、貸し手(銀行や金融機関)がその貸付金に対する利息を収益として計上しない状態を指します。
具体的には、借り手が契約通りに支払いを行わず、将来的に回収が難しいと判断された場合、その貸付金は「Non-Accrual Status」に分類され、利息収益の計上が停止されます。
これは貸し手がリスクを管理し、収益を過大評価しないようにするための措置です。
日本語では「不良債権」とも呼ばれ、金融機関の財務健全性を判断するうえで重要な指標となります。
この状態の貸付金は通常、回収可能性が低いため、貸倒引当金の積み立てが必要になることが多く、金融機関のリスク管理において注目される項目です。
不良債権
(出所:アレス・キャピタルの2024年度第3四半期決算資料)
2023年、不良債権(Loan on Non-Accrual Status)の割合が2.3%に上昇し、アレス・キャピタルの信用力が落ちているのではと懸念する声もありました。
しかし、経済状況が変化する中で一部の借り手がデフォルトするのは避けられないことであり、貸し手としてはそれも業務の一部です。
これまで同社はNAVに対して10〜15%のプレミアムで取引されており、価格にすると約21.75〜22.75ドル(執筆時点の株価は21.51ドル)に相当します。
現在の実績を見ると、このプレミアムは十分に妥当で、場合によってはさらに高いプレミアムも期待できる状況です。
2025年にはコアEPSがやや減少する見通しですが、簿価は引き続き上昇する可能性があります。
また、2024年に利益を十分に分配しなかったため、2025年には課税所得の分配として追加配当を行う可能性もあります。
アレス・キャピタル(ARCC)に対する結論
アレス・キャピタル(ARCC)にはこれまでの安定した実績があり、今の取り組みを見れば、その実績が今後も続いていく理由がわかります。
一方、同社の多くの同業他社は、景気が良い時期に特別配当や追加配当を積極的に支払ってきました。
これは、多くのBDC(事業開発会社)が「絶好調の時期」にあり、低金利の固定金利で借り入れをしつつ、高金利の変動金利ローンを組成して多額の収益を得られていたためです。
しかし、その豊富な収益をすべて配当に回していたBDCの多くは、現在では純投資収益(NII)や純資産価値(NAV)の減少、さらには配当を賄う余力の不足に直面しています。
今後、金利がさらに低下し、デフォルトが増加し、BDCが借り換えを余儀なくされる状況において、多くのBDCが短期から中期にかけて追加配当の削減に踏み切ることが予想されます。
では、アレス・キャピタルは何が他社と違ったのでしょうか?
同社は「卵を温存する」戦略を取ったのです。
資本を多く留保することで、他社が高コストを避けられず貸付を抑える中でも、アレス・キャピタルは引き続き貸付を拡大できました。
その結果、ポートフォリオの規模は成長し、金利が下がっても収益は配当水準を十分に上回る安定した基盤ができています。
これにより、今後の不安定な時期にも安定した収益を見込める状況を作り出しています。
以上より、アレス・キャピタルは、将来を見据えた経営判断で優れたブルーチップBDCを運営する好例であり、私が配当収入を重視する収益ポートフォリオに保有したいと考える企業です。
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