11/21/2024

【高配当】アレス・キャピタル(ARCC:配当利回り8.79%・配当金0.48ドル)最新の決算分析を通じて将来性に迫る!

New York Central Parkイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国高配当銘柄であるアレス・キャピタル(ARCC・予想配当利回り8.79%・配当性向74%・1株当たり配当金0.48ドル)の2024年10月30日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移を詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • アレス・キャピタルは米国ニューヨーク州に本社を置き、中堅市場の企業に焦点を当てた多様な投資ポートフォリオを持ち、高配当利回りを提供する事業開発会社(BDC)です。 

アレス・キャピタル(ARCC)の概要


セクター:資産運用

現在の株価:21ドル

時価総額:140.8億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:14.26ドル

安全余裕率(マージン):-52.8%

過去5年間の配当成長率:4.00%

次回配当落ち日:2024年12月13日

次回配当支払い日:2024年12月30日

予想配当利回り:8.79%

過去5年間の売上高成長率:5.80%

過去10年間の売上高成長率:2.10%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

アレス・キャピタル(ARCC・予想配当利回り8.79%・配当性向74%・1株当たり配当金0.48ドル)は、米国ニューヨーク州に本社を置くクローズドエンド型の事業開発会社(BDC)です。

同社は主に中堅市場の企業や大規模企業への融資を通じて収益を得ており、債務および株式投資を通じて安定した収入と資本の成長を目指しています。

特に第1順位担保付きローン、第2順位担保付きローン、メザニン債(劣後ローン)を中心とした多様なポートフォリオを持ち、幅広い業種に分散された投資戦略が特徴です。

また、優先株や普通株式への投資も一部行うことで、収益源を多様化しています。

財務状況では、同社は健全な資産成長を維持しており、配当支払いを中心とした株主還元に力を入れています。

また、直近の予想配当利回りは約8.79%と高く、配当株としての魅力を持っています。

同社は、中堅市場に焦点を当てた投資戦略、安定した配当支払い、高い配当利回りという特長から、収益性と安定性を求める配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

そして、同社は20241030日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。

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アレス・キャピタル(ARCC)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して

アレス・キャピタル(ARCC20241030日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.62ドルを記録し、前四半期の0.52ドルから19.2%の増加となりましたが、前年同期の0.87ドルからは大幅な減少を示しています。

また、1株当たりの売上高は前四半期の0.63ドルから0.68ドルへと増加しましたが、前年同期の0.907ドルと比較すると依然として低い水準にあります。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は3.60%、過去10年間の年平均成長率は2.60%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。

自社株買い動向に目を向けると、過去1年間の自社株買い比率は-13.40%、過去10年間では-6.70%と、いずれもマイナスを記録しています。

これは、新株発行などにより発行済株式数が増加しており、結果として、1株当たり純利益(EPS)が押し下げられている可能性を示唆しています。

同社の今後の見通しについては、市場のアナリストは2024年末までに売上高が約30億1814万ドルに達すると予測しており、2026年にかけて緩やかな成長が見込まれています。

ただし、来年度のEPSは2.471ドル、その翌年度には2.198ドルへと減少する見通しで、収益の減速が懸念されています。

次回の決算発表は2025年2月7日に予定されており、同社の今後の財務状況や市場でのポジションに関するさらなる情報が明らかになる見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アレス・キャピタル(ARCC)の配当に関して

アレス・キャピタル(ARCC)は、最近の四半期で1株当たり配当金(DPS)を安定的に0.48ドルに維持しており、予想配当利回りは8.79%に達しています。

また、同社の過去3年間の配当成長率は6.30%となっていることからも、配当の安定が優先されている可能性があります。

さらに、現在の配当性向は74.0%と、過去10年の最高値である101.47%を大幅に下回り、配当の持続可能性が向上していることがわかります。

加えて、現在の予想配当利回りは過去10年間の中央値である9.25%に近く、通常の範囲内に収まっていると言えます。

そして、同社は四半期ごとに配当を実施しているため、次回の権利落ち日は2024年12月13日の後、2025年3月13日頃になる見通しです。

そして、この日程は週末を避け、平日となるように調整されると予想されます。

予想配当利回り:8.79%

配当性向:74%

配当カバレッジ・レシオ:1.35倍

過去5年間の配当成長率: 4.00%

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アレス・キャピタル(ARCC)のリスクとリターンに関して

アレス・キャピタル(ARCCのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まずマイナス面では、現在の債務水準は許容範囲内とされているものの、同社は過去3年間で新たに38億ドルの債務を発行しています。

また、総資産が年率13.8%で増加している一方で、売上成長率は5.8%にとどまっており、資産効率に課題がある可能性があります。

さらに、ピオトロスキーのFスコアが3と低く、事業運営のパフォーマンスに弱さが見られるほか、ベニッシュのMスコアが-1.4で、財務データに操作の可能性があることを示唆しています。

また、配当性向が74%と高水準であることから、収益が十分に伸びない場合には将来の配当支払いが危うくなるリスクがあります。

加えて、税負担の軽減による収益の押し上げも確認されていますが、これは一時的なものであり、長期的に持続可能とは言えない可能性があります。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アレス・キャピタル(ARCC)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

アレス・キャピタル(ARCC)の過去12カ月間のインサイダー取引では、取締役や経営陣による同社株式の売買は報告されていません。

このことは、経営陣が現状の立場に満足しているか、同社の現在のバリュエーションに対して自信を持っている可能性を示唆しています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.42%と低く、取締役や経営陣が同社の株式を個人的にあまり保有していないことがわかります。

一方、プロの機関投資家の同社株式の保有比率は31.87%に達しており、プロの投資機関が同社に高い関心を寄せていることを示しています。

そして、この機関投資家の大きな存在感は、同社の業績や将来性に対する信頼を反映していると考えられます。

インサイダーによる同社株式の売買が見られない理由は複数考えられます。

例えば、経営陣が現在の保有株に満足している可能性や、取引を制限する規制やブラックアウト期間が存在している可能性です。

総じて、インサイダーは中立的なスタンスを維持している一方で、プロの機関投資家が同社の株主基盤において重要な役割を果たしていることが読み取れます。


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


アレス・キャピタル(ARCC)の流動性に関して

アレス・キャピタル(ARCC)の1日あたりの出来高は大幅に増加しており、直近営業日の出来高は387万1,663株と、過去2カ月の平均出来高である306万8,594株を大きく上回っています。

この急増は、投資家の同社株式に対する関心が高まっていることや、市場のイベントが同社株式への取引行動に影響を与えている可能性を示しています。

さらに、同社のダークプール指数(DPI)は63.25%と高い水準にあり、取引の多くがダークプールと呼ばれる非公開の取引所で行われていることを示しています。

DPIが50%を超える場合、公的取引所ではなく非公開取引所での取引が過半数を占めることを意味し、透明性の低下が懸念される一方で、プロの大口投資家による戦略的な取引が行われている可能性も考えられます。

同社の出来高の増加と高いDPI指数は、プロの機関投資家の活発な関与や非公開取引を通じた戦略的な動きがあることを示唆しています。

これらの要因は、アレス・キャピタルの流動性や市場動向を評価する上で重要であり、価格変動や市場の見方に影響を与える可能性があります。

さらに、この出来高の急増は、ボラティリティの上昇を示唆している可能性があり、短期的な取引のチャンスを提供する一方で、長期投資家にとってはリスク要因となる可能性があります。

また、インベストリンゴのインカム・高配当株アナリストであるヴェンカット・ ラガーヴァン氏が、アレス・キャピタルに関するより詳細な下記のレポートをリリースしています。

もし関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。

さらに、その他のアレス・キャピタル(ARCCに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アレス・キャピタルのページにアクセスしていただければと思います

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

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