やや強気アレス・キャピタル【高配当】アレス・キャピタル(ARCC)の将来性:予想配当利回り8.6%で配当金は0.48ドルと高配当が魅力のBDCに迫る!
ヴェンカット・ ラガーヴァン- 本稿では、注目の米国高配当BDCであるアレス・キャピタル(ARCC:予想配当利回り8.6%・配当金0.48ドル)の10月30日発表の最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- BDC(ビジネス・デベロップメント・カンパニー:事業開発会社)は、景気後退期でも好況期でも、経済において極めて重要な役割を果たしており、アレス・キャピタルは最も歴史ある上場BDCの一つです。
- 米国経済は堅調な成長を続けており、中規模市場を支えるBDCは、米国経済活性化と配当を通じた安定収入の両立を可能にする投資先として注目されています。
- そして、アレス・キャピタルは多様な投資ポートフォリオを持つ最大規模のBDCであり、高配当利回りや分散性を活かした安定した収益源として、投資家にとって魅力的な選択肢であるように見えます。
はじめに
景気後退が近づいていると騒がれる中で、これまでのGDP成長が非常に堅調であったことを忘れてはいけません。
(出所:セントルイス連邦準備銀行)
COVID-19時代、多くの企業が一時的に休業し、私たちも自宅待機を余儀なくされた結果、1人当たりGDPが一時的に減少しました。それでも、過去10年間で米国の1人当たりGDPは着実に拡大してきました。もしCOVID-19の影響がなかったとしたら、GDPは今以上に高い水準に達していた可能性があります。
このような背景から、景気後退が訪れる兆しがあるたびに焦って資産を手放すのではなく、長期的な視点で米国経済に積極的に関わるべきだと私は考えています。その方法は多岐にわたりますが、米国経済は今もなお、世界で最も力強い経済の一つです。起業して新たな挑戦を始める人、また流動性や専門知識を提供する人にとって、米国経済は引き続き大きなチャンスを提供し続けています。
米国政府がそのための仕組みとして整備したものの一つが、現在「BDC(ビジネス・デベロップメント・カンパニー)」として知られている制度です。BDCは登録投資会社で、中規模市場の企業に対して資金や専門的な支援を直接提供することを目的としています。これら中規模企業は、米国経済の大部分を支える重要な存在です。
米国の主要ブランドと言えば、アップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)、ペプシコ(PEP)、コカ・コーラ(KO)といった巨大企業を思い浮かべるかもしれませんが、これらは全体の経済のごく一部を占めるにすぎません。米国経済の大部分は、株式市場に上場することのない民間企業によって支えられているのです。
これから先、景気後退が予想される中でも、私は引き続き高い価値を持ち、景気後退期にも安定した収入を提供してくれるBDCに投資するつもりです。そしてその先には、さらなる成長が待っていると信じています。過去10年間の成長と同様に、10年後の米国GDPは現在を上回る水準に達していることでしょう。
それでは、注目のBDCを詳しく見ていきましょう!
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アレス・キャピタル(ARCC):予想配当利回り8.6%・配当金0.48ドル
アレス・キャピタル(ARCC)は、最も歴史ある上場BDCの一つです。BDC制度が1980年に法制化された後、2000年以前に設立されたBDCはごくわずかで、2008年時点でもわずか21社しか存在しませんでした。その中で、同社は最大規模のBDCであり、約260億ドルの投資ポートフォリオを保有しています。
同社のポートフォリオは非常に多様化しており、535社もの企業が含まれています。
2024年9月30日時点の発行体別投資ポートフォリオ
実際には、同社の集中度はさらに低いと言えます。Ivy Hill Asset Management(IHAM)は、ARCCの完全子会社であり、資産運用や投資アドバイザー業務を行っています。また、Senior Direct Lending Program(SDLP)はアレス・キャピタルが87.5%を所有する共同事業で、中規模市場の企業に対しシニア担保付きローンを提供しています。つまり、アレス・キャピタルの最大の投資先である2つは、実質的にアレス・キャピタルが支配権を持つ投資ビークルであり、それら自身が多様な投資ポートフォリオを保有しているのです。
この分散性を考慮すると、アレス・キャピタルが単一の企業に対して行っている最大の投資はNeptune Bidcoであり、これはアレス・キャピタル全体のポートフォリオのわずか1.7%にとどまります。
次に、アレス・キャピタルのターゲット市場について見てみましょう。同社はさまざまな企業に融資を行っていますが、その主力分野は「アッパー・ミドル・マーケット」です。同社の平均的な借入先企業は年間EBITDAが1億5,990万ドルであり、投資規模を考慮した加重平均では2億9,730万ドルに達しています。
ポートフォリオ企業のEBITDAおよびクレジット統計
これらの企業は通常非公開ですが、その規模は大きく、年間EBITDAが3億ドルに満たない上場企業も少なくありません。
アレス・キャピタルの投資は主にシニアローンが中心であり、全資産の約53%が直接保有するファーストリーン(第一順位担保)のシニア担保付きローンに割り当てられています。さらに、IHAMやSDLPを通じて、シニアローンへの間接的な投資も行っています。
アセット・クラス
一方で、アレス・キャピタルはエクイティ投資も多く行っており、ポートフォリオの10%を優先株式、9%を普通株式やワラントを含むその他のエクイティが占めています。
同社の投資収益の約6.5%はPIK(Payment-In-Kind)として受け取られています。これは、現金以外の形で支払いを受け取ることを意味します。一般的には、元本に残高が加算されるか、アレス・キャピタルがエクイティとして補償を受け取ることを指します。このPIK収益の多くは、同社が比較的大きな割合を割り当てている優先株式(10%)によるものです。
同社は最大規模の上場BDCであり、グローバルに展開する資産運用会社であるアレス・マネジメント(ARES)によって運営されています。このため、アレス・キャピタルは他のBDCよりも大規模な投資を実現しつつ、分散性を犠牲にすることなく運用を行うことが可能です。
アレス・キャピタルの信用品質はこれまで一貫して高く、その信用力を活かしてエクイティポジションでも積極的な投資を展開しています。
アレス・キャピタル(ARCC)に対する結論
米国経済を支え、その成長を後押しする手段として、アレス・キャピタル(ARCC)は非常に優れた選択肢であるように見えます。このBDCの株式を保有することで、間接的に中規模市場の企業に対し、流動性や経営の専門知識、経験を提供し、それらの企業が雇用を創出し、経済の活力を支える一助となることができます。しかし、これは慈善活動ではありません。このような会社に投資することで、安定した収益を得ながら、自身の生活を支えるとともに市場に流動性を供給することができるのです。このように、互いに利益をもたらす仕組みが、米国GDPを年々押し上げる原動力となっています。
引退後の生活でこれほど嬉しいことはないでしょう。それは、市場から安定して流れ込む現金が銀行口座に積み重なっていくことです。市場では毎年数兆ドルもの資金が行き交い、その流れを自分の収入源として活用することで、ライフスタイルを支えることができます。そして、そのお金を再び経済に還元することで、他の人々もその恩恵を受け続けることができるのです。
引退後の生活は、政府の社会保障制度に完全に頼ったり、膨大な貯蓄を築いて老後に少しずつ使い果たしていくような形に縛られる必要はありません。その代わりに、安定した継続収入を生み出すポートフォリオを構築することで、どんな厳しい時期でも安心感に包まれた生活を楽しむことができます。
これこそが、私の「インカム投資法」の魅力であり、収益を生み出す投資の素晴らしさなのです。
また、同社の決算直後に下記の詳細な分析レポートを執筆しておりますので、同社への理解を深めるために併せてご覧いただければと思います。
さらに、その他のアレス・キャピタル(ARCC)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アレス・キャピタルのページにアクセスしていただければと思います。
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直近では、予想配当利回り11%のアポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)、予想配当利回り9.9%のブルー・アウル・キャピタル(OBDC)、予想配当利回り6.3%のベライゾン(VZ)、予想配当利回り7%のグローバルX MLP ETF(MLPA)、予想配当利回り5%のAT&T(T)や予想配当利回り6.9%の米国高配当MLPであるエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)、予想配当利回り7.1%の米国高配当REITであるヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)、予想配当利回り5.6%の米国高配当REITであるリアルティ・インカム(O)に関するレポートも執筆しております。
ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)
リアルティ・インカム(O)
加えて、弊社のバリュー・インカム担当アナリストのイアニス・ ゾルンパノス氏も、最新の2024年度第3四半期決算直後にアレス・キャピタルに関して、下記の分析レポートを執筆しています。
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アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン
📍インカム・高配当担当
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