中立アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス【高配当】アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)の将来性:配当利回りは11%と高配当が魅力的!
ヴェンカット・ ラガーヴァン- 本稿では、注目の米国高配当REIT銘柄であるアポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI:予想配当利回り11%・配当金0.25ドル)の2024年10月30日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- 高配当・インカム銘柄を買うベストなタイミングとは、他人が安く売っている時であると考えており、ディストレス・セクター(経済的な困難や不安定な状況に直面している業界や市場セクター)を買えば、巨額のインカムゲインを得られる可能性があります。
- アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスは、米国とヨーロッパの商業不動産に投資するモーゲージREITで、厳しい局面に直面しながらも競争優位性を活かした慎重なポートフォリオ管理を実施しています。
はじめに
「夜明け前が一番暗い」――ハーヴィー・デント
夜に歩くとき、月明かりだけを頼りにしていると、日の出直前、月が沈みかけて太陽がまだ昇らない時間帯があることに気づいたことはありませんか?
その時間が、最も暗い瞬間です。
進むのが難しくなるのも当然で、太陽からの直接的な光ではなく、月が反射する間接的な光に頼っているからです。
その間接的な光が弱まり、まだ太陽の光が届いていないとき、周囲はほぼ真っ暗闇に包まれるのです。
企業が厳しい局面を迎える状況を考えると、困難が訪れる前にその兆候を察知することも、そしてその困難が終わりに近づいていることを見極めることも可能です。
ただし、企業に対するネガティブな感情が最も高まるのは、多くの場合、予測された困難の真っ只中にあります。
市場全体で投資家が諦めムードに陥る瞬間は、実は大きなチャンスの到来でもあり、太陽が完全に昇るのを待つよりも、より高いリターンを得られる可能性があります。
正直に言えば、私は積極的に売買を繰り返すトレーダーではありません。
自分のことを「純粋な買い手」と表現する方が正しいでしょう。
保有資産を少しずつ買い増して収入源を育てていく、いわゆるインカム投資家です。
市場のタイミングを見計らって銘柄を頻繁に入れ替えるタイプではありません。
今日は、注目の高配当銘柄の最新の決算を確認し、夜明けの兆しが見え始めているのか、それともまだ暗闇の中をさまよっているのかを一緒に見ていきたいと思います。
それでは始めましょう!
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アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI):予想配当利回り11%・配当金0.25ドル
明るい未来はもうすぐそこに?
アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)は、予想配当利回り11%を誇る米国上場のモーゲージREITで、米国だけでなくヨーロッパの商業用不動産にも投資しています。
この二地域への投資戦略は、複雑さを伴うものの、新たな大きなチャンスをもたらす可能性を秘めています。
前四半期、同REITは、四半期終了後に発生したSteward病院のデフォルトにより、損失が発生する見込みであると警告していました。
そして、悪いニュースとして、同REITは大きな実現損失を被りました。
しかし、一方で、良いニュースとして、この問題は迅速に解決されました。
その結果、同REITの1株当たり簿価はCECL(Current Expected Credit Loss:将来予測信用損失)調整後で12.30ドルに減少しています。
1株当たり簿価
(出所:アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスの2024年第3四半期決算資料)
Steward関連の8つの物件のうち、5つはすでに売却され、アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスは1億3,310万ドルを受け取りました。
ただし、これらのローンの一部のみを同REITが保有しており、残りはアポロ関連の他の企業が保有していました。
もう1つの物件については現在、争いが続いています。
問題の物件は、マサチューセッツ州が収用権を行使して押収した病院です。
アポロはこの収用に異議を申し立てており、プレスリリースには以下のように記されています:
「異議申し立てが認められない場合、アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスとアポロの共同貸付者は、州が支払い額を算定する基準となった病院の評価額についても異議を申し立てる予定です。異議申し立てが成功すれば、アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスおよび他の共同貸付者は実現損失の一部を追加で回収できる可能性があります。現在、州が支払う予定の金額は2,190万ドル(うち900万ドルがアポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスに帰属)ですが、2024年の課税評価額は2億80万ドルとされています。」
その結果、アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスは、この物件から追加の収益が得られないと見込み、損失を計上しました。
ただし、裁判が和解するか、裁判所が同REITに有利な判決を下す場合には、将来的に追加の収益を得られる可能性があります。
しかし、裁判が長引く可能性やその不確実性を考慮すると、投資の観点ではこの損失を確定したものとして扱う方が現実的です。
現在、同REITの簿価は1株あたり12.30ドルであり、将来的な回復や利益が得られれば、それは「ボーナス」のようなものと考えられます。
さらに、この四半期中、同REITのポートフォリオは縮小しました。
新規融資として4億6,000万ドルを貸し出し、9,300万ドルの追加融資を行ったにもかかわらずです。
2024年第3四半期のローン・ポートフォリオ動向
(出所:アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスの2024年第3四半期決算資料)
アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスの投資はイギリスに集中しており、現在ではポートフォリオ全体の39%を占めています。
これは、2023年第3四半期の31%から増加しています。
他社の経営陣も、米国の新規融資市場があまり魅力的ではないと述べていますが、同REITも同様の見解を持っているようです。
そして、同REITは大西洋を越えたイギリスに拠点を持つことで、競争上の優位性を活かしています。
商業用モーゲージREITセクターは、過去2年間、高金利が借り手に負担をかけたことで苦境に立たされてきました。
しかし、このセクターは徐々に底を打ちつつあります。
最も弱い借り手がデフォルトする一方で、生き残った借り手は金利低下によってコストが減少し、存続できる見込みが高まっています。
モーゲージREIT各社は守りを固め、レバレッジを抑え、小規模なポートフォリオで運営を行いながら、バランスシートを維持するための流動性を確保しています。
これにより、Stewardのような企業が破産した場合でも、デフォルトを回避できる体制を整えています。
このセクターはそろそろ底を打つと考えていますが、まだギリギリの状態で耐えている借り手が数社デフォルトに陥る可能性があります。
また、米国の新規融資市場は依然として魅力的ではありません。
その結果、ブライトスパイア・キャピタル(BRSP)のように十分な流動性を持ち、融資を行う意欲があっても、適切な投資機会を見つけられない企業が存在しています。
経営陣のコメントを基に判断すると、2024年度第4四半期に大きな変化が起こる可能性は低いでしょう。
ポートフォリオの成長が再び始まるのは2025年第1四半期と予想され、それに伴う経済的なメリットが実現するのは2025年第2四半期以降になる見込みです。
このセクターにはもう少し忍耐が必要ですが、今後3~6カ月の間に楽観的な兆しが現れる可能性があると見ています。
アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)に対する結論
アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)は厳しい状況にあるセクターで事業を展開していますが、競合他社にはないヨーロッパ市場への投資という強みを活かしています。
現在、同REITは主にヨーロッパ市場での新規融資に注力しており、一方で米国の商業モーゲージ市場は依然として魅力が乏しい状態が続いています。
米国市場に重点を置く競合他社は、有望な投資機会を見つけるのに苦労しています。
この状況の中で、同REITは米国市場での機会を逃さないようにしながら、ヨーロッパ市場での潜在的なチャンスを最大限に活かすという、慎重なポートフォリオ管理を求められています。
これまでの実績から見ても、同REITの経営陣はこのバランスをうまく取る能力に長けていることが証明されています。
そして、最もポジティブな結果は、今後3~6カ月で決算に現れ始めると期待しています。
退職後の生活を考えるとき、忍耐は大きなリターンをもたらす重要な美徳です。
市場を急がせることも、他人の行動をコントロールすることもできません。
だからこそ、私たちの独自の「インカムメソッド」では、コントロール可能な部分――つまり、ポートフォリオが生み出す収入――に焦点を当て、日々の価格変動には左右されないことを重視しています。
私自身、収入が増え続けている限り、ポートフォリオの評価額について悩むことはありません。
それに、私の生活を支えているのはその配当収入であり、驚くほど日々の生活におけるストレスが軽減されます。
これこそが私の「インカムメソッド」の魅力であり、インカム投資の素晴らしさであると考えています。
その他のアポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンス(ARI)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アポロ・コマーシャル・リアル・エステート・ファイナンスのページにアクセスしていただければと思います。
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直近では、予想配当利回り9.9%のブルー・アウル・キャピタル(OBDC)、予想配当利回り6.3%のベライゾン(VZ)、予想配当利回り7%のグローバルX MLP ETF(MLPA)、予想配当利回り5%のAT&T(T)、予想配当利回り8.93%の米国高配当BDCであるアレス・キャピタル(ARCC)や予想配当利回り6.9%の米国高配当MLPであるエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)、予想配当利回り7.1%の米国高配当REITであるヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)、予想配当利回り5.6%の米国高配当REITであるリアルティ・インカム(O)に関するレポートも執筆しております。
ブルー・アウル・キャピタル(OBDC)
ベライゾン(VZ)
グローバルX MLP ETF(MLPA)
AT&T(T)
アレス・キャピタル(ARCC)
エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)
ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)
リアルティ・インカム(O)
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アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン
📍インカム・高配当担当
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