【半導体】ASMLの配当推移は堅調!配当利回りは1.02%で配当金は1.919304ドル!配当性向は33%で増配余地あり?
- 本稿では、注目のオランダの半導体銘柄であるASMLホールディング(ASML:予想配当利回り1.02%・配当性向33%・1株当たり配当金1.919304ドル)の2025年1月29日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ASMLホールディングは、半導体製造装置分野で世界をリードするオランダの企業であり、極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術を独占的に提供しています。
- 同社はアセットライト戦略を採用し、高い利益率とキャッシュフローを維持しており、5年間の年平均EPS成長率は26.7%、ROICは21.33%と安定した財務パフォーマンスを示しています。
- ASMLの配当は過去5年間で20.80%成長し、現在の配当性向は33%とバランスが取れており、今後も高収益を維持しながら安定した株主還元が期待されます。
ASMLホールディング(ASML)の概要
セクター:半導体
現在の株価:751ドル
時価総額:2,955.1億ドル
過去5年間の配当成長率:20.80%
次回配当落ち日:2025年4月28日
次回配当支払い日:2025年2月19日
予想配当利回り:1.02%
過去5年間の売上高成長率:22.40%
過去10年間の売上高成長率:20.10%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ASMLホールディング(ASML:予想配当利回り1.02%・配当性向33%・1株当たり配当金1.919304ドル)は、オランダ・フェルトホーフェンに本社を置く、半導体製造装置の分野で世界をリードする企業です。特に、極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術を独占的に提供する唯一の企業であり、TSMC(TSM)、サムスン電子(005930.KS)、インテル(INTC)といった主要半導体メーカーに不可欠な技術を供給しています。同社のフォトリソグラフィ装置は、半導体チップの高集積化を可能にし、最新のプロセス技術を支える重要な役割を担っています。
ASMLは自社で製造を行わず、部品の多くを外部委託し、最先端のシステム統合に特化するビジネスモデルを採用しています。このアセットライト戦略により、高い利益率とキャッシュフローを確保しています。財務面では、最新の2024年第4四半期のEPSは7.162ドルと好調で、5年間の年平均成長率(CAGR)は26.7%に達しています。粗利益率も51.28%と安定しており、ROICは21.33%と高い資本効率を維持しています。
同社は配当政策にも力を入れており、5年間の配当成長率は20.80%、3年間では23.00%と堅調です。配当性向は33%とバランスの取れた水準であり、安定したキャッシュフローのもと、持続的な増配が期待されます。現在の予想配当利回りは1.02%と控えめですが、株価の成長とともに魅力が増す配当株としての側面も持っています。
ASMLは半導体業界の成長を支える中核企業として、今後も高収益を維持しながら、安定した株主還元を続ける見込みです。
そして、同社は2025年1月29日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
また、私はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
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ASMLホールディング(ASML)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
ASMLホールディング(ASML)は、2025年1月29日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、好調な業績を記録しました。
特別項目を除いた1株当たり利益(EPS)は7.162ドルで、第3四半期の5.86ドル、および前年同期の5.671ドルから大きく増加しました。
1株当たり売上高も24.642ドルとなり、前四半期の21.056ドル、前年同期の20.01ドルから増加しました。
そして、特別項目を除いた年間EPSの5年間の年平均成長率(CAGR)は26.70%、10年間のCAGRは24.00%と高い水準を維持しています。
また、半導体業界は今後10年間で年間6〜8%の成長が見込まれており、ASMLは先進的なリソグラフィ技術の分野でリーダーとしてその恩恵を受ける立場にあります。
ASMLの今四半期の粗利益率は51.28%と、過去5年間の中央値と同じ水準を維持しました。
さらに、過去10年間の粗利益率は、最高が52.71%、最低が44.67%の範囲で推移しており、同社の強固なコスト管理と価格決定力を反映しています。
過去10年間の自社株買い比率の平均は1.10%で、ASMLは毎年平均して1.10%の発行済み株式を買い戻していることが分かります。
この自社株買い戻しにより、発行済み株式数が減少し、1株当たり利益(EPS)が向上することで、株主価値が高まります。
今後、市場のアナリストはASMLの売上高が安定的に成長し、2027年には約427億ドルに達すると予測しています。
2025年度(FY1)のEPS予想は25.357ドルで、2026年度(FY2)には30.737ドルに増加する見込みです。
以上より、ASMLは堅調な市場需要に支えられ、業界の成長トレンドを活かせるポジションにあるように見えます。
次回の決算発表は2025年4月16日に予定されており、より詳細なEPS予測や業績の最新情報が発表される見込みです。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ASMLホールディング(ASML)の財務パフォーマンスに関して
ASMLホールディング(ASML)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
ASMLの財務パフォーマンスは、過去10年間にわたって強力な経済価値の創出を示しています。
過去5年間の中央値で見たROICは23.53%、最新のROICは21.33%となっています。
これは、同社の過去5年間のWACCの中央値である11.46%、さらに、直近のWACCの14.05%を大幅に上回っています。
この差は、ASMLの投資資本が資本コストに対して大きく上回る利益を生み出し、株主価値を創出していることを示しています。
加えて、自己資本利益率(ROE)も高水準を維持しており、過去5年間の中央値は49.01%、最新のROEは49.43%となっています。
このデータから、ASMLが自己資本を効率的に活用して利益を生み出していることが分かります。
ASMLは長期にわたってROICがWACCを上回る実績を維持しており、競争優位性の持続と安定した経済価値の創出を示しています。
これは、長期的な成長を目指す投資家にとって魅力的な要素と言えるでしょう。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ASMLホールディング(ASML)の配当に関して
ASMLホールディング(ASML)の配当は、過去5年間で20.80%、3年間で23.00%の成長率を記録しています。
同社の予想配当利回りは1.02%で、株価の上昇によりセクター平均と比較して控えめな水準となっています。
配当性向は33.0%で、過去の最高値である100%超と比べて大幅に低く、成長投資と株主還元のバランスを取る戦略が反映されています。
EBITDA有利子負債倍率は0.37倍であり、業界で警戒される基準である2.0を大きく下回っています。
これは、ASMLが低い財務レバレッジを維持し、債務管理能力が優れていることを示しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
さらに、今後3〜5年間の配当成長率は13.62%と予測されており、同社の利益成長とキャッシュフローの安定性への自信が示されています。
そして、2025年4月に支払われる最新の1株当たり配当額は1.919304ドルとなっています。
次回の権利落ち日は2025年4月28日で、ASMLは四半期ごとに配当を支払うスケジュールを維持しています。
全体として、ASMLは堅調な配当成長を維持しており、健全な財務基盤と戦略的な資本管理に支えられていると言えます。
予想配当利回り:1.02%
配当性向:33%
配当カバレッジ・レシオ:3.06倍
過去5年間の配当成長率: 20.80%
EBITDA有利子負債倍率:0.37倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ASMLホールディング(ASML)のバリュエーションに関して
ASMLホールディング(ASML)の現在の株価は751.55ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である818.73ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が8.21%となっていることから、やや割安である可能性が示唆されています。
また、予想PER(株価収益率)は29.46倍で、直近12か月(TTM)の実績PERである38.06倍よりも低い水準です。
過去10年間の最高PERは64.41倍、最低は21.95倍となっており、現在の水準はこれらの間に位置しています。
このことから、歴史的なバリュエーションの極端な水準と比較すると、適正範囲にあると考えられます。
さらに、直近12か月の株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は31.73倍であり、10年間の中央値41.95倍を下回っています。
キャッシュフローの観点では、株価が過小評価されている可能性があるものの、10年間の最低水準と比較すると依然として高い水準にあります。
直近12か月の企業価値/EBITDA(EV/EBITDA)倍率は28.05倍であり、10年間の中央値である27.15倍とほぼ一致しています。
このことから、ASMLの企業価値は歴史的な水準と整合性のある評価を受けていると判断できます。
一方で、直近12か月のPBRは15.58倍であり、過去10年間の中央値である8.94倍を大きく上回っています。
このことから、PBRの観点では株価が過大評価されている可能性があると考えられます。
加えて、直近12か月の株価売上高倍率(PSR)は10.2倍であり、10年間の中央値8.97倍を上回っています。
このことから、売上高と比較するとややプレミアムな評価を受けている可能性があります。
しかし、市場のアナリストの評価や目標株価は、最近やや下方修正されていますが、慎重ながらも楽観的な見方が残っています。
現在の目標株価の平均値は901.59ドルとされており、上昇余地があると見込まれています。
全体的に見ると、ASMLの株価は本質的価値やキャッシュフローの観点からは適正~やや割安と考えられます。
ただし、PBRの観点では割高と判断されるため、投資家は評価指標を慎重に比較する必要があるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ASMLホールディング(ASML)のリスクとリターンに関して
ASMLホールディング(ASML)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、ASMLは健全な財務基盤を有しており、強力な利払い能力を示しています。
利払い能力は、企業のキャッシュフローが債務の利息を十分にカバーできることを示しており、財務の安定性を裏付けています。
また、同社のアルトマンのZスコアは7.2であり、これは破綻リスクが極めて低いことを示唆しています。
さらに、ベニッシュのMスコアは-3.11であり、これは利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。
このように、ASMLの財務報告は透明性が高く、投資家の信頼を得やすい状況にあります。
加えて、最近の売上成長の鈍化が懸念されていますが、一方で営業利益率は拡大しており、これは経営の効率性が向上していることを示しています。
そして、株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)などの指標は、いずれも過去の最低水準に近づいており、バリュエーションの観点では投資の好機となる可能性があります。
しかしながら、依然としてPERは相対的に高いため、投資家は今後の売上成長の回復を注視する必要があるでしょう。
総合的に見ると、ASMLは売上成長の鈍化という課題を抱えていますが、強固な財務基盤と経営の効率性を維持しており、バランスの取れたリスクプロファイルを持っていると考えられます。
以上より、投資家は、現在の市場環境や今後の成長見通しを踏まえ、慎重に評価することが求められるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ASMLホールディング(ASML)の流動性に関して
ASMLホールディング(ASML)の直近2か月間の1日平均取引量は1,727,091株となっており、流動性の高い銘柄であることが分かります。
直近の営業日における1日当たりの取引量は2,039,562株であり、2か月平均と比べて約18%の増加となっています。
この取引量の増加は、最新のニュース、決算発表、市場の動向などに対する投資家の反応が要因となっている可能性があります。
また、ASMLのダークプール指数(DPI)は55.24%と報告されており、取引の大部分が公開市場ではなく、非公開市場(ダークプール)で行われていることを示しています。
DPIが50%以上である場合、機関投資家が市場の影響を抑えるために、プライベートな取引所で売買を行っている可能性があります。
これは、大口の取引が影響を与えることを回避するための手段として活用されるケースが多いです。
全体として、ASMLは高い流動性を維持しており、最近の取引量の増加により、効率的な売買が可能な状況となっています。
また、DPIの高さは機関投資家による関心の強さを示しており、市場において安定した取引が行われていることを裏付けています。
このことから、ASMLは個人投資家と機関投資家の双方にとって魅力的な銘柄であると考えられます。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
加えて、インベストリンゴの半導体セクター担当であるダグラス・ オローリン氏が、同社を含む最新の半導体セクターの決算動向に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。
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