02/07/2025

中立
ビル・ホールディングス
中立
同社の短期的な売上成長は想定を下回っており、今後のガイダンスも期待外れになる可能性があるため、投資対象として魅力に欠けます。
【フィンテック】ビル・ホールディングス(BILL)今後の株価見通し:予想を下回った最新決算を踏まえ、ポートフォリオからの除外を決定!

people sitting down near table with assorted laptop computersマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目の米国フィンテック関連銘柄であるビル・ホールディングス(BILL)の2025年2月6日に発表された最新の2025年度第2四半期(暦年:2024年第4四半期)決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 私は同社への見通しに関して判断を誤りました。期待していた成長やフリーキャッシュフローの傾向が実現しなかったことから、同社をポートフォリオから除外して次に進むべきだと考えています。
  • 同社の短期的な売上成長は想定を下回っており、今後のガイダンスも期待外れになる可能性があるため、投資対象として魅力に欠けます。
  • 十分なキャッシュを保有しているにもかかわらず、フリーキャッシュフローが改善しておらず、将来のフリーキャッシュフローを重視する自分の投資戦略とは合いません。
  • 投資は学びとより良い機会を見つけることが大切です。同社の損切りを決断し、2025年の高いパフォーマンスに向けて集中します。

ビル・ホールディングス(BILL)の最新の2025年度第2四半期決算発表を受け、ポートフォリオからの除外を決定

ビル・ホールディングス(BILL)は、2025年2月6日に最新の2025年度第2四半期(暦年:2024年度第4四半期)決算を発表しました。しかし、今回の業績を踏まえて、私は同社に対する見通しにおいて自身が大きなミスを犯したことを認識し、同社をポートフォリオから除外することとしました。

私は同社は再成長を遂げる可能性のある企業だと考えていました。事業が新たな成長ストーリーへと移行し、安定的に売上成長率20%を目指す段階に入ろうとしていると見ていました。

さらに、いつものようにフリーキャッシュフローの増加を期待していました。それが株価を押し上げる要因になると考えていたのです。

前回の分析レポートでも述べたように、私が狙っていたのはこのシナリオでした。

翌期である2025年度第2四半期から翌年度の初頭にかけて、同社の売上高成長率は安定し、さらに加速する見込みです。

しかし、現実は違いました。 私は誤った判断をし、今、この投資から撤退することを決定します。

同社に関する最新の分析レポートの詳細は、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧ください。

私のポートフォリオには約20銘柄を組み入れていますが、時には失敗する銘柄が出ることもあります。そして、私の役割は、資金をどこに振り分けるのが最適かを判断することであると考えています。

さらに、同社よりも優れた投資先を見つけることは容易にできると考えています。ここで、 「市場が間違っている、押し目買いのチャンスだ」 といった強気な発言をすることは簡単ですが、それは建設的なアプローチではありません。 それどころか、自身の大切な資本を浪費するだけです。

私の最優先事項は2025年の市場平均を上回るパフォーマンスを出すことです。過去のミスを嘆いている暇はありません。

今できる最善の選択は、可能な限り資本を回収し、一旦キャッシュポジションに置き、次の機会を待つことだと考えています。

私の決断に納得できない方もいるかもしれません。しかし、私は人気取りのために重要な決断を避けるつもりはありません。

今後の投資でストップロス(損切り)はどう考えるべきか?

私は長年投資をしてきました。その経験から言えるのは、市場は時に予測不能に動くということです。

確かに、決算後にアフターマーケットで大きく売られることはあります。しかし、これはアルゴリズム取引による一時的なボラティリティであることも少なくありません。市場が落ち着いた数分後には、株価が持ち直すケースもあります。

そのため、私はストップロスを一切使用しませんし、皆さんにも使用しないことを強くお勧めします。

では、次に進みましょう。

ビル・ホールディングス(BILL)の短期的な見通し

ビル・ホールディングス(BILL)は、中小企業の財務管理をよりシンプルかつ効率的にするサービスを提供しています。

言い換えれば、請求書の支払いや支払い管理を一元化できる強力なデジタルアシスタントのようなものです。

従来の煩雑なプロセスを自動化し、企業はより本業の成長に集中できるようになります。顧客からの評価も高く、業務効率化による時間短縮やストレス軽減に大きく貢献しています。 また、AIを活用することで、支払いの照合や取引の整理をよりスムーズかつ迅速に行うことができます。

しかし問題は、次の四半期のコア収益成長率が13~15%と予測されており、前回の16%よりも低下する見込みであることです。

会社側は「第3四半期から第4四半期への成長のタイミングがズレただけ」と説明していますが、市場はこの種のネガティブサプライズを好みません。 特に同社は元々「再成長銘柄」として期待されていたため、投資家がプレミアムを支払う理由が弱まることになります。

ビル・ホールディングス(BILL)の売上高成長率は安定せず

ビル・ホールディングスの売上高成長率(%)

(出所:筆者作成)

まずは状況を整理します。2四半期前の2024年度第4四半期の決算説明会において、ビル・ホールディングス(BILL)の経営陣は次のように発言していました。

(原文)We expect our initiatives and investments today will position BILL to deliver core revenue growth of 20% or greater in fiscal 2026.

(日本語訳)現在進めている施策や投資により、2026年度にはコア収益の成長率を20%以上に引き上げられると見込んでいます。

(出所:ビル・ホールディングスの2024年度第4四半期決算説明会

そして、前回の決算発表では、BILLが売上高20%成長の計画を維持しているのかどうかをストレートに問われた際、経営陣は次のように述べました。

(原文)

Keith Weiss (Morgan Stanley)

Got it. Yes, it would be fair to say you guys are still believers in that sort of longer-term path back to a 20%-plus growth rate?

Rene Lacerte

We absolutely are believers in the conviction that we have around driving growth for multiple years ahead. And I think this is something that we've demonstrated that we have those capabilities, and I'll let John speak with respect to the discussion we had at the end of FY24.

John Rettig

Yes. I mean, look, there's obviously a growth company going after a large emerging market, and we expect to accelerate revenue growth from where we are today. If you look at our prepared remarks, we provided a handful of updates on key initiatives and the early impact that we're seeing from those initiatives. This only increases our confidence and conviction in our ability to accelerate growth.As we talk about the implications for FY26, we'll get into specifics on that as we end FY25. Obviously, we wanted to provide some early thinking on that as we did on our last call, in part to give some insights into how we're thinking about justifying incremental investments and the impact that we think those will have, and we'll obviously provide additional details as we exit this year.

(日本語訳)

Keith Weiss(モルガンスタンレー証券)

なるほど。つまり、御社は長期的に20%以上の成長率に戻る道筋を信じ続けているという理解でよろしいでしょうか?

Rene Lacerte

はい、私たちは今後数年間にわたって成長を推進していくという確信を強く持っています。そして、私たちにはその実行能力があることをこれまで示してきたと考えています。この点については、2024年会計年度の終盤に行った議論についてジョンから話してもらいます。

John Rettig

そうですね。私たちは、成長企業として大きな新興市場に取り組んでおり、現在の水準から収益成長を加速させることを期待しています。準備したコメントの中でも、主要な取り組みに関するいくつかのアップデートと、それらの取り組みがもたらしている初期の影響についてお伝えしました。こうした進展は、成長加速に対する私たちの確信をさらに強めるものです。

2026年会計年度の見通しについては、2025年会計年度の終盤に具体的な内容をお伝えする予定です。前回の決算説明会でもそうした考え方の一端を共有しましたが、これは追加投資の正当性やその影響についてどのように考えているかを示すためのものでもありました。今年度が終わるタイミングで、さらに詳しい情報を提供していきます。

(出所:ビル・ホールディングスの2025年度第1四半期決算説明会

私は、同社が売上の安定化を達成し、成長加速へ向かうと考えていました。2025年度第4四半期(来期)の業績ガイダンスが好転する可能性はあるものの、直近のガイダンスは明らかに悪化しており、これは疑いようのない事実です。

さらに、次回の決算発表で2025年度第4四半期のガイダンスが引き下げられる可能性も十分にあると考えています。同社は、私が想定していたような成長率を維持できる状況にはなく、その点で明らかな苦戦を強いられています。

この前提を踏まえ、次に同社のバリュエーションについて考えます。

ビル・ホールディングス(BILL)のバリュエーション:予想フリーキャッシュフローの23倍

ビル・ホールディングス(BILL)は約5億ドルの純現金を保有しています。これは、アフターマーケットでの下落を考慮しても時価総額の7%に相当し、比較的魅力的なキャッシュポジションです。

以前の分析では、私は次のように述べました。

「そのため、このアップデートを受けて、2025年度には約3億ドルのフリーキャッシュフローが見込めると見ています。これは保守的な見積もりで、多少の誤差を見込んだ数字です。」

一方で、私は今でもこのバリュエーション水準はおおよそ適切であると考えています。しかし、問題を複雑にしているのは、同社が前年比14%の売上成長を達成したにもかかわらず、フリーキャッシュフローが逆方向に動いてしまったことです。以下のデータを見ても明らかです。

(出所:ビル・ホールディングスの2025年度第2四半期決算資料)

私の投資仮説は、「一定の誤差は許容しながらも、フリーキャッシュフローが四半期ごとに着実に増加していく」ことを前提としていました。しかし、残念ながら、その前提が崩れてしまいました。

私の投資スタイルの核となるのは、企業の将来的なフリーキャッシュフローを重視することです。市場にはノイズが多いものの、フリーキャッシュフローの成長を追うことは再現性の高い投資戦略であると確信しています。

もしこの戦略の中核が崩れてしまうなら、それは投資撤退の明確なシグナルであると考えています。

ビル・ホールディングス(BILL)に対する結論

私は、ビル・ホールディングス(BILL)に関して明確に判断ミスをしました。

期待していた成長は実現せず、フリーキャッシュフローのトレンドも想定通りにはなりませんでした。

ここで意地を張って持ち続けるのではなく、損切りして次に進むべきであると考えます。

投資とは、学びを得て、より良い機会に集中することが重要です。 だからこそ、私は次のチャンスへと進みたいと思います。

また、私はテクノロジー&エネルギー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しておりますので、私のインフレクション投資に関心がございましたら、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、ポートフォリオへの新規組み入れや除外の際に私が最新のレポートを執筆する度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

📍テクノロジー&エネルギー担当

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