【配当王】コルゲート・パルモリブ(CL)の将来性:配当利回りは2.31%!61年間連続増配の米国株配当王の今後の株価見通しに迫る!
- 本稿では、注目の米国配当株であるコルゲート・パルモリブ(CL:配当王・予想配当利回り2.31%・配当性向55%・1株当たり配当金0.5ドル)の2025年1月31日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- コルゲート・パルモリブは、米国ニューヨーク州に本社を構える世界的な消費財メーカーで、オーラルケア製品を中心に、パーソナルケアやペットフード事業も展開しています。
- 2025年1月31日に発表された2024年度第4四半期決算では、EPSが前年同期比で増加し、安定した業績を維持していることが確認されました。
- 同社は61年間連続で増配を継続しており、配当王の一角を担う企業として、インカム投資家にとって魅力的な銘柄となっています。
コルゲート・パルモリブ(CL)の概要
セクター:消費財
現在の株価:86ドル
時価総額:708.8億ドル
過去5年間の配当成長率:3.00%
前回配当落ち日:2025年1月21日
次回配当支払い日:2025年2月14日
予想配当利回り:2.31%
過去5年間の売上高成長率:6.20%
過去10年間の売上高成長率:3.30%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
コルゲート・パルモリブ(CL:配当王・予想配当利回り2.31%・配当性向55%・1株当たり配当金0.5ドル)は、1806年に創業し、米国ニューヨーク州に本社を置く、世界的な消費財メーカーです。オーラルケア、パーソナルケア、ホームケア、ペットフードの4分野で事業を展開し、200以上の国と地域で製品を販売しています。特に、歯磨き粉や歯ブラシを含むオーラルケア製品は、同社の売上の40%以上を占め、世界的なブランドとして確固たる地位を築いています。また、シャンプー、ボディソープ、家庭用洗剤などのパーソナルケア・ホームケア分野でも高い市場シェアを誇ります。
同社のユニークな特徴として、動物病院や専門店向けにペットフードを販売する「Hill’s」ブランドを展開しており、これが売上の約20%を占める重要な成長分野となっています。また、全売上の約70%を海外市場が占め、新興市場での売上比率は約45%に達するなど、グローバル展開が収益の安定性を支えています。
配当面では、同社は過去61年間にわたり連続して増配を継続していることから、米国株配当王の一角を担っています。そして、過去5年間の配当成長率は3.00%、直近3年間は3.40%と緩やかに増加しており、予想配当利回りは2.31%と安定した水準を維持しています。さらに、配当性向は55.0%と適正範囲にあり、財務基盤の強さから今後も安定した配当支払いが期待されます。このような財務の健全性と安定した配当成長により、コルゲート・パルモリーブは配当収入を重視する長期のインカム投資家にとって魅力的な配当株といえます。
そして、同社は2025年1月31日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
また、私はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
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コルゲート・パルモリブ(CL)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
コルゲート・パルモリブ(CL)は、2025年1月31日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、1株当たり利益(EPS、特別項目を除く)は0.91ドルと報告しており、これは前の2四半期と同水準であり、前年同期(0.87ドル)から増加しています。
希薄化後EPS(Diluted EPS)は0.90ドルであり、2023年第4四半期の0.87ドルからわずかに増加しました。
1株当たり売上高は6.031ドルと、2024年第3四半期の6.119ドルから若干減少しましたが、2023年第4四半期の5.998ドルよりは高い水準を維持しています。
過去5年間の年間EPS(特別項目を除く)は、年平均成長率(CAGR)で3.80%の成長を遂げており、10年間では1.80%の成長となっています。
直近の四半期の粗利益率(Gross Margin)は60.50%で、過去5年間の中央値(59.55%)をやや上回り、過去10年の最高値(60.82%)に近い水準です。
この堅調な粗利益率は、同社のコスト管理の優秀さと価格戦略の成功を示しています。
自社株買い(Buyback)に関しては、過去1年間で0.50%の水準となっており、これは過去5年間の平均1.00%をやや下回っていますが、この自社株買いにより発行済み株式数が減少し、1株当たり利益(EPS)の維持・向上に貢献しています。
今後の見通しとして、アナリストは2025年末までに同社の売上高が200億7,177万ドルに達すると予測しています。
また、2025年のEPS予想は3.705ドル、翌年には4.043ドルへ増加するとされ、成長の期待が高まっています。
そして、業界全体の成長率は、今後10年間で年平均5%程度の拡大が見込まれています。
次回の決算発表は2025年4月25日に予定されており、今後の業績見通しとの整合性を確認する重要な機会となるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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コルゲート・パルモリブ(CL)の財務パフォーマンスに関して
コルゲート・パルモリブ(CL)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社は、高水準のROICを維持しており、WACCを大きく上回る成果を出しています。
過去5年間のROICの中央値は25.59%で、WACCの中央値である5.54%を大きく上回っています。
これにより、同社は資本コストを上回る価値を創出していることが示されています。
直近のROICは26.85%で、現在のWACCである5.95%を大きく超えています。
このROICとWACCの差が大きいことは、投資資本を効率的に活用し、株主価値を生み出していることを示しています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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コルゲート・パルモリブ(CL)の配当に関して
コルゲート・パルモリーブ(CL)は近年、安定した配当成長を続けており、過去5年間の配当成長率は3.00%、直近3年間では3.40%とやや上昇傾向にあります。
さらに、同社は過去61年間にわたり連続して増配を継続していることから、米国株配当王の一角を担っています。
一方で、足元の予想配当利回りは2.31%で、過去10年間の中央値(2.27%)とほぼ同水準となっています。
配当性向は55.0%と健全な水準で、かつて100%を超えていた時期と比べると、利益の蓄積が進んでいることがわかります。
また、EBITDA有利子負債倍率は1.63倍と、業界平均と比較して低リスクであり、財務の安定性が確保されています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
この堅実な財務基盤により、同社は安定した配当の支払いを維持できる体制にあります。
加えて、今後3〜5年の配当成長率は4.41%と見込まれており、将来の収益やキャッシュフローの安定性に対する自信がうかがえます。
次回の配当落ち日は2025年1月21日に設定されており、同社の四半期ごとの配当スケジュールに沿ったものです。
この日は平日にあたるため、投資家はスケジュールを立てやすいでしょう。
以上より、同業他社と比較しても、コルゲート・パルモリーブの配当利回りは競争力があり、慎重な配当方針と適切な負債管理が成長の下支えとなっています。
これらの点から、同社は安定した配当株として配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な銘柄と言えるでしょう。
予想配当利回り:2.31%
配当性向:55%
配当カバレッジ・レシオ:1.78倍
過去5年間の配当成長率: 3.00%
EBITDA有利子負債倍率:1.63倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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コルゲート・パルモリブ(CL)のバリュエーションに関して
コルゲート・パルモリブ(CL)の現在の株価は86.76ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である89.25ドルよりもやや低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が2.79%となっていることから、やや割安である可能性が示唆されています。
また、予想PER(株価収益率)は23.39倍であり、過去10年間の中央値である27.39倍をやや下回っているため、歴史的な基準と比較すると割安である可能性があります。
そして、直近12カ月(TTM)の実績ベースのEV/EBITDA倍率は15.85倍であり、10年間の中央値である17.29倍よりやや低い水準にあります。
さらに、TTMのPSR(株価売上高倍率)は3.53倍で、過去10年中央値の3.85倍を下回っているため、売上高を基準とすると割安の可能性があります。
加えて、TTMの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は20.12倍で、10年間の中央値24.75倍を下回っており、キャッシュフローの観点では割安と考えられます。
しかし、PBR(株価純資産倍率)は333.69倍と、過去10年間の中央値152.70倍を大幅に上回っており、過大評価の可能性も示唆されています。
これらの指標を見ると、PBRが高いことを除けば、売上やキャッシュフローを基準としたバリュエーションは割安の可能性があります。
市場のアナリストの目標株価の平均値は現在97.05ドルとなっており、3カ月前の105.23ドルからはやや下がっていますが、それでも現在の市場価格を上回る水準です。
因みに、目標株価の引き下げは、外部市場の影響や会社固有の課題が影響している可能性があります。
全体的に見ると、一部の指標では過大評価の可能性があるものの、総合的なバリュエーションでは適正価格に近く、若干の安全余裕率を持つ長期的に魅力的な投資先であるように見えます。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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コルゲート・パルモリブ(CL)のリスクとリターンに関して
コルゲート・パルモリブ(CL)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社はリスクとリターンの両面で慎重に評価する必要があります。
過去3年間で同社は9億2500万ドルの長期負債を発行していますが、慎重なレバレッジ(負債活用)戦略を採用しており、許容範囲内の水準にあります。
しかし、内部者取引(インサイダー取引)の動向を見ると、過去3カ月間で2件の売却があり、合計34,387株が売却されている一方で、買いの動きは確認されていません。
これは、同社の内部関係者が株価の今後に対して慎重な姿勢を持っている可能性を示唆しています。
さらに、営業利益率(Operating Margin)は過去5年間で年間平均-2.4%のペースで低下しており、業務上の課題がある可能性も考えられます。
一方で、同社の財務健全性は比較的高く、ピオトロスキーのFスコア(Piotroski F-Score)は7を記録しており、財務的な強さが示されています。
また、ベネシュのMスコア(Beneish M-Score)は-2.89となっており、財務報告の操作の可能性は低いと考えられます。
さらに、実績PERは24.41倍と、過去5年間で最も低い水準に近づいており、割安感があることを示唆しています。
加えて、アルトマンのZスコア(Altman Z-Score)は4.84で、財務的な安定性と低い倒産リスクを示しています。
以上より、総合的に見ると、いくつかの懸念点はあるものの、同社の財務基盤は堅固であり、安定した運営が可能な企業であると考えられます。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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コルゲート・パルモリブ(CL)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間のコルゲート・パルモリーブ(CL)のインサイダー取引を分析すると、売却の傾向が強く、買いの取引は確認されていません。
直近12カ月では、インサイダーによる同社株式の売却は22件ありましたが、購入は一切ありませんでした。
この傾向は過去6カ月(8件の売却)および3カ月(2件の売却)でも継続しています。
インサイダーによる買いがなく、売却が続いていることは、現在の株価が高値圏にあると判断されている可能性を示唆しています。
ただし、インサイダー売却の理由は多様であり、個人の資産運用や事前に計画された売却の可能性も考慮する必要があります。
しかし、インサイダーによる同社株式の保有比率は1.57%と低く、経営陣と一般株主との利害の一致が少ないことを示しています。
一方で、プロの機関投資家の保有比率は81.25%と高く、機関投資家が同社の株価動向に大きな影響を与えていると考えられます。
そして、機関投資家の強い影響力は、インサイダー売却の影響を抑える可能性があるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
コルゲート・パルモリブ(CL)の流動性に関して
コルゲート・パルモリーブ(CL)の流動性は中程度で、直近営業日の1日の取引量は3,893,690株となっています。
これは直近2カ月間の平均取引量である4,869,694株を下回っており、短期的な取引量の減少が見られます。
しかし、現在の取引量は十分に高く、大口の取引を比較的スムーズに執行できる水準です。
また、同社のダークプール指数(DPI)は42.78%で、取引の多くが公的な取引所ではなく非公開の場(ダークプール)で行われていることを示しています。
DPIが50%に近い水準にあるということは、取引の半数近くが非公開市場で行われている可能性を示唆しており、価格形成や出来高の透明性が低下するリスクもあります。
全体的に、コルゲート・パルモリーブの取引量は安定しているものの、ダークプール取引が多いことから、価格の透明性には注意が必要です。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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