やや強気ファーストソーラーアメリカ大統領選挙の株価への影響:トランプ氏が当選した際に注目すべき株とは?一方で、カマラ氏が当選の際に注目の銘柄とは?
ジェームズ・ フォード- 本稿では、2024年11月のアメリカ大統領選挙が米国の株価に与え得る影響に加えて、トランプ氏、並びに、ハリス氏が当選した際に注目すべき米国株に関して詳しく解説していきます。
- 来るアメリカ大統領選挙は市場に大きな影響を与える可能性があり、ドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏のどちらが勝利するかによって注目すべき投資戦略は異なるでしょう。
- トランプ氏が当選すれば、ビジネス優先の政策により市場が好影響を受け、仮想通貨や石油、インテルなどの銘柄が有望視されます。
- ハリス氏が勝利した場合は、再生可能エネルギーや防衛関連株が注目され、特に太陽光発電企業や防衛産業が恩恵を受けると予想されます。
アメリカ大統領選挙が米国の株価に与える影響とは?
アメリカの大統領選挙まで残り約3週間となり、現時点で一方の候補がリードしているようです。
次の4年間、誰が大統領になるかによってマーケットは大きく変動する可能性があることから、今回の大統領選挙の株価への影響を事前に考えておく必要があるでしょう。
本稿では、ドナルド・トランプ氏が当選した場合に注目の投資アイディアと、カマラ・ハリス氏が当選した場合に注目の投資アイディアについて紹介していきます。
最後に、米国経済の状況を把握する上で私が使用しているマクロ・マトリックスのアップデートとマクロトレードの最新情報にも触れていきます。
この数ヶ月のアメリカ政治は非常に混乱しており、民主党内でジョー・バイデン氏を交代させようとする動きや、ドナルド・トランプ氏に対する2度(あるいは3度?)の暗殺未遂が報じられました。
最新のPolymarketのデータによると、トランプ氏が優勢で、勝利の確率は約60%に達しようとしている一方で、ハリス氏が一般投票で勝つと予測されているようです。
(出所:Polymarket)
個人的には選挙結果を過度に重要視することはしませんが(トランプ氏であっても、結局は大きな違いはないと考えています)、この選挙は市場に大きな影響を与える可能性があるため、利益を狙う戦略を考える価値は十分にあると見ています。
ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した場合
現状ではドナルド・トランプ氏が勝つ可能性が高いと見られているため、まずこのシナリオから考えてみましょう。
トランプ氏が当選すれば、彼のビジネス寄りの政策が市場にとってプラスに働くことが予想されます。
さらに、トランプ氏は減税を行い、支出を拡大する可能性が高いです。
彼は任期中、歴代の大統領の中でも特に多くの支出を行ったことを思い出してください。
トランプ氏の経済政策は、現代貨幣理論(MMT:政府が自国通貨を発行する限り、財政赤字を気にせずに支出を増やすことができるという経済理論)に近いと言えるかもしれません。
そのため、大規模な流動性供給が起こり、株式市場の上昇が期待されます。
また、仮想通貨や金、石油といったコモディティも値上がりする可能性が高いです。
ただし、その一方で、インフレが全体的に進行することは避けられないでしょう。
ただし、これは、誰が勝っても長期的には同様の結果になると考えられます。
アメリカ大統領選挙でトランプ勝利を見据えた3つの投資アイディア
それでは、トランプ氏が勝った場合に有望と考えられる3つの投資戦略を見ていきましょう。
1. トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)
トランプ氏の勝利に直接賭けたいなら、Truth Socialを運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)の株を購入する方法があります。
現在この会社は赤字で、トランプ氏が資金調達を目的に運営しているように見えます。
彼は依然として大きな株式を保有しており、法的費用や選挙運動の資金を捻出するために株を売却する可能性が高いです。
とはいえ、トランプ氏と直結しているため、彼が勝利すれば株価は急騰する可能性もあるのではないでしょうか。
大きな利益を狙いつつも、全額失うリスクを許容できるなら、同社への投資を検討してみても良いかもしれません。
2. 石油関連企業:掘削分野
石油については賛否が分かれるところです。
一方では、ドル安が石油価格を押し上げる一方で、トランプ氏が生産増強を推進すれば価格抑制に働くため、石油企業に与える影響は複雑です。
もし投資を考えるなら、統合型の石油会社ではなく、掘削や探査に特化した企業を狙うべきかもしれません。
例えば、コノコフィリップス(COP)やベーカー・ヒューズ(BKR)などが候補になります。
(出所:Seeking Alpha)
3. インテル(INTC)
最後に、インテル(INTC)もトランプ氏の勝利によって恩恵を受ける可能性があります。
足元、インテルの株価は大きく下がっており、将来が不透明な状況です。
それでも、米中関係が悪化し、貿易戦争が激化する中で、インテルは重要な国策企業としての位置を固める可能性があります。
インテルはCHIP法を通じて政府から多額の支援を受けていますが、トランプ氏の「アメリカ第一主義」により、さらに資金が注がれ、台湾依存を減らすための取り組みが強化される可能性もあると見ています。
カマラ・ハリス氏がアメリカ大統領選挙に勝利した場合
前にも述べたように、トランプ氏とカマラ・ハリス氏のどちらが大統領になっても、大局的にはそれほど大きな違いはないと考えています。
民主党も多額の支出を行う一方で、増税する可能性があり、市場にはあまり好まれないかもしれません。
最終的にはインフレの進行が避けられないでしょう。
とはいえ、民主党は現状維持を重視する傾向が強いです。
これが意味するのは、中国との貿易戦争は続くものの、少し和らぐ可能性があるということです。
一方で、防衛費が増加し、アメリカが新たな紛争に巻き込まれる可能性もあります。
また、民主党は再生可能エネルギーに資金を投入するため、その関連銘柄には追い風となる可能性があります。
逆に、石油生産を抑制しようとするため、結果的に石油価格が上昇する可能性もあります。
アメリカ大統領選挙でカマラ勝利を見据えた2つの投資アイディア
もしカマラ氏が勝利した場合に有望と思われるアイディアについて見ていきましょう。
1. 太陽光(ソーラー)関連
民主党が政権を握った過去4年間で、太陽光(ソーラー)関連株は堅調に推移しました。
アメリカ企業を保護するための法案が数多く可決され、直接的な資金援助も提供されています。
特に恩恵を受けた企業の一つがファースト・ソーラー(FSLR)で、個人的にも注目している銘柄です。
(出所:TrendSpider)
私は以前、同社についてのレポートを執筆しましたが、ここ数ヶ月で株価が下落していることからも、今は押し目買いのタイミングかとも思っております。
もし、同社に関心があれば、是非、下記のレポートをインベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。
AIと太陽光で躍進のファースト・ソーラー(FSLR)の最新の2024年1Q決算まとめ・財務分析と今後の株価見通し・将来性
カマラ氏が勝たなくても、トランプ氏が当選した場合でも、この株は好調に推移する可能性があると見ています。
トランプ氏も保護主義者であり、同社にとって最大の脅威は安価な中国製品との競争だからです。
2. 防衛関連株
そして、戦争を好む民主党(そう、その通りです)は引き続き防衛産業に資金を注ぐでしょう。
防衛関連株は、どちらが勝っても堅調に推移すると思われますが、民主党が勝てばさらに恩恵を受けるでしょう。
防衛セクターで注目の銘柄はBAEシステムズ(BAE)とボーイング(BA)です。
特に、ボーイングの株価は大きく下落しましたが、RSIのダイバージェンスが見られ、反発の兆しがあるように見えます。
(出所:TrendSpider)
ボーイングは依然として防衛関連契約から多額の収益を得ており、この企業が消えることはないでしょう。
最後に
全体として、選挙前には市場に多少のボラティリティが発生するでしょうが、マクロの観点から見ると、市場全体に大きな影響を与えるほどではないでしょう。
この選挙が非常に重要だと考える人もいますが、実際にはそこまで大きな意味を持たないかもしれません。
トランプ氏の4年間を既に経験していますが、北朝鮮との戦争は回避され、ヒラリー・クリントン氏も逮捕されませんでした。
バイデン政権のもとでも、さほど悪い状況にはなっておらず、カマラ氏が当選すれば「バイデン2.0」のような形で、大きな変化はないでしょう。
結局のところ、ここまでそれほど悪い状況ではありませんでした。
米国経済は独立した力を持っており、私は昨年からその強さを指摘してきましたが、もちろん永遠に強いままでいるわけではなく、リセッション(不景気)が訪れる可能性もあります。
そこで、私は米国経済の温度感を探るべく「マクロマトリックス」を開発しており、下記のレポートではその内容を詳しく解説しておりますので、もし関心があれば、インベストリンゴのプラットフォーム上で是非ご覧いただければと思います。
リセッション(景気後退)とは?米国経済のリセッションは近い?リセッションを予測する上で注目すべき10の指標を徹底解説!
マクロマトリックスのアップデート
「マクロマトリックス」の詳細はこちらのExcelファイルで確認できます。
リリースしてからまだ2週間しか経っていないため、大きな変化はありません。
全体的な評価としては、「惜しいところ」といった感じです。
さて、来月に向けて何が起こり得るのか、いくつかのチャートを詳しく見ていきましょう。
MMリセッション確率 / MM Global Recession Probability
(出所:MacroMicro)
まず、2022年にピークを迎えた景気後退の確率は、その後も徐々に低下しており、現時点で大きな懸念はありません。
ただし、トレンドの変化があれば、それが早期の警告信号となるので注意が必要です。
米国 - AAII投資家センチメント調査 - Zスコア / US - AAII Investor Sentiment Survey - (Z-Score)
(出所:MacroMicro)
投資家のセンチメントは現在のところ強気ですが、まだ市場のピークに達するようなレベルではありません。
クレジットスプレッド / Credit Spreads
(出所:MacroMicro)
また、信用スプレッドも引き続き狭まっており、金融システムにストレスの兆候は見られません。
リビジョン・インデックス / Earnings Revision Index
(出所:MacroMicro)
ただし、利益見通しの修正には注意が必要です。
大幅な下方修正が続いており、これが通常、市場の調整の前触れとなることが多いです。
今月は市場が非常に好調でしたが、これらの決算が期待外れだった場合、短期的に市場が下落する可能性があります。
半導体販売 / Semiconductor Sales
(出所:MacroMicro)
最後に、半導体の売上に特に注目しています。
最近の半導体株の売りと新しい規制の導入が続いており、この動向を注意深く見守っています。
(出所:Snowball Analytics SAS)
マクロトレード・アップデート
マクロトレードに関しては、引き続きネットロングの立場を維持していますが、唯一のマイナスはGrayscale Ethereum Trust(ETHE)です。
前回のレポートで債券利回りについて言及しましたが、債券をショートすると良いと考えており、実際に大きな反発が見られました。
(出所:TrendSpider)
また、今後のマクロトレードでは、中期的に金のショートが有望な戦略になるかもしれません。
(出所:TrendSpider)
現在、金の取引は過密状態にあり、RSI(相対力指数)のダイバージェンスが見られ、価格が天井に近づいている兆候が見られます。
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