強気クレド・テクノロジー・グループ・ホールディングDeepSeekショックで急落のAI銘柄:クレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)の将来性とは?
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- 本稿では、DeepSeekショックで急落したAI銘柄であるクレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)の今後の株価見通し将来性に関して詳しく解説していきます。
- 市場の不安定な状況下でも、クレド・テクノロジーとネビウス・グループのファンダメンタルズは強固であり、短期的な混乱が投資機会を生む可能性があると見ています。
- DeepSeekの技術が両社の事業に影響を与える可能性はあるものの、過去の市場の過剰反応と同様、時間が経てば冷静な評価がなされると考えらています。
- 市場の期待が低いときに投資を行い、見通しが改善した際にリターンを得る戦略が有効であり、両社の割安なバリュエーションは魅力的であると考えています。
クレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)に関して
本稿での私の焦点は、足元下落している注目のテクノロジー銘柄であるクレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)です。
結論として、私は設備投資(CapEx)縮小の影響について確実な答えを持っていません。しかし、それは誰にも分からないということも確信しています。 不確実性が極めて高い状況で、「未来が見えている」と言う人がいれば、それはただのストーリーを売っているに過ぎません。
私の主張はシンプルです。市場の期待が低いとき、すべての答えを持つ必要はありません。おおよその見通しが立てば、それだけで十分に良い投資機会になると考えています。
クレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)に関する市場の文脈を理解することが重要
私はITの専門家ではありませんが、15年近く投資を続けてきた中で、数々の市場の浮き沈みを経験してきました。そして、一つ確信しているのは、市場がパニックに陥ると、理性が失われ、人々はとにかく売りから入り、後になってようやく状況を整理するということです。
たとえば、コロナショックの際には、アマゾン(AMZN)をはじめとするテック株が無差別に売られました。しかし、振り返ってみれば、アマゾンはリモートワークの拡大で業績が大きく伸びるポジションにいたわけで、市場は明らかに間違った判断を下していたのです。
こうした非合理的な行動は、市場の大幅な下落時には常に見られるものです。例を挙げればキリがありませんが、たとえばWTI原油価格がマイナスになったときも同様でした。つまり、「原油を所有するだけでお金をもらえる」という異常な状況が発生したのです。
誤解のないように言うと、私は「とにかく押し目買いをするべき」と感情的に言うタイプの投資家ではありません。私の投資戦略は明確で、市場の期待が低いときに買い、熱狂が高まったときに売るというシンプルなものです。
長年の経験から、市場が混乱しているときこそ独立した視点を持ち、群集心理に流されないことが極めて重要だと学びました。「血の海で買え」というフレーズはよく使われますが、それを誤解して痛い目を見る投資家も少なくありません。
しかし、パニック時の投資が最も良いリターンを生むことが多いのも事実です。
私は、クレド・テクノロジー(CRDO)やネビウス・グループ(NBIS)が最終的にどうなるかは分かりません。しかし、それは誰にも分からないということでもあります。
少なくとも今後数週間の間、市場の不安は続き、多くの投資家がこれらの銘柄をポートフォリオから除外したいと考えるでしょう。それは、かつてアマゾンや原油に対して行われたのと同じことです。
しかし、1~2カ月もすれば、ビッグテックの決算や市場の動向から、状況が「予想よりもそこまで悪くはない」と判明する可能性が高いと見ています。
言い換えれば、不確実性がわずかに減り、可視性が少しずつ高まるということです。そして、見通しが立ち始めると、市場はそれを適切に評価し始めます。
このコンテキストを踏まえて、クレド・テクノロジーとネビウス・グループを順番に見ていきましょう。
なぜクレド・テクノロジー(CRDO)なのか?なぜ今なのか?
直近リリースされた注目の中国AI関連テクノロジープラットフォームであるDeepSeekの技術によって物理的なネットワークインフラの必要性が減少し、ソフトウェア企業がAIを展開する際の設備投資(CapEx)負担が軽減される可能性があります。
DeepSeekに関しては、インベストリンゴの半導体・テクノロジー担当アナリストであるウィリアム・ キーティング氏が、下記のレポートにおいて詳しく解説しておりますので併せてご覧いただければと思います。
そして、この影響を受ける可能性のある企業の一つがクレド・テクノロジー(CRDO)です。同社は高性能なネットワークソリューションを提供し、コンピューター間の通信をより高速かつ低消費電力で実現しています。そのため、DeepSeekの登場により影響を受ける可能性があります。
同社の事業をシンプルに説明すると、データセンターやAIシステム向けに、より賢いデータ交通インフラ(スマートなハイウェイ)を構築する企業です。
主な製品には、超高速通信を可能にする先進的なケーブルなどが含まれており、特に際立つのは低消費電力を維持しながら高性能を発揮できる技術力です。
AIの進化と高速インターネットの需要が高まる中、データ通信の高速化と安定性の確保は引き続き重要な課題です。そのため、DeepSeekの影響があるとしても、同社の需要は短期的には引き続き堅調に推移すると考えています。
クレド・テクノロジーの売上高成長率(%)
(出所:筆者作成)
現在、同社の売上は前年比60%以上の成長を維持しており、今後12カ月以内にNon-GAAPベースのEPSが1.40ドルに達する可能性があると見ています。
さらに、同社は無借金経営であり、約3億8000万ドルの現金および市場性証券を保有しているため、財務的にも極めて安定しており、成長を支える強力な基盤を持っています。
現在の同社は予想EPSの40倍で取引されていますが、60%以上の成長を達成していることを考えれば、この評価は十分に正当化されると考えます。
そして、たとえDeepSeekの影響があるとしても、同社の成長軌道は依然として魅力的であり、40倍のフォワードEPSを支えるに値すると見ています。
なぜネビウス・グループ(NBIS)なのか?なぜ今なのか?
ネビウス・グループ(NBIS)はもともとロシア企業のYandexの一部でしたが、制裁の影響でスピンオフし、現在は創業者の指揮のもと独立して運営されています。
同社はGPUや高性能コンピューティングリソースをクラウド経由で提供するAIインフラ企業であり、企業が自社で高価なハードウェアを購入・維持することなく、AIモデルのトレーニングや展開を可能にする事業を展開しています。
市場には「ネビウス・グループを避けるべき理由」がいくつもあるように見えます。
・機関投資家の支えがない
Yandexからのスピンオフにより、強固な株主基盤がなく、小口投資家が主導して株価を押し上げてきた。その結果、昨日の市場の動揺で、多くの投資家がストップロスをつけて売却した(「ストップロスは使うな」と何度も言っているのに…)。
・DeepSeekの脅威
DeepSeekの低コストAIインフラが、ソフトウェアベースでAIの学習や推論を実行するため、ネビウス・グループのようなクラウド型GPUレンタルの需要を脅かす可能性がある。
しかし、これはあくまで「ストーリー」です。
実際には、エヌビディア(NVDA)のエコシステムはすでに確立されており、現在の市場構造が急激に変わることは考えにくいのが現実です。DeepSeekの普及が一夜にして市場を塗り替えるという見方は、過大評価されている可能性が高いでしょう。
市場の雑音に惑わされず、ファンダメンタルズに集中することが重要であると考えています。
ネビウス・グループの売上高成長率(%)
(出所:筆者作成)
2025年末までに、同社は年間経常収益が約7億5000万ドルから10億ドルに達すると見込んでいると、昨年12月に発表しました。これにより、現在の株価は売上の約6倍に相当します。しかし、この倍率は、同社が昨年までほぼ収益ゼロの状態から、わずか24か月で10億ドルもの売上を達成しようとしているという事実を全く考慮していません。
これは、大規模な超高速成長ビジネスです。たとえ2025年以降に成長率が鈍化するとしても、現在この企業をカバーしているアナリストはほとんどいません。依然として、同社をロシアの検索プラットフォームであるYandexと見なしている人が多いです。しかし、同社は今後数か月で投資家にとって非常に馴染みのある有名な企業になるでしょう。
さらに、同社は約30億ドルの現金を保有しており、負債はありません。
これは、将来的に同社が再び資本調達を必要としないという意味ではありませんが、時価総額の約50%以上が現金で構成されていることを意味します。この資金を活用することで、同社はフルスタックのAIインフラを構築するためにGPUクラスターへ大規模な投資を行うことが可能です。
とはいえ、DeepSeekと並んで同社に市場での居場所があるかどうかという問題とは別に、同社が年間経常収益10億ドルに到達するためには、今年約10億ドルの設備投資(CapEx)が必要になるという課題もあります。
しかし、これらの事実は昨日以前から知られていたことです。唯一の違いは、わずか1日で企業評価が40%も下落したという点です。
クレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)に関して考慮すべきリスク要因
弱気の見方の根幹にあるのは、DeepSeekの低コストなAIソリューションによって、高価なハードウェアの必要性がなくなるという点です。つまり、より手頃な手段で問題を解決できるため、クレド・テクノロジー(CRDO)やネビウス・グループ(NBIS)の価格決定力が大きく低下する可能性があります。その結果、これらの企業の営業レバレッジにも大きな圧力がかかるかもしれません。
私の見解としては、この懸念は短期的には過度に誇張されており、すでに現在の株価に織り込まれていると考えています。
また、考慮すべきもう一つのリスクとして、ファンダメンタルズとは別に、投資家がAI関連企業に対して支払うプレミアム、つまりバリュエーション倍率が短期的に縮小する可能性があるという点が挙げられます。少なくとも、市場がより明確な見通しを得るまでは、その傾向が続くかもしれません。
この状況が示唆するのは、たとえクレド・テクノロジーやネビウス・グループが強いポジションにあったとしても、市場の見通しが明確になるまで投資家がこれらの企業にプレミアムを支払いたがらない可能性があるということです。その結果、収益性が圧迫され、株価がさらに下落するリスクが生じるかもしれません。
しかし、私の見解としては、現在の市場は恐怖によって支配されており、楽観的な余地がほとんどない状態です。こうした状況にある理由は理解しています。
ただ、私の経験上、こうした状況こそが投資機会を生むことが多いと考えています。目先の状況だけでなく、市場がDeepSeekの真の影響をより明確に把握できるようになった来年以降、投資家がどれだけの価値を見出すかに焦点を当てることが重要であると考えています。
クレド・テクノロジー(CRDO)とネビウス・グループ(NBIS)に対する結論
DeepSeekの破壊的な影響によってクレド・テクノロジー(CRDO)やネビウス・グループ(NBIS)を取り巻く不確実性が高まっているのは確かですが、現在の市場の混乱は独自の投資機会を生んでいると考えています。
市場は短期的な不安に過度に焦点を当てていますが、今後数カ月の間に見通しが明確になれば、両社の状況は現在の株価が示すよりもはるかに良いものになると予想しています。
強固なファンダメンタルズ、最小限の負債、そして確かな成長の可能性を考慮すると、両社の足元の割安なバリュエーションは魅力的であり、最終的には市場もその価値を認識すると考えています。
つまり、恐怖と不確実性の中にこそ、大きな上昇のチャンスがあるのです。
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加えて、直近では、クレド・テクノロジーとネビウス・グループに関する下記のレポートを執筆しておりますので、両社への理解を深めるために併せてご覧いただければと思います。
クレド・テクノロジー
ネビウス・グループ
アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
📍テクノロジー&エネルギー担当
オリベイラ氏のその他のテクノロジー&エネルギー銘柄のレポートに関心がございましたら、こちらのリンクより、オリベイラ氏のプロフィールページにてご覧いただければと思います。
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