中立ドロップボックスドロップボックス(DBX:Dropbox)最新の2024年2Q決算発表は好調で株価上昇!同社の強みと将来性に迫る!
ドノヴァン・ ジョーンズ- ドロップボックス(DBX)はオンラインストレージとコラボレーションツールを世界中のユーザーに提供しているテクノロジー企業です。
- 同社は、2024年8月8日に2024年第2四半期決算を発表し、経営陣は様々なセグメントで需要の変動が続いており、売上高の伸びの減少につながっていると見ています。
- そして、私は同社が安定した売上高成長を取り戻すまで、同社株式に対する「中立」という見通しを維持します。
ドロップボックス(DBX)について
ドロップボックス(DBX)は、様々なデータストレージとコラボレーション機能を世界中のユーザーに提供しているテクノロジー企業です。
同社は、2024年8月8日に2024年第2四半期決算を発表し、売上高と利益において市場のコンセンサス予想を上回る着地となりました。
見込み顧客や既存顧客を含め、中小企業セグメントという重要なセグメントで需要の変動が続いていることから、私の同社に対する短期的な見通しは「中立」を維持しています。
ドロップボックス(DBX)の概要と市場
ドロップボックス(DBX)は2007年に設立されたサンフランシスコを拠点とするテクノロジー企業で、世界中の企業や個人にオンライン・ストレージとコラボレーション・ツールを提供しています。
同社の主なサービスには、ファイルストレージ、同期、共有、コラボレーション、モバイルアプリ、文書署名・送信、画面キャプチャ等が挙げられます。
そして、ウェブサイト、無料トライアル、ダイレクトセールス、マーケティング、事業開発活動を通じて顧客を獲得しています。
また、世界のストレージおよびコラボレーション市場は、クラウド・コンピューティング業界の中でも急速に成長している分野です。デジタルデータの急激な増加と、データ集約型アプリケーションへの依存度の高まりに後押しされ、同市場は今後数年で大きな規模に達すると予想されています。
ドロップボックス(DBX)を取り巻く市場規模
・世界のストレージおよびコラボレーション市場は、2022年には786億ドルと評価されています。
・2027年には1,837億ドルに達し、予測期間中に18.5%の複合年間成長率(CAGR)で成長すると予測されています。
ドロップボックス(DBX)を取り巻く市場の成長予測
同市場は、以下のような幾つかの主要な要因により、力強い成長軌道を継続すると予測されています。
・リモートワークと増加するデータ量に伴うデータストレージとコラボレーションツールの需要増加
・クラウドベースのソリューションによるデータのアクセス性とコラボレーションの向上
・クラウドストレージプロバイダーによるデータセキュリティの強化
・トレーニングと分析に大量のデータを必要とするAIおよび機械学習技術の普及
・データ分析およびビジネスインテリジェンスツールの需要増加
ドロップボックス(DBX)を取り巻く市場動向と成長要因
ストレージとコラボレーション市場の主要なトレンドには以下が含まれます。
・オンプレミスからクラウドベースのストレージソリューションへの移行
・大規模で非構造化データセットのためのオブジェクトストレージの人気の高まり
・モバイルデバイスを使用したデータアクセスとコラボレーションの増加
・データストレージと管理におけるAIおよび機械学習技術の採用
・リモートワーク専用に設計された新しいコラボレーションツールの出現
用語解説
※オンプレミス(On-Premises):企業や組織が自社内にサーバーやITインフラを設置し、管理・運用する形態を指す。
※オブジェクトストレージ:データをオブジェクトという単位で保存するストレージの一形態。従来のファイルストレージやブロックストレージとは異なる方法でデータを管理する。
そして、ストレージとコラボレーション市場の主要企業には以下が含まれます。
クラウドストレージプロバイダー
・Amazon Web Services (AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform
・Dropbox
・Box
コラボレーションソフトウェアプロバイダー
・Microsoft Office 365
・Google Workspace
・Slack
・Zoom
・Asana
ドロップボックス(DBX)の最近の財務動向
ドロップボックス(DBX)の四半期別の総売上高(青色の列:Total Revenues)は、前四半期比では常にではないにせよ、前年同期比では成長を続けています。また、四半期別の営業利益(青色の線:Operating Income)は、直近の四半期では前四半期比で低下しています。
また、四半期別売上総利益(上の線:Gross Profit)は直近の四半期では横ばいになっており、四半期別販売費および一般管理費(下の線:Selling General & Admin Expenses. Total)は最近上昇に転じており、短期的にはマイナスのトレンドであると言えます。
さらに、希薄化後1株当たり利益(Diluted EPS)は、トップラインの売上高の伸びの鈍化と販売管理費の増加により、直近四半期で低下しています。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
そして、過去12ヶ月の同社の株価は、ベンチマークであるiシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF (IGV)が21.5%上昇したのに対し、18.7%下落しています。
ドロップボックス(DBX)のバリュエーション
以下は、ドロップボックス(DBX)に関連するバリュエーションの表です。
バリュエーション指標 | 値 |
EV(企業価値)/ 売上高倍率(予想) | 3.2 |
EV/EBITDA倍率(予想) | 8.2 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 3.0 |
売上高成長率(予想) | 3.8% |
純利益率 | 23.1% |
EBITDAマージン | 24.6% |
時価総額 | $7,300,000,000 |
企業価値 | $8,250,000,000 |
営業キャッシュフロー | $862,300,000 |
実績EPS(直近過去12か月ベース) | $1.75 |
予想EPS | $2.24 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月ベース) | $2.48 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものです。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で23.9%であり、主に営業利益率の低下により、業績は低下していると言えます。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第1四半期 | 2024年第2四半期 |
売上高成長率 | 3.9% | 3.8% |
営業利益率 | 22.7% | 20.0% |
合計 | 26.6% | 23.9% |
ドロップボックス(DBX)の見通し
直近の市場のアナリスト向けの決算説明会議では、ドロップボックス(DBX)の経営陣の準備発言として以下の点を強調しています。
売上高
今期の売上は予想をわずかに上回りました。セルフサービスの個人プランの成長が、Teams事業の課題を補ったためです。
ドキュメントワークフロー製品は期待通りの成果を上げ、DocSendのアドバンスド・データルームが季節要因によるFormSwift事業の圧力を和らげました。
会社は余剰のフリー・キャッシュフローを株主に還元するため、引き続き株式を買い戻しています。
顧客定着率
Teams事業は、売上高における定着率が高く、顧客の生涯価値が大きいことから、ライセンス拡大やクロスセルの機会が多く、重要な役割を果たしています。
オンボーディングと招待プロセスの改善により、新しいTeams内での活性化が進み、定着率と拡大に大きく寄与しました。
共有体験の向上に注力した結果、2024年度第2四半期では前年同期比でシェア率が増加しました。
コストや費用の変化
経営陣は、株主へのリターンを増やすため、支出の抑制と戦略的な投資に力を入れています。
2024年度第2四半期の営業費用は、マーケティングや外部サービスの支出が低かったことや予想より採用が少なかったことから、予測よりもやや低く抑えられました。
会社は、コストの低い地域での採用を優先したり、ベンダーやソフトウェアの支出を厳格に管理したりするなど、運営全体で効率を高める機会を引き続き探しています。
キャッシュフロー
2024年第2四半期のフリー・キャッシュフローは2億2500万ドルで、前年同期比28%増加しました。
年間のフリー・キャッシュフロー予測は9億1000万ドルから9億5000万ドルの範囲で据え置かれています。
貸借対照表
2024年度第2四半期末時点で、現金と短期投資の合計は11億ドルでした。
2024年度第2四半期には、約1100万株を買い戻し、2億6000万ドルを支出しました。
2024年度第2四半期末時点で、現行の自社株買い戻しプログラムにおいて、約8億6800万ドルが残っていました。
売上高見通しとトレンド
年間の売上高見通しはわずかに修正され、下限が500万ドル引き上げられました。
2024年度第3四半期の売上高は6億3500万ドルから6億3800万ドルの範囲になると予想されており、為替による影響は50万ドル未満と見込まれています。
経営陣は、特にTeams事業において、短期的な変動が増加し、2024年度第3四半期および第4四半期の有料ユーザー数にマイナスの影響を与える可能性があると見込んでいます。
FormSwiftの有料ユーザー数への季節的な影響やSign事業内の逆風も予想されています。
会社は、年末時点での有料ユーザー数が第2四半期終了時とほぼ同じになると予測しています。
収益に関するQ&A
市場のアナリストとの質疑応答では、Dashの収益化計画、Teams事業の課題、Sign事業へのセキュリティ事故の影響などが話題に上りました。
経営陣は、Dashがまだベータ段階で収益化には至っていないが、サブスクリプションベースやボリュームベースなど、さまざまな価格モデルを検討していると述べました。
Teams事業の課題は、マクロ経済の圧力、価格への敏感さ、競争の激化などが原因とされています。
最近のサイバーセキュリティ事故はSign事業にほとんど影響を与えず、全体的な収益や業務に大きな影響を及ぼすことはないと見られています。
用語解説
※Teams Business:複数のユーザーがファイルを共有・管理できるように設計されたサービス。企業やチームが効率的に共同作業を行うために、様々な機能を提供している。
※DocSend:ドキュメントの共有とトラッキングを簡単に行うためのプラットフォーム。ユーザーはドキュメントを安全に送信し、誰がいつアクセスしたかを追跡できる。ビジネスにおいて、提案書や契約書の共有、営業プロセスの効率化などに利用されている。
※FormSwift:テンプレートを使ってドキュメントをオンラインで作成、編集、共有できるプラットフォーム。多様なビジネスや個人用のフォームや文書のテンプレートが提供されており、ユーザーは自分のニーズに合わせてカスタマイズすることができる。
以上より、全体として、ドロップボックスはコアビジネスの改善とDashのような新しい成長機会への投資に注力しています。
ただし、売上高の変動と中小企業セグメントからの圧力が続いていることから、ドロップボックスに対する私の見通しは引き続き「中立」としています。
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