やや強気iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF高配当利回りが魅力的な長期エマージング・ボンド(新興国債券)とその見通し(EEM / EMB / VWOB / AGG)
タリク・ デニソン- 過去10年間、米ドル建てのエマージング債は、エマージング株式を年率3%、幅広い米ドル債を年率1%アウトパフォームした。
- 私は、今後15年間は、エマージング株式が、米ドル建てのエマージング債をアウトパフォームすると予想しているが、幾つかの長期エマージング債は非常に魅力的に見える。
- ここでは、私が最近購入したブラジル、ペルー、ハンガリー、トルコの米ドル建て長期債を紹介したい。
私の執筆活動において、私が債券に費やした時間の長さについて、今のところ何の反発も聞いていない。
私が債券に費やした時間の長さによって、金利や債券利回りが、私たちが購入する銘柄やETFの期待リターンのベースラインとして、いかに不可欠であるかが明らかになったことと思っている。
この記事では、今週、私が購入した幾つかの米ドル建て長期エマージング・ソブリン債と、これらの債券への配分が退職後のポートフォリオに付加価値を与えると考える理由を紹介したい。
EMB(iシェアーズJ.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF)のデュレーションはわずか6.8年だが、これらの債券は、EMBやVWOB(バンガード米ドル建て新興国政府債券ETF)といった、幅広い米ドル建てエマージング債券ETFの一部に含まれているはずである。
したがって、利回りがピークに達する可能性があるとの私の見解を踏まえると、よりデュレーションの長い債券を選ぶか、ETFを選ぶならEMBやVWOBのポジションをテコ入れする必要性を感じる。
EMBは、2008年の危機直前の2007年12月に設定され、以来、15年以上に渡って、EEM(iシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF)を年率約3%アウトパフォームしてきた。
その理由の1つは、2007年当時、エマージング株式と、その対ドル通貨は相対的に割高であったことであり、過去15年間はエマージングが割高から割安になるストーリーであったというのが私の見解である。
EMBのデュレーションは、AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF)のデュレーションより少し長いだけなので、今回のエマージングの売り越しの後でも、エマージングの信用リスクを取ることで、同じ15年以上の間、AGGより年率1%以上のネットリターンをもたらしていることが分かる。
極端な言い方をすれば、エマージングの米ドル債は「政府が勝てば投資家は負ける」投資である。
というのも、心配すべき主なシナリオが2つ存在するからである。
- ドル安が進めば、これらの国々がドル建て債務を返済しやすくなるが、債券から得られる米ドルの価値は下がる
- ドル高が進めば、エマージング諸国の発行体がデフォルトに陥る可能性が高まる
そのため、様々な意味で、エマージングの米ドル建て債券を購入することは、安定性に賭けることになり、私の見解では、私が得ているリスクプレミアムは比較的健全であると見ている。
そのため、他の多くのハイ・イールド債券と同様、私は0.5~1%のポジションを取り、それによって得られる安定したキャッシュ・フローを、オプションやよりアグレッシブな株式戦略に再投資できることに満足している。
とはいえ、先週購入した2110年が満期のメキシコ債券に続き、今週は以下の債券を追加購入した。
- ブラジルの2037年満期の利率7.125%の債券を101で購入
- ハンガリーの2041年満期の利率7.625%の債券を107で購入、利回りは6.9%
- ペルーの2050年満期の利率5.625%の債券を92.50で購入、利回りは6.2%
- トルコの2034年満期の入津8%の債券を97.75で購入、利回り8.3%
これらの国債を選んだ主な理由のひとつは、最低購入額が20万ドル必要な他の多くのソブリン債とは異なり、Interactive Brokersで、1000ドルまたは2000ドルから購入できたからである。
また、パナマ、ポーランド、ルーマニアとブルガリアが発行するユーロ建ての長期債の買い注文も入れている。
これらの国の中には、6~8%の固定利回り(その多くはクーポンを通じて毎年支払われる)が得られる国もあり、少なくともこれらの国から信頼性の高いリターンを得るという点で、私の興味は十分に満たされている。
なぜなら、特に、ハンガリー、ペルー、パナマの銘柄で、簡単にアクセスでき、かつ強気になれる銘柄が見当たらないからである。
以上より、アップルやアマゾンのように、株が高すぎたり、手に入らなかったりしても、今回の様に、債券で満足できることもあると見ている。