11/04/2024

強気
エノビックス
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戦略的パートナーシップ、革新的な技術、そして最近の進展を考慮すると、同社は次世代バッテリー市場で成長を期待できる大きなポテンシャルを持っています。
エノビックス(ENVX)の将来性とは?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

time lapse photography of square containers at nightマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目の米国グロース企業であるエノビックス(ENVX)の2024年10月29日に発表された最新の2024年第3四半期決算の分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • エノビックスは、2026年までに大きな成長を目指す収益前の企業で、スマートフォンやIoTデバイス向けの高エネルギー密度バッテリー開発に注力しています。 
  • 今後の成長計画を実現し、株主の持分の過度な希薄化を避けるため、今後12ヶ月以内に2億〜3億ドルの資金調達が必要とされています。 
  • 主な目標として、2025年後半までにEX-1Mバッテリーの量産を開始することや、主要OEMとの戦略的パートナーシップを活用して市場を拡大することが挙げられます。 
  • 同社は2026年に2億5,000万ドルの売上高を見込んでおり、計画通りに進めば、Non-GAAP営業利益ベースで株価が27倍のバリュエーションを得る可能性があります。

エノビックス(ENVX)の最新の2024年第3四半期決算発表に関して

エノビックス(ENVX)は、10月29日に最新の2024年第3四半期決算を発表しています。

同社はまだ売上がない企業です。

つまり、2025年後半までは売上を上げられず、損失だけが続きます。

そのため、同社は私のポートフォリオにおける長期保有銘柄です。

(同社は、しばらく売却する予定がない3銘柄のうちの1つです。)

このため、事業が本格的に収益を上げるまでは同社の株価は非常に変動しやすいでしょう。

今の段階では、まだ「計画を持ったビジネスモデル」に過ぎず、少なくともあと6〜9ヶ月はその状態が続くと考えられます。

さらに、今後12ヶ月以内に少なくとも2億〜3億ドルの資金調達が必要です。

ここでのポイントは、同社が現在のほぼゼロの売上高から、2026年には2億5,000万ドル以上の売上高を達成できるかどうかです。

私は同社には実行可能な戦略があると信じていますが、課題も残っているというのが現状です。

そういった点を考慮し、バランスの取れた見方を持つことが重要だと考えています。

では、同社の決算と今後の見通しに関して、詳しく見ていきましょう!

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なぜエノビックス(ENVX)か?なぜ今なのか?

エノビックス(ENVX)は、スマートフォンやIoTデバイスなどの技術分野で求められる高エネルギー密度バッテリーの需要に応えています。

従来のバッテリーはエネルギー密度の改善が限られており、特にAIを搭載した高性能デバイスでは性能に制約が生じています。

同社の革新的なバッテリー技術はエネルギー密度を大幅に向上させ、最先端のアプリケーションに長時間の電力を供給できるように設計されています。

また、製造効率の向上や主要OEMとの強力なパートナーシップにも注力しており、高性能かつ信頼性の高い次世代バッテリーソリューションで業界のリーダーとなることを目指しています。

短期的には、2025年後半にはマレーシアに新設した製造施設が本格的な量産を開始し、スマートフォン向けからIoT分野にも展開を拡大する予定です。

最近、主要なスマートフォンOEMとパートナーシップを結び、商業化の準備が進行中で、さらにIoTや自動車のOEMとも契約を確保し、幅広い市場にアプローチしています。

主なマイルストーンとして、2025年後半にはEX-1Mバッテリーの量産、EX-2Mモデルのサンプル出荷、そしてさらに進化したEX-3Mバッテリーの開発が挙げられます。

こうした取り組みによって、急成長する分野の需要に応え、資本効率の良いライセンスモデルを通じてスマートフォン市場でのプレゼンスを強化することが期待されます。

エノビックス(ENVX)の売上高成長率とバッテリーの歩留まり

エノビックス(ENVX)は、今期である2024年第4四半期に1,000万ドルの売上高を見込んでいます。

これは喜ばしい進展ですが、現時点での売上高は私の同社への投資の主な焦点ではないため、あまり注目するべきではないと考えています。

以前からお伝えしている通り、同社の売上高については2025年後半から2026年初頭にかけて注目していただければと思います。

そこが同社にとって本番のタイミングです。

同社は、売上増に向けた歩留まり改善と生産体制の強化で大きな進展を遂げています。

現在稼働中のFab2施設では、Agilityラインで初期歩留まりが約80%に達しました。

しかし、ビジネスモデルを成功させるためには歩留まりを95%近くまで向上させる必要があり、この目標に到達するまでは株価に影響を及ぼす可能性が残ります。

さらに、同社は高容量ラインの現地試験を進めており、2025年後半にはスマートフォンやIoT向けの量産を開始する予定です。

また、主要スマートフォンOEMとの戦略的パートナーシップを結び、IoT顧客向けの生産スケジュールも確保しており、2025年後半から2026年にかけて複数の分野での成長が期待されます。

エノビックス(ENVX)のバリュエーション:2026年の予想営業利益の27倍

バリュエーションの話に入る前に、エノビックス(ENVX)が決算説明会で行った資金調達に関するコメントを紹介します。

(原文)So you look like we have runway until 2026 and we will continue to evaluate more capital if we need it like as I've mentioned in the past we may need more capital to get to profitability. And so at some point we have to raise capital. There are three avenues open for the company; the capital markets, the governments and the customers. And we are pursuing all of them to see what makes the best sense for the company and provides the most efficient path with at least a lot of possible dilution, while managing the risk for the business. So we will continue to evaluate that. And one big thing that we are very particular about is delivering on the milestones before we go and raise capital.

(日本語訳)現在の資金で2026年までは運営できる見込みですが、必要に応じて追加の資金調達も検討しています。以前からお伝えしているように、黒字化を目指す上でさらに資金が必要になる可能性があるため、いずれ資金を調達しなければならない場面が来るかもしれません。調達手段としては、資本市場、政府支援、顧客からの支援という3つの選択肢があり、それぞれが弊社にとって最も効率的で、株主への影響を最小限に抑えられるかどうかを慎重に検討しています。このリスク管理も重要なポイントです。今後も引き続きこれらの選択肢を評価していきます。さらに、私たちは資金調達に踏み切る前に、まず目標としているマイルストーンをしっかり達成することを非常に重要視しています。

経営陣の発言から、今後18ヶ月以内に株主の持分が希薄化する可能性が高いと予想されます。

同社のバランスシートはすでに厳しい状況で、純現金は約2000万ドル程度です。

具体的には2億ドルの現金や市場性証券を保有しているものの、同額の負債も抱えています。

また、今後12ヶ月で2億ドルものフリーキャッシュフローを消費する見込みがあり、資金調達の必要性が一層高まっています。

一方で、資金調達のタイミングを遅らせられるほど、現在の株価よりも高い水準で資金を調達できる可能性が高まります。

仮に時価総額が20億ドルとした場合、株主の持分を約15%希薄化させることで3億ドルの資金を調達し、2026年に向けた成長の基盤を整えることができます。

しかし、株価が1株18ドル程度まで上昇すれば、希薄化は約10%に抑えられる可能性もあります。

目標とするスマートフォン生産ラインのユニット・エコノミクス

(出所:エノビックスの2024年第3四半期決算資料

エノビックス(ENVX)の今後の株価見通し

市場のアナリストによると、2026年にはエノビックス(ENVX)の売上高が約2億5000万ドルに達し、Non-GAAPベースの営業利益は7500万ドルになる見込みです。

この場合、株価は予測されるNon-GAAP営業利益の27倍程度で評価されることになります。

ただし、同社は現在ほぼゼロの売上高からスタートしており、この2億5000万ドルという予測はあくまで推定値に過ぎません。

もし2026年の売上高が1億ドルにとどまる場合、株価は2年先の営業利益に対し67倍以上のバリュエーションとなり、株価の割安性を判断するのは難しくなります。

エノビックス(ENVX)の最新決算に対する結論

エノビックス(ENVX)は長期的な投資先として非常に魅力的ですが、収益前段階にあるため大きなリスクも伴います。

同社が手掛ける高エネルギー密度バッテリーは、スマートフォンやIoTなど、エネルギー効率が重視される分野において重要なニーズに応えています。

2026年までに収益基盤の確立を目指し、約2億5000万ドルの収益を見込んでいますが、この成長には歩留まり改善や効率的な資金管理など、いくつかの重要なマイルストーンの達成が必要です。

戦略的パートナーシップ、革新的な技術、そして最近の進展を考慮すると、同社は次世代バッテリー市場で成長を期待できる大きなポテンシャルを持っています。

そして、この高い成長性を踏まえると、同社は長期投資に適した銘柄と言えるでしょう。

私は引き続き、2025年末までの目標株価として、同社の株価が1株17ドル以上に達すると考えています。

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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

📍テクノロジー&エネルギー担当

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