強気エノビックスエノビックス(ENVX)とは?米国エネルギー銘柄の本命?最新決算では新規顧客の獲得が発表され今後の見通しは良好!
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- 本稿では、注目の米国エネルギー関連銘柄である「エノビックス(ENVX)とは?」という基礎的な内容から、2025年2月19日に発表された最新の2024年第4四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、2025年第4四半期に顧客向けバッテリーの出荷を開始する予定であり、重要な安全試験もクリアしました。
- 製造上の課題やキャッシュ消費の問題は依然として残っていますが、歩留まりの改善と2026年には3億ドルの売上が見込まれることを考えると、株価が大幅に見直される可能性があると見ています。
- 一方で、2025年には、パフォーマンスの低い銘柄の整理をより積極的に進める予定です。エノビックスに関しても、成果を出すことができなければポートフォリオから除外する可能性もあります。
エノビックス(ENVX)は最新の2024年度第4四半期決算を発表!
エノビックス(ENVX)は現在、収益を生み出していない企業です。つまり、まだ売上がない状態です。この点を十分に理解した上で、この銘柄への投資を検討する必要があるでしょう。
私自身、2年前にエノビックスをポートフォリオに追加したことを率直に後悔しています。あのタイミングはあまりにも早すぎましたし、私の戦略を楽しみに日々レポートをご覧いただいている皆さんの期待を無駄にしてしまったかもしれません(詳細はレーティング一覧をご覧ください)。
しかし、2月19日に発表された最新の2024年度第4四半期決算に対する市場の反応は芳しくなかったものの、ようやく期待できる良いニュースが出てきたと感じています。市場が冷え込んでいる「リスク回避」ムードの影響なのか、それとも投資家が「まだ数ヶ月待たされるのか」と不満を抱いた結果なのか、その判断は難しいところです。
それでも、エノビックスの株を諦める口実を探している退屈した投資家が大勢いると強く感じています。
しかしついに、エノビックスには顧客が付きました。さらに、重要な安全試験をすべてクリアしたことが確認されています。この顧客への出荷は2025年第4四半期に開始される予定です!
これは、「エノビックスは2025年も2026年も顧客がいないだろう」と主張していた弱気派の意見を覆す大きな要因となるでしょう。出荷開始まで約7~8ヶ月。これは、それほど長い待ち時間ではありません。特に、このマイルストーンを前にして株価が上昇する可能性があることを考えればなおさらです。
全20銘柄のポートフォリオの中で、同社は目標株価を設定していない3銘柄のうちの1つです。私のポートフォリオ内における長期保有銘柄の1つですが、同社は、一般的に私が保有するインフレクション銘柄とは異なります。私のポートフォリオの詳細は、インベストリンゴのプラットフォーム上より下記のレポートをご覧ください。
2025年2月中旬:米国株ポートフォリオ・アップデート
私は2年前、エノビックスをポートフォリオに追加しました。しかし、これまでのところ、この銘柄がもたらしたのは損失とフラストレーションだけでした。この銘柄を持ち続けることは私の判断ミスでしたし、私のポートフォリオ全体に悪影響を与え、運用成績を押し下げてしまいました。
何度も手放そうと考えました。しかし、今や収益化まで1年を切っています。この段階で売却するのは意味がありません。リスクだけ負って、利益を取れないまま終わることになります。これは単なる執着ではなく、市場は常に先を見据えているのです。
確かに、今は不安定な状況ですが、もし市場が今後数週間で落ち着けば、この銘柄は2025年後半の期待を織り込み始めるでしょう。株価が15ドル付近まで上昇し、その水準を維持するようになれば、これまでの苦しい期間も報われるはずであると考えています。
ただし、ここでひとつ約束したいことがあります。2025年は、パフォーマンスの低い銘柄の整理をより積極的に行います。 30%下落した銘柄を「もう少し様子を見よう」と考える方もいるかもしれませんが、今年はそういった甘さを排除します。企業が確かな成果を示せなければ、人気銘柄であろうと容赦なく除外していく予定です。
なぜエノビックス(ENVX)とは?
エノビックス(ENVX)は、従来のリチウムイオン電池よりも長持ちし、充電が速く、安全性の高い先進的なバッテリーを開発しています。従来のバッテリーデザインに依存せず、より多くのエネルギーをコンパクトに詰め込む独自の技術を採用しているのが特徴です。これにより、スマートフォンやウェアラブルデバイス(スマートグラスなど)のバッテリー寿命が延び、充電にかかる時間が短縮されるという画期的な変化をもたらします。
エノビックスは、研究室レベルの技術を実際の製品に組み込むために尽力してきました。これまでに、生産能力の拡大や製造プロセスの改善など、いくつかの重要なマイルストーンを達成しており、より安定した品質で大量のバッテリーを生産できる体制を整えています。
エノビックス(ENVX)は2025年第4四半期に顧客向けの出荷を開始
エノビックス(ENVX)は、2025年第4四半期に顧客向けのバッテリー出荷を開始する予定です。
すでに、主要なスマートフォンメーカー向けに初期のエンジニアリングサンプルを出荷しており、重要な安全試験をクリアし、最終製品のセル寸法も確定しています。
現在、エノビックスは顧客認証(カスタマー・クオリフィケーション)の最終段階に取り組んでおり、これは量産開始前に必須のプロセスとなります。マレーシアの高容量製造工場(Fab2)では、第一工場を上回る歩留まりの向上を達成しており、2025年の段階的な目標を設定し、大規模なスマートフォン向けバッテリーの生産準備を進めています。
決算発表でのコメント:
「年間を通じて段階的な目標を設定しており、2025年第4四半期のスマートフォン向け量産に向けた準備が整うと考えています。」
「現在、複数の顧客監査が進行中であり、これは当社の製造体制が整っていること、そして顧客が当社の製品に関心を持っていることを示す強い証拠となっています。」
そして、エノビックスが特に注力しているのは歩留まりの向上です。つまり、不良品を出さずにどれだけ高品質なバッテリーを生産できるかが鍵となります。同社はこれまでにいくつかの課題に直面しましたが、着実に改善を重ねており、品質指標も上昇傾向にあります。
ただし、現在の歩留まりに関して具体的な数値が発表されていないことから、90%には達しておらず、まだ85%程度である可能性が高いと考えられます。事業を高収益モデルへ転換するためには、少なくとも95%の歩留まりが必要ですが、その目標にはまだ到達していません。
現在の最大の課題は、生産体制の安定化です。最先端のバッテリーを大規模に製造するのは極めて難しく、生産がスムーズに進まなければ、顧客との契約にも影響が及びます。
さらに、エノビックスはすでに確立されたサプライチェーンと工場を持つ大手バッテリーメーカーとの競争にも直面しています。市場で成功するためには、量産を確実に進め、大手OEM(オリジナル機器メーカー)に自社技術の優位性を証明する必要があります。
このような背景を踏まえ、次にエノビックスのバリュエーション(企業評価)について考察していきます。
エノビックス(ENVX)のバリュエーション:予想売上高の7倍
エノビックス(ENVX)は約9,000万ドルの純現金を保有しています。しかし、これは盤石な財務基盤とは言えません。そして、今後数ヶ月以内に再び資金調達を行う可能性が高いと考えています。その際、投資家への希薄化(ダイリューション)が発生することになるでしょう。
ただし、今年1回の資金調達で十分になる可能性があるとも見ています。エノビックスが約1億ドルの資金を調達すると仮定すると、その影響で投資家の持分は約5%希薄化される計算になります。
もちろん、株価がもう少し上昇したタイミングで資金調達を実施できれば、同じ1億ドルの調達でも希薄化の影響が小さくなり、株主にとってより有利になります。
2024年第4四半期のキャッシュバーン(資金消費)は約3,500万ドルでした。前四半期と比べると若干少ないものの、大きな変化はありません。このため、私は2024年の年間キャッシュフローは約2億ドルの消費になると予想しており、2025年には追加で約1億ドルの資金が必要になると考えています。細かい数字の誤差はあるかもしれませんが、概ねこの範囲に収まるでしょう。
予定されている生産拡大スケジュール
(出所:エノビックスの2024年度第4四半期決算資料)
エノビックスは、2026年には数億ドル規模の売上を達成できると主張しています。私の予測では、2026年末までに売上はおおよそ3億ドル程度に達するのではないかと考えています。厳密に3億ドルとは言えないかもしれませんが、十分近い水準になるでしょう。
この大幅な売上成長が実現すれば、市場はエノビックスの株価を大きく見直すことになるはずです。最先端のバッテリー技術を持つ企業として、投資家の関心が一気に高まる可能性があります。
エノビックス(ENVX)を取り巻くリスク要因
最も明白なリスクは、エノビックス(ENVX)が今のところ「希望」だけに支えられた企業であり、多くの株主の資金を消費し続けていることです。
確かに、2026年には売上が大幅に成長すると会社側は主張していますが、まだ先の話に感じられます。投資家は長く待たされることに飽きてしまうものです。果たして投資家は、あと9ヶ月間も具体的な成果を待ち続ける気があるのでしょうか?
もう一つの重要なポイントは、2026年にエノビックスの粗利益率がどの程度になるのかという点です。
スマートフォン向け生産ラインの目標採算性
(出所:エノビックスの2024年度第4四半期決算資料)
経営陣は50%以上のキャッシュ粗利益率を目標に掲げています。しかし、これは歩留まりが95%に達することが前提です。現時点では85%をわずかに超えた程度であり、95%にはまだ程遠いと考えられます。つまり、まだ多くの課題が残されているのが現状です。
エノビックス(ENVX)に対する結論
繰り返しとなりますが、正直に言えば、2年前にエノビックス(ENVX)をポートフォリオに追加したのは誤りでした。時期尚早でしたし、結果として資金を消費し、ポートフォリオにとっても良い結果をもたらしているとは言い難い状況です。
しかし、これまでのフラストレーションを考慮しても、私はエノビックスには確かな可能性があると考えています。今回初めて、実際の顧客が契約を結び、バッテリーが重要な安全試験をクリアし、2025年第4四半期に量産が開始される予定となっています。これは単なる約束ではなく、具体的な進展であると見ています。
もちろん、今後の道のりは平坦ではありません。製造上の課題やキャッシュバーンの問題は依然として残っています。しかし、これらを克服できれば、株価が大きく回復する可能性が十分にあると考えています。
そして、私自身、ここまでエノビックスを保有する苦しみをすべて経験してきました。今、売上が現実のものになろうとしている段階で手放すのは合理的ではないと考えています。
ただし、はっきりさせておきたいのは、2025年には成果を示せない銘柄は容赦なく除外する方針であるということです。エノビックスが期待に応えられなければ、もはや言い訳を続けるつもりはありません。
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パランティア・テクノロジーズ(PLTR)
アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
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