02/15/2025

やや強気
エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ
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エンタープライズは、MLP業界の中でも類を見ないほどの優れた価値とユニットホルダー重視の姿勢を提供しています。
【注目の高配当MLP銘柄】エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD:予想配当利回り6.4%)の今後の株価見通し

closeup photography of poker chip setヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 本稿では、注目の米国高配当MLP銘柄であるエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD:予想配当利回り6.4%)の最新の2024年度第4四半期決算と業績推移の詳細な分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 「ブルーチップ」という言葉はポーカーの高額チップに由来し、財務基盤が強固で株主還元の実績がある企業を指しますが、すべての企業がその地位を維持できるわけではありません。
  • エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)は、ミッドストリーム分野のMLPであり、安定した業績と成長戦略により投資家にとって魅力的な配当を提供しています。
  • EPDは慎重な資本管理と持続可能な成長戦略を採用しており、安定した分配金を提供していることから、長期投資に適した「基盤となる銘柄」として位置付けています。

はじめに

投資の世界に少しでも触れると、「ブルーチップ」という言葉を耳にすることがあるかと思います。

多くの人が知らないかもしれませんが、「ブルーチップ」はもともと投資用語ではなく、ポーカーに由来する言葉です。多くのポーカーセットでは、青いチップが最も高額な価値を持ちます。ポットにブルーチップを投入するということは、高価値なアイテムを賭けとして差し出すことを意味していました。

この概念が次第に転じ、極めて価値の高い企業を指すようになりました。ブルーチップ企業と呼ばれるためには、通常、強固な財務基盤、優れた株主還元の実績、そして高い評判を持っていることが求められます。しかし、すべてのブルーチップ企業がその名にふさわしい存在であり続けるわけではありません。経営陣の判断次第では、財務危機に陥ったり、株主にとって利益にならない成長を追求するために配当を削減したり、その他の理由で評判を落としたりすることがあります。

また、多くのブルーチップ企業は「配当貴族」と呼ばれる、長期間にわたって増配を続けている企業のエリートクラブの一員であることも多いです。しかし、配当貴族の企業だけを購入するのは、必ずしも賢明な選択とは限りません。実際、リーマン・ショックの際には、それまで配当貴族とされていた企業の大半が、この称号を失いました。危機を乗り越えられず、半数以上が増配を維持できなかったのです。彼らが配当貴族でなくなった背景には、財務の悪化がありました。

それでも、私はインカム投資家として、常に強固で優れた企業をポートフォリオに加えたいと考えています。

本稿では、私がブルーチップ企業としてだけでなく、重要な保有銘柄、さらにはポートフォリオの「アンカー(支柱)」と考える投資先についてお話しします。この企業は、ポートフォリオの中核を担う存在であり、他の銘柄のように頻繁にチェックしたり、細かく管理したりする必要がないと私が考える銘柄です。つまり、安心して保有し続けられる企業です。

それでは、詳しく見ていきましょう!

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD):予想配当利回り6.4%の「ブルーチップ」MLP

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)は、6.4%の予想配当利回りを誇る、ミッドストリーム分野の上場MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)です。EPDは、商品をA地点からB地点へ輸送することに特化しており、エクソン・モービル(XOM)やPBFエナジー(PBF)のように石油の掘削や精製を行うアップストリーム事業には関与していません。また、グローバルLP(GLP)やクロスアメリカ・パートナーズ(CAPL)のように消費者の需要変動に左右される事業も展開していません。このため、EPDは商品価格や消費者需要の変動からの影響を受けにくいという強みがあります。同社は主に、精製業者から販売業者への商品の輸送を担う役割を果たしています。

EPDは2月4日に2024年第4四半期および通期の決算を発表し、あらゆる事業分野で堅調な業績を記録しました。

2023年の通年では、EPDは1日あたり1,290万バレルの石油換算量を輸送し、第4四半期には1,360万バレルに到達しました。また、第4四半期には1日あたり210万バレルの液体炭化水素を輸出し、経営陣は2027年までに月間1億バレルの輸出を目指すと述べています。これは現在の水準から60%の増加となり、EPDが米国の成長する炭化水素輸出市場において重要なプレーヤーとなることを示しています。

また、第4四半期中に、EPDは20億ドルの設備投資を実施しました。このうち、9億4600万ドルが成長プロジェクト向け、9億4900万ドルがピニョン・ミッドストリームの買収に充てられました。ピニョン・ミッドストリームは、ニューメキシコ州およびテキサス州のデラウェア・ベイスンの中心地で天然ガスの収集・処理サービスを提供する企業です。

現在、EPDは約76億ドル規模の主要な成長プロジェクトを建設中であり、今後3年間で順次稼働予定です。このうち約60億ドル分のプロジェクトは2025年後半に稼働予定であり、経営陣はすべてのプロジェクトが長期契約によって支えられているため、今後も純利益と1口当たりキャッシュフローの成長が見込めるとコメントしています。

主要な資本プロジェクト紹介

(出所:EPDの2024年度第4四半期決算資料

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)の2024年度の業績と資本政策

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)は、2024年度に約2億1900万ドル相当の普通出資持分(コモンユニット)を市場で買い戻しました。これにより、20億ドルの自己株式買戻しプログラムの下での累計買戻し額は約11億ドルに達しました。買収による資産拡大や資本プロジェクトの運用開始により、純利益と分配可能キャッシュフロー(DCF)の増加が見込まれます。さらに、市場に流通するコモンユニットの減少により、DCFが少数の株主に分配される形となり、配当(分配金)の増額余地が生まれます。

第4四半期には、EPDの配当再投資プラン(DRIP)および従業員持分購入プラン(ESPP)を通じて、160万ユニット(4800万ドル相当)のコモンユニットが購入されました。これにより、年間合計で650万ユニット(1億8800万ドル相当)の買付が行われたことになります。EPDの従業員の約半数が従業員持分購入プランに参加しており、また、経営陣がコモンユニットの32%を保有していることからも、経営陣と株主の利益がしっかりと一致していることが伺えます。

2024年度の業績として、EPDは99億ドルのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)および78億ドルの分配可能キャッシュフロー(DCF)を達成し、分配カバレッジ比率は1.7倍になりました。さらに、1月には四半期分配金の増額を発表し、コモンユニット1口あたり0.535ドルに引き上げました。これは前年同期比で3.9%の増加となります。

2024年度末時点で、EPDの総合レバレッジ比率は3.1倍(目標範囲の2.75~3.25倍内)となり、ミッドストリーム業界内でも最も低い水準の一つです。また、負債の加重平均期間は約18年、加重平均金利は4.7%となっています。さらに、98%の負債が固定金利であるため、金利変動の影響を受けにくい構造となっています。

総じて、EPDの投資適格級のバランスシートは、設備投資、ユニット買戻し、分配金の成長、戦略的買収を強力に支える要因となっています。

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)に対する結論

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)は、最新の決算においても、引き続きブルーチップ投資にふさわしい存在であることを証明しました。MLP業界の中で、EPDと同じレベルの評価に値する企業は非常に限られています。

EPDが多くの競合他社と大きく異なる点は、ユニットホルダーの資本を慎重に管理する姿勢にあります。一部の企業は「帝国構築型」の成長戦略をとり、成功すれば将来的に大きなリターンを得られる可能性がありますが、リスクも伴います。一方で、EPDは保有資産のパフォーマンスを最大限に引き出すことを優先し、十分な実績を積んでから成長拡大を進めるという戦略を取っています。このアプローチにより、私たちは安心してユニットを保有し、安定した分配金を享受しつつ、四半期ごとに企業の健全性を確認しながら長期的に投資を続けることができます。

リタイア後は、過度にリスクを取る時期ではありません。ポートフォリオの中には多少の投機的な投資を含めることもありますが、資本の成長と分配金の両面で安定したリターンをもたらす「基盤となる銘柄」を持つことは非常に重要です。このような銘柄を保有することで、リタイア後の資産は安定し、計画的な資産管理が可能になります。その結果、経済的な不安を減らし、家族や大切な人との時間をより充実したものにできるでしょう。


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