03/11/2025

【Part 1:第1章】フォーティネット(FTNT)株価予想:目標株価は131ドル?将来性と今後の株価見通しに迫る!

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  • 本編「Part 1」では、「Rule of X(SBC込み)」を用いて、高パフォーマンスながら低バリュエーションの銘柄を特定し、中国株、半導体、コンシューマーテクノロジーなどの分野で投資機会を探ります(市場や地政学的要因の影響も考慮しています)。
  • そして、フォーティネット(FTNT)、センチネルワン(S)、パロアルトネットワークス(PANW)の初期の投資仮説を振り返り、弊社の最新のDCFバリュエーションを共有し、長期的な投資視点を解説していきます。
  • 本稿「Part 1:第1章」では、注目の米国サイバーセキュリティ銘柄である「フォーティネット(FTNT)とは?」という基礎的な内容に加えて、最新のバリュエーション分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • フォーティネットは2023~2024年に売上減速を経験しましたが、循環的な回復が進んでいます。しかしながら、本質的価値は市場で過小評価されており、成長余地があるように見えます。
  • フォーティネットは、従来のSASE(Secure Access Service Edge)戦略にとどまらず、ミドルマイルの最適化に注力しています。
  • 自社PoP(Point of Presence)ネットワークを構築し、垂直統合を進めることで、コストを抑えながらネットワークのパフォーマンスを向上させています。
  • ASIC(特定用途向け集積回路)の活用を通じて、競合他社と比べて一層のコスト効率の実現が可能であると見ており、今後の収益性の向上が期待できると考えています。

注目の米国上場銘柄のバリュエーション分析

以下の表は、財務パフォーマンスが優れているにもかかわらず、バリュエーションが低い銘柄を強調するためのものです。これらの銘柄は、財務の健全性を示す重要な指標である「Rule of X(SBC込み)」に基づいてソートされています。

Rule of X(SBC込み)とは、企業の成長性と収益性を評価する指標「Rule of 40」を拡張し、Stock-Based Compensation(SBC:株式報酬)を考慮に入れたバージョンです。

従来のRule of 40は、売上成長率+営業利益率の合計が40%以上であることが、SaaS企業や成長企業にとって望ましいとする基準でした。

しかし、SaaS企業などではSBCの割合が高く、実際の利益が過大評価されることが問題視されています。そのため、SBCを考慮した「Rule of X」が使われるようになっています。

Rule of Xの詳細は、下記のレポートをご覧ください。

そして、各銘柄の「Rule of X(SBC込み)」のパーセンタイル順位を算出し、バリュエーションのパーセンタイルと組み合わせることで、「低く垂れた果実(low-hanging fruit)」、つまり財務パフォーマンスが高いにもかかわらず割安に放置されている銘柄を特定しています。なお、EV / (FCF - SBC)がマイナスの銘柄については、一律で倍率を10,000と設定しており、その結果、バリュエーションのパーセンタイル順位は「NA」となっています。

※EV / (FCF - SBC):企業価値 /(フリーキャッシュフロー - 株式ベースの報酬)

(出所:筆者作成)

注目の米国上場銘柄とは?

いくつかの銘柄は、特に魅力的な投資機会として浮かび上がります。中国株のPDDホールディングス(PDD)とリ・オート ADRLI)は、それぞれeコマースとコンシューマーテクノロジーの分野で事業を展開しており、財務パフォーマンスが非常に優れているにもかかわらず、バリュエーション指標は極めて低水準にあります。中国人民銀行が2024年後半に景気刺激策を実施したものの、中国株に対する悲観的な見方や不確実性が依然として根強く、市場では大幅なディスカウントが続いています。特に、Temuを運営するPDDホールディングスに関しては、トランプ前大統領による関税の再導入への懸念がバリュエーションの重荷となっている可能性があります。しかし、EV / (FCF - SBC)がわずか7倍であることを考慮すると、同社の株価は非常に魅力的な水準にあるように見えます。

半導体セクターでは、TSMC(TSM:台湾積体電路製造)、KLA(KLAC)、ラムリサーチ(LRCX)、ラムバス(RMBS)、ASMインターナショナル(ASM:NA)、ASMLホールディング ASML)が、平均を上回る財務パフォーマンスを示しながらも、バリュエーションは低水準にあります。この割安な評価は、トランプ政権2.0によるサプライチェーンの不透明感や、市場におけるGPU需要減退への懸念に起因している可能性があります。特に、DeepSeekの技術革新によって、低コストな代替手段が普及すれば、高価な大規模言語モデル(LLM)の需要が低下するとの見方が市場で広がっています。

また、アリスタ・ネットワークスANET)は半導体企業ではありませんが、データセンター向けのネットワークソリューションを提供していることから、本分析では類似の特性を持つ銘柄として扱うことができます。

コンシューマー(消費者向け)テクノロジー株のバリュエーションは割安?

加えて、コンシューマー(消費者向け)テクノロジー株は、エンタープライズ(企業向け)テクノロジー株と比べて低いバリュエーションで取引されているものの、依然として堅調な財務パフォーマンスを示しています。メルカドリブレ(MELI)、オスカー・ヘルス(OSCR)、ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)、アップスタート・ホールディングス(UPST)、シー ADRSE)、グラブ・ホールディングス(GRAB)はいずれも、財務状況やバリュエーションの観点から魅力的な銘柄であるようにも見えます。

特にメルカドリブレ、シー ADR、グラブ・ホールディングスの割安さは、米国以外に本拠を置く企業であることが影響している可能性があります。米国企業と比較してバリュエーションが抑えられがちである点が、引き続き市場評価の重荷となっていると考えられます。一方で、オスカー・ヘルスとヒムズ&ハーズ・ヘルスは、それぞれ医療保険および遠隔医療といった規制の厳しい業界に属しているため、新政権下での政策の不透明感が投資家心理に影響を与え、評価が伸び悩んでいる可能性があります。

そして、このようなバリュエーション分析を散布図で確認したい場合は、以下のチャートをご覧ください。ただし、銘柄数が多いため、すべての点に銘柄名を表示することはできません。詳細を確認するには、こちらのリンクをクリックし、カーソルをドットの上に置くと各銘柄名が表示されます。

なお、X軸は、EV/(FCF-SBC)の倍率に対する「Rule of X(SBC込み)」を示しており、EV / FCFの倍率に対する「Rule of X」となっています。

(出所:Poe)

(出所:Poe)

(出所:Poe)

また、以下のリンクから弊社の最新のDCFバリュエーションを確認できます。現在のところ、フォーティネット(FTNT)、センチネルワン(S)、パロアルトネットワークス(PANW)のバリュエーションのみ更新されています。Part 2およびPart 3では、すべてのバリュエーションを更新する予定です。

💡 DCFバリュエーションの詳細

そして、次章以降では、フォーティネット、センチネルワン、パロアルトネットワークスの長期的な投資シナリオについて、弊社の最新の見解とアップデートをお伝えしていきます!

では、早速、本題に入っていきましょう!


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フォーティネット(FTNT):循環的な回復の中で投資判断を再確認

2023年末から2024年初めにかけて予想していたとおり、フォーティネット(FTNT)はサプライチェーンの混乱によって悪化していた製品売上の減速から回復しました。2021年から2022年にかけては、更新サイクルの集中、セキュリティ投資の増加、パンデミックによる流動性の拡大を背景に、製品売上が40%以上という急成長を遂げました。しかし、当時の売上拡大を支えた要因は、供給混乱の影響で積み上がった受注残に起因しており、この反動によって2023年から2024年にかけて成長鈍化が発生しました。2024年第1四半期には成長率が最低の7%まで落ち込み、短期的な決算動向に過度に反応するウォール街の投資家心理は極端に弱気な姿勢へと傾きました。

しかし、この循環的な影響は1年以上前から明らかでした。下記の過去の目標株価チャートを見ると、2023年末には市場コンセンサスが70ドルを下回り、強気な予測でも80ドルを割り込んでいたことが分かります。一方で、弊社のバリュエーション分析では、一貫して同社の本質的価値を100ドル以上と評価しており、長期的な業績の積み上げ次第ではさらなる上昇余地があると考えています。

(出所:Koyfin)

SASEを超えて:市場がフォーティネット(FTNT)の戦略を過小評価し続ける理由

現在も続いている大きなギャップとして、投資家がフォーティネット(FTNT)の戦略をSASE(Secure Access Service Edge)という狭い枠組みで捉えている点が挙げられます。

SASEとは、クラウド時代に適したネットワークセキュリティのアーキテクチャで、ネットワークとセキュリティを統合したソリューションです。Gartner社(世界最大級のIT・テクノロジー分野に特化した調査・アドバイザリー企業)が2019年に提唱した概念で、クラウドベースのネットワークセキュリティ機能(SWG、CASB、ZTNA、FWaaSなど)とSD-WANを統合し、エッジやリモートワーカーに安全で最適なアクセスを提供します。

従来の境界型セキュリティ(オンプレミスのファイアウォールやVPN)では、クラウドやリモートワーク環境の増加に対応しきれません。SASEは、ユーザーがどこからでも安全にアプリケーションやデータにアクセスできるようにし、ゼロトラストの原則に基づいたアクセス制御を実現します。

しかし、以前執筆した同社のテクノロジー上の競争優位性に関する詳細な分析レポート詳細は下記のレポートをご覧くださいで述べたように、同社の目指す領域はそれにとどまらないと見ています。

直近のInvestor Day(投資家向け説明会)では、同社が掲げるビジョンと、Gartner社による厳格なSASEの定義との違いが、ようやく明確に示されました。これは当社が以前から必要だと主張していた区別です。以前から述べている通り、同社のアプローチは単にGartner社の定義を満たすだけではなく、「ファーストマイル」(ユーザーから最初のセキュリティ検査まで)を保護することにとどまりません。

同社は、クラウドPoP(Point of Presence)、オンプレミス、リモート環境など、あらゆる場所に導入可能な統合型ネットワークとセキュリティの開発に積極的に投資してきました。さらに、企業ネットワークにおいて重要でありながら見落とされがちな「ミドルマイル」の領域にも積極的な投資を行っており、このボトルネックの解消を図っています。

(出所:筆者作成)

フォーティネット(FTNT)のミドルマイル戦略:長期的な優位性の鍵

多くのSASEベンダーは、「クラウドファーストの世界」を前提に、ファーストマイル(ユーザーから最初のセキュリティチェックポイントまで)の最適化に注力しています。特に、SaaSアプリケーションへのアクセスを中心に考えた設計が一般的です。しかし、実際には、多くの企業がクラウドとオンプレミスのアプリケーションを併用しており、依然として自社のデータセンターに大規模なワークロードを保持しています。

ここでの課題は、オンプレミス環境へのトラフィックを効率的にルーティングすることです。従来、この目的のためにはMPLS(マルチプロトコルラベルスイッチング)が必要でしたが、このソリューションは高コストで柔軟性に欠けるという問題があります。こうした背景のもと、WAN-as-a-Service(WANaaS)が新たな機会をもたらしています。

ミドルマイルは、最初と最後のセキュリティチェックポイントをつなぐ重要な経路です。しかし、この領域を運営する大半のISPは地域限定もしくはせいぜい二大陸間のネットワークにとどまっており、その結果、パケットは複数のキャリアを経由する必要があり、複雑性の増大、混雑の可能性、そしてコスト非効率につながります。

ファーストマイルはSD-WANのオーバーレイで最適化できますが、ミドルマイルの最適化には、複数の通信事業者間でピアリング(相互接続)契約を結ぶ必要があり、低遅延かつコスト効率の良いトラフィックルーティングを実現するには高度な調整が求められます。

そして、フォーティネット(FTNT)は、ミドルマイル戦略を通じて、このボトルネックの解決に積極的に取り組んでいます。同社は、クラウドフレア(NET)やNetskopeがグローバル展開を進めたように、垂直統合型のPoP(Point of Presence)ネットワークを構築することを目指しています。ミドルマイルのインフラを自社で保有・運営することで、トラフィックの流れを直接管理し、サードパーティのキャリアへの依存を減らし、レイテンシ(遅延)を低減し、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させることが可能になります。

このアプローチは、ユーザー体験の向上に寄与するだけでなく、長期的なコスト競争力の強化にもつながります。同社が独自のPoPを拡張することで、ハイパースケーラーやコロケーションサービスに支払うマークアップ(それぞれ約66%および約50%の粗利益率)を回避し、競合他社がリースインフラに依存するのに対し、はるかに低コストでネットワークトランジットを最適化できます。

この戦略によって、同社は高性能でセキュアなネットワークを提供できるだけでなく、構造的に粗利益率とFCF(フリーキャッシュフロー)マージンの改善も実現できます。

フォーティネット(FTNT)の4つのアプローチによるPoP戦略

フォーティネット(FTNT)は、短期的にグローバルカバレッジを迅速に拡大し、長期的にはセキュアネットワーキングの分野で優位性を確立するため、4つのアプローチを採用しています。この戦略の概要は以下のとおりです。

1️⃣ ハイパースケーラーPoP(短期的な拡張策)

フォーティネットは、Google Cloudのネットワークを活用し、PoP(Point of Presence)拠点を迅速に拡大しています。この手法はパロアルトネットワークス(PANW)のアプローチと似ていますが、あくまで一時的な措置として位置付けられています。

2️⃣ コロケーションPoP(エクイニックスなどの活用)

フォーティネットは、エクイニックスEQIX)をはじめとするコロケーション施設を活用し、自社のFortiGate ASICを展開しています。この方法は、設備スペースに制約があるものの、インフラの柔軟な展開を可能にする中間的なアプローチです。

3️⃣ サービスプロバイダー(SP)PoP

フォーティネット独自の市場参入(GTM)戦略として、サービスプロバイダー(SP)が同社のハードウェアとソフトウェアを活用し、独自のSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションを構築できるようにするモデルを提供しています。これは「Sovereign SASE」として展開されており、ゼットスケーラー(ZS)やパロアルトネットワークスといったプレミアム価格の競合製品と比べて、コスト優位性を持つ未開拓の市場です。

また、このサブ戦略の重要なポイントとして、ネットワークの「ファーストマイル」におけるレイテンシ(遅延)を大幅に削減できることが挙げられます。多くのサービスプロバイダーはエンドユーザーに物理的に近い拠点を持っており、通常5ミリ秒未満でリクエスト処理が可能なため、低遅延な通信環境を実現できます。

4️⃣ 完全自社保有のPoP(長期的な最終目標)

最終的には、フォーティネットが完全にインフラを管理する自社専用のPoPを構築し、コスト最適化、パフォーマンス向上、ASICスタックとの統合を最大限に強化することが理想の形です。

フォーティネット(FTNT)のオーケストレーター層が多様な導入を可能にする鍵

フォーティネット(FTNT)のオーケストレーター層は、多様な導入形態を実現する上で重要な役割を果たしています。この仕組みにより、以下の3つの機能が提供されます。

1️⃣ インフラの違いを抽象化する中央制御プレーンの提供

2️⃣ APIを活用したハイパースケーラーやサービスプロバイダー(SP)環境との自動統合

3️⃣ サービスプロバイダー向けのマルチテナントポリシー委譲を可能にし、プライベートSASEソリューションの提供を支援

フォーティネットのプライベートSASEは、企業が自社データセンター内でSASEを運用するために、同社がハードウェアとソフトウェアを提供する導入形態です。これは、サービスプロバイダーが同社のSASEをマルチテナント環境で利用し、顧客向けのセキュアネットワークを構築する「Sovereign SASE」とは対照的なものです。

4つ目の戦略である「完全自社保有のPoP」は、同社の垂直統合戦略をさらに推し進めるものです。Ken Xie(ケン・シー)氏をはじめとする同社のエンジニアリングチームは、ネットワークインフラを完全に自社内で管理することによって生まれる大きな価値を十分に認識しています。

この戦略の最大の利点は、構造的にコストベースを引き下げ、競争力を大幅に向上させることです。同社が独自のPoPを所有することで、エクイニックスを利用するクラウドフレアのようなコロケーション依存のSASE企業や、GCP(Google Cloud Platform)を活用するパロアルトネットワークスのようなハイパースケーラーIaaS依存の企業と比較して、圧倒的なコスト優位性を確保できます。

参考までに、エクイニックスの粗利益率は約48%であるため、フォーティネットがサードパーティのコロケーションを回避することで、1ドルあたり48セントのコスト削減を実現できます。しかし、より大きな効率向上は、フォーティネットのASIC(特定用途向け集積回路)を活用したコスト構造によるものです。

 ASICの効率性

フォーティネットのカスタムシリコン(ASIC)は、一般的なx86ベースのセキュリティ処理と比べて、電力消費や計算コストを大幅に抑えながら高いスループットを実現するよう設計されています。

特に、パロアルトネットワークスがGCP(Google Cloud Platform)上で稼働するソフトウェアベースのアプライアンスに依存しているのに対し、フォーティネットは独自のASICを活用することで、計算処理とエネルギーコストの両面で約10倍のコスト削減が可能と見込まれます。

 自社PoP vs. ハイパースケーラーIaaS

パブリッククラウドインフラは、高額なマークアップが適用されており、ハイパースケーラーの粗利益率は約66%に達します。そのため、フォーティネットがハイパースケーラーのPoPを自社専用PoPに置き換えることで、IaaS(Infrastructure as a Service)にかかるコストを回避し、インフラ費用を約3分の1に削減することができます。

フォーティネット(FTNT)のCOGS(売上原価)の内訳:競争力の差

当社の試算によると、計算処理(コンピュート)とエネルギーコストが売上原価(COGS)の約70%を占め、残りの30%がネットワークおよびストレージ関連のコストに割り当てられています。

フォーティネット(FTNT)のASICによる10倍の効率性をこの70%の部分に適用すると、計算処理とエネルギーコストだけで売上原価を7分の1に削減できる計算になります。

さらに、ハイパースケーラーのPoPを自社PoPに移行し、IaaS(Infrastructure as a Service)にかかる66%の粗利益率を排除することで、売上原価を3分の1に削減できます。

これらを組み合わせた最終的なCOGS削減効果は以下のとおりです。

 計算処理/エネルギー効率の向上による 7倍の削減

 ハイパースケーラーIaaSから自社PoPへの移行による 3倍の削減

 最終的な影響:パロアルトネットワークスと比較して約10倍のCOGS削減

この構造的なコスト削減は、単にフォーティネットの価格競争力を高めるだけでなく、キャッシュフローの転換率を大幅に向上させ、長期的な株主リターンの強化にもつながります。

多くのSASE競合企業はサードパーティのインフラに依存しており、垂直統合を進める道がないのに対し、同社のビジネスモデルは、より高い収益性を維持しながらスケールし、優れたネットワークパフォーマンスを提供できる点が大きな強みです。

フォーティネット(FTNT)のバリュエーションの視点:アルファを見出すポイント

フォーティネット(FTNT)は循環的な回復と過小評価されているミドルマイル戦略を持ちながらも、売上成長率が10%台半ばを超えて再加速することは期待していません。その代わり、当社の投資判断の中心はマージン拡大にあります。特に、最終的にFCF(フリーキャッシュフロー)マージンを約45%(直近12カ月の32%から)に引き上げることを重視しています。

同社の経営陣による3〜5年のガイダンスでは、FCFマージンは30%台後半を見込んでいます。また、DCFバリュエーションを試算すると、市場は同社の終端FCFマージンを約40%と想定しているように見えます。しかし、同社が自社PoPを拡大することで、終端マージンを45%まで引き上げる明確な道筋が見えてきます。

当社の最新のバリュエーションモデルでは、FY27(2027年会計年度)〜FY30(2030年会計年度)の年平均成長率(CAGR)を15%、および構造的に改善されたコスト基盤を前提とし、本質的価値(インストリンシック・バリュー)を1株あたり131ドルと試算しています。執筆時点の株価と比較すると、30%の上昇余地がある計算になります。

フォーティネット(FTNT)の独自性:ハイブリッド型のセキュアネットワーキングリーダーへ

フォーティネット(FTNT)は、ゼットスケーラーのようにファーストマイルにのみ焦点を当てるのではなく、ネットワークのパフォーマンスとコスト非効率が最も顕著なミドルマイルを最適化することで、より広範に事業を展開しています。

さらに、クラウドフレアやNetskopeのようにコロケーションプロバイダーや市販のハードウェア(COTS)に依存するのではなく、自社PoPを所有し、カスタムASICを搭載したFortiGateを運用することで、垂直統合を進めています。

この水平展開と垂直統合の二重戦略によって、フォーティネットは構造的なコスト優位性と高いパフォーマンスを実現し、単なるSASEベンダーではなく、ハイブリッド型の最適化されたセキュアネットワーキングのリーダーとしての地位を確立しています。

(出所:筆者作成)

次章では、センチネルワン(S)とパロアルトネットワークス(PANW)に関する詳細なバリュエーション分析を解説していきますので、インベストリンゴのプラットフォーム上より併せてご覧ください。

※続きは「【Part 1:第2章】センチネルワン(S)株価予想:目標株価は40ドル?将来性と今後の株価見通しに迫る!」をご覧ください。


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