【2024年11月】マクロポートフォリオ・アップデート:18%のリターンを実現も、相場調整に備えてポジション縮小を検討!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、ETFを中心に構成される私のポートフォリオの1つである「マクロポートフォリオ」、並びに、米国経済の温度感を測る際に私が使用する自身の「マクロマトリックス」の2024年11月の最新のアップデートについて詳しく解説していきます。
- 特に、金や原油、ドル、S&P 500、ビットコインの各チャート分析に基づき、今後の価格動向を予測するとともに、筆者独自の「マクロマトリックス」を使用して米国株式市場と米国経済の見通しを詳述しています。
- 米国経済だけでなく、ドイツや中国のリスク要因も考慮しつつ、流動性や複数の経済指標を用いて世界経済の現状と将来のリスクについて解説しています。
- マクロポートフォリオはビットコインやQQQなどのリスク資産により高リターンを達成している一方で、今後の相場の調整に備えて一部ポジションを縮小しつつ、押し目買いのチャンスを検討しています。
※「トランプノミクスとは?トランプの経済政策をわかりやすく解説!」の続き
今後の米国市場の見通し
前回のマクロ分析では、今後のスケジュールや予測について基本的な内容をお話ししました。
本稿では、より具体的に、金(ゴールド)、原油、ドル、S&P 500、ビットコイン(BTCUSD)といった個別のチャートに焦点を当てていきます。
また、市場の動きを予測するために私が開発した「マクロマトリックス」も一緒に見ていきます。
金(ゴールド)
(出所:TrendSpider)
トランプ大統領の当選後、金価格は意外にも大きく下落しています。
テクニカル的には、すでに買われすぎの状態で、2段階のエクステンションを超えていたため、私は反転のタイミングだと考えていました。
そして、ついにその反転が起きました。
今後、金は218ドルまで下がる可能性があり、そこには取引量が多いサポートラインがあります。
原油
(出所:TrendSpider)
原油は現在、トライアングル内で収束する動きが続いており、ここから下落する可能性もあると見ています。
これは、景気後退が起きる場合や、トランプ政権の政策で原油の供給と生産が増加した場合に現実のものとなるでしょう。
S&P 500 (SPX)
(出所:TrendSpider)
S&P 500は6100付近のエクステンション2に接近しており、RSIが上限トレンドラインに達して本格的な買われすぎ状態になるまで、まだ少し余地があるように見えます。
ビットコイン(BTCUSD)
(出所:TrendSpider)
現在90,000ドル付近で小休止する可能性がありそうですが、まだ上昇余地が残っており、100,000~150,000ドルの範囲に到達する可能性があります。
このエリアはエクステンション1.618から2.618の範囲内にあたります。
ドル指数 (DXY)
(出所:TradingView)
最近、ドルが株、金、そして金利と一緒に上昇しているのは非常に珍しい現象です。
テクニカル的には、今の取引ゾーンの上限に接近しており、この後、ビットコインやリスク資産がさらに上昇する際には、再度安値を試す展開になる可能性があります。
マクロマトリックスとポートフォリオの最新情報
市場の動向を把握するための「マクロマトリックス」を更新する時が来ました。
また、リターンが18%以上に達している「マクロポートフォリオ」についても見直し、必要に応じて調整を行います。
今回は、米国経済以外のリスク要因として、中国やドイツの状況にも触れていきます。
マクロマトリックスの詳細に関心のある方は、こちらのリンクをご覧ください。
米国経済の現状を評価するために追っている10の指標があります。
ここでいくつかのチャートをアップデートしながら一緒に見ていきましょう。
流動性の現状
(出所:MacroMicro)
最新データでは、長期的には流動性の上昇傾向が続くと予想されますが、短期的には一時的な低下があり得ます。
Michael Howell氏の分析では、2025年に入ると流動性がやや弱まる可能性が示唆されています。
(出所:CrossBorder Capital)
(原文)Latest data show that the drivers changed a tad last week. We have written lately that a combination of weaker Central Bank liquidity growth, a wobble in bond markets (collateral values) and a sharp pick-up in bond market volatility halted the expansion which started in July. Latest data show US bond markets recovering and bond market volatility (as measured by the MOVE index) retreating. Aside from these positives, a recovering US dollar and weak CB liquidity growth elsewhere is keeping liquidity growth in check.
(日本語訳)最新のデータによると、先週から市場を動かす要因に少し変化が見られました。ここ最近、中央銀行の流動性成長の鈍化、債券市場(担保価値)の不安定化、そして債券市場のボラティリティ急上昇が、7月から続いてきた拡大傾向を一時停止させているとお伝えしてきました。最新のデータでは、米国債市場が回復し、MOVE指数で測られるボラティリティも低下しています。ただし、これらのプラス要因に加え、米ドルの回復や他の地域での中央銀行流動性の鈍化が流動性の増加を抑える要因となっています。
(出所:Capital Wars)
その他の経済指標
また、CLI(コンポジット先行指標)の前年比成長率はすでに減速傾向にあります。
これは米国と異なる世界経済の強さを示す指標です。
(出所:MacroMicro)
台湾の輸出は10月にわずかに増加し、経済の拡大余地がまだ残っていることがわかります。
(出所:MacroMicro)
さらに、Sahmルールも改善し、労働市場のデータが予想を上回りました。
失業率が上昇し始めるとそのまま景気後退まで続くことが多い中、今回の改善は珍しい傾向です。
(出所:FRED)
また、注目すべき点として、2年物国債の逆イールドが解消されたことが挙げられます。
逆イールドが解消されると通常は6か月以内に景気後退が始まるため、今後スティープニング(利回りの急上昇)が続くかどうかを注視する必要があります。
米国外の状況
ドイツは経済指標が悪化しており、2025年3月には総選挙が行われる可能性も高まっています。
同国は既にリセッション状態にあると言っても過言ではありません。
ヨーロッパがリセッション入りする一方で、米国がそれを回避できる可能性もありますが、それは難しいかもしれません。
過去、日本市場の急落が他の市場に波及したように、すべての市場はつながっているからです。
また、ドイツの連邦債(Bund)とOISスプレッドの急上昇が見られ、2008年のリーマンショック時を思わせる不安要素となっています。
マクロポートフォリオの影響について
私のマクロポートフォリオは、ビットコイン(BTCUSD)やインベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ)といったリスク資産の効果で、現在18.2%のリターンを達成しています。
マクロポートフォリオの詳細に関心のある方は、こちらのリンクをご覧ください。
以下に各ポジションのパフォーマンスを示しています。
ご覧の通り、Grayscale Bitcoin Trust(GBTC:ビットコイン投資信託)が最も好成績で、アルゼンチン市場に連動するグローバルX MSCIアルゼンチンETF(ARGT)がこれに続いています。
全体的に好調ですが、リスク管理のために一部のポジションを調整し、少しずつ縮小していこうと考えています。
ただし、完全に売却するわけではありません。
現在、削減を検討しているポジションは以下の通りです:
・ビットコイン、Grayscale Bitcoin Trust
・リート(不動産投資信託):iシェアーズ中国大型株ETF(FXI)、iシェアーズ・グローバルREIT ETF(REET)
・原油:ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド(USO)
今のところ、ショートポジションに入るつもりはありませんが、金(ゴールド)についてはまだ下落の余地があると考えています。
最後に
これまでのところ、今回の相場の上昇にうまく対応できており、引き続き強気の姿勢を保っていますが、そろそろ相場が天井に近づいている可能性もあります。
データや市場のムードも強気に傾いており、このまま来年も株価が毎年20%上昇し続けることは現実的ではありません。
そのため、どこかで調整が入るのは避けられないと見ています。
今後2週間でポジションを少し軽くし、売りが出たタイミングでリスクとリターンを見極めながら、押し目買いのチャンスを探る予定です。
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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