【ETFポートフォリオの作り方】シンプルで分かりやすいETFを活用して分散投資を行い、市場平均を上回るリターンを実現!
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- 本稿では、「ETFポートフォリオの作り方とは?」という疑問に答えるべく、私が実践しているETFによるポートフォリオ運用の方法とポートフォリオの詳細を解説していきます。
- 私の運用するポートフォリオの1つである「マクロETFポートフォリオ」は、長期的な市場動向に基づき、シンプルで分かりやすいETFを活用して分散投資を行い、市場平均を上回るリターンを目指しています。
- 現在のポートフォリオはS&P 500を若干上回る成績を記録しており、新たにヴァンエック中小型金鉱株ETF(GDXJ)とGrayscale Ethereum Trust(ETHE)を追加することで、2025年に向けた投資戦略を強化しています。
- ビットコインやイーサリアム、住宅市場、新興国市場などに強気の見方を示しつつ、原子力やゴールドなど一部の資産には慎重なスタンスを維持しており、市場動向を注視しながらポートフォリオ運用を続けていきます。
はじめに
ご存じの方も多いかと思いますが、私は「マクロETFポートフォリオ」を運用しています。このポートフォリオでは、シンプルで購入しやすく、理解しやすいETFを活用し、長期的なマクロの動向に合わせたポジションを取っています。
このポートフォリオの目的は、グローバルかつマルチアセットに分散投資し、リスクとリターンのバランスを取りながら、市場平均を上回るリターンを狙うことです。
本日の投稿では、現在の保有ポジションをアップデートし、各ETFのファンダメンタルズとテクニカル分析を詳しく解説した上で、それぞれの銘柄に「買い・売り・ホールド」の評価を付けていきます。
また、本日新たに追加する2つのポジションについても紹介し、2025年に向けて期待している理由をお話しします。
本稿で学べること
✅ コモディティが好調な理由
✅ 2025年の株式市場展望:SPX・NDX・IWMのどれに注目しているか
✅ 2025年に向けた「逆張り」トレード2選
それでは、さっそく始めましょう!
マクロETFポートフォリオアップデート
まず最初に、マクロETFポートフォリオはこの1年間でS&P 500(SPX)を若干上回るパフォーマンスを記録したことをお伝えしておきます。
(出所:Snowball Analytics)
指数が+20%の上昇を見せている中では、悪くない結果といえます。
それでは、各ポジションについて詳しく見ていきましょう。
(出所:Snowball Analytics)
(出所:Snowball Analytics)
※上記のすべての銘柄について、私はロングポジションを保有しています。
以下、各ポジションの詳細を説明した後、今回新たに追加するヴァンエック中小型金鉱株ETF(GDXJ)とGrayscale Ethereum Trust(ETHE)についても解説していきます。
Grayscale Bitcoin Trust(GBTC:強気)
(出所:TrendSpider)
Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)はビットコイン(BTCUSD)へのエクスポージャーを提供するETFで、現在はETFとして取引されているため、ほぼ暗号資産そのものと同じような値動きをしています。
そして、ビットコインは過去2か月間、レンジ相場が続いていますが、引き続き新高値を更新することを期待しています。その根拠は以下のとおりです。
✅ 過去の4年周期(通常、6~8か月の上昇トレンドが期待される)
✅ 機関投資家の採用拡大
✅ 通貨ヘッジとしての役割
長期的に見れば、ビットコインは最も重要なマクロ資産の一つになり得ると考えています。
基本的に、現在の債務主導型の経済システムでは、最終的に通貨価値の下落によってデレバレッジ(負債圧縮)が進む可能性が高いです。これは避けられない構造的な影響であり、長期的には通貨の価値が下がり続ける傾向にあると予想されます。
ビットコインに少しでも投資してみたいと考えている方にとって、現在の価格は良いエントリーポイントだと思います。もし85,000ドルまで上昇すれば、さらに買い増しを検討します。
グローバルX・MSCIアルゼンチンETF(ARGT:中立)
(出所:TrendSpider)
グローバルX・MSCIアルゼンチンETF(ARGT)はアルゼンチン市場へのエクスポージャーを提供するETFで、追加以来、大きく上昇しました。しかし、現在の上昇トレンドがやや過熱気味である可能性があるため、「中立」に格下げします。
なお、ミレイ大統領の暗号資産プロジェクトの失敗によって一部信頼性を損ねた部分はあるものの、彼のアルゼンチン改革に対する取り組み自体は依然として評価しています。
2025年に向けては、以下の要因により、アルゼンチン市場にはさらなる成長余地があると考えています。
✅ インフレ率の低下
✅ 財政黒字の実現
✅ カントリーリスクの低下
✅ 5.5%のGDP成長予測
一方で、同ETFにはいくつかのリスクもあります。主な懸念点としては、利確売り、政治的な不安定性、メルカドリブレ(MELI)への高いエクスポージャーが挙げられます。
ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティETF(CIBR:弱気)
(出所:TrendSpider)
(出所:Seeking Alpha)
ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティETF(CIBR)は、成長を続けるサイバーセキュリティ業界へのエクスポージャーを提供するETFです。サイバーセキュリティ市場は、2024年から2029年の間に年平均成長率(CAGR)12.5%で拡大し、総額1,640億ドルの増加が見込まれています。
長期的な見通しは依然として堅調ですが、テクニカル的にはやや過熱気味で、RSIも買われ過ぎの水準にあります。
しかしながら、現時点ではこのポジションを維持する方針です。
SPDR S&P ホーム・ビルダーズ ETF(XHB:強気)
(出所:TrendSpider)
住宅市場は、住宅供給の増加、住宅ローン金利の低下、経済の安定化により、2025年には回復が見込まれています。
SPDR S&P ホーム・ビルダーズ ETF(XHB)は、分散されたポートフォリオと低いコスト比率を持つため、良い投資機会を提供すると考えます。年末には売りが出たものの、2024年のホームビルダー株はS&P 500をアウトパフォームしました。さらに、利下げ、安定した住宅価格、需要の増加といった要因が、さらなる上昇を後押しすると見ています。
現在、サポート水準で反発しており、もし指数平滑移動平均線(EMA)を上抜けることができれば、新高値更新も視野に入ります。
iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM:強気)
(出所:TrendSpider)
iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM)は過去2年間苦戦していましたが、ここ数カ月でいくつかのアウトパフォーマンスの兆しが見え始めています。
IWMは小型株へのエクスポージャーを提供し、2025年にはアウトパフォームする可能性があると考えています。
(出所:LSEG Datastream、Yarden Research、NFIB)
この点については次回のマクロレポートで詳しく解説しますが、基本的な考え方としては、信用サイクルがまだ初期段階にあるという点です。信用環境が緩和されつつあり、これは小型・中型株にとって大きな追い風になると考えています。
ヴァンエック・ウラニウム・アンド原子力ETF(NLR:中立)
(出所:TrendSpider)
(出所:Seeking Alpha)
ヴァンエック・ウラニウム・アンド原子力ETF(NLR)は「原子力ルネサンス」テーマへのエクスポージャーを提供するETFであり、追加以来の見解は変わっていません。
原子力は、クリーンかつ効率的なエネルギーへの最良の道の一つであり、もはや世界はこれを無視する余裕はないと考えています。
ただし、この1年間で市場の熱狂が高まり、一部の銘柄、例えばオクロ(OKLO)のような企業は300%も上昇しました。
そのため、現在は慎重な姿勢を維持しつつ、ポジションを中立としています。
iシェアーズ MSCIエマージング・マーケッツ ETF(EEM:強気)
(出所:TrendSpider)
新興国市場はようやく活気を取り戻しつつありますが、依然としてゆっくりとした上昇が続いています。
しかし、中国が本格的に市場に参入してきたことで、この指数がついにアウトパフォームし始めると考えています。
2025年の見通しとしては、ドル安が進むと予想しており、これはiシェアーズ MSCIエマージング・マーケッツ ETF(EEM)にとって強力な追い風になるでしょう。
現在、サポート水準を維持しており、大きな上値抵抗もないため、追加投資には良いタイミングだと思います。
iシェアーズMSCI韓国ETF (EWY:強気)
(出所:TrendSpider)
iシェアーズMSCI韓国ETF (EWY)はごく最近追加した銘柄ですが、比較的安値圏で買い付けることができました。現在、約7%の上昇となっており、韓国経済は今後の景気サイクルの改善によって、大きな恩恵を受ける可能性があると考えています。
最近のPMIデータも、韓国のビジネス環境の改善を示唆しています。
もちろん、関税の問題は依然として大きなリスクとなるため、引き続き注意が必要です。
SPDRゴールド・シェアーズ(GLD:中立)
(出所:TrendSpider)
現在、テクニカル的にはやや天井圏に見えますが、金(ゴールド)は長期的に保有すべき資産であると考えています。
ビットコインと同様に、金は避けられない長期的な通貨価値の低下(マネタリーディベースメント)に対するヘッジの役割を果たします。
そのため、SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)に関しては、現在の価格水準でも引き続きホールドする方針です。
iシェアーズ・シルバー・トラスト(SLV:強気)
(出所:TrendSpider)
iシェアーズ・シルバー・トラスト(SLV)は、まだ大きな上昇を見せていませんが、金の動きに追随する形で、今後1.618エクステンションの水準に到達すると期待しています。
また、週足MACDでは強気のクロスオーバーが間近となっており、さらなる上昇の可能性が高まっています。
そのため、SLVは強気のスタンスを継続します。
2025年に向けた2つの大胆な投資
本日、市場が開くと同時に、新たに2つのETFをポートフォリオに追加します。追加するのはヴァンエック中小型金鉱株ETF(GDXJ)とGrayscale Ethereum Trust(ETHE)です。
ヴァンエック中小型金鉱株ETF(GDXJ)
そうです。ジュニア・マイニング銘柄を再びポートフォリオに加えます。最近の上昇を経てもなお、これらの銘柄は金(ゴールド)に対して割安な状態が続いています。
(出所:Crescat Capital LLC)
以下が、マイニング株を選好する理由です。
✅ 割安な価格:企業の本質的な価値や成長可能性を適切に反映していない株価。歴史的な平均を下回る価格で推移しているものの、均衡回帰(ミーンリバージョン)が起こる可能性が高い。
✅ 低い投資家関心:投資家の関心が薄い市場では、将来的な価格上昇の余地が大きい。
✅ 高い成長ポテンシャル:安全マージンを確保しつつ、爆発的な成長機会を持つ企業。安定した収益拡大が見込める。
(出所:TrendSpider)
ヴァンエック中小型金鉱株ETF(GDXJ)は依然として過去の高値を大きく下回っています。ポイントは、金価格が3,000ドル付近で安定すればするほど、金鉱株の割安感が市場でより明確になり、それが企業の業績に反映されることです。
テクニカル面では、週足のMACDが強気のクロスを形成しており、もし弱気相場の1.618エクステンションを達成すれば、GDXJの価格は91ドルに達し、現在の約2倍となる可能性があります。
Grayscale Ethereum Trust(ETHE)
そうです。イーサリアム(ETHUSD)にも投資を開始します。これは逆張りの戦略ではありますが、十分に理にかなった選択だと考えています。
現在、ビットコイン(BTCUSD)はプロの機関投資家による採用が進んでいますが、次に来るのはイーサリアムであると見ています。イーサリアムは、大企業がブロックチェーン技術にアクセスするための最有力候補になると考えています。ソラナ(SOLUSD)はミームコインには適しているかもしれませんが、機関レベルで受け入れられるのはイーサリアムだけでしょう。
(出所:TradingView)
(出所:TrendSpider)
テクニカル的には、上昇三角形を形成中であり、ここからブレイクアウトする可能性があります。
もし本格的なアルトコインシーズンが到来するなら、イーサリアムが意外な勝者となるかもしれません。
まとめ
現在のところ、マクロETFポートフォリオに大きな変化はありません。引き続き強気市場が続いていますが、多くのポジションでは2025年に二桁成長を期待するのは難しいでしょう。
現在、最も強気な見通しを持っているのはIWM、EWY、そして今回追加した2つの新ポジション(GDXJとETHE) です。
もう1つの大きな投資アイデアとしては 中国市場も挙げられますが、新興国市場ETF(EEM)を通じてすでに一定のエクスポージャーを確保しているため、追加投資は慎重に判断したいと考えています。
今後も市場の動向を注視しながら、最適なポートフォリオ運用を続けていきますので、次回のアップデートもお見逃しなく!
また、私はマクロ経済、並びに、注目のテクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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