02/11/2025

【マグニフィセントセブンの決算結果】アルファベット(GOOG)とアマゾン(AMZN)の最新の決算分析を通じて将来性に迫る!

a close up of a dice with an amazon logo on itダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、注目の米国マグニフィセントセブンの一角を担うアルファベット(GOOG)とアマゾン(AMZN)の最新の2024年度第4四半期決算分析を通じて、両社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • アルファベット(GOOG)は2024年第4四半期決算で市場予想を下回る収益を報告しましたが、2025年に750億ドルの設備投資を計画し、その大半を技術インフラに充てる方針を示しました。
  • アマゾン(AMZN)はAWSの売上が前年同期比19%増加し、AI向けカスタムチップ「Trainium2」を発表するなど成長に楽観的な見方を示しましたが、供給面の課題も指摘されています。
  • 両社ともAI分野への投資を強化しており、アマゾンは年間1,050億ドル規模の設備投資を計画し、特にAWS向けの技術インフラ強化を進める中、サーバーの減価償却期間を短縮する決定を下しました。

半導体&AI関連銘柄の2024年第4四半期決算発表に関して

本稿では、下記銘柄の最新決算発表に関して詳しく解説していきます。

・アルファベット(GOOG)とアマゾン(AMZN)は最新の決算発表において、設備投資(CapEx)の方針を確認しました。両社とも非常に積極的な姿勢を示しており、DeepSeekの話は単なる「ストーリー」に過ぎないかもしれません。

・ついにIoT市場は底を打ったように見え、ノルディック・セミコンダクター(NOD.OL)とシリコン・ラボラトリーズ(SLAB)は、明確に底打ちを示唆するガイダンスを出しています。

・ラムバスRMBS)は、ここから上昇する可能性が高いと見ています。MRDIMMは2026年のテーマですが、それまでの間にPMICやDDR5の成長が期待できるでしょう。

・セムテックSMTC)はGB200におけるシェアを失いつつある可能性があります。

・インピンジュPI)の急落は皮肉にも、在庫管理ができていないことが原因です。今はまだ早いかもしれませんが、1〜2四半期後には投資のチャンスがあるかもしれません。

・アドバンスト・マイクロ・デバイセズAMD)は相変わらず低調です。GPU関連のストーリーが整理されれば、株価が上昇する可能性もありますが、現時点ではそのタイミングではないように見えます。

後程、別の分析レポートにてさらに詳しくお伝えしますが、まずは上述の銘柄の決算に関して簡潔にまとめてみましたのでご覧いただければと思います。


アルファベット(GOOG)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

アルファベット(GOOG)は2025年2月4日発表の2024年度第4四半期決算において、予想外の業績を報告しました。GCP(Google Cloud Platform)の不振により収益は市場予想を下回り、為替の影響も他社と同様に受けています。しかし、最大の驚きは、2025年に750億ドルの設備投資を計画していることです。「」は決算説明会におけるやり取りの一部です。

「まず、2025年通年の設備投資についてですが、第3四半期の決算説明会でも触れたように、AI関連の取り組みを拡大するにあたり、技術インフラへの投資を増やす予定です。具体的には、主にサーバー、続いてデータセンターやネットワーク設備への投資が中心となります。2025年の設備投資額は約750億ドルを見込んでおり、そのうち第1四半期には約160億〜180億ドルが投じられる予定です。なお、投資額は四半期ごとの納品スケジュールや建設計画の進行状況によって変動する可能性があります。」

この発表を受けて、ブロードコム(AVGO)、セレスティカ(CLS)、コンフォート・システムズUSA(FIX)といった銘柄が大きく上昇しました。設備投資の大半は技術インフラ向けであることが明らかです。

「私はこれまで述べたように、引き続き技術インフラに注目しています。今回発表した750億ドルの設備投資の大部分は、サーバーやデータセンターを含む技術インフラに充てられます。そのため、これをいかに効率的に進めるかが極めて重要です。」

今回の発表において、スンダー・ピチャイCEOの発言には迷いがありませんでした。彼は「推論モデル(Reasoning Model)が推論需要を加速させ、さらなる投資が必要になる」と考えています。

「推論モデルは、むしろこの流れを加速させると思います。というのも、推論の規模が拡大しているのは明らかだからです。だからこそ、私たちがAIの可能性にこれほどまでに期待している理由の一つは、利用コストがどんどん下がり、それによってこれまで実現が難しかったユースケースが次々と可能になると確信しているからです。これは非常に大きなビジネスチャンスであり、だからこそ私たちは今、その瞬間に備えて積極的に投資を進めています。」


アマゾン(AMZN)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

最後のハイパースケーラーについて見ていきます。アマゾン(AMZN)は2025年2月6日発表の2024年度第4四半期決算においてAWSの成長に楽観的な見方を示し、生成AI(GenAI)の可能性を過小評価するのは難しいと述べました。「」は決算説明会におけるやり取りの一部です。

「AWSについてですが、第4四半期にAWSの売上は前年同期比で19%増加し、年間売上高のランレートは1,150億ドルに達しました。一般的な基準から見ても、AWSは非常に大きな事業です。今後数年間は、企業の導入サイクル、キャパシティの考慮、技術の進化によって成長が不安定になる可能性はありますが、AWSの顧客やビジネスの将来について非常に楽観視しています。」

また、Trainiumについても言及がありました。彼らによると、Trainiumは現在のGPUインスタンスと比べて約30〜40%優れた価格性能比を実現しているとのことです。この考え方は、まさにGravitonのアプローチをGPUの世界に適用したもののように思えます。ただし、問題は技術的な遅れです。将来の主戦場はGB200であり、その分野では後れを取ることになるでしょう。

「顧客はより良い価格性能比を求めており、そのためにアマゾンは独自のAI向けカスタムシリコンを開発しました。Trainium2は昨年12月のAWS re:Inventカンファレンスで発表されたばかりです。これらのチップを搭載したEC2インスタンスは、現在利用可能な他のGPUベースのインスタンスと比べて、一般的に30〜40%優れた価格性能比を提供します。大規模な運用においては非常に魅力的な選択肢となるでしょう。」

また、生成AIがAWSの業務効率化に貢献した点についても説得力のある説明がありました。

「前回の決算説明会で、Q TransformがAmazonのチームに2億6,000万ドルのコスト削減と4,500人分の開発工数の削減をもたらし、3万以上のアプリケーションをJava JDKの新バージョンへ移行させた事例を紹介しました。これは実際に価値を生み出している技術であり、企業からのさらなる要望を受けて、新たにWindows .NETアプリケーションからLinuxへの移行、VMwareからEC2への移行、メインフレームの移行を加速するQ Transformationsを提供しました。初期の顧客テストでは、メインフレーム移行に数年かかるとされていたプロジェクトを数四半期で完了できる可能性が示されており、移行時間を50%以上短縮できることが確認されています。これは非常に大きな成果であり、こうした変革こそが実用的なAIの好例といえます。」

しかし、本当の焦点は設備投資(CapEx)です。彼らは、主にAIサービスを支えるために、年間ランレートで約1,050億ドルの支出を見込んでいます。

「当社の資本投資についてお話しします。改めてお伝えすると、当社は資本投資を、現金による設備投資(CapEx)と設備ファイナンス・リースの合計として定義しています。第4四半期の資本投資額は263億ドルであり、この水準は2025年の資本投資額の推移をおおよそ反映するものと考えています。2024年と同様に、支出の大部分は、増加する技術インフラの需要を支えるためのものとなる予定です。これは主にAWSに関連しており、AIサービスへの需要対応を含むほか、北米および国際事業の技術インフラを支えるための投資となります。」

また、予想外の対応として、サーバーの減価償却期間を短縮する決定を行いました。

「この結果、一部のサーバーおよびネットワーク機器の耐用年数を、2025年1月より6年から5年に短縮することになります。この変更により、2025年の年間営業利益が約7億ドル減少すると見込んでいます。」

彼らはこれを「AIにとって一世一代の機会」と表現しています。言い換えれば、AWSが本格的に目を覚まし、全力で取り組んでいるということのようです。

「当社は、需要の明確な兆候が見られない限り、調達を行いません。そのため、AWSが資本投資(CapEx)を拡大しているということは、特にAIのように「一世一代のビジネス機会」と考えられる分野において、中長期的にAWSの事業にとって非常に良い兆候だと考えています。」

「また、この機会を追求するために資本を投じることは、非常に重要な意味を持つと考えています。当社の視点では、現在存在するほぼすべてのアプリケーションが、AIを組み込む形で再構築されると見ています。そして、推論(インファレンス)は、コンピュート、ストレージ、データベースと同じように、コアとなる構成要素になると考えています。」

「この考えに加えて、これまで夢想していたような全く新しい体験がAIによって実現可能になるとすれば、AIは間違いなくクラウド以来の最大の機会であり、インターネットの登場以来、最も大きな技術変革とビジネスチャンスをもたらすものになるでしょう。」

彼らは、サードパーティ製のチップについて、市場投入までの時間がやや遅れていることに言及しました。その理由として、製造プロセスの中間段階での変更が影響しているとのことです。また、電力供給が制約となっており、チップの高い歩留まりを実現することが現時点では課題であると述べています。

「しかし、供給能力にいくつかの制約がなければ、より速い成長が可能だったのも事実です。その要因の一つとして、サードパーティのパートナーからのチップ供給が、以前よりも若干遅れていることが挙げられます。これは、中間工程でのさまざまな変更に時間がかかり、当社が求める高品質なサーバーを実現するためのハードウェアの歩留まり向上に時間を要しているためです。」

「また、当社独自の新しいハードウェアの大規模な導入も影響しています。当社の自社チップであるTrainium2は、re:Inventで一般提供を開始しましたが、大部分の供給量は今後数四半期、具体的には数カ月の間に本格化する見込みです。」

「さらに、電力供給の制約も成長のボトルネックになっています。仮にこうした制約がなければ、より多くの顧客にサービスを提供できると考えています。しかし、現状では世界全体で電力供給が限られている状況です。また、サーバーの種類によっては、マザーボードなど一部の供給部品も不足しており、これも影響を与えている要因の一つです。」

彼らはDeepSeekについても言及しましたが、大きな問題とは考えていないようです。

「また、企業はインフラ単位あたりのコストが大幅に下がると、それが自社のビジネスにとって非常に有益であると感じます。しかし同時に、これまでコストの面で実現が難しいと考えていた新たなプロジェクトにも意欲を持つようになり、最終的には技術全体への支出が大幅に増加する傾向があります。この流れはAIの分野でも同様に起こると考えています。特に、推論(インファレンス)のコストは大幅に低下すると見込んでいます。」

興味深いのは、現在すべてのハイパースケーラーが資本投資(CapEx)を大幅に増やしている一方で、エヌビディア(NVDA)の投資額は減少していることです。その要因の一つとして、ASICの割合が大幅に増加することが挙げられますが、AI関連の投資が終息に向かっているわけではないことは明らかです。

次章では、注目の半導体銘柄であるアドバンスト・マイクロ・デバイセズAMD)に加えて、IOT関連のノルディック・セミコンダクター(NOD.OL)とシリコン・ラボラトリーズ(SLAB)、そして、ラムバスRMBS)、セムテックSMTC)、インピンジュPI)の最新決算に関して詳しく解説していきますのでお見逃しなく!

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加えて、直近、インベストリンゴの半導体&テクノロジー担当アナリストであるウィリアム・ キーティング氏が、アルファベットの解体の可能性に関する下記の詳細な分析レポートも執筆しておりますので併せてご覧ください。


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