強気ヒムズ・ハーズ・ヘルスヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)の将来性とは?ヘルスケア銘柄の最新の決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、注目の米国ヘルスケア銘柄であるヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)の11月6日に発表された最新の2023年度第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、テレヘルス市場で急成長している企業であり、サブスクリプション型ビジネスモデルにより高い収益性を達成しています。
- 同社は、大規模な医療データベースとAI技術を活用し、個別の健康ニーズに応じたサービスを提供しており、今後の成長が期待されています。
- 株価は上昇基調にあり、テクニカル・ファンダメンタル両面で魅力的と見られているため、投資家にとっても関心が高まっているように見えます。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)の概要
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)は、急速に成長しているテレヘルス企業である。
同社は、非常に速いスピードで成長し、収益性を急速に高めている。
大規模で成長中のTAM(獲得可能な最大市場規模)に加え、魅力的なサブスクリプションベースのビジネスモデルを持っている。
その上、同社は、AIを駆使する一方で、大規模な健康状況に関するデータセットを構築している。
足元、同社の株価は安値を更新して以来、上昇を続けているが、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも魅力的な水準にあると考える。
そして、私は、同社をテレヘルス(遠隔医療)界のテスラと見ている。
テスラがEVでやったように、同社の素晴らしいブランディングは、「健康を維持すること」を「クール」にしたのである。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)とは
ヒムズ&ハーズ・ヘルスは、大まかに分類するとテレヘルス企業である。
同社は、ヘルスケアとヘルスケア関連製品を消費者に直接提供している。
同社のウェブサイトにアクセスすれば、薬を処方してくれる医師と繋がることができ、その医師から定期的に薬が送られてくるのである。
最も人気のある治療薬では、抜け毛、ED、減量、メンタルヘルスのための薬が挙げられる。
同社は、当初、男性をメイン顧客として焦点を当てていた。
ビジネスのコンセプト自体はシンプルであり、必ずしも目新しいものではないが、同社には魅力的な点が多く存在する。
まず第一に、同社は、非常に現実的な課題であり、且つ、需要が成長し続けている男性用健康食品というジャンルに対応している。
簡単にまとめると、ここでの問題は、男性は医者に行くのが嫌いということである。
そこで、同社は2つの方法でこの問題を解決している。
一つ目は、消費者(患者)が必要とするもの(薬等)を手に入れるための摩擦のないスムーズなスキームを作ることである。
そして、二つ目には、市場において、「Health(健康)」と「Going to doctor(医師との面会)」を、「Self-improvement(自己改革)」と「Wellness(よりよく生きようとする生活態度)」に再定義することである。
これらのアプローチは、確かに私達全員が賛同できるものであるように思える。
なぜなら、より良い自分になりたいと思わない人はいないからである。
消費者にとって、同社は、現実的な問題を効率的な方法で解決しているのである。
その為、同社が急成長しているのも不思議ではない。
そして、投資家にとっては、経常的な収益、高い利益率、大きく成長する市場という素晴らしいビジネスモデルである。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)の売上高と収益性
(出典:Company Presentation)
同社の収益の大半はサブスクリプションによるものである。
一度申し込むと、毎月商品が送られてくる。
明らかに、同社のビジネスモデルは、サブスクリプションモデルに非常に適している。
一度治療を受け始めると、しばらく、或いは、生涯に渡って、その治療を受け続ける可能性が高く、サブスクリプションはこの様な問題を解決してくれる。
そして、同社の売上高の90%以上はこのサブスクリプション収入によるものである。
最新の四半期プレゼンテーションからも分かるように、同社は加入者数で56%、売上高で57%の伸びを示し、売上総利益率は75%、調整後EBITDAはマイナスからプラスへと顕著に増加している。
同社のような企業で重要なのは、CAC(顧客獲得単価)とCLTV(顧客生涯価値)を理解することである。
顧客を獲得するためのコストと、その顧客が生涯にわたって同社にもたらす価値がある。
後者の価値が前者のコストよりも高ければ、ビジネスとして素晴らしいということである。
Linkedinのレポートにおける試算によると、CLTVは350ドルであり、業界標準を大幅に上回っている。
一方で、推定CACは200ドルであり、健全な投資収益率を示している。
実際、同社が350ドルのCLTVを誇り、推定CACの200ドルを大幅に上回っているという事実は、同社の決定的な財務上の優位性を浮き彫りにしている。
(出典:LinkedIn Report)
前四半期のEPSはまだマイナスではあったが、収益性は向上しており、FCFもかなりの額を生み出せることが分かっている。
とはいえ、50%以上の成長を遂げている企業には、積極的な支出を期待したいというのも本音である。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)のTAMと今後の見通し
次に、同社のTAM(獲得可能な最大市場規模)を見てみよう。
同社の報告書では、下記の用に示されている。
- 抜け毛治療:30億ドル
- 性的健康:40億ドル
- メンタルヘルス:140億ドル
- 皮膚科学:440億ドル
- 合計:650億ドル
これらの分野は、何れも巨大な成長分野であり、結果として、同社は非常に有利な立場にあることが分かる。
同社は既に男性の問題を対処する上で非常に上手くいっていることから、今後、女性顧客もターゲットとし、更に、メンタルヘルス分野でもより大きなプレーヤーになることができれば、更なる成長を実現することができるだろう。
また、同社ビジネスにおける、クロスセリングと事業拡大の可能性は大きい点にも留意したい。
そして勿論、AIの話を抜きにしてこのセクションを終えるわけにはいかない。
同社は最新の決算説明会で興味深い新プロジェクトを発表した。
Mobilehealthenewsによると、同社は、現在ベータテスト中のAIを活用した新サービス「MedMatch」の開始も発表した。そして、これは、同社の顧客データベースから生成された匿名化されたデータポイントを医療提供者に提供するものであり、不安や抑うつに悩む患者の個々のニーズに応じて適切な治療法を特定するのに役立つとのことである。
(出典:Mobilehealthenews)
以上より、同社は巨大な医療データベースを構築していることが分かる。
そして、今後、AIにおける技術革新が更に進めば、その可能性は計り知れないものになるだろう。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)のバリュエーション
同社は、既に潜在的なCash Cow(ドル箱)となりつつあり、投資家達はそれに気づき始めている。
(出典:Company Presentation)
同社は、2023年に約8億7000万ドルの売上高、並びに、EBITDAマージン5%を見込んでいる。
しかし、これは始まりに過ぎないのではないかと見ている。
(出典:Company Presentation)
同社は、長期的な調整後EBITDAマージンを20%~30%、2025年までに12億ドル以上の売上高を見込んでいる。
私のDCF(割引キャッシュフロー)法に基づくバリュエーションによると、同社は約40%も過小評価されている可能性があると見ている。
(出典:アルファスプレッド)
このモデルでは、ディスカウント・レート(割引率)を8.02%、純利益率を6.1%程度まで成長させることを想定している。
同社を評価するもう一つの方法は、現在1.92の株価売上高倍率に注目することである。
同程度の株価売上高倍率で取引され続けると仮定すれば、株価は2025年までに倍増するはずである。
実際には、むしろ、足元、収益性が高まっていることから、今後、成長が劇的に減速しない限り、同社は容易に何倍にも拡大する可能性があると見ている。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)のテクニカル分析
テクニカル・チャートを見ると、現在の価格で同社に投資することが妥当であるように見える。
同社株は、2.8ドルで底を打った後、納得のいく上昇を見せ、その後、50%レベルまでリトレースメントし、その水準には重要な出来高のサポートも確認されている。
その後、更に株価は30%以上上昇する結果となった。
短期的には、再び大きく上昇する前にリトレースメントが発生する可能性がある。
上記のチャートでご覧頂けるように、現在、200日移動平均線が上値抵抗線となっている。
波動iiのボトムから波動iの長さを取ると、66ドルまで上昇することが予想される。
足元、同社の株価見通しは非常に楽観的に見えるかもしれないが、一時、25ドル程度で取引されていたことを思い出してほしい。
同社は非常にエキサイティングな企業であり、あと2、3四半期しっかりとした結果を出せば、市場からかなりの評判を得ることができるだろうと見ている。
ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)に対する結論
以上より、ヒムズ&ハーズ・ヘルスは信じられないほど有望な企業であり、この会社のセンチメントは明らかに変化している。
この会社は、ヘルスケアとテクノロジーの最良の部分を上手く活用していることから、今後10年というスパンで更に成長していく可能性があると見ている。
その為、私はこの水準から同社のポジションを取り始め、この水準から更に後退するようなことがあれば、更に、ダブルダウン(倍賭け)してポジションを増やす予定である。