11/22/2024

やや強気
ヘルスケア・リアルティ・トラスト
やや強気
医療オフィスビル(MOB)は供給が極めて少ない状態が続いており、過去10年間で新規開発の着工件数が最も少なく、他のREITセクター(ライフサイエンス、集合住宅、物流施設、セルフストレージ)と比べても建設中物件の割合が最低水準です。ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)は、この成長が期待される分野に積極的に投資しており、投資家に安定した7%の利回りを提供しつつ、配当カバー率の改善と安定を着実に進めています。
【高配当】ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)の将来性:予想配当利回りは7%で配当金は0.31ドルと高配当が魅力的!

doctor holding red stethoscopeヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 本稿では、注目の米国高配当銘柄であるヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR:予想配当利回り7.1%・配当金0.31ドル)の10月30日発表の最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 私たちは皆、時々医者にかかる必要がありますが、ヘルスケア・リアルティ・トラストへの投資を通じて、私たちは皆、彼らのビジネスの大家となり、出資者となり、受動的収入を得ることができます。
  • そして、結果として、それらの配当収入が私たちの老後費用をカバーしてくれることでしょう。
  • ヘルスケア・リアルティ・トラストは、医療関連施設を対象とするREITであり、安定した配当と収益性を提供しつつ、ポートフォリオの分散効果を高める特徴があります。 
  • 第3四半期決算では、Normalized FFOが四半期配当を十分にカバーし、稼働率や収益性の向上を示す堅調な結果を報告しました。 
  • 医療需要の増加と限られた供給環境の中で、同社の戦略は収益力の強化と財務の安定性を支え、投資家に魅力的な選択肢を提供しています。

はじめに

子どもの頃、私はほとんど医者に行くことがありませんでした。

親が成長の具合を確認するために定期健診に連れて行ってくれることはありましたが、正直なところ、特に問題がなければ病院に行く機会はほとんどありませんでした。

しかし、年を重ねるにつれて医者にかかる頻度が増えてきました。

年齢とともに体が助けやケアを必要とするのは自然なことです。

以前は、年に一度の健康診断を「なくても困らないもの」と思っていましたが、今では体の不調を早めに発見するために欠かせないものだと考えるようになりました。

「予防は治療に勝る」という言葉の通りですね。

幸いにも、私は良い医療保険に加入しています。

そのおかげで、診察代の多くは保険がカバーしてくれるため、私が負担するのはごく少額の自己負担金だけです。

保険会社が医者に支払う仕組みのおかげで、私が直接支払うのは本当に少しで済みます。

でも、ふと思いました。

アメリカの人口が高齢化し、世界全体でも平均年齢が上昇する中で、「医者に支払う側」になるだけでなく、「医者から利益を得る側」になる方法はないのだろうか、と。

医療業界には、製薬会社、医師、不動産オーナーなどを通じて膨大なお金が動いています。

その収益の一部を私たちが取り込む方法があってもいいはずです。

そこで、本稿では、「医者に支払うだけではなく、医者から利益を得る方法」について考えてみたいと思います。

さっそく始めましょう!

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR:予想配当利回り7.1%・配当金0.31ドル)

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)は、医療関連施設を所有・賃貸することに特化したREIT(不動産投資信託)です。

REITとは、多くの投資家から集めた資金をもとに不動産を運用し、その収益を投資家に分配する仕組みの金融商品です。

REITは、主にオフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなどの不動産を対象とし、賃貸収入や売却益を得ることで利益を生み出します。

REITはポートフォリオの分散効果を高めるだけでなく、配当を通じて安定した収入を得る可能性も提供します。

また、インフレ対策としての効果が期待でき、長期的に見ても競争力のあるリターンを生み出してきた実績があります。

そして、同業他社のREITが病院そのものを対象とするのに対し、ヘルスケア・リアルティ・トラストは病院周辺の患者向け施設やオフィススペースに重点を置いています。

これらの施設は、病院ほどのリスクを伴わず、安定した収益性が期待できる点が特徴です。

ヘルスケア・リアルティ・トラストは10月30日に最新の2024年第3四半期決算を発表しており、第3四半期では、Normalized FFO(一株当たり調整後資金運用額)が0.39ドルを記録し、四半期配当金の$0.31をしっかりとカバーしました

また、通期のNormalized FFOガイダンスを$1.55~$1.56(従来の$1.53~$1.55から上方修正)に引き上げ、年間配当性向はおよそ80%という安定した水準を維持しています。

ここで、FFOとは、REITの収益力を測るための指標で、税引前利益に減価償却費を加え、不動産売却益や売却損を除外したものです。

減価償却費は会計上の非現金費用であり、実際のキャッシュフローに影響しないため、これを加算して収益力をより正確に評価します。

加えて、不動産売却益や損失は一時的な要因とみなされるため、通常の運営から得られる収益を示すFFOから除外されます。

結果、FFOは、REITがどれだけ安定的に配当を支払えるかを判断する際に重要な指標とされ、投資家にとっては収益力を評価するための有用なツールです。

そして、Normalized FFOとは、FFOをさらに調整した指標で、一時的または非反復的な要素(例:リストラクチャリング費用、裁判費用、特定の一時的な利益や損失など)を除外します。

この調整により、REITの安定的な収益力や将来の配当支払い能力をより正確に反映します。

総じて、ヘルスケア・リアルティ・トラストにとって堅調な四半期であったと言えるでしょう。

その中でも注目すべきポイントをいくつか挙げてみます。

第3四半期末時点のマルチテナント物件の稼働率は86.5%(前期末の86%から上昇)で、契約率は87.8%に達しました。

賃貸契約も引き続き好調で、新規契約面積は43.1万平方フィートとなり、5四半期連続で40万平方フィートを超えました。

また、年初来のテナント維持率は83.8%と、2023年度の79.3%から改善しています。

さらに、ヘルスケア・リアルティ・トラストは純営業収益(NOI)の3.1%増加と現金賃貸スプレッドの3.9%上昇を報告しました。

これにより、物件の収益性が向上しているだけでなく、既存の賃料を上回る条件での賃貸が実現していることがわかります。

因みに、純営業収益は、不動産物件が稼ぐ純粋な収益力を示す指標で、不動産投資の収益性を評価するために広く使われています。

具体的には、物件の収益から運営に必要な費用を差し引いたものです。

また、現金賃貸スプレッドは、不動産の新規契約や更新契約による賃料収入の変動を測る指標です。

具体的には、契約が更新されたり新しい契約が締結された際に、以前の賃料と新しい賃料の差を示します。

これらのデータから、ヘルスケア・リアルティ・トラストの物件需要の堅調さ、テナントの満足度、安定した運営、さらには賃料収入の増加が期待できることがうかがえます。

そのため、それらのデータは、ヘルスケア・リアルティ・トラストの収益力と事業の安定性を示す好材料と言えるでしょう。

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)の最新動向と今後の株価見通し

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)は、KKRおよびNuveenとのジョイントベンチャー(JV)を拡大し、8件の物件を1億9300万ドルで譲渡しました。

この取引を含むJVおよび資産売却により、10月末までに約8億7500万ドルを調達し、キャップレートは6.6%を記録しています。

キャップレートとは、不動産投資の収益性を示す指標の一つで、投資物件の購入価格に対する純営業収益(NOI)の割合を表します。

不動産の収益性を評価し、他の物件や投資機会と比較するために広く使われています。

加えて、ヘルスケア・リアルティ・トラストは、通期のJVおよび資産売却による調達額見通しを中央値で11億ドルに引き上げ、さらに、10月末までに4億4700万ドル相当の自社株を買い戻しています。

そして、2025年7月に満期を迎える未担保ローンの残り1億ドルを完済したことで、第3四半期末の純負債比率(調整後EBITDAベース)は6.7倍に低下し、2024年末には6.5倍へのさらなる改善が見込まれています。

また、同四半期末時点で13億ドルのクレジット枠を確保しており、財務基盤は非常に安定しています。

経営陣の体制にも変化があり、CFO(最高財務責任者)にはクリス・ダグラス氏の退任に伴い、オーステン・ヘルフリッチ氏が暫定的に就任しました。

また、ロブ・ハル氏がCOO(最高執行責任者)に任命され、ライアン・クロウリー氏がEVP(執行副社長)兼CIO(最高投資責任者)に昇格。

さらに、ジュリー・ウィルソン氏がCAO(最高管理責任者)として新たに加わりました。

2024年度の見通しとして、ヘルスケア・リアルティ・トラストはマルチテナント物件の稼働率を86.3%~86.8%、NOI(純営業収益)の成長率を4.4%~5.5%と予測しています。

医療オフィスビル(MOB)の市場は供給が極めて限られており、過去10年間で新規開発が最も少ない状況が続いています。

また、他のREITセクター(ライフサイエンス、集合住宅、工業用施設、セルフストレージ)と比べても、建設中の在庫比率が最低水準です。

このような環境下で、ヘルスケア・リアルティ・トラストは堅調な需要を背景に、安定した7%の配当利回りを提供しながら、収益性の向上と事業の安定化を進めています。

以上より、ヘルスケア・リアルティ・トラストの戦略は、堅実な財務運営と成長性のあるセクターへの積極投資を反映しており、投資家にとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

結論

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)への投資を通じて、医療業界への魅力的な投資機会を手に入れることができます。

このREITは、製薬会社や業界の主要プレイヤーへの幅広いアクセスを提供するだけでなく、不動産オーナーとして医療現場の日々の活動から収益を得ることも可能にします。

つまり、ヘルスケア・リアルティ・トラストを活用すれば、医療業界の収益の一部を直接取り込む安定した収入源を構築できます。

世界中で医療ニーズが拡大し、医療費が増加する中、この成長市場における安定した受動的収入の機会を活かせるのは大きな魅力です。

年齢を重ねると、若い頃よりも医者にかかる機会が増えるのは当然のことです。

ほとんどの人は、年齢とともに医療の必要性が高まります。

特別に健康に恵まれた体質でない限り、若い頃よりも頻繁に医者にかかることになるでしょう。

それは自然なことであり、人生の黄金期を楽しむ中での一つの要素と言えます。

だからこそ、医療費をただ支払うだけで終わるのではなく、医療分野から収入を得る立場になるという発想を持ってみてはいかがでしょうか?

その考え方を実現できるのがヘルスケア・リアルティ・トラストなのです。

これこそが私の「インカムメソッド」の醍醐味であり、インカム投資の真髄です。

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