やや強気ホーメル・フーズホーメル・フーズ(HRL)配当王・予想配当利回り3.68%・配当性向69%:最新の2024年2Q決算・財務分析と今後の株価見通し・将来性
イアニス・ ゾルンパノス- ホーメル・フーズ(HRL:配当王 / 予想配当利回り3.68% / 配当性向69%)は、米国の小売市場と外食市場を中心に、幅広い製品ラインナップを展開している食品会社である。
- 同社の2024年度第2四半期決算は、EPSと売上高が前四半期比で減少している一方、過去10年間という長期的な観点では継続的な成長を見せている。
- ただし、過去5年間の配当成長率は7.70%で、58年間連続で増配を続けており、米国株配当王の一角を担っている。
ホーメル・フーズ(HRL)の概要
セクター:消費財
現在の株価:30ドル
時価総額:168.7億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:43.53ドル
安全マージン:29.3%
過去5年間の配当成長率:7.70%
次回配当落ち日:2024年7月15日
次回配当支払い日:2024年8月15日
予想配当利回り:3.68%
過去5年間の売上高成長率:6.20%
過去10年間の売上高成長率:3.00%
歴史的に食肉に特化してきたホーメル・フーズ(HRL:配当王 / 予想配当利回り3.68% / 配当性向69%)は、他のタンパク質を含む製品ラインナップの幅を広げ、ブランド食品会社となった。
同社は、米国の小売市場(2023年度売上高の64%)、米国の外食市場(30%)、海外市場(6%)等、複数のチャネルを通じて製品を販売している。
製品別では、2023年度の売上の70%が生鮮食品で、30%が保存可能食品となっている。
主要ブランドにはホーメル、スパム、ジェニーオ、コロンバス、アップルゲート、プランターズ、スキッピー等が挙げられる。
これらの多くは、それぞれのカテゴリーで1位か2位の市場シェアを占めている。
また、同社は2024年5月30日に2024年度第2四半期決算を発表している。
さらに、同社は58年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っている。
ホーメル・フーズ(HRL)の収益と成長に関して
ホーメル・フーズ(HRL)は、2024年5月30日に、2024年4月30日に終了した2024年度第2四半期の決算を発表している。
2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は0.38ドル(前四半期:0.41ドル)、希薄化後のEPSは0.34ドル(前四半期:0.4ドル)、また、1株当たり売上高も5.262ドル(前四半期:5.47ドル)といずれも前四半期比で減少している。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-2.10%で、過去10年間の年平均成長率は5.10%となっており、長期的な観点からは継続して成長していることが分かる一方で、足元の成長が減速していることが分かる。
ただし、今後10年間の同社業界の成長予測は依然として楽観的で、食品業界における同社の持続的な成長機会を示しているようにも見える。
全体として、ホーメル・フーズの直近四半期の業績は若干低下したものの、業界全体の成長見通しから恩恵を受ける立場にあることは変わりはないと見ている。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
ホーメル・フーズ(HRL)の財務パフォーマンスに関して
ホーメル・フーズ(HRL)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)の観点から分析していきたい。
まず、過去5年間のROAの中央値は8.04%で、これは同社が総資産に対して8.04%のリターンを生み出していることを示している。
また、過去5年間のROEの中央値は13.79%で、自己資本に対して13.79%のリターンを生み出していることを示している。
加えて、過去5年間のROICの中央値は9.57%で、これは投下資本に対して9.57%のリターンを生み出していることを示している。
さらに、ジョエル・グリーンブラットのROC指標の過去5年間の中央値は42.79%となっており、優れた経済的価値創出の実績を反映していると言える。
そして、これらの指標に関して、加重平均資本コスト(WACC)と比較すると、同社の足元のROEは9.86%で、足元のWACCの水準である6.00%を上回っていることから、同社が株主のために価値を創造していることを示している。
また、足元のROICは6.81%で、足元のWACCの水準である6.00%を上回っていることから、資本コストを上回るリターンを生み出すために資本を効率的に配分できていることを示唆している。
全体として、ホーメル・フーズは、効率的な資本配分と強力な経済価値の創出を実現していると言えるが、足元のROICとWACCの差は縮小していることからも、今後のこれらの指標の動向には注意が必要である。
ホーメル・フーズ(HRL)の配当に関して
ホーメル・フーズ(HRL)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は7.70%で、過去3年間の配当成長率は5.80%となっており、さらに、同社は58年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っている。
また、現在の予想配当利回りは3.68%で、配当性向は69.0%となっていることからも、同社の配当金の支払いと企業利益の健全なバランスを示していると言える。
一方で、EBITDA純有利子負債倍率は2.89倍と中程度の範囲にあり、管理可能な負債水準であることを示唆している。
基本的に、EBITDA純有利子負債倍率は、2倍を下回ると財務リスクが低いということを示すものである。
そして、同社の足元の倍率の水準は中程度レンジの上限値に近づいており、且つ、特に同社の業界特性を考慮すると、今後の負債水準の動向には注意が必要である。
全体として、58年間連続で増配し配当王の一角を担うホーメル・フーズの配当成長の実績は称賛に値するが、投資家は同社の債務返済能力が健全かつ持続可能であることを確認するため、今後も継続してEBITDA純有利子負債倍率の水準を注視すべきである。
予想配当利回り:3.68%
配当性向:69%
配当カバレッジ・レシオ:1.25
過去5年間の配当成長率: 7.70%
EBITDA純有利子負債倍率:2.89倍
ホーメル・フーズ(HRL)のバリュエーションに関して
ホーメル・フーズ(HRL)の現在の株価は30ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である43.53ドルを下回って取引されており、割安の可能性を示している。
また、実績PERは21.98倍となっており、5年平均、10年平均と同水準であり、収益に基づいた際には公正なバリュエーションであることを示唆している。
一方で、株価売上高倍率は1.4倍と業界平均より低く、売上高に基づくバリュエーションが比較的魅力的であることを示している。
さらに、EV/EBITDA倍率も14.4倍と業界平均を下回っており、割安感をさらに裏付けている。
加えて、予想PERも18.09倍と歴史的に見ても比較的低水準にあることからも、株価のさらなる上昇の可能性を示唆しているように見える。
全体として、ホーメル・フーズはバリュエーションにおいて、特に予想PER、株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率の観点から、魅力的なバリュエーションで取引されているように見える。
ホーメル・フーズ(HRL)のリスクとリターンに関して
ホーメル・フーズ(HRL)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、足元、総資産は売上高を上回るペースで成長しており、資産活用の非効率性を示唆している。
さらに、売上総利益率と営業利益率は過去5年間右肩下がりで、収益性がマイナス傾向にあることを示している点に加え、売上高の伸びも過去12ヶ月で鈍化している。
一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.78となっており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。
また、PBRと株価売上高倍率は10年来の低水準に近く、潜在的な割安感を示している。
さらに、予想配当利回りは10年ぶりの高水準に近く、アルトマンのZスコアも3.6と高水準にあり、同社が健全な財務状況にあることを示唆している。
全体として、ホーメル・フーズに関しては、資産効率と収益性の面で赤信号がいくつかあるが、健全な財務状況は投資家に安心感を与える内容であると言える。
ホーメル・フーズ(HRL)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ホーメル・フーズ(HRL)のインサイダーによる同社株式の取引分析によると、過去12ヶ月間のインサイダーによる同社株式の取引は、売却が10件、買い付けが2件で、売却に関連する取引が多いことが分かる。
これは、同社のインサイダーが同社株式の売却を通じて利益を得ているか、また、同社の将来性に自信を持っていないことを示している可能性がある。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか1.05%である点にはご留意いただきたい。
一方で、機関投資家による同社株式の保有比率は25.37%で、インサイダーに比べ機関投資家の保有比率が高いことが分かる。
全体として、ホーメル・フーズのインサイダー取引の直近のトレンドは、買い付けよりも売却をするインサイダーが多く、あまり良い印象は受けない。
以上より、投資家は、同社に関連する投資判断を下す際に、他の要因とともにこれらの情報を考慮するとよいだろう。
ホーメル・フーズ(HRL)の流動性に関して
ホーメル・フーズ(HRL)の直近営業日の1日の出来高は1,135,956株で、過去2ヶ月の1日の平均出来高は2,628,594株となっており、過去2カ月間の平均出来高の方が直近営業日の出来高よりも2倍程度高水準となっているが、いずれにせよ、同社が一定の流動性を保持していることを示している。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は32.58%で、取引活動の大部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。
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