01/25/2025

【配当王】ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)配当利回りは3.35%で過去10年の最高水準!

white and blue labeled bottleイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国高配当株であるジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ:配当王・予想配当利回り3.35%・配当性向49%・1株当たり配当金1.24ドル)の2025年1月22日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社は、医薬品と医療機器を中心に事業を展開し、堅実な配当政策を維持しており、62年間連続増配の実績を誇る米国株配当王です。
  • 最新の2024年第4四半期決算ではEPSが前年同期を下回ったものの、過去10年間のROICや売上総利益率の安定性が同社の財務の強さを示しています。
  • 過去10年間で最大20.99%に達したROICなどの指標が示す通り、効率的な資本運用と安定した財務パフォーマンスが特徴です。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の概要


セクター:医薬品メーカー

現在の株価:146ドル

時価総額:3534.9億ドル

過去5年間の配当成長率:5.80%

次回配当落ち日:2025年2月18日

次回配当支払い日:2025年3月4日

予想配当利回り:3.35%

過去5年間の売上高成長率:1.20%

過去10年間の売上高成長率:2.80%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ:配当王・予想配当利回り3.35・配当性向49%・1株当たり配当金1.24ドル)は、アメリカ・ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く、世界最大級のヘルスケア企業です。同社は医薬品部門と医療機器部門を中心に事業を展開しており、これら2部門が売上のすべてを構成しています。2023年には消費者向け事業「ケンビュー」を分離し、事業を専門性の高い分野に集中させました。医薬品部門では、免疫学、腫瘍学、神経学、呼吸器、循環器、代謝性疾患といった幅広い治療分野をカバーしており、医療機器部門では革新的な技術を活用した高品質な製品を提供しています。

配当株としても同社は魅力的で、過去62年間にわたり増配を継続しており、米国株配当王の一角を担っています。予想配当利回りは3.35%と安定しており、過去5年間の配当成長率は5.80%を記録しています。配当性向は健全な49.0%で、利益を効率的に配当しつつ、成長のための再投資も可能なバランスの取れた配当政策を採用しています。さらに、過去10年間の配当利回りの中央値は2.64%で、安定性を示しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、幅広い製品ポートフォリオ、高い収益性、堅実な配当政策を持つことから、長期的な成長を目指す投資家にとって非常に魅力的な選択肢といえます。

そして、同社は2025122日に2024年第4四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ2025122日に発表された、最新の2024年度第4四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.04ドルを記録し、前四半期(2024年第3四半期)の2.42ドルや前年同期(2023年第4四半期)の2.29ドルを下回りました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は4.80%、過去10年間の年平均成長率は6.50%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。ただし、直近の四半期のパフォーマンスは、これらの過去の期間と比べてやや減少が見られます。

また、1株当たり売上高は9.279ドルで、前四半期(9.255ドル)からわずかに増加し、安定的な推移を示しました。さらに、同社の売上総利益率は2024年第4四半期に69.07%となり、過去5年間の中央値68.82%をわずかに上回りました。これは、10年中央値の69.04%にも近く、一貫した収益性を示しています。

一方で、同社は、過去1年間で大規模な自社株買いを行わず、過去1年間の自社株買い比率は0.00%でした。しかし、過去3年間の自社株買い比率は2.90%で、この間に発行済株式の約2.90%を買い戻し、EPS向上に寄与しています。

今後の見通しとして、アナリストは同社の売上が安定的に成長すると予測しており、2025年には90,785.29百万ドル、2027年には96,559百万ドルに達すると見込んでおり、次年度のEPSは8.234ドルが予想されており、その後もさらなる成長が期待されています。加えて、医療業界全体は、今後10年で緩やかな成長が見込まれており、JNJの成長見通しとも一致しています。

総じて、市場のアナリストは同社の強固な市場ポジションと安定した財務基盤を背景に、将来的なパフォーマンスに対してポジティブな見方を維持しています。そして、次回の決算発表は2025年4月15日に予定されており、業績や今後の指針が投資家にとって重要な判断材料となるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の財務パフォーマンスに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、ROICがWACCを大きく上回ることで、卓越した財務効率と価値創造を示しています。過去5年間の中央値では、ROICは15.06%であるのに対し、WACCは5.52%にとどまり、資本コストを大幅に上回る経済的価値を創出していることがわかります。現在も、この傾向を維持しており、ROICは13.91%、WACCは6.19%となっています。

過去10年間では、ROICが最大で20.99%に達したこともあり、投下資本を効率的に活用し、資本コストを大きく上回るリターンを生み出す能力を示しています。このROICとWACCのプラススプレッドは、同社の資本配分における戦略的な有効性を裏付けており、株主価値を継続的に創出する力を強調しています。さらに、同社の株主資本利益率(ROE)は、過去5年間で中央値が25.36%に達しており、株主資本への投資に対しても魅力的なリターンを提供していることを示しています。

以上より、このような財務実績が、同社の安定した財務パフォーマンスを支えていると言えるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の配当に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、過去5年間の配当成長率が5.80%、過去3年間では5.70%と、安定した配当成長を実現しています。同社は最近、1株あたり四半期配当を1.24ドルに据え置きつつも、過去62年間にわたり増配を継続しており、米国株配当王の一角を担っています。さらに、予想配当利回りは3.35%で、配当性向は健全な49.0%を維持しており、利益を効率的に分配しつつ、再投資のための利益を確保しています。

セクター内の他の銘柄と比較しても同社の予想配当利回りは競争力があり、過去の最高値と最低値は3.42%から2.25%の範囲にあります。また、過去10年間の中央値である2.64%は、同社の安定した配当方針を反映していると言えます。

さらに、EBITDA有利子負債倍率は1.68倍で、2倍を大きく下回っており、財務的な健全性と負債管理能力の高さを示しています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

また、今後の配当成長率は3~5年間で4.99%と予測されており、やや緩やかになるものの、引き続き堅調な成長が見込まれています。この成長率は、同社の長期的な成長戦略や市場環境に合致しています。次回の配当権利落ち日は2025年2月18日に予定されており、四半期ごとの配当スケジュールに従っています。

総じて、同社の配当実績は堅調で、医療セクターにおける同社の戦略的な成長見通しと強固な財務基盤に支えられているように見えます。

予想配当利回り:3.35%

配当性向:49%

配当カバレッジ・レシオ:1.35倍

過去5年間の配当成長率: 5.80%

EBITDA有利子負債倍率:1.68倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のバリュエーションに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJの現在の株価は146.82ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である179.97ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が18.42%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。

予想PER(株価収益率)は13.94倍で、過去10年の中央値である23.27を大きく下回っており、将来の収益力から見ても割安と考えられます。一方、直近12か月ベースの実績PERは22.08倍で、過去10年の中央値をわずかに下回り、過去の収益に基づく評価では適正水準といえます。直近12か月ベースの実績EV/EBITDA倍率は17.34倍で、過去10年の中央値15.51倍をやや上回り、EBITDAに基づく評価では若干の割高感が見られます。ただし、直近12か月のPSR(株価売上高倍率)は4.03倍、PBR(株価純資産倍率)は5.04倍で、それぞれ過去10年の中央値を下回っており、売上高や純資産に基づく評価では割安の可能性を示しています。

以上より、これらのバリュエーション指標は混在しており、慎重な検討が必要ですが、同社が過去の水準に比べて投資価値を提供する可能性があることも示しています。

一方で、市場のアナリストの見方は慎重ながらも楽観的で、目標株価の平均値は169.61ドルとされています。ただし、ここ数か月で若干の下方修正が見られ、短期的な見通しに対する不確実性や再評価を反映している可能性があります。それにもかかわらず、本質価値が示す通り、同社には下値リスクを抑えつつ成長の可能性を提供する大きな余裕があると考えられます。投資家は、これらの要素を広範な市場状況や自身の投資戦略と照らし合わせながら慎重に検討すべきでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のリスクとリターンに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社の財務状況は、リスクと安定要素が混在しています。同社のアルトマンZスコアは2.85で、「グレーゾーン」に分類され、潜在的な脆弱性が示唆されていますが、破産リスクが顕著となる1.8の閾値は上回っています。また、過去3年間で132億ドルの新たな負債を発行した点は懸念材料ですが、全体的な負債水準は依然として管理可能な範囲内です。

一方で、同社はいくつかの重要な指標において健全性を示しています。ベネッシュMスコアは-2.57で、利益操作の可能性が低いことを示しており、投資家の信頼を高めています。また、営業利益率が拡大傾向にあり、効率性や収益性の向上を示唆しています。株価純資産倍率(PBR)や株価売上高倍率(PSR)は、いずれも過去5年間の最低水準に近く、割安感があり、投資の好機と考えられます。さらに、同社の予想配当利回りは過去10年の最高水準に近づいており、投資家にとって魅力的な収入源となっています。

これらの要因に加え、インサイダーによる同社株式の購入は経営陣の信頼感を示し、安定した収益と利益の成長も続いています。これらを総合すると、一定のリスクはあるものの、同社は依然として堅実な基盤を持つ企業であり、長期的な成長見通しはポジティブであるように見えます。

関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のインサイダーによる同社株式の売買動向によると、過去1年間のインサイダーによる取引は限定的でした。直近3か月では、インサイダーによる購入が1件のみで売却はなく、最小限ながらも一定の自信を示しているようです。過去6か月では、購入1件、売却1件とインサイダーのスタンスは中立的といえます。一方、過去12か月では購入が1件に対し売却が3件あり、やや弱気の姿勢や利益確定の可能性がうかがえます。さらに、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.19%と低くはなっていますが、大規模で確立された企業である同社にとっては一般的な水準であるとも言えます。

一方で、プロの機関投資家の所有比率は80.02%と非常に高く、プロの投資家による強い関心と自信がうかがえます。これは通常、企業の将来性に対するポジティブな見通しを意味しています。

総合的に見て、インサイダー取引の動向は控えめな自信を示す一方で、プロの機関投資家が同社の所有構造で圧倒的な存在感を維持している点が注目に値するでしょう。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の流動性に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、流動性と取引指標の面で強さを示しています。直近の1日当たりの取引量は9,877,238株で、過去2か月の平均である8,672,065株を上回っています。この取引量の増加は投資家の関心が高まっていることを示し、活発な市場活動を反映しています。これにより、投資家は株価に大きな影響を与えることなく、スムーズに売買を行うことが可能となります。

同社のダークプール指数(DPI)は26.58%で、取引の一定割合がダークプールで行われていることを示しています。このDPIの水準は、大規模な株式の取引において、価格の変動を抑えつつ匿名性を保ちながら取引を行えることを意味し、大型株で一般的な水準です。このようなダークプールでの取引活動は、流動性が高い市場環境を支えています。

総合的に、同社の取引活動は健全で、高い流動性が特徴です。これにより、大口取引でも効率的に対応できるという安心感を投資家に与えています。平均を上回る取引量と適度なDPIの組み合わせは、流動性不足による急激な価格変動リスクを軽減し、安定した取引環境を提供していると言えるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

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