04/21/2025

【配当王】ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)配当推移と将来性分析:配当利回り3.30%・配当性向49%・配当金1.3ドル

white and black labeled soft tubeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場配当王であるジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ:配当王・予想配当利回り3.30%・配当性向49%・1株当たり配当金1.3ドル)の2025年4月15日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンは、米国ニュージャージー州に本社を置く世界的なヘルスケア企業であり、医薬品・医療機器を中心に多角的な事業を展開しています。
  • 同社は62年連続で増配を続ける配当王であり、予想配当利回りは3.30%、配当性向は49%と財務面でも高い安定性と配当持続力を示しています。
  • 2025年第1四半期のEPSは2.77ドルと好調で、ROICがWACCを大きく上回るなど資本効率にも優れ、バリュエーション面でも依然割安感があると評価されています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の概要


セクター:医薬品

現在の株価:157ドル

時価総額:3,794.8ドル

過去5年間の配当成長率:5.60%

次回配当落ち日:2025年5月27日

次回配当支払い日:2025年6月10日

予想配当利回り:3.30%

過去5年間の売上高成長率:3.30%

過去10年間の売上高成長率:3.20%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJ:配当王・予想配当利回り3.30・配当性向49%・1株当たり配当金1.3ドル)は、世界有数のヘルスケア企業として、医薬品および医療機器の分野で幅広い事業を展開しております。本社は米国ニュージャージー州ニューブランズウィックに位置しており、グローバルに事業を展開する中で、研究開発、製造、販売において堅実な実績を積み重ねてきました。同社は、免疫学、腫瘍学、神経学、呼吸器、循環器、代謝性疾患など、多岐にわたる治療領域に注力し、製品ポートフォリオを多角化することで、どの市場環境においても安定した成長が期待できるユニークなビジネスモデルを有しております。

また、同社は持続可能なキャッシュフローや健全なバランスシートを背景に、62年間に渡り連続して増配を継続する米国配当王であり、投資家にとって魅力的な配当株として高い評価を得ています。直近の配当では、四半期ごとに増配傾向が見られ、配当利回りは業界内でも競争力のある水準に達しております。さらに、EPSや売上高の成長、営業利益率の拡大といった財務指標からも、同社の堅実な経営がうかがえ、株主に対して安定かつ効率的な資本配分が行われていることが確認されます。

そして、同社は2025415日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀

イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJ)は、2025415日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、一過性項目(NRI)を除いた1株当たり利益(EPS)を2.77ドルと報告しました。これは前四半期の2.04ドルから大きく増加し、前年同期の2.71ドルからもわずかに上回る結果となりました。

希薄化後EPSも4.54ドルと好調で、前四半期の1.41ドルを大きく上回っています。1株当たり売上高は9.033ドルと、前四半期の9.271ドルからやや減少しましたが、前年同期の8.799ドルを依然として上回っています。

過去5年間で、同社は一過性項目を除いたEPSの年間成長率を4.00%維持しており、10年間の年平均成長率(CAGR)は5.90%に達しています。

また、2025年第1四半期の売上総利益率は68.30%で、過去5年間の中央値である69.07%をわずかに下回っていますが、依然として同社の歴史的レンジ内に収まっています。

自社株買いに関しては、過去10年間の買い戻し比率が1.30%であり、これは年間平均で発行済株式の約1.3%が買い戻されていることを示しています。この指標は、発行済株式数の減少を通じて1株当たり利益(EPS)を高め、株主価値を向上させるという同社の戦略的な自社株買いの姿勢を反映しています。

5年間の買い戻し比率は2.00%と、さらにその傾向を裏付けています。一方で、直近1年間では自社株買いは行われておらず、1年間の買い戻し比率は0.00%となっています。

今後については、市場のアナリストは業界全体の力強い成長を予測しており、今後10年間で年平均成長率が6%に達すると見込まれています。同社の将来の利益見通しも明るく、次の会計年度には1株当たり利益が11.047ドル、その翌年度には9.250ドルに達するとの予測が出ています。売上高についても堅調な成長が期待されており、2027年には約993億5,000万ドルに達する見込みです。

なお、次回の決算発表は2025年7月16日に予定されており、今後の財務見通しに関するさらなるガイダンスが期待されています。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の財務パフォーマンスに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、ROICとWACCを比較することで、強力な経済的価値創出を示しています。過去5年間におけるROICの中央値は14.60%であり、WACCの中央値である5.52%を大きく上回っています。これは、JNJが資本コストを上回るリターンを投資から生み出しており、株主に対して正の価値を創出していることを示しています。

このパフォーマンスの安定性は、現在のROICが13.84%と依然として現在のWACCである5.65%を大きく上回っていることからも明らかです。このスプレッドは、同社が依然として資本を効率的に配分しており、持続的な財務リターンを生み出す能力を備えていることを示しています。さらに、過去10年間の実績においては、ROICが最大で20.99%に達したこともあり、さまざまな市場環境においても高い収益性を維持できる企業力を裏付けています。

したがって、同社の効果的な資本配分と、WACCを大きく上回る強固なROICは、同社の価値創出力および財務効率性の高さを際立たせています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の配当に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、62年間に渡り、連続して増配を継続する米国配当王です。また、過去5年間では5.60%、3年間で5.40%という安定した配当成長率を示しており、継続的な増配傾向が確認できます。直近の四半期配当は、前回の1.24ドルから1.30ドルへと増加しており、健全な増配の流れを反映しています。

同社のEBITDA有利子負債倍率は1.45であり、2.0以下という安全圏内にしっかり収まっていることから、債務返済能力が高く、財務リスクが低いことを示しています。この堅固な財務体質は、今後の配当支払いおよび増配の可能性を十分に支えるものです。

同社の予想配当利回りは3.30%と、同業他社と比較しても競争力のある水準にあります。また、配当性向は49.0%で、配当政策の持続可能性を示しています。なお、過去には10年間の中央値で配当性向が100%を超えていたこともあり、近年の財務管理の改善が見て取れます。

今後3〜5年の配当成長率は4.48%と予測されており、緩やかではありますが安定した成長が見込まれています。これは、現在の経済状況と同社の健全な財務体質を維持するという戦略的な方針に沿ったものです。

次回の配当落ち日は2025年5月27日に予定されており、その次は2025年8月26日前後になると見込まれています。これにより、四半期ごとの配当支払いの継続性が保たれ、投資家にとっては安定したインカム源となるように見えます。

予想配当利回り3.30%

配当性向:49%

配当カバレッジ・レシオ:1.81倍

過去5年間の配当成長率: 5.60%

EBITDA有利子負債倍率:1.45倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のバリュエーションに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJの現在の株価は157.47ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である180.98ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が12.99%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。

予想株価収益率(Forward PER)は14.92と、過去10年間の中央値である23.90を下回っており、過去と比較して割安感のある水準にあることを示しています。現在の直近12か月(TTM)ベースのPERは17.52で、過去10年間の最高値よりは大幅に低いものの、最安値よりは高く、歴史的な範囲の中で比較的バランスの取れたバリュエーションとなっています。

また、TTMベースの企業価値/EBITDA倍率(EV/EBITDA)は15.48で、10年間の中央値である15.50とほぼ一致しており、企業価値ベースでは適正に評価されていることがうかがえます。一方、TTMベースの株価純資産倍率(PBR)は5.3で、10年中央値の5.61をわずかに下回っており、簿価ベースではやや割安感が見られます。TTMベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(Price-to-Free-Cash-Flow)は21.16で、10年中央値の20.76に近く、安定したキャッシュフロー評価がなされています。

さらに、市場のアナリストによる同社の目標株価はここ数か月でわずかに引き上げられており、直近の目標値は170.72ドルとなっています。これは、今後の株価上昇の可能性について、控えめながらも前向きな見方が共有されていることを示しています。

全体として、適度な安全余裕率と、概ね歴史的な平均に沿ったバリュエーションを考慮すると、同社は堅実な投資先であるように見えます。アナリスト全体の見解としても、同社の財務健全性と市場でのポジションに対して安定的かつ楽観的な見通しが維持されています。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のリスクとリターンに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社の財務状況は、潜在的なリスクと強みの両方を含む混合的な内容となっています。特に注目すべき点として、同社は過去3年間で総額148億ドルもの多額の債務を発行しており、現時点では管理可能な水準ではあるものの、今後の動向には注意が必要です。

また、アルトマンのZスコアは2.95で「グレーゾーン」に位置しており、財務上のストレスが一部認められることから、対処しなければ将来的な課題となる可能性があります。また、最近では社内関係者による株式売却が続いている一方で、買い戻しの動きが見られないことから、社内の信頼感に対する懸念が生じる可能性もあります。

一方で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、営業利益率の拡大や安定した売上成長を通じて、健全な財務体質を示しており、事業運営が堅調であることがうかがえます。株価純資産倍率(PBR)および株価売上高倍率(PSR)は、過去の水準と比較して歴史的な低水準に近づいており、株価が割安である可能性を示唆しています。

さらに、予想配当利回りは過去10年間の最高水準に近づいており、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的なリターンを提供しています。現在の株価収益率(PER)は1年以内の高水準に近づいている点には留意が必要ですが、バリュエーションの観点から検討すべき事項といえるでしょう。

総合的に見て、ジョンソン・エンド・ジョンソンの財務指標は、債務関連のリスクがある一方で、堅実な基礎体力に裏打ちされたバランスの取れた見通しを示していると評価できます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の過去1年間のインサイダー取引の動向を見ると、社内関係者による売却取引が優勢であることが分かります。直近3か月間では、インサイダーによる買いは一件もなく、売却が3件ありました。6か月間では1件の買いに対し、3件の売却があり、1年間を通しても買いが1件に対し、売却が4件という状況です。

このような傾向は、社内関係者が慎重な姿勢を取っている、もしくは利益確定のための行動をしている可能性を示唆しており、同社の短期的な見通しや市場環境に対する見解が反映されているのかもしれません。

なお、インサイダーの持株比率は0.19%と控えめであるため、これらの取引が株価全体に与える影響は限定的と考えられます。一方で、プロの機関投資家の保有比率は72.43%と非常に高く、同社に対する機関投資家の関与は大きいことが分かります。

もちろん、インサイダーによる売却は個人的な理由によることも多いですが、このような一貫した売却傾向が見られる場合には、投資家としてその背景や今後の業績への影響について、より注意深く検討する価値があるといえます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の流動性に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、直近の取引量に表れているように、強固な流動性と活発な取引状況を維持しています。過去2か月間における同社株の平均1日取引量は10,607,519株であり、直近の取引日にはこれをわずかに上回る10,981,067株の取引が行われました。これは、安定した市場での関心と取引活動を示しており、同社株が流動性の高い銘柄であることを裏付けています。

さらに、同社のダークプール・インデックス(DPI)は現在44.85%であり、これは非公開市場(ダークプール)で行われた取引の割合を示しています。DPIが44.85%という数値は、取引のかなりの部分が従来の取引所外で実行されていることを示しており、機関投資家の関与が強く、価格形成に一定の影響を及ぼしている可能性を示唆しています。

総じて、同社の取引指標は、公的市場とダークプールの双方での活発な参加を通じて、健全な流動性環境が保たれていることを示しています。このような高い流動性は、大口取引を行っても価格への影響が小さいことを意味し、個人投資家・機関投資家の双方にとって魅力的な特徴となっています。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


その他のジョンソン・エンド・ジョンソンJNJに関するレポートに関心がございましたら、こちらのリンクよりジョンソン・エンド・ジョンソンのページにてご覧いただければと思います


🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀

イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!


📢 知識は共有することでさらに価値を増します!

✨ この情報が役立つと感じたら、ぜひ周囲の方とシェアをお願いいたします✨


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。