【高配当】キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)今後の株価見通し:配当金0.41ドルの注目の米国高配当株を徹底解説!
- 本稿では、注目の米国高配当株であるキンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP・予想配当利回り10.54%・配当性向392%・1株当たり配当金0.41ドル)の2024年11月7日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、石油・ガス資産における鉱物権やロイヤルティ権益の所有・取得を専門とし、地理的多様性を活かした収益の安定性が特徴です。
- 同社の予想配当利回りは10.54%と高水準ですが、配当性向が329%と持続性に課題があるため、投資家は収益動向に注意が必要です。
- 財務指標ではROICの改善が見られる一方、安全マージンの不足や過大評価の可能性があり、バリュエーションを慎重に評価する必要があるでしょう。
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の概要
セクター:石油・ガス
現在の株価:15ドル
時価総額:14.2億ドル
過去5年間の配当成長率:2.90%
直近配当落ち日:2024年11月18日
直近配当支払い日:2024年11月25日
予想配当利回り:10.54%
過去5年間の売上高成長率:-4.30%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP・予想配当利回り10.54%・配当性向392%・1株当たり配当金0.41ドル)は、アメリカ全域の石油および天然ガス資産における鉱物権とロイヤルティ権益の所有・取得を専門とする企業です。同社の事業は、パーミアン盆地やイーグルフォード、バッケン/ウィリストン盆地、DJ盆地などの主要生産地域で行われており、幅広い地理的分散を特徴としています。この分散型の資産ポートフォリオは、安定した収益とリスク分散を可能にしており、同社のユニークな競争優位性のひとつです。そして、同社の収益は、石油、天然ガス、液化天然ガス(NGL)の生産販売に基づくロイヤルティ収入に依存しており、オペレーターから受け取るロイヤルティ支払いが主な収入源です。
財務状況においては、現在の予想配当利回りが10.54%と非常に高く、収益性が高い高配当株として注目されています。ただし、配当性向が329%と高水準である点は、配当の持続性に課題があることを示唆しています。
以上より、同社は、安定したロイヤルティ収入と配当株としての魅力、さらには地理的多様性と流動性の高さを兼ね備えた企業として、エネルギーセクターにおける魅力的な投資機会を提供しています。ただし、投資家は配当性向や同社業界の市場動向を慎重に見極める必要があるでしょう。
そして、同社は2024年11月7日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の2024年11月7日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.145ドルを記録し、前四半期の0.118ドルから22.8%増加した一方で、前年同期の0.236ドルと比較すると大幅に減少しています。希薄化後のEPSは、2024年第2四半期の0.11ドルから0.22ドルへと大きく上昇しており、収益性の改善を示しています。一方で、1株当たり売上高は前四半期の0.666ドルから0.638ドルへわずかに減少し、前年同期の0.756ドルからの減少傾向が続いています。
また、今四半期の粗利益率は50.15%で、過去5年間の中央値の57.24%を下回り、過去10年間の最高値の76.73%から大幅に低下しています。この粗利益率の低下は、コスト圧力や価格設定の課題が増していることを示唆しています。
さらに、自社株買い比率はマイナスで、過去1年間の自社株買い比率は-9.60%と、発行した株式数が買戻した株式数を上回っています。この傾向は既存株主の持分を希薄化させ、通常はEPSに下押し圧力を与えます。そして、過去5年間の自社株株買い比率の平均は-34.00%であり、株式発行が継続的に行われていることを示しています。
今後の見通しとして、市場のアナリストは同社の収益が堅調に成長すると予測しており、2024年に3億1821万ドル、2026年には3億6018万ドルに達すると見込んでいます。EPSは次年度に0.558ドル、その翌年度には0.740ドルに達すると予想されており、収益の成長が期待されています。また、業界全体では今後10年間で穏やかな成長が予測されており、これが同社の将来的な成長を後押しする可能性があります。
そして、次回の決算発表は2025年2月27日に予定されており、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズの業績や戦略的方向性についてさらなる情報が明らかになるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の財務パフォーマンスに関して
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
過去5年間、同社のROICの中央値は8.72%である一方、WACCはそれを上回る10.76%となっていました。これは、資本コストを上回るリターンを創出できていなかったことを示し、経済的価値が毀損されていたことを意味します。しかし、直近のデータでは、ROICが8.00%、WACCが7.15%と改善し、資本コストを上回るリターンを創出していることが分かります。この変化は、同社が経済的価値を生み出していることを示し、財務効率の向上を示唆しています。
この改善は、資本を効果的に配分し、株主価値を創出する能力を示す重要な指標です。ただし、このポジティブな傾向を長期的に維持することが、持続的な価値創出と競争の激しい市場における財務基盤の強化に不可欠と言えるでしょう。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の配当に関して
最新の四半期におけるキンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の1株当たり配当金は0.41ドルで、前四半期の0.42ドルからわずかに減少しました。この動きは、同社が今後3~5年の配当成長率をゼロと予測していることと一致しており、配当の増加が停滞していることを示唆しています。過去3年間では1株当たり配当金が25.8%という高い成長率を記録していましたが、最近では伸びが止まっており、高い配当性向が一因と考えられます。現在の配当性向は329%で、過去10年の中央値である100.83%を大幅に上回っており、収益が増加しない限り持続性に課題がある可能性を示しています。
一方、同社の予想配当利回りは10.54%と魅力的で、過去10年の中央値である10.06%を上回っていますが、高い配当性向を考慮すると注意が必要です。同業他社と比較して利回りは競争力がありますが、収益が伸びない限り、その持続性は懸念材料となる可能性があります。また、同社のEBITDA有利子負債倍率は1.05倍と低く、財務リスクが低く、債務返済能力が高いことを示しています。この慎重なレバレッジポジションは好材料であり、同社が財務上の義務を適切に管理できることを示唆しています。
以上より、現在の配当水準の持続可能性を評価するために、投資家は収益動向を注意深く監視する必要があるでしょう。
予想配当利回り:10.54%
配当性向:392%
配当カバレッジ・レシオ:0.28倍
過去5年間の配当成長率: 2.90%
EBITDA有利子負債倍率:1.05倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)のバリュエーションに関して
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の現在の株価は15.56ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である6.01ドルよりも著しく高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-158.9%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
一方で、過去12カ月(TTM)ベースの実績PERは30.51倍で、予想PERは21.76倍となっています。そして、現在の実績PERは過去10年間の中央値である26.10倍を上回っており、過去の基準と比較してやや過大評価の可能性を示しています。また、株価売上高倍率(PSR)は5.57倍で、過去10年間の中央値の4.31倍を上回り、過大評価の可能性を示唆しています。
一方、過去12カ月(TTM)ベースの実績EV/EBITDA倍率は7.14倍で、過去10年間の中央値の7.26倍とほぼ一致しており、過去のパフォーマンスに基づく適正評価を示しています。この指標は、過去10年間の最高値や最低値と比べて比較的安定しています。さらに、株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は7.14倍で、過去10年間の中央値の13.47倍を下回り、キャッシュフロー創出能力を考慮すると魅力的な価格設定であることを示唆しています。しかし、株価純資産倍率(PBR)は1.49倍で、過去10年間の中央値の1.24倍をわずかに上回り、若干のプレミアムがついている状況です。
加えて、市場のアナリストの同社に対する見解はやや楽観的で、目標株価の平均は19.83ドルとなっており、最近数カ月よりやや下方修正されています。この目標価格は現在の株価からの上昇余地を示しています。
総合的に見ると、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズのバリュエーション指標は評価が分かれる結果となっています。一部の指標は過大評価を示す一方、他の指標では割安感や安定性を示しています。そのため、投資家は安全余裕率の欠如や市場全体の状況を考慮しながら、これらの要因を慎重に検討する必要があるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)のリスクとリターンに関して
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、同社は過去3年間で5,945万ドルもの多額の債務を発行し続けており、長期的な財務の安定性に懸念が生じています。また、最近のインサイダー取引では、5,000株の売却が行われた一方で購入が確認されておらず、内部者の信頼感が低下している可能性が示唆されています。さらに、配当性向が329%と非常に高い水準にあり、長期的に配当を維持することが難しい可能性があります。加えて、過去5年間の1株当たり売上高の減少は、安定した収益を生み出す能力への懸念を強めています。
一方で、同社の財務状況にはいくつかの強みも見られます。ベニッシュのMスコアが-3.04であることは、会計上の操作が行われている可能性が低いことを示しており、財務諸表の信頼性を裏付ける材料となります。また、営業利益率の拡大は、効率性と収益性の改善を示しています。さらに、アルトマンのZスコアが3.75と高く、破産リスクが低い健全な財務基盤を反映しています。しかし、株価売上高倍率(PSR)が過去5年で最高値に近い5.57倍で推移しており、株価が過大評価されている可能性があります。このため、同社の成長見通しを慎重に評価する必要があるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)のインサイダー取引の傾向を分析すると、内部関係者による一貫した株式売却のパターンが浮かび上がります。直近3カ月では1件の売却が行われ、購入はありませんでした。この傾向は6カ月間においても続いており、2件の売却と購入なし、さらに12カ月間では9件の売却が確認され、購入は一度も行われていません。この売却活動は、内部関係者が同社の株価を過大評価と見ている可能性や、個人的な流動性ニーズを反映している可能性を示唆しますが、ストックオプションの行使や他の報酬に関連するタイミングなど、他の要因も考慮する必要があります。
一方で、インサイダーによる同社株式の保有比率は4.51%で、経営陣と株主の利益の一定の一致を示していると言えます。一方で、機関投資家の保有比率は34.45%とかなり高く、プロの大口投資家からの信頼を示すポジティブな兆候と見られます。しかし、インサイダーによる購入を伴わない売却トレンドは、潜在的な投資家にとって懸念材料となる可能性があり、これらの決定に影響を与える外部要因を慎重に分析する必要があるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)の流動性に関して
キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)は、強固な流動性プロファイルを示しています。直近営業日の1日の出来高は1,808,091株で、過去2カ月間の平均出来高である690,024株を大幅に上回っています。このことは、取引活動が大きく増加し、注目度の高まりと潜在的な株価のボラティリティ上昇を示唆しています。
同社のダークプール指数(DPI)の割合は、前営業日が44%、前々営業日が42%、5日平均が43%となっています。これらの数値は、非公開取引所での取引が適度な水準で行われていることを示しており、機関投資家の関与や戦略的取引行動を示唆する場合があります。ただし、DPIの水準は比較的安定しており、大きな急上昇が見られないため、一貫したダークプール活動が行われていることが伺えます。
全体として、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズの流動性状況は非常に良好で、現在の出来高は2カ月間の平均を大幅に上回っており、売買の流動性が十分にあることを示しています。また、安定したDPIの数値は、過剰な隠れた取引がないバランスの取れた取引環境をサポートしています。投資家は、今後の市場心理や流動性の変化を評価するために、取引量やDPIの動向を引き続き注視する必要があるでしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
加えて、インベストリンゴのインカム・高配当株担当アナリストであるヴェンカット・ ラガーヴァン氏が、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。
もし詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、併せてご覧いただければと思います。
その他のキンベル・ロイヤルティ・パートナーズ(KRP)に関するレポートに関心がございましたら、こちらのリンクより、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズのページにてご覧いただければと思います。
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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
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