中立モービルアイ・グローバルモービルアイ / MBLY / 中立:強み・テクノロジー分析と今後の株価見通し・将来性 - 前編(Mobileye)
コンヴェクィティ - モービルアイ(MBLY)は、先進運転支援システム(ADAS)分野において、レベル0からレベル2までのソリューションに特化した極めて重要なプレーヤーである。
- 同社は、先進的なチップとソフトウェア技術において、ADAS製品を強化する新興企業や既存企業との競争激化に直面している。
- アナリストの予想はまだ楽観的だが、一方で、株価急落以降、リスク・リターンは大幅に改善したように見える。
モービルアイ(MBLY)の自律走行技術の前進
自律走行技術のリーダーであるモービルアイ(MBLY)は、相手先商標製品製造会社(OEM)向けにチップとソフトウェアのソリューションを提供している。
この分野のパイオニアとして、同社はビジョンベースの先進運転支援システム(ADAS)の先陣を切り、特にテスラ(TSLA)が2017年に自動車の電動化とデジタル化を推進する以前は、高級内燃機関(ICE)車で早くから成功を収めていた。
モービルアイ(MBLY)の主な成功要素
同社の成功は、ソフトウェアとハードウェアの融合、データの管理、費用対効果の高いアプローチに起因しており、市場での地位を確固たるものにしている。
同社は、新技術の採用が遅れがちな自動車メーカーに卓越したサービスを提供している。
例えば、2022年のベントレーやマイバッハのような高級車には、消費者市場における価値が50ドル未満であるにもかかわらず、時代遅れの2014年製サムスンsm-t230nzタブレットが搭載されている。
これは、進化の早い家電製品に比べ、自動車技術のペースが遅いことを物語っている。
高級車のオーナーは、劣悪なデジタル機能に対して1万ドル以上を支払うことが多いが、一方で1000ドルで優れたiPadが簡単に入手可能であるもの現状であり、技術格差が浮き彫りになっている。
モービルアイ(MBLY)のOEM重視のシフトと同社の役割拡大
2017年頃、テスラの人気と2020年以降の販売台数の伸びは、OEMにデジタル化と電動化の必要性を認識させた。
そして、新興企業が市場に参入したことで、EVセクターの成長と同社の関連性が高まった。
2017年のインテル(INTC)による同社の153億ドルでの買収は戦略的なものだったが、買収後にインテルで発生した問題は、同社の自律走行におけるイノベーションとリーダーシップに影響を与えた。
モービルアイ(MBLY)の競争環境
同社は、エヌビディア(NVDA)やクアルコム(QCOM)のようなチップ製造のライバルや、ファーウェイを含む中国の新興競合に直面している。
ADASの分野では、チップ製造の直接の競合企業やテスラのような統合企業が、独自の車両、チップ、ソフトウェアを開発しており、課題となっている。
同社はまた、Cruise、Zoox、Waymoなど、ADASアルゴリズムに特化した専門ソフトウェア企業とも競合している。
OEMは現在、単なるTera Operations Per Second(TOPS)よりも包括的な自動車向けソリューションを優先している。
同社の製品は、強力なロードマップにもかかわらず、クアルコムのようなダイナミックなプレーヤーとの厳しい競争に直面している。
同社の戦略は、エヌビディアのハードウェアとソフトウェアコンポーネントの分離や、クアルコムのコネクティビティからOEMにアピールする車載アプリケーションへの拡大により、影を潜めることとなってしまっているように見える。
中国メーカーもADASチップを大きなチャンスと見ており、インテル、AMD(アドバンスド・マイクロ・デバイシズ)、ブロードコム(AVGO)が主導する安定したPC市場とは対照的である。
同社の2017年以前のADASアプローチは、大規模なソフトウェア開発とメンテナンスを伴うもので、時代遅れになりつつある。
そして、デジタル化は自動車メーカーの成功にますます欠かせないものとなっており、車載システムは複雑さを増している。
エヌビディアは、2015年頃にモバイルSoCからADASアプリケーションに焦点を移し、ADASのエッジ推論チップに汎用グラフィックス処理ユニット(GPGPU)の専門知識を活用している。
Convequityによる注目のADASチップ&ベンダー情報 2024年1月11日
テスラ(TSLA)のADASにおける進化
テスラが2016年に同社からエヌビディアのDRIVE PX 2プラットフォームに移行し、その後エヌビディアのDRIVE Orinに移行したのは、ADASにおける柔軟なハードウェアおよびソフトウェア・ソリューションの需要を反映している。
テスラの決定は、エヌビディアの高い計算能力とOEMとの協業意欲に影響されている。
しかし、エヌビディアのプラットフォームでは、自動緊急ブレーキ(AEB)の問題などの課題に直面し、テスラは独自のADASチップとニューラルネットワーク・アルゴリズムを開発することになった。
2023年までに、テスラのハードウェア3.0は144 TOPSを提供し、他社を凌駕している。
そして、2024年に発表されるクアルコムの130ワックアルコムTOPSが競争に拍車をかけることが予想される。
モービルアイ(MBLY)、エヌビディア(NVDA)、クアルコム(QCOM)、ADASバリューチェーン
同社はロボットタクシーと自動運転車領域でリードすることを目指しているが、OEMはADASスタックの価値を維持することに重点を置いている。
実際に、同社の成功は、ソフトウェアとハードウェアの統合と高精細マッピングに依存していた。
しかし、市場ではこれらのコンポーネントの分離に対する需要が高まっている。
エヌビディア(NVDA)のADAS戦略
エヌビディアは技術の世界では自己主張の強いアプローチで知られており、当初はTOPSの高いチップに焦点を当て、OEMがソフトウェアを構築できるようにしてADAS分野に参入した。
しかしその後、シミュレーション・ソフトウェア、SDK、自律走行車向けモジュール式リファレンス・アーキテクチャであるDRIVE Hyperionなど、追加のツールやサービスを提供することで、従来のアプローチから逸脱している。
このシフトには、現在、メルセデスのみが採用しているレベニューシェア価格モデルが導入されている。
一方、同社は、足元、ソフトウェアとハードウェアをより密接に統合しており、OEMは同社への依存度とスイッチングコストの上昇を見極めなければならない厳しい状況に置かれている。
クアルコム(QCOM)の自動車産業へのアプローチ
スマートフォン分野で成功を収めたクアルコムは、同様のアプローチを自動車にも適用している。
同社はデジタル・シャシー全体に焦点を当て、インフォテインメント・システムをリードし、高品質のコネクティビティと包括的なソリューションを提供している。
同社の戦略は、MediaTekのような格安SoCベンダーとは異なり、長期的なソフトウェアアップデートをサポートすることである。
同社のモバイルチップを車載用に再利用する能力と、エッジ推論AIにおける効率性により、ADAS領域における強力なプレイヤーとなる可能性があると見ている。
Zeekrとモービルアイ(MBLY):EVパートナーシップ
Geely傘下の中国のEV新興企業Zeekrは、モービルアイのSuperVisionシステムを全面的に採用していることから、モービルアイの主要顧客である。
※SuperVisionシステム:カメラセンサー(高価なLiDARではない)を使用したL2+ ADASソリューション
Zeekrは約15万台でSuperVisionを独占的に使用しており、モービルアイの将来にとって極めて重要で、より高い平均販売単価と台数を牽引している。
Zeekrがエヌビディアに移行する可能性があることから、モービルアイのCEOはZeekrの資金調達に参加し、EV市場の競争力と戦略的協力を強調した。
2023年7月、Zeekrはモービルアイと共同でSuperVisionを改良し、性能を10倍に高めた。
Zeekrの統合の課題とベンダーとの関係
独自の機能を開発しながらモービルアイの技術を統合することは困難な課題である。
Zeekrは、インフォテインメントではクアルコムのような様々なベンダーに依存し、ADASではエヌビディアのOrinを検討しており、効率化のためにベンダーの統合に繋がる可能性のあるマルチベンダーアプローチを示唆しているように見える。
クアルコムの820Aインフォテインメントの初期遅延と、クアルコムが8155を発売した際の無償アップグレードに対するユーザーの要求は、自動車チップの状況におけるクアルコムの影響力を示している。
Zeekr が Waymoと2022年に共同開発したSEA-Mは、さまざまな ADAS ソリューションに対応するオープン・インターフェイスを備えたネイティブなL4自動運転車を実現し、L4競争を激化させることを目的としている。
※続きは「モービルアイ / MBLY / 中立:強み・テクノロジー分析と今後の株価見通し・将来性 - 後編(Mobileye)」をご覧ください。