中立マクドナルドマクドナルド(MCD)株は買うべきか?最新の2024年度第3四半期決算と配当推移の分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、注目の配当銘柄であるマクドナルド(MCD:配当貴族・予想配当利回り2.43%・配当性向56%・1株当たり配当金1.77ドル)の2024年10月29日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移を詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、「マクドナルド株は買うべきか?」という疑問に答えるべく、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- マクドナルドはフランチャイズモデルによって安定した収益基盤を築いており、予想配当利回りは2.43%で米国株配当貴族の一角を占めています。
- 最新の2024年度第3四半期決算で、EPSは前年同期をわずかに上回り、効率的なコスト管理による高い粗利益率を維持しています。
- 株価は本質的価値に対してやや割安で、今後も安定した成長が期待される一方で、インサイダーによる同社株式の売却が続いており、株価見通しに慎重な見方もあります。
マクドナルド(MCD)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:フェアバリュー並み
リスクレベル:中リスク
セクター:レストラン
現在の株価:290ドル
時価総額:2083億4千万ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:298.83ドル
安全余裕率(マージン):2.71%
過去5年間の配当成長率:7.60%
次回配当落ち日:2024年12月2日
次回配当支払い日:2024年12月16日
予想配当利回り:2.43%
過去5年間の売上高成長率:5.20%
過去10年間の売上高成長率:1.60%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
マクドナルド(MCD:配当貴族・予想配当利回り2.43%・配当性向56%・1株当たり配当金1.77ドル)は、アメリカ・イリノイ州シカゴに本社を置く、世界最大規模のファストフードチェーン運営企業です。
1940年の創業以来、同社はフランチャイズモデルを通じて、グローバルに事業を展開してきました。
現在では、約120の国と地域に4万店以上の店舗を持ち、世界中の消費者に向けて迅速かつ手頃な食事を提供しています。
マクドナルドのビジネスのユニークな特徴は、約60%の収益がフランチャイズからのロイヤリティと賃貸収入で構成されている点です。
これは、独自の不動産保有とフランチャイズ戦略によって、安定した収益基盤を築いていることを意味します。
財務面でも安定性が際立っており、マクドナルドは投資家に対しても強い魅力を発揮しています。
最近の営業利益率は56.62%と高く、コスト管理の効率が非常に高いことが示されています。
また、過去5年間のEPSの年平均成長率は約9.7%で、長期的に堅実な成長を遂げています。
さらに、株主還元にも積極的で、現在の予想配当利回りは2.43%と魅力的です。
直近の配当は四半期ごとに1株あたり1.77ドルに増加しており、配当性向は56%と持続可能な水準を維持しています。
加えて、過去25年間以上にわたりマクドナルドは増配を継続しており、米国株配当貴族の一角を占めています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は50%を超え、機関投資家の強い関心が示されています。
総合的に見て、マクドナルドは安定した収益基盤と効率的な業務運営に支えられた魅力的な投資先であり、今後も競争優位性を維持しながら成長が期待できる企業です。
そして、同社は2024年10月29日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンスを詳しく解説していきます。
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マクドナルド(MCD)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
マクドナルド(MCD)の2024年10月29日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは3.23ドルを記録し、前四半期の2.97ドルから8.75%増加、前年同期の3.19ドルもわずかに上回り、引き続き好調な業績を発表しました。
1株当たりの売上は9.547ドルで、第2四半期の8.989ドル、および、前年同期の9.147ドルを超えています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は9.70%、過去10年間の年平均成長率は8.70%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。
今四半期の粗利益率は56.62%で、5年平均の54.17%を上回り、過去10年での最高水準57.12%に迫る数値となっており、これは効率的なコスト管理と強固な業務パフォーマンスを示しているといえます。
また、過去1年間の自社株買い比率は1.20%で、発行済株式数を減らしEPSの向上に寄与しています。
さらに、過去10年間の平均自社株買い比率は3.20%で、安定した資本還元が続いていることを示しています。
今後については、業界予測では今後10年間で年平均3%の成長が見込まれています。
そして、市場のアナリストの見立てでは、マクドナルドの売上は2024年に260億6103万ドル、2026年には285億1324万ドルに達すると予想され、EPSも来年度には11.509ドル、その翌年には12.604ドルに増加すると見込まれています。
次回の決算発表は2025年2月5日に予定されており、同社の成長動向についてさらなる情報が得られるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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マクドナルド(MCD)の財務パフォーマンスに関して
マクドナルド(MCD)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社は、ROICとWACCの分析から、非常に効率的な財務運営と経済価値の創出力を示しています。
過去5年間、同社のROICは中央値で17.55%に達しており、WACCの中央値である4.93%を大きく上回っています。
直近の数値ではROICが18.83%、WACCが7.35%となっており、この差が安定していることから、マクドナルドが資本コストを超える高い価値を生み出していることがわかります。
そして、ROICが一貫してWACCを上回っていることは、資本の効率的な配分と強固な業務パフォーマンスを示しています。
また、自己資本がマイナスであることから一見すると財務の安定性に不安があるように見えますが、高いROICにより、マクドナルドは投下資本を効率的に活用し、資本コストを大幅に上回る利益を生み出していることがわかります。
この実績は、効率的な運営と強力な市場ポジションに注力する同社の戦略と一致しており、長期的に経済価値を創出し、競争優位性を維持するための強力な基盤となっています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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マクドナルド(MCD)の配当に関して
マクドナルド(MCD)は安定した配当成長を続けており、過去5年間の配当成長率は7.60%、過去3年間では7.30%となっています。
さらに、同社は過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っています。
現在の予想配当利回りは2.43%で、これは過去10年間の中央値である2.34%をわずかに上回るものの、過去10年間の最高値である3.66%には届かない水準となっていますが、過去のデータと比べると安定した配当利回りを維持していると言えます。
直近の四半期で1株当たりの配当は1.67ドルから1.77ドルに増額され、引き続き増配傾向が続いています。
配当性向は現在56.0%で、持続可能な水準に収まっており、過去の配当性向が高かったときと比べても、将来的な増配の余地があるように見えます。
さらに、同社のEBITDA有利子負債倍率は3.86倍で中程度の水準にあり、財務レバレッジは十分に管理されています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
実際に、負債水準はやや高めではあるものの、配当に影響を与えることなく負債の返済も可能な状況です。
今後3~5年間の配当成長率は7.11%と予測されており、これまでの成長ペースとほぼ一致しています。
次回の配当権利落ち日は2024年12月2日の予定で、今後も安定した配当が期待できます。
予想配当利回り:2.43%
配当性向:56%
配当カバレッジ・レシオ:1.71倍
過去5年間の配当成長率: 7.60%
EBITDA有利子負債倍率:3.86倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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マクドナルド(MCD)のバリュエーションに関して
マクドナルド(MCD)の現在の株価は290.73ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である298.83ドルよりもわずかに低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が2.71%となっていることから、わずかに割安である可能性が示唆されています。
一方で、予想PERは23.05倍、過去直近12ヶ月ベースの実績PERは25.53倍となっており、過去10年の中央値である25.34倍に近く、過去と比較して概ね適正なバリュエーション水準にあるように見えます。
他のバリュエーション指標を見ると、同社の直近12ヶ月の株価売上高倍率(PSR)は8.08倍で、過去10年の中央値である7.16倍を上回っており、やや割高な傾向が見られます。
また、EV/EBITDA倍率は18.83倍で、過去10年の中央値である17.79倍をやや上回っており、こちらも営業キャッシュフローの効率面ではわずかに割高といえます。
直近12ヶ月の株価フリー・キャッシュフロー倍率は32.0倍で、過去10年の中央値である29.96倍よりわずかに高く、キャッシュフロー面からもやや割高と判断されます。
しかしながら、同社の市場のアナリストによる目標株価は最近上昇傾向にあり、現在324.07ドルに設定されており、アナリストからも好意的な見方をされています。
40人のアナリストの評価によると、今後の株価上昇が期待されており、弊社算出の一株当たり本質的価値のわずかな割安性と相まって安定した投資先として魅力的に映ります。
総合的に見て、マクドナルドのバリュエーション指標は一部で割高感があるものの、歴史的なパフォーマンスと比較しておおむね適正な市場評価を受けているといえます。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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マクドナルド(MCD)のリスクとリターンに関して
マクドナルド(MCD)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、ポジティブな面では、アルトマンのZスコアが4.78と高く、信用力があり倒産リスクが低いことが示されています。
また、営業利益率が拡大しており、業務効率の向上と収益性の向上が期待できます。
さらに、ベニッシュのMスコアが-2.38で、財務報告が操作されている可能性が低いことも、投資家に安心感を与えています。
一方で、いくつかのリスク要因にも注意が必要です。
まず、過去3年間で49億ドルの新たな負債を抱えましたが、全体の負債水準はまだ管理可能な範囲です。
ただし、総資産の年平均成長率が7.3%であるのに対し、売上の成長率は5.2%にとどまっており、資産効率が低下している可能性があります。
また、インサイダーによる自社株の買い付けが見られない一方で、過去3ヶ月間に47,484株が売却されており、インサイダーの間で今後の株価見通しやバリュエーションに対する懸念があるかもしれません。
さらに、株価が史上最高値圏にあることも、短期的な上昇余地が限られる可能性を示唆しています。
これらの点を考慮し、マクドナルド株への投資を検討する際は、財務の安定性と効率低下のリスクを総合的に判断することが重要でしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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マクドナルド(MCD)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間で、マクドナルド(MCD)のインサイダーは同社株式を購入していない一方で、持ち株の売却を続けています。
直近3ヶ月では11件、6ヶ月で15件、過去1年間では25件の売却があり、インサイダーによる売却が継続的に行われていることが分かります。
この動きは、インサイダーが同社の株価が適正水準に達している、もしくは、今後の課題を予想しているために売却をしている可能性を示唆しています。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.21%と低く、役員や経営陣の利益が株主と必ずしも一致していない可能性があります。
一方、プロの機関投資家の保有比率は72.82%と高く、プロの投資家からの強い支持が見られます。
総じて、インサイダーが自社株を売却し続けている状況は、彼らがマクドナルドの将来について慎重に見ている可能性を示しており、投資家にとって注目すべき点といえるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
マクドナルド(MCD)の流動性に関して
マクドナルド(MCD)の流動性は中程度で、直近の1日あたりの出来高は2,347,633株となっています。
これは2ヶ月間の平均出来高である3,682,680株を下回っており、現在取引の活発さがやや減少している状況です。
この取引量の減少は、短期的に投資家の関心が薄れている、または取引機会が少なくなっている可能性を示しています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は52.05%で、取引の多くが非公開市場で行われていることを示しています。
DPIが50%を超えると、取引量の半数以上がこうした非公開市場で行われている可能性があり、市場の流動性や実際の投資家心理の把握に影響を及ぼす可能性があります。
総じて、同社の現在の取引量は平均を下回っているものの、高いDPIは機関投資家が引き続き積極的に関与していることを示しており、価格の安定性や将来の流動性に影響を与える可能性があります。
投資家は、取引量やDPIの変動に注目し、市場の動向や流動性への影響を把握しておくことが重要です。
また、インベストリンゴのアナリストであるジェームズ・ フォード氏が、伝説のバリュー投資家であるウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が最新の13Fレポートを公開した後に、バフェット氏のポートフォリオに関するアップデートとマクドナルドに関する下記のレポートをリリースしています。
もし詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。
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関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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