バフェット氏の最新のポートフォリオ・アップデート:バンク・オブ・アメリカとアップルの売却を加速し現金比率が大幅に増加!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、伝説のバリュー投資家であるウォーレン・バフェット氏の最新のポートフォリオにおける保有銘柄の分析を通じて、今後の米国株見通し、並びに、今後の私の投資戦略を詳しく解説していきます。
- バフェット氏は2024年第3四半期にアップルやバンク・オブ・アメリカなどの米国株を一部売却し、景気後退に備えた防御的な銘柄を新規に追加しました。
- バフェット氏の売却背景には、米国株式市場の割高感や米国経済の不透明さへの懸念があり、現金比率は大幅に上昇しており、将来の投資機会に備える姿勢が見られます。
- ドミノ・ピザなど、景気後退に強い銘柄を新たに購入し、経済減速に備えた戦略を取っていることが、投資家の関心を集めています。
ウォーレン・バフェット氏の最新のポートフォリオ・アップデート
伝説のバリュー投資家であるウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が最新の13Fレポートを公開しました。
13Fレポートとは、米国証券取引委員会(SEC)に提出される報告書で、主に大規模な機関投資家(資産運用会社やヘッジファンドなど)が保有する上場株式の状況を四半期ごとに公開するものです。
この報告書の正式名称は「Form 13F」といい、資産運用額が1億ドル以上の機関投資家に提出が義務付けられています。
13Fレポートには、その機関が特定の四半期に保有していた株式やオプションなどの銘柄リスト、各銘柄の保有数や総額が記載されています。
これにより、投資家や市場の参加者は、ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイのような著名な投資家がどの銘柄を購入・売却したか、どの銘柄に重点を置いているかを確認することができます。
この情報は、投資戦略を考える際の参考にもなります。
そして、この13Fレポートの公開により、バフェット氏が前四半期にどの銘柄を購入・売却したかが明らかになりました。
注目すべき点として、バフェット氏はアップル(AAPL)を含む複数の株式を売却し、さらに手元資金を増やしています。
また、一方で、いくつかの興味深い新ポジションも追加しました。
特に目を引くのは、バフェット氏が「景気後退に強い銘柄」をポートフォリオに追加したことです。
そして、私も同じく、この戦略を取っています。
経済の減速が見え始めている今、現金を確保するか、防御的な銘柄に投資することが賢明かもしれません。
本稿では、下記のポイントを解説していきます:
・バフェット氏が2024年第3四半期に購入・売却した銘柄
・バフェット氏が守りの姿勢に転じた理由
・バフェット氏がドミノ・ピザ(DPZ)を購入した背景
・私が景気後退に備えて購入を検討している銘柄
では、詳細に入っていきたいと思います。
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加えて、インベストリンゴ編集部による下記のレポートでは、バフェット氏の投資哲学や投資条件を詳しく解説しております。
レポートの詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。
バークシャー・ハサウェイの13F公開:バフェット氏はどの銘柄を売買しているのか?
まずは13Fレポートの概要を見てみましょう。
ポートフォリオ概要
・総資産価値
約2,800億ドルから約2,660億ドルに減少
・上位5銘柄
アップル(AAPL)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、コカ・コーラ(KO)、シェブロン(CVX)がポートフォリオ全体の約71%を占めています
・保有銘柄数
37銘柄を保有しており、特に上位の数銘柄に資産が集中しています
新規追加銘柄
ドミノ・ピザ(DPZ)
・保有割合:ポートフォリオの0.21%
・取得価格帯:約402~504ドル
・現在の株価:約436ドル
プール・コーポレーション(POOL)
・保有割合:ポートフォリオの0.05%
・取得価格帯:約294~372ドル
・現在の株価:約358ドル
売却した銘柄
フロア&デコア・ホールディングス(FND)
・全株を売却
アルタ・ビューティー(ULTA)
・ほぼ全てを売却
著しく増加した銘柄
シリウスXMホールディングス(SIRI)
・保有割合を約4%増加
・現在の株価:約27.03ドル
ハイコ(HEI)
・わずかな増加
・現在の株価:約277ドル
著しく減少した銘柄
アップル(AAPL)
・約25%の売却
・現在の株価:約228ドル
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
・約23%の売却
・現在の株価:約45.90ドル
チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)
・大幅な売却が継続中
据え置かれた銘柄
アメリカン・エキスプレス(AXP)
約20%の保有率を維持する長期保有銘柄
コカ・コーラ(KO)
約9.2%の保有率を維持する長期保有銘柄
その他の注目点
・日本の商社株
5社に対する約8.5%の保有は変更なし。バフェットの国際分散投資への関心が伺えます。
BYD Company(BYDDY)
保有割合が5%を下回りました。
・オクシデンタル・ペトロリウム(OXY)
ワラントを含めると約36%の株式を保有しており、エネルギー分野への大きな投資が示されています。
なぜバフェット氏は米国株を売却しているのか?
ウォーレン・バフェット氏がアップルやバンク・オブ・アメリカの株式を売却した背景には、いくつかの理由が考えられます。
バリュエーションへの懸念
バフェット氏は、アップルのような超大型株が将来の利益の30倍以上で取引されている状況を持続可能でないと見ています。
これは、1990年代に過大評価されたコカ・コーラを保有し続けたことを後悔した過去の経験とも重なります。
(出所:Current Market Valuation)
また、米国株式市場の時価総額をGDPで割った「バフェット指標」も、歴史的なトレンドから大きく外れ、異例の高水準に達しています。
経済への警戒感
バンク・オブ・アメリカ株の売却は、景気後退や銀行業界の脆弱性への懸念を反映している可能性があります。
また、下記のレポートにおいて、私も多くの米国経済への懸念について述べています。
詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。
現金の確保
バフェット氏が手元資金を増やしているのは、買収や市場の調整といった将来の好機に備えるためとも考えられます。
(出所:CompaniesMarketcap.com)
これらの動きは、バフェット氏が割高なバリュエーションの米国株式や米国経済の不透明さに対して慎重な姿勢を示していることを物語っています。
なぜバフェット氏はドミノ・ピザ(DPZ)を購入したのか?
ドミノ・ピザ(DPZ)は世界的に有名なブランドで、ピザデリバリー業界のリーダーとしてファストフード市場で高い競争力を持っています。
手頃な価格設定で、不況時でも消費者から支持されやすい点は、バフェット氏が重視する特性です。
また、ドミノ・ピザのビジネスは主にフランチャイズモデルで運営されているため、安定した収益を確保しつつ、運営リスクを抑えられるのも魅力です。
さらに、デリバリー分野でデジタル化を先導しており、テクノロジーを活用した効率向上に関心を寄せるバフェット氏の戦略にも合致しています。
ただし、株価収益率(PER)は27倍で、バフェット氏が通常好むバリュー株と比べると割高です。
また、成長は続いているものの、かつての急成長期に比べるとペースが落ち着いており、この価格での長期的なリターンにはやや懸念があるかもしれません
また、インベストリンゴのバリュー株、並びに、配当株担当のアナリストであるイアニス・ ゾルンパノス氏も、最新の決算後にドミノ・ピザに関する下記のレポートを執筆しております。
下記レポートでは、主に、同社の財務パフォーマンスと配当推移の分析に焦点を当てております。
もし関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。
私も守りの姿勢を取ります
ご覧の通り、ウォーレン・バフェット氏は米国経済の不確実性、並びに、米国株式市場の割高感から守りの戦略を取っており、私も同様の方針を取っています。
そのため、下記の銘柄のポートフォリオへの追加を検討しています。
マクドナルド(MCD):理想的な「AI」景気後退対策銘柄
以前からお伝えしている通り、今の株価水準でマクドナルド(MCD)をポートフォリオに加えることは、質の高い企業に投資しつつ、不況への備えにもなる最適な方法だと考えています。
(出所:TradingView)
上記のチャートからも分かる通り、この株は2000年代を通じて好調を維持し、2008~09年の不況でもしっかりと耐え抜きました。
そして、2017年以降、S&P 500と同程度のリターンを示しています。
2020年には大きく下落しましたが、飲食店の閉鎖が原因であり、想定内の動きでした。
その後は着実に回復しており、ここ数ヶ月では絶好の買い場となる調整も見られました。
マクドナルド(MCD)の最新の業績と大腸菌問題
マクドナルド(MCD)の2024年第3四半期の業績は一長一短の結果となり、価格重視のメニューに注力したことで売上が3%増加しました。
同社は高価格帯のメニューの優先度を下げ、手頃な価格の商品に重点を置くことで、経済状況が厳しい中でも価格に敏感な顧客を引き留める戦略をとっています。
マックリブの復活やバリューメニュー、定番商品のリニューアルといった施策で、販売量とフランチャイズ店舗の収益向上を目指しています。
昨年の好調な実績と比較すると既存店売上はやや伸び悩みましたが、マーケティングキャンペーンやロイヤルティプログラムは好調に推移しています。
さらに、最近、クォーターパウンダーに使用されたタマネギが原因で大腸菌感染が発生し、13州で75人に影響が出ました。
この影響で時間外取引で株価が10%下落しましたが、マクドナルドは多様な商品構成とPERが約23倍という比較的低いバリュエーション水準により、影響は限定的でした。
私がマクドナルド(MCD)を特に評価する理由
まず、投資家にとってよく知られているマクドナルド(MCD)の強みについてお話しします。
マクドナルドのビジネスモデルは、不動産所有、フランチャイズ拡大、そして効率的な運営戦略に基づいています。
同社は不動産の80%、土地の57%を所有しており、これらの資産を担保に使うことで、好立地への進出を支えています。
また、2027年までに5万店舗を目指しており、その多くをフランチャイズ店舗として展開しています。
フランチャイズ店舗は営業利益率が84%と高く、直営店の16%と比べてもはるかに効率的です。
(出所:FourWeekMBA)
さらに、マクドナルドはフランチャイズ先に対して価格決定権を持ち、収益に対するロイヤリティ比率を安定させることで、パートナーに過度な負担をかけずに財務の安定を確保しています。
しかし、私がマクドナルドを特に評価する理由はここではなく、店舗の自動化に力を入れている点にあります。
今年3月、テキサス州フォートワースにロボット主体で運営されるマクドナルドがオープンし、大きな注目を集めました。
店内の様子がニュースで取り上げられ、顧客が新しい店舗体験についてインタビューを受けるなど、ファストフード業界の次なる革命として話題になりました。
この未来型マクドナルドでは、ほぼすべての業務が機械によって自動化されており、レジ係や注文を受けるスタッフがいません。
顧客はキオスクやアプリを使って注文し、ビッグマックやフライドポテトは自動調理機器が準備、注文品はベルトコンベアで顧客に届けられます。
完全に無人というわけではなく、数人のスタッフがオンライン注文の準備を支援し、機械が正常に稼働しているかを監視しています。
(出所:San Global Research)
なお、世界の全自動レストラン市場は2022年に16億ドル規模とされ、2023年から2032年までの間に年平均成長率15.4%で拡大が予測されています。
マクドナルド(MCD)のバリュエーションと配当
マクドナルド(MCD)の株価は安くありませんが、一部の指標で見るとそこまで悪くもありません。
(出所:Seeking Alpha)
実績PER(P/E Non-GAAP TTM・P/E GAAP TTM)と予想PER(P/E Non-GAAP FWD・P/E GAAP FWD)は共に「たったの」25倍程度です。
確かにPEGレシオ(PEG Non-GAAP FWD)は高いものの、マクドナルドは成長を求めて買う銘柄ではありません。
同社は安定した配当を支払っており、過去25年以上に渡り増配を継続しており米国株配当貴族の一角を担っています。
これが、私が不況に強い銘柄と考える理由です。
マクドナルド(MCD)のテクニカル分析
(出所:TrendSpider)
最近の売りによって、魅力的な買い場が見えているように見えます。
確かに277ドルまで明確なサポートはありませんが、RSIと価格の乖離が見られ、MACDも上向きになりつつあります。
これは日足チャートですが、200日4時間移動平均線でサポートが確認されています。
また、インベストリンゴのバリュー株、並びに、配当株担当のアナリストであるイアニス・ ゾルンパノス氏も、最新の決算後にマクドナルドに関する下記のレポートを執筆しております。
下記レポートでは、主に、同社の財務パフォーマンスと配当推移の分析に焦点を当てております。
もし関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。
ウォーレン・バフェット氏のポートフォリオに対するまとめ
今後数ヶ月で防御的なポジションにシフトするため、今後数カ月以内にマクドナルド(MCD)を私のポートフォリオの1つである「EOWポートフォリオ」に追加予定です。
私のEOWポートフォリオの詳細に関心のある方は、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、下記のレポートをご覧いただければと思います。
EOWポートフォリオとは?
EOWポートフォリオ・アップデート
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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