11/15/2024

【半導体】マイクロチップ・テクノロジー(MCHP)の将来性とは?最新の2025年第2四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

a close-up of a circuit boardダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるマイクロチップ・テクノロジー(MCHP)の11月5日に発表された最新の2025年第2四半期(暦年:2024年度第3四半期)決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社は市場動向を見誤り、キャンセル不可・返却不可の制限解除の遅れも影響し、今回の業績は厳しい結果となりました。 
  • 決算発表で、産業需要の低迷が続く中、同社は長期成長のためにファウンドリとの協力や設備投資の柔軟な活用を進めていると説明しました。 
  • 同社は、欧州やアメリカでは市場が弱含む一方、中華圏では安定しており、全体として市場の調整が終盤に差し掛かっていると見ています。

マイクロチップ・テクノロジー(MCHPの最新の2025年度第2四半期決算発表に関して

マイクロチップ・テクノロジーMCHP11月5日に最新の2025年度第2四半期(暦年:2024年度第3四半期)決算を発表しており、今回の四半期業績は、まさに「災難」といえるものでした。

同社は市場の流れを見誤り、NCNR(キャンセル不可・返却不可)を解除するのも最後まで遅れました。

かつてはサイクルの読みで他をリードしていた彼らが、今では誰よりも外しているという皮肉には驚かされます。

全体的に今回の決算説明会は退屈な内容でした。

航空宇宙や防衛関連の需要は堅調ですが、産業向けの需要は引き続き弱いままです。

この状況は他社とも一致しています。

ただ、「ツール」に関して一つだけ興味深い話がありました。

下記は最新の決算説明会での遣り取りの一部です。

(原文)We are also prepared for the long-term growth of our business, on the one hand, in partnership with our foundry and outsourced single-test partners. And on the other hand, with the optionality of deploying capital, which we have purchased, but not yet placed into service for our internal factories.

(日本語訳)私たちは長期的な事業成長に向けた準備を整えています。一方でファウンドリや外部テストパートナーとの協力体制を強化し、他方では、購入済みでまだ稼働していない自社工場向けの設備投資を柔軟に活用できる選択肢を持っています

つまり、彼らはまだ使っていない設備をストックして待機させているわけです。

CHIPS法の投資税額控除(ITC)は、半導体製造装置にとって少し前進といえるもので、この点が興味深いと感じました。

彼らは市場の調整が「終盤」に近づいていると見ていますが、この表現はなかなか的を射ているようにも見えます。

上振れのときは需要が無限に感じられる一方で、下振れになると完全に停滞しているように見えるものです。

今は明らかにサイクルの「もう終わりだ」という局面にいるようですが、投資家たちはいずれ「夏」が来ることをわかっているはずです——ただ、それが訪れるのはまだ先の話でしょう。

(原文)And we just need to get through. We're not in the early innings of a correction. We're in the later innings of the correction. And that's why our confidence is that this thing will turn around. It has turned around. And just as when we were on the upside, it looked like it was impossible to know how could we ever satisfy the demand. On the down cycle, you get the sense that how can we ever turn this thing around. But it does happen. It is a cyclical industry, and it will happen.

(日本語訳)今はこの状況を乗り切ることが大事です。市場の調整ももう序盤ではなく、終盤に差し掛かっています。だからこそ、この状況がいずれ好転すると確信しています。実際、少しずつ変わり始めています。以前、上昇局面では需要にどう応えられるか見当がつかないほどだったのと同じように、下降局面ではこれをどう立て直すか不安に思うものです。しかし、業界は循環するものであり、必ず回復の時が来ます。

また、ヨーロッパについてのコメントも興味深いと感じました。アメリカより少し遅れてサイクルに入っているようです。

(原文)Sure. So Europe has a couple of factors in it. Historically, I don't know for whatever reason, Europe seems to enter cycle 1 to 2 quarters behind when we see it in the Americas. So on a down cycle, they start a little bit slower than that. But a big part of what we're seeing in Europe and the large sequential decline that we have seen and year-over-year declines we've seen have been the high percentage of industrial and automotive end market customers that we have there, so yes.

(日本語訳)そうですね。ヨーロッパにはいくつか特有の要因があります。理由ははっきりしませんが、歴史的に見るとヨーロッパはアメリカより1~2四半期遅れてサイクルに入る傾向があります。そのため、下降局面でもスタートが少し遅くなりがちです。特に、ヨーロッパでは産業用や自動車向けの顧客比率が高いため、これが四半期ごとの大幅な減少や前年同期比での落ち込みの主な要因となっています

この低迷は、特に産業分野、そしてとりわけヨーロッパ市場によって引き起こされています。

(原文)With respect to the other geographies, your question was about China. I would say that, and we don't quite break out China. But when you look at Greater China for us, which is Taiwan, China, Hong Kong, all combined on it, off the 4 regions or the 3 regions, the subset of Asia that represents Greater China would be the one where at least there is not weakness. There's not great strength. But it doesn't have the same weakness as we see in Europe and the Americas.

(日本語訳)他の地域についてですが、中国に関するご質問ですね。私たちは中国単体でのデータは公表していませんが、台湾、中国、香港を含む広い意味での「中華圏」を見ると、4つ、または3つの地域の中で、少なくとも中華圏には目立った低迷は見られません。特別に強いわけでもありませんが、ヨーロッパやアメリカのような明確な弱さはありません。

市場の調整が「終盤」にあると同社はおっしゃっていますが、実際にこの調整の終わりが来るのか、今後の展開に要注目です。

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📍半導体&テクノロジー担当

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