11/21/2023

やや強気
メドトロニック
やや強気
アボットは配当王であり、全事業部門で二桁の売上成長を達成しています。同社は製品において業界のリーダーシップを維持し、低い配当性向で配当を増加させ続けています。
メドトロニック / MDT / 予想配当利回り3.9% / 強気:ヘルスケア銘柄の株価分析と今後の見通し(後編)

woman inside laboratoryヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 減量薬の人気は、医療機器セクターを魅力的な投資機会としている。
  • 手術や治療の需要は、減量薬のような一時的な代替方法と共存していくことが想定される。
  • 当レポートでは、46年に渡り、配当を増やし続けている医療機器の世界的リーダー、メドトロニック(MDT:予想配当利回り3.9%)について探っていきたい。

※「アボット・ラボラトリーズ / ABT / 予想配当利回り2% / 強気:ヘルスケア銘柄の株価分析と今後の見通し(前編)」の続き

はじめに

先進国では人口の高齢化が進み、医療サービスに対する需要は旺盛である。

これには、あらゆる年齢層の人々の、日常生活に欠かせない医療技術も含まれる。

私達は、景気変動局面であっても、医療技術に対する需要は安定していることを評価している。

その為、この医療分野で支配的な役割を果たしている高配当銘柄を探している。

オゼンピックの人気がもたらした市場における非合理性を考慮すると、iシェアーズ米国医療機器ETFIHI)が市場全体を大幅に下回る中、医療機器セクターにおいても急激な売りが散見されている。

私達は、長期投資家が、経済的な豊かさを一層高めるために手に入れるべき、お買い得なバリュエーションで取引されている優良な医療機器銘柄を探している。

そこで、今回は、70年以上のイノベーションとリーダーシップの歴史を持つ、米国の医療機器リーダー、メドトロニックについて説明したい。

メドトロニック(MDT:年間予想配当利回り:3.9%)

1957年、メドトロニック(MDT)は世界初の電池式ペースメーカーを発明した。

今日、同社は、心臓リズム管理、脊椎・手術ナビゲーション、糖尿病・神経治療、血管治療、心臓手術など、幅広い健康分野で業界をリードしている。

(出典:バンク・オブ・アメリカ・グローバル・ヘルスケア・カンファレンス2023

心臓血管部門は、メドトロニックの最大セグメントである。

心臓リズム障害、心不全、血管疾患の診断・治療用製品が含まれる。

主な製品には、ペースメーカー、植え込み型除細動器、ステント、バルーン等がある。

糖尿病部門には 、インスリン・ポンプ、持続的グルコース・モニタリング・システム、血糖測定器等の糖尿病管理用製品が含まれる。

医療外科部門には、 ステープラー、エネルギー機器、医療器具等、様々な外科手術用の製品が含まれる。

また、呼吸器疾患、消化器疾患、腎疾患の治療用製品も含まれる。

神経科学部門には、 脊髄刺激装置、脳深部刺激装置、中枢神経系への薬物送達用ポンプ等の神経疾患治療用製品が含まれる。

2024年第1四半期、同社は以下に示すように、全ての製品カテゴリーで緩やかな成長を報告した。

製品カテゴリー

前年同期比成長率

心臓・大動脈構造

10.79%

外科・内視鏡

6.24%

糖尿病

6.10%

頭蓋・脊椎技術

5.74%

医療外科

5.61%

心臓血管

5.54%

神経科学

4.76%

専門療法

4.17%

神経変調療法

3.70%

患者モニタリングと呼吸器関連治療

3.34%

冠動脈および末梢血管

1.73%

メドトロニックは、幅広い治療とセラピーを提供し、高齢化が進む世界人口の平均寿命の伸びから恩恵を受けることができるように、サービスのラインアップを十分に多角化している。

(出典:バンク・オブ・アメリカ・グローバル・ヘルスケア・カンファレンス2023

第1四半期の好調な業績に後押しされ、同社は2024年度の売上高成長率ガイダンスを4.5%に引き上げ、1株当たり利益は5.08~5.16ドルとしている。

メドトロニックは、毎四半期一株当たり0.69ドルの配当を支払い、これは年率換算で3.7%の利回りとなる。

同社は配当貴族クラブ(長期にわたり毎年配当を増やしている企業)のメンバーであり、46年間、毎年配当による支払いを増やしてきた。

2023年度ガイダンスの調整後EPSでは、メドトロニックの年間配当性向は53.9%という配当性向となっている。

更に、足元の値動きにより、同社のバリュエーションは、予想PER(株価収益率)ベースで14.4倍と魅力的な水準となっている。

経営陣は、事業の有機的成長をサポートするために買収を行う一方で、配当金の増加を通じて会社のフリーキャッシュフローの最低50%を還元することを約束しており、配当金は経営陣にとって重要な優先事項であり続けている。

メドトロニックは、2021年度以降、10件の買収を行っており、このような好機的な市場環境において、このトレンドを継続する態勢を整えている。

メドトロニックの負債総額は240億ドルで、満期は2061年までと非常に分散している。

2024年から25年にかけて償還期限を迎える負債は5億1,900万ドルに過ぎず、高金利サイクルを迎えるにあたり、良いポジショニングができていると言える。

短期借入金は、配当支払い後のフリー・キャッシュ・フローと、現在の現金資産によって十分にカバーできる水準である。

更に、メドトロニックのバランスシートは、主要機関からA3の信用格付けを取得しており、必要性が生じた場合には、非常に競争力のある金利で借り入れを行うことができる有利な立場にある。

全体として、魅力的なバリュエーションで取引される医療機器の世界的リーダーであるメドトロニックは、当面の間、投資家に対して、毎年成長する、競争力のある配当を提供することが予想される。

以上より、メドトロニックは、長期的なインカム投資家に適した銘柄であると考える。