中立メタ・プラットフォームズすべて表示メタ・プラットフォームズ(META)の株価の買い時はいつ?最新の2024年2Q決算分析を通じて同社の将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、メタ・プラットフォームズ(META:予想配当利回り0.34%・配当性向5%・1株当たり配当金0.5ドル)の2024年7月31日に発表された最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて同社の株価の買い時を探るべく、目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- メタ・プラットフォームズは、ターゲット広告による収益を中心としたビジネスモデルを展開しており、FacebookやInstagramなどのアプリを提供する世界最大のソーシャルメディア企業です。
- 同社は近年、売上とEPSの堅調な成長を続けており、最新の決算においてEPSは前年同期比で大幅に増加しましたが、バリュエーションの観点から、現在の株価は割高であるように見えます。
- 財務面では、ROICやROEが高水準であり、財務健全性を示している一方、今後の成長予測や市場環境を慎重に見極める必要があるでしょう。
メタ・プラットフォームズ(META)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:割高
リスクレベル:中リスク
セクター:インタラクティブメディア
現在の株価:589ドル
時価総額:1.49兆ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:385.48ドル
安全余裕率(マージン):-53.03%
過去5年間の配当成長率:0.00%
前回配当落ち日:2024年9月16日
前回配当支払い日:2024年9月26日
予想配当利回り:0.34%
過去5年間の売上高成長率:22.00%
過去10年間の売上高成長率:33.00%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
メタ・プラットフォームズ(META:予想配当利回り0.34%・配当性向5%・1株当たり配当金0.5ドル)は、米国カリフォルニア州メンローパークに本社を置く、世界最大のソーシャルメディア企業として、約40億人の月間アクティブユーザーを抱える「ファミリー・オブ・アプリ」を提供しています。
これにはFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppなどが含まれ、ユーザーは友人との交流、デジタルビジネスの運営、さらにはエンターテイメントまで、幅広い目的でこれらのアプリを利用しています。
同社のビジネスモデルとしては、これらのアプリから得られる膨大なデータを活用し、デジタル広告主にターゲット広告を提供することで収益を上げている点がユニークです。
このデータ駆動型の広告事業は、精度の高いターゲティングにより、広告主に大きな価値を提供しています。
財務面では、同社の予想配当利回りは0.34%と控えめですが、同社の強力な成長力は投資家にとって大きな魅力です。
過去5年間の売上成長率は22%、過去10年間では33%に達し、安定した収益成長を実現しています。
特に注目されるのは、同社のEPS(1株当たり利益)の大幅な成長であり、投資家に対して高いリターンを提供する可能性があります。
また、同社が開発したLlama(Large Language Model Meta AI)は、自然言語処理の分野で注目を集めており、さまざまなAI応用サービスで活用されています。
このAIモデルは、広告の最適化やコンテンツのパーソナライズ化にも大きく貢献しており、ユーザー体験の向上に寄与しています。
さらに、同社はReality Labsへの大規模な投資を行っており、これによりVRやARなどの新技術分野での成長を目指しています。
まだ小規模な事業ではありますが、将来的には同社の主力事業の一角を担う可能性があります。
全体として、メタ・プラットフォームズは比較的予想配当利回りが低いものの、長期的な成長見通しが良好であるように見えます。
そして、同社は2024年7月31日に2024年第2四半期決算を発表しています。
メタ・プラットフォームズ(META)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して
メタ・プラットフォームズ(META)の2024年7月31日に発表された、最新の2024年度第2四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは5.217ドルを記録し、前四半期の4.754ドルから大幅に増加し、前年同期の3.027ドルからも大きく伸びています。
1株あたりの売上高は14.97ドルで、同様に前四半期の13.888ドルや前年同期の12.251ドルを上回っています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は13.90%で、過去10年間の年平均成長率は35.70%となっており、継続して力強い成長を続けていることが分かります。
また、業界予測では、今後10年間の年間平均成長率は7〜9%程度と予想されていることからも、同社を取り巻く環境は良いと言えるでしょう。
さらに、粗利益率も81.40%と引き続き安定しており、過去5年間の中央値である80.76%をわずかに上回っています。
過去10年間では、粗利益率は最高86.58%から最低78.35%の間で推移しており、現在の数値は運営の効率性を反映しています。
また、同社は自社株買いを積極的に行っており、過去1年間の自社株買い比率は1.60%で、これにより発行株数が減少し、EPSがさらに押し上げられています。
過去5年間の自社株買い比率は2.40%に達しており、中長期的に株主価値の向上に寄与していると言えます。
今後の見通しについては、市場のアナリストはさらなる成長を予想しており、次年度のEPSは21.299ドル、さらにその翌年度には24.324ドルに達すると見込まれています。
売上高の予測も堅調で、2024年には1,618億ドル、2025年には1,844億ドル、2026年には2,069億ドルに達すると予想されています。
次回の決算発表は2024年10月30日に予定されており、これらの予想がどう反映されるかが注目されています。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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メタ・プラットフォームズ(META)の財務パフォーマンスに関して
メタ・プラットフォームズ(META)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。
まず、同社の財務パフォーマンスをROICとWACCの観点から見ると、経済的な価値創出能力が非常に高いことがわかります。
現在の同社のROICは32.33%で、WACCの10.58%を大きく上回っており、資本を効率的に活用し、資本コストを大幅に上回るリターンを生み出していることを示しています。
これにより、株主に対して大きな経済価値を提供していると言えます。
また、過去5年間のROICの中央値は28.57%で、安定した資本効率の高さが裏付けられている一方で、過去5年間のWACCの中央値は9.86%であり、同社が継続して経済的な価値を創出してきたことがわかります。
また、ROEも34.92%と高く、収益性と自己資本の有効活用が顕著です。
このように、高いリターンを維持し続けていることは、同社の戦略的な資本運用と経営の効率性を示しています。
総じて、メタ・プラットフォームズの財務指標は、持続的な価値創出力と市場での競争優位性を強く示唆しているように見えます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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メタ・プラットフォームズ(META)の配当に関して
下記のチャートからも分かる通り、メタ・プラットフォームズ(META)は2024年以降、初めて配当の支払いを開始しており、足元の1株あたり配当金(DPS)は一貫して0.5ドルとなっています。
また、同社の予想配当利回りは0.34%と低く、この水準はテクノロジーセクター全体と比較しても控えめな水準です。
一方で、同社のEBITDA有利子負債倍率は0.52倍で、業界の目安とされる2.0を大きく下回っており、負債管理や返済能力が非常に優れていることを示しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
そのため、この低いEBITDA有利子負債倍率は、同社の財務の健全性を裏付けるものです。
加えて、現在の5%という低い配当性向は、成長への再投資を重視した保守的な配当方針を反映している可能性があります。
前回の権利落ち日は2024年9月16日で、四半期ごとの配当スケジュールを考慮すると、次の権利落ち日は2024年12月16日頃になる見込みです。
この日は月曜日にあたるため、通常の取引スケジュールに従った日程となっており、取引要件にも適合しています。
予想配当利回り:0.34%
配当性向:5%
配当カバレッジ・レシオ:19.59倍
過去5年間の配当成長率:0.00%
EBITDA有利子負債倍率:0.52倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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メタ・プラットフォームズ(META)のバリュエーションに関して
メタ・プラットフォームズ(META)の現在の株価は589.95ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である385.48ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-53.04%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
また、予想PERは24.31倍で、直近過去12ヶ月間の実績ベースのPERである30.11倍よりも低く、今後の利益成長が期待されていることを示唆しています。
さらに、過去10年間の実績ベースのPERの中央値は30.99倍と比較した場合、現在のPERはほぼ中央値と同水準であることが分かります。
加えて、現在の株価売上高倍率は10.36倍で、過去10年間の中央値である9.50倍を上回っており、市場の楽観的な見方や売上成長への期待が反映されているように見えます。
そして、直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は19.98倍で、過去10年間の中央値である19.33倍とほぼ同じ水準にあり、企業価値とEBITDAのバランスは過去の基準と一致していることが分かります。
しかし、現在のPBRは9.53倍と、過去10年間の最高値である9.92倍に近く、純資産面での過大評価されている可能性があります。
さらに、直近過去12カ月間の実績ベースの株価フリー・キャッシュフロー倍率は31.33倍で、過去10年間の中央値である31.66倍とほぼ同じ水準ですが、過去10年の最低水準と比べるとやや高めというのが現状です。
一方で、市場のアナリストの同社に対する評価はやや好意的で、目標株価の引き上げが最近見られ、期待感が高まっていることが伺えます。
ただし、現在のバリュエーションが全体として過去の水準を上回っていることからも、足元のメタ・プラットフォームズの株価は過大評価されている可能性があります。
以上より、同社への投資を検討する際には、今後の成長見通しや市場環境を踏まえた上で、慎重に投資判断を行うことが求められるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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メタ・プラットフォームズ(META)のリスクとリターンに関して
メタ・プラットフォームズ(META)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、過去3ヶ月間に416,363株の同社株式がインサイダーによって売却された一方で、買い付けは一切確認されなかったことから、経営に近い社内のインサイダーの間での、同社株式の今後の見通しに対する信頼が薄れている可能性が示されています。
また、過去5年間にわたり営業利益率が年平均で-6%ずつ低下しており、収益性に関する懸念が浮上しています。
さらに、株価やPBR、株価売上高倍率が歴史的に高い水準にあり、株価が過大評価されている可能性があります。
一方で、同社にはいくつかのポジティブな財務指標も見られます。
まず、ピオトロスキーのFスコアは9で、非常に健全な財務状態を示しており、ベニッシュのMスコアは-2.83で、財務操作のリスクが低いことを示しています。
さらに、同社は安定した収益と利益の成長を示している一方で、アルトマンのZスコアは14.46と高く、財務の強さを裏付けています。
以上より、バリュエーションの高さに対する懸念はあるものの、上述の強みがリスクを緩和する可能性があり、慎重にモニターすることが出来れば、メタ・プラットフォームズは安定した投資対象となるかもしれません。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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メタ・プラットフォームズ(META)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
メタ・プラットフォームズ(META)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、取締役や経営陣による売却が顕著に見られます。
特に過去3ヶ月間では、インサイダーによる買い付けは一切なかった一方で、売却が57件確認されています。
さらに、過去6ヶ月間では113件、過去12ヶ月間では291件の売却が確認されています。
そのため、これらの期間中、インサイダーが同社株式を購入する動きは全く見られず、保有株式の売却が続いていることがわかります。
こうしたトレンドは、インサイダーが同社の株価が過大評価されていると考えているか、あるいは個人的な資産運用上の理由で売却を進めている可能性を示唆しています。
ただし、インサイダーの同社株式の保有率はわずか0.22%と低い一方で、プロの機関投資家が同社株式の66.01%を保有しています。
この高いプロの機関投資家の保有比率は、インサイダーによる売却が続いているにもかかわらず、同社の長期的な成長に対する強い信頼があることを示している可能性があります。
とは言え、インサイダーの継続的な同社株式の売却は、同社の将来のパフォーマンスや戦略的な方向転換を見極める上で、注視すべき動きと言えるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
メタ・プラットフォームズ(META)の流動性に関して
メタ・プラットフォームズ(META)の流動性分析では、いくつかの重要なポイントが浮かび上がっています。
同社の直近営業日の1日あたりの出来高は8,520,750株で、過去2ヶ月間の平均出来高である11,445,949株を大きく下回っています。
これは足元で取引活動が減少していることを示しており、同社に対する投資家の関心が薄れているか、短期的な見通しに対して市場が慎重になっている可能性があります。
また、同社のダーク・プール指数(DPI)は47%で、取引のおよそ半分が非公開市場で行われていることを意味しています。
この高いダークプールでの取引は、プロの機関投資家が関与している可能性を示唆しています。
その理由としては、彼らは、自身の売買による市場への影響を最小限に抑えるため、大口の取引をダークプールという非公開市場で行う傾向があるからです。
取引量が平均を下回りつつも、ダークプールでの取引が活発であることから、個人投資家の取引が減少している一方、プロの機関投資家はポジションの積み増しや調整を行っている可能性があります。
これは、今後の企業動向や市場の動きに備えた戦略的なポジションの構築やヘッジを示唆しているかもしれません。
市場の投資家は、今後も出来高やDPIの変動を注視し、それがメタ・プラットフォームズ株式のセンチメントや今後の価格変動にどう影響するかを見極めることが重要でしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。
以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。
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インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
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