メタ・プラットフォームズ(META)今後の株価見通しは魅力的?最新の2024年第4四半期決算分析を通じて将来性に迫る!
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- 本稿では、注目の米国テクノロジー銘柄であるメタ・プラットフォームズ(META)の2025年1月29日発表の最新の2024年度第4四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- メタ・プラットフォームズは、最新の決算においてAIの可能性に強気な姿勢を示し、サーバーの耐用年数延長やコスト削減の成果を強調しました。特に2025年の設備投資増加が注目されています。
- 2024年度第4四半期決算では、EPSや売上が市場予想を上回り、AIインフラ投資が戦略的に進められています。自社開発のASIC「MTIA」にも力を入れ、GPU依存からの脱却を目指しています。
- ザッカーバーグ氏は、今後のAI時代における「分配戦略」に焦点を当て、メタのアプリ群をOSのような存在にし、競争優位性を確立する方針を示しました。
※「マイクロソフト(MSFT)の将来性は魅力的?最新決算ではAIチップへの設備投資加速を発表も今後の株価見通しへの影響とは?」の続き
前章では、注目の米国テクノロジー銘柄であるマイクロソフト(MSFT)の2025年1月29日発表の最新の2025年度第2四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しと将来性に関して詳しく解説しております。
本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。
メタ・プラットフォームズ(META)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
メタ・プラットフォームズ(META)は1月29日に最新の2024年度第4四半期決算を発表していますが、同社の姿勢はマイクロソフト(MSFT)と比較してはるかに強気です。ザッカーバーグ氏はAIの可能性を強く感じており、非常に前向きなコメントを発表しています。ただし、本題に入る前に、メタ・プラットフォームズの大きな変更点について触れておきます。
同社はサーバーの耐用年数を4年から5.5年に延長しました。これにより、過去の運用コスト(OPEX)との単純比較が難しくなりましたが、他のハイパースケーラー(大規模クラウド企業)と足並みが揃う形となります。下記は決算説明会におけるやり取りの一部です。
「今後、私たちはAIサーバーと非AIサーバーの両方を、これまでより長期間使用できると見込んでいます。耐用年数は約5.5年と推定しています。」
この変更は、直近のEPS(1株当たり利益)の予想超過に大きく影響を与えた要因の一つです。では最新決算の詳細を見ていきましょう。
2024年度第4四半期決算
・EPS(1株当たり利益): 8.02ドル(FactSet予想:6.76ドル)
・売上: 483.9億ドル(FactSet予想:469.9億ドル)
2025年度第1四半期ガイダンス
・売上予想: 395億ドル~418億ドル(FactSet予想:416.8億ドル)
2025年度通期ガイダンス
・設備投資(CapEx): 600億ドル~650億ドル(FactSet予想:526億ドル)
「2025年の設備投資の増加は、生成AI(Generative AI)とコア事業の両方を支えるための投資拡大によって牽引される見込みです。2025年の設備投資の大半は、引き続きコア事業向けに充てられます。」
メタ・プラットフォームズ(META)のコスト削減の成果
以下のグラフを見ると、「効率化の年(Year of Efficiency)」の影響がよくわかります。コストは一方向にしか進まず、現在は大幅に削減されています。もちろん、会計上の変更も影響していますが、これはコスト最適化の美しい成功例と言えます。
売上高に対する費用の割合
(出所:メタ・プラットフォームズの2024年度第4四半期決算資料)
メタ・プラットフォームズ(META)のコスト削減の要因はどこにあるのか?
これこそが、ザッカーバーグ氏が最も強気な部分のようです。
「2025年には、優れた中級エンジニア程度のコーディング能力と問題解決能力を持つAIエンジニアリングエージェントの構築が可能になると考えています。これは、歴史上最も重要な技術革新の一つになる可能性があり、長期的には非常に大きな市場を生み出すでしょう。最初にこの技術を確立した企業は、AI研究の進展をリードし、業界全体に影響を与える大きな優位性を持つことになると思います。だからこそ、今年が今後の方向性を決定づける重要な年になると考えています。」
しかし、これまでのReality Labs(メタバース)への投資とは異なり、AIインフラへの投資はより収益につながる形で進んでいます。2025年の設備投資の大部分は同社のコア事業に充てられる予定です。
「生成AI(Gen AI)、非AI、コアAIのいずれの用途でも、2025年にはインフラ投資が増加すると見込んでいます。ただし、私たちの設備投資の大半はコア事業向けに使われる予定です。とはいえ、これは完全に明確に測定できるものではありません。なぜなら、私たちが構築しているデータセンターは、AIワークロードと非AIワークロードの両方をサポートできるからです。また、ジェネレーティブAI向けに調達したGPUサーバーも、コアAI用途に再利用できる可能性があります。」
メタ・プラットフォームズ(META)のASIC戦略とMTIA
決算説明会では、ザッカーバーグ氏がASIC(特定用途向けチップ)について言及する場面が増えており、市場の注目を集めています。メタ・プラットフォームズ(META)のは自社開発のMTIA(Meta Training and Inference Accelerator)というカスタムシリコンの成功についても言及しました。
「私たちは、独自のワークロードに最適化されたMTIAを導入することで、コンピュートコストを削減しようとしています。2024年には、MTIAを広告およびオーガニックコンテンツのランキング・推薦推論ワークロードに展開し始めました。2025年を通じて、これらの用途でのMTIA導入をさらに拡大し、来年にはトレーニングワークロードにも適用する予定です。」
現在、MTIAは主に推薦アルゴリズムの推論に使用されています。
「現在、社内のMTIAプログラムは、ランキングと推薦推論ワークロードの支援に特化しています。2024年前半から、これらの用途でMTIAの採用を開始しました。2025年を通じて、MTIAの採用をさらに拡大し、処理能力を強化するとともに、耐用年数を迎えたGPUサーバーを置き換える計画です。来年には、MTIAをコアAIのトレーニングワークロードや、一部のジェネレーティブAI用途にも拡大することを目指しています。」
これは、GPUではなくASICに全面的に注力するという同社の方針を示す発言の一つであり、市場も強く反応しています。DeepSeekの発表と併せて、エヌビディア(NVDA)はASIC分野で大きく後れを取っているとの見方が強まりました。メタ・プラットフォームズのコメントがこの流れを加速させたと言えるでしょう。
マーベル・テクノロジー・エヌビディア・ブロードコムの株価推移
(出所:Koyfin)
しかし、メタ・プラットフォームズ(META)が支出を抑えるわけではない
設備投資(CapEx)に関する意向について質問された際、ザッカーバーグ氏は「これは極めて戦略的なものだ」と明言しました。
「私は、設備投資とインフラへの大規模な投資が長期的な戦略的優位性につながると考えています。もちろん、将来的に別の結論に至る可能性もありますが、現時点では、それを判断するにはあまりにも早すぎるでしょう。私としては、こうしたインフラを構築できる能力こそが、サービスの品質向上と、私たちが目指すスケールに対応できる鍵になると確信しています。」
メタ・プラットフォームズ(META)の設備投資は前年同期比60%増と大幅に拡大し、ほぼすべての分野にわたって増加する見込みです。特に注目すべきポイントが2つあります。
1. 一般的な(非AI)サーバーの更新が行われること
2. ファイバー(光ファイバー通信)の投資が進むこと
「2025年の設備投資計画について、もう少し詳しく説明します。確かに、2025年の設備投資は、先ほど述べた3つの主要分野すべてで増加すると予想しています。サーバーへの投資が最も大きな成長要因であり、依然として私たちの設備投資予算の中で最大の割合を占めます。 生成AI(Gen AI)を支えるAIインフラの拡充や、コアAIへの継続的な投資により、AIキャパシティは増加すると考えています。さらに、コア事業を支える非AIインフラにも投資を行い、より多くのユーザーの利用を支えつつ、既存のサーバーを更新する予定です。」
「ネットワークに関しては、2025年のネットワーク投資も増加すると予想しています。非AIおよびコアAI関連のトラフィックの増加に対応するため、高容量ネットワークを構築する必要があるためです。加えて、大規模なジェネレーティブAIのトレーニングクラスタにも対応できるよう整備を進めます。さらに、将来的なリージョン間トレーニングのトラフィックを処理するため、ファイバー(光ファイバー通信)への投資も拡大する予定です。」
メタ・プラットフォームズ(META)のザッカーバーグ氏は次世代の「分配戦略」に注目
ザッカーバーグ氏は次世代では「分配の仕組み(distribution)」が鍵になると考えているようです。そして、この機会を逃すつもりはないように見えます。
SIGGRAPH 2024の場で、「アップル(AAPL)がメタ・プラットフォームズ(META)のプラットフォームを制限(ゲートキーピング)していることが、次世代では同じ状況を作らせない理由の一つだ」と発言しました。この発言を聞いたとき、私はLLAMA(メタ・プラットフォームズのオープンソースAIモデル)の戦略を思い浮かべました。
ザッカーバーグ氏は、「AI時代のアップル」になろうとしているのではないでしょうか。
メタ・プラットフォームズには、月間アクティブユーザー7億人以上、1日あたり3.35億人のアクティブユーザーがいます。この規模を考えれば、その可能性は十分にあるでしょう。
彼は、「製品がコモディティ化(一般化)したときに、何が価値を持つのか」を理解しています。そして、LLAMAを通じてAIモデルの重み(model weights)をコモディティ化しようとしているのです。その結果、最も価値が生まれるのは、その上で動くOS(オペレーティングシステム)です。
そして、ザッカーバーグ氏はメタ・プラットフォームズのアプリ群(Facebook、Instagram、WhatsAppなど)こそが、その「OS」になることを目指しているのです。
次章に関して
次章では、半導体銘柄の最新決算の詳細な分析を解説していきます。まず、半導体製造装置(Semicap)と半導体前工程製造装置(WFE)関連銘柄について詳しく解説していきますのでお楽しみに!
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アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA
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