12/20/2024

【Part 8‐③:テクノロジー】マンデードットコム(MNDY)とスマートシートの比較:競合他社分析によりマンデードットコムの強みと競争優位性に迫る!

A group of question marks sitting next to each otherコンヴェクィティ  コンヴェクィティ
  • 本編は、注目の米国テクノロジー企業であるマンデードットコム(MNDY)の将来性を詳細に分析した長編レポートとなり、10の章で構成されています。 
  • 具体的には、マンデードットコムの最新の決算分析、競争優位性、4つの主要製品カテゴリーの進展、AI開発、そして最後にバリュエーション分析について詳しく解説していきます。 
  • そして、本稿【Part 8-③】では、競合他社分析として、競合の一社であるスマートシート(SMAR)との比較を通じて、同社の強みと競争優位性を詳しく解説していきます。
  • スマートシート(SMAR)はエンタープライズ向けに特化した「セミ・レガシー」なワークマネジメントプレーヤーであり、Excel代替としての強みを持つ一方、革新性や柔軟性で課題があり、成長率が低下しています。
  • マンデードットコムは迅速な革新と柔軟性を武器に中小企業から大企業まで幅広い支持を集め、市場シェアを拡大する強力な競合として成長を続けています。

※「【Part 8‐②:テクノロジー】マンデードットコム(MNDY)とAirtableの比較:競合他社分析によりマンデードットコムの強みと競争優位性に迫る!」の続き

前章ではマンデードットコム(MNDY)の競合他社分析として、競合の一社であるAirtableとの比較を通じて、同社の強みと競争優位性を詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

マンデードットコム(MNDY)とスマートシート(SMAR)の比較

スマートシート(SMAR)とマンデードットコム(MNDY)は、タスク管理やプロジェクト管理、ワークフローの自動化といった分野で強力なソリューションを提供する、ワークマネジメントの分野で確立されたプレーヤーです。しかし、この2つのプラットフォームには、アプローチや成長戦略、市場でのポジショニングに明確な違いがあります。

スマートシートは、ワークマネジメント分野では「セミ・レガシー」的な存在とされ、高度なExcelの代替として人気を集めています。そのグリッドベースのインターフェースは、使い慣れたレイアウトを好むユーザーに特に支持されており、スプレッドシートからの移行を考える企業にとって魅力的です。エンタープライズ向けのワークフロー機能では優れていますが、製品の開発スピードが遅く、使いやすさに欠ける点があり、変化するユーザーのニーズに柔軟に対応する点では課題があります。

一方、マンデードットコムは、より柔軟で革新的な競合としての地位を確立しています。継続的に新機能をリリースし、現代的で使いやすいインターフェースを提供することで、SMB(中小企業)や中堅市場、さらにはエンタープライズ市場においても着実に市場シェアを拡大しています。マンデードットコムは、迅速な製品革新サイクルに加え、柔軟性や統合性を重視している点が成長を支え、その成長率は前年比約30%に達しています。一方、スマートシートの成長率は前年比10%台半ばにとどまり、減速傾向にあります。

私たちがスマートシートを「セミ・レガシー」なワークマネジメントプレーヤーと見なしている理由は、2024年9月にBlackstoneとVista Equity Partnersによって買収されたことでさらに裏付けられました。現在、スマートシートの収益規模はマンデードットコムとほぼ同等ですが、成長率が低く、Non-GAAPベースの利益率やフリーキャッシュフロー(FCF)マージンも劣っています。また、エンタープライズ向けの関係を除けば、次世代の新興企業に対して目立った競争優位性がなく、成長を大きく再加速させる可能性は低いと考えられます。総じて、スマートシートはプライベートエクイティ(PE)ファンドによる買収に適した企業と見られます。PEファンドが財務的な価値を再構築し、低成長ながらも安定したキャッシュフローを生む企業へと変革させる可能性があるでしょう。

興味深いことに、スマートシートの買収価格は84億ドルで、ARR(年間経常収益)の7.4倍に相当します。このことから、生産性向上を目的としたSaaS企業における評価額の下限は、所有者の視点ではARRの7~8倍程度と考えられます。この水準は業界全体にとって支援的な指標であり、こうしたSaaSベンダーが持つ価値を如実に示しています。

マンデードットコム(MNDY)とスマートシート(SMAR)の主な違い

製品戦略

両プラットフォームともワークマネジメントのニーズに応えていますが、スマートシート(SMAR)はこれまで、企業向けに特化した構造的でグリッド型のワークフローに重点を置いてきました。その結果、Excelの高度な代替を求めるチームには好評ですが、柔軟性が求められる非構造的で進化の早いワークフローへの対応力は限定的です。

一方、マンデードットコム(MNDY)は柔軟性の高さで定評があり、構造的・非構造的なワークフローの両方に対応するとともに、活発なアプリマーケットプレイスを活用して、組織全体の多様なニーズにシームレスに統合できる点が大きな特徴です。

革新性と柔軟性

スマートシート(SMAR)はマンデードットコム(MNDY)と比べて革新のスピードが遅く、マンデードットコムはmonday CRM、monday Dev、monday Serviceなどの拡大する製品ラインナップで、新機能を定期的にリリースしています。このような柔軟性とスケーラビリティを重視する姿勢により、マンデードットコムは中小企業から大企業まで幅広い用途に対応し、多くの支持を集めています。

一方で、スマートシートの革新は漸進的な改善にとどまっており、マンデードットコムのようなダイナミックな競合と比べると弱みを抱えています。スマートシートの革新性の低下は、初期段階から大企業セグメントに注力したことが原因と考えられます。この戦略は、初期の成長や市場でのブランド確立には大きく貢献しましたが、製品主導型ベンダーに求められる創造性を損なう結果を招いた可能性があります。

ユーザーエクスペリエンス

スマートシート(SMAR)のインターフェースは高い機能性を備えていますが、マンデードットコム(MNDY)の現代的で直感的なデザインと比べるとやや古さを感じさせます。一方、マンデードットコムは導入のしやすさとわかりやすいワークフローにより、より快適なユーザー体験を提供しており、非技術系チームを含む幅広いユーザー層から支持を集めています。

市場での評価と競争優位性

スマートシート(SMAR)は、ワークマネジメント分野で信頼性のあるプレーヤーと見られていますが、やや静的な印象も持たれています。Excelの代替としてのポジショニングはエンタープライズユーザーの間で一定の地位を築くのに貢献しましたが、この特化した戦略が、よりダイナミックで協働性の高いワークフローへの対応を制限している可能性があります。

一方、マンデードットコム(MNDY)は幅広いユーザー層に支持されており、エンタープライズ市場での存在感を急速に高めています。さらに、サードパーティ製アプリや多様な統合機能を備えたエコシステムにより、長期的な成長を支える強力な競争優位性を築いています。

以上より、スマートシートは堅実な顧客基盤と明確な価値提案を持っているものの、成長の遅さやマンデードットコムに比べた柔軟性の欠如から、時間の経過とともに競争力を維持するのが難しくなる可能性があります。一方、マンデードットコムは迅速な適応力、革新性、多様なユーザー層を引き付ける力を持ち、今後も市場シェアを拡大していく潜在力を備えた強力な競合として台頭しています。

次章では、マンデードットコムのAIエージェントについて詳しく解説していきます。

※続きは「【Part 9:テクノロジー】マンデードットコム(MNDY)のAIエージェントとは?」をご覧ください。

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