中立アルトリア・グループアルトリア・グループ(MO)配当推移は堅調!54年間連続増配の配当王は配当金を0.98ドルから1.02ドルへ増加!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、アルトリア・グループ(MO:配当王・予想配当利回り7.56%・配当性向79%・1株当たり配当金1.02ドル)の2024年10月31日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- 同社は過去54年間連続して増配を行い、米国株配当王の一角を担っており、安定した配当成長と高い予想配当利回りを特徴としています。
- 過去5年間で平均4.7%の配当成長率を維持しており、足元でも増配を行っていますが、配当性向が79%と高いため、配当の持続性の観点からはさらなる収益成長が必要でしょう。
- 2024年第3四半期決算では、非経常損益項目を除くEPSが前年同期比で7.8%増加し、粗利率も過去最高の70.04%を記録しており、効率的な収益性を維持しています。
- 株価はやや割高と評価されており、投資家は安全余裕率や財務指標を慎重に検討する必要があり、次回の決算発表は2025年1月31日に予定されています。
アルトリア・グループ(MO)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:やや割高
リスクレベル:中リスク
セクター:タバコ製品
現在の株価:53ドル
時価総額:913.2億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:46.23ドル
安全余裕率(マージン):-16.54%
過去5年間の配当成長率:4.70%
前回配当落ち日:2024年9月16日
前回配当支払い日:2024年10月10日
予想配当利回り:7.56%
過去5年間の売上高成長率:2.30%
過去10年間の売上高成長率:2.80%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
アルトリア・グループ(MO:配当王・予想配当利回り7.56%・配当性向79%・1株当たり配当金1.02ドル)は、アメリカ合衆国に本社を置くタバコ製品の大手メーカーであり、フィリップ・モリスUSAやUSスモークレス・タバコなどの子会社を通じて、煙草と無煙タバコの市場で強力な地位を確立しています。
特に、マルボロブランドは2023年に42%の市場シェアを獲得し、アメリカのシガレット市場で首位を誇っています。
また、機械製シガーでも第2位の座を維持しています。
アルトリア・グループのユニークな特徴として、たばこ事業だけでなく、カンナビスメーカーのクロノスに42%の株式を保有し、世界最大のビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブにも8%出資している点が挙げられます。
さらに、最近Njoy Holdingsを買収し、加熱式タバコ市場への参入を強化しています。
加えて、日本たばこ産業とのジョイントベンチャーも運営しており、多角的なビジネス展開が同社の強みです。
財務状況においては、アルトリア・グループは過去5年間で年平均成長率(CAGR)が4.70%のEPS(1株当たり利益)成長を達成し、粗利率は今四半期で70.04%に達しました。
投資家にとって、アルトリアは高い配当利回りと強固な財務基盤を持ち合わせており、今後の成長も期待できる企業です。
最近では、Juul Labsへの投資を手放したことから、企業の戦略を見直し、新しい成長機会にシフトする姿勢が伺えます。
同社は今後も多様な事業展開を通じて、株主に対して価値を提供し続けることでしょう。
そして、同社は2024年10月31日に2024年第3四半期決算を発表しています。
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アルトリア・グループ(MO)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
アルトリア・グループ(MO)の2024年10月31日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.38ドルを記録し、前四半期の1.31ドルから5.3%増加しました。
前年同期と比較すると、昨年の1.28ドルから7.8%の成長を示しています。
また、1株当たりの売上高も、前四半期の3.072ドルから3.138ドルに増加しました。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は4.40%、過去10年間の年平均成長率は7.80%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。
さらに、同社業界の予測では、今後10年間の成長率は年間約3%と見込まれています。
今四半期の粗利率は70.04%で、過去最高を記録し、過去5年の中央値である66.28%や過去10年の中央値である62.46%を大きく上回っています。
これは、同社の業務効率が非常に高いことを示しています。
また、過去1年間の自社株買い比率は4.10%に達しており、積極的な自社株買いを反映しています。
これにより発行済株式数が減少し、EPSを押し上げている可能性があります。
過去3年間の自社株買い比率は1.70%で、過去10年間の中央値は1.20%となっており、株主への資本還元を一貫して行っていることが分かります。
今後の見通しとして、市場のアナリストは2025年12月に終了する会計年度のEPSを6.268ドルと予測しており、将来の業績に対する前向きな期待が示されています。
ただし、翌年度には5.142ドルに若干の減少が見込まれています。
以上より、アルトリア・グループの戦略的な自社株買戻しプログラムと力強い粗利率は、控えめな業界成長予測の中でも好意的に評価される要因となっています。
次回の決算発表は2025年1月31日を予定しており、同社の今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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アルトリア・グループ(MO)の財務パフォーマンスに関して
アルトリア・グループ(MO)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社は、ROICがWACCを大きく上回っており、強い経済価値を創出しています。
過去5年間のROICの中央値は19.60%で、WACCの中央値5.23%を大きく上回っています。
これは、同社が資本コストを大きく超えるリターンを生み出し、株主に価値を提供していることを示しています。
現在の同社のROICは25.12%で、WACCの6.73%を超えており、効率的な資本活用と高い収益性が持続しています。
このROICとWACCの差は、同社が資本を効果的に運用して資金調達コストを上回るリターンを生み出していることを示し、健全な財務状況と優れた経営戦略の証拠となっています。
一方で、ROEはマイナスの値となってしまっている点には注意が必要でしょう。
但し、ROICの高さはアルトリア・グループの経済的価値を創出する能力を強調し、資本配分において効率性を持っていることを示しています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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アルトリア・グループ(MO)の配当に関して
アルトリア・グループ(MO) は安定した配当成長を続けており、過去5年間の配当成長率は4.70%、直近3年間の成長率は4.10%となっています。
さらに、同社は過去54年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。
また、最近の四半期では1株あたりの配当金が0.98ドルから1.02ドルに増加し、株主への還元に対するコミットメントが表れています。
加えて、予想配当利回りは7.56%で、業界の中央値である6.56%を上回っており、非常に魅力的な配当利回りを示しています。
そして、同社のEBITDA有利子負債倍率は1.67倍で、2.0の基準を下回っており、財務リスクが低く、債務返済能力が堅実であることを示しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
そのため、この控えめなレバレッジは、同社の配当支払いの持続可能性を支えていると言えます。
ただし、配当性向が79%と高く、過去には100%を超えることもあったため、大幅な配当増加には収益の成長が必要でしょう。
今後3~5年間の配当成長予測は3.89%となっており、慎重な見通しを反映しています。
四半期ごとの配当スケジュールに基づくと、次回の権利落ちは2024年12月16日と予測されています。
以上より、アルトリア・グループの高水準の予想配当利回りは配当収入を重視するインカム投資家には魅力的に映る一方で、高い配当性向の中で配当成長を持続させるために、投資家は収益パフォーマンスをしっかりと監視する必要があるでしょう。
予想配当利回り:7.56%
配当性向:79%
配当カバレッジ・レシオ:1.5倍
過去5年間の配当成長率: 4.70%
EBITDA有利子負債倍率:1.67倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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アルトリア・グループ(MO)のバリュエーションに関して
アルトリア・グループ(MO)の現在の株価は53.88ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である46.23ドルよりもわずかに高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-16.55%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
一方で、予想PERは10.12倍と、過去10年の中央値である17.19倍に比べて低く、直近過去12ヶ月ベースの実績PERは9.09倍と過去10年間の低水準に近づいています。
この点から、弊社算出の一株当たり本質的価値とは乖離があるものの、利益ベースでは適正なバリュエーションと考えられるかもしれません。
他の評価指標を見てみると、直近過去12ヶ月ベースの実績EV/EBITDA倍率は7.6倍で、過去10年の中央値である12.44倍よりも低く、過去と比較して割安と考えられます。
また、株価フリー・キャッシュフロー倍率は11.03倍と、過去10年の中央値である12.56倍を下回っており、キャッシュフローの観点では妥当な水準です。
総合的には、弊社算出の一株当たり本質的価値に基づく割高感がある一方、他の指標からは割安感も見られ、バリュエーションは一長一短といえます。
市場のアナリストの見解も慎重ながら楽観的で、3ヶ月前の49.85ドルから現在の53.79ドルへと目標株価が引き上げられており、将来に対する期待がうかがえます。
ただし、アルトリア・グループへの投資を検討する際には、安全余裕率の低さを考慮に入れ、投資判断は慎重に行うべきでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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アルトリア・グループ(MO)のリスクとリターンに関して
アルトリア・グループ(MO)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、ベニッシュのMスコアは1.11で財務操作の可能性を示唆する基準を上回っており、財務内容のさらなる確認が必要かもしれません。
また、配当性向が79%と高めであることから、特に利益が変動した場合に配当が持続可能かどうかの懸念が生じる可能性があります。
加えて、株価や株価売上高倍率倍が5年ぶりの高水準であることは割高感を示しており、また予想配当利回りがここ2年間で低下しているため、配当収入を重視するインカム投資家にとっての魅力も薄れている可能性があります。
一方で、ピオトロスキーのFスコアが7と高く、堅実な財務体質や効率的な経営が見られるなど、財務基盤はしっかりしています。
さらに、営業利益率の拡大も、収益性が向上していることを示しており、将来的な成長を支える要因といえます。
また、アルトマンのZスコアが4.73で、破産リスクは低く、財務的な健全性に一定の安心感があります。
総じて、アルトリア・グループには堅実な面もありますが、高い配当性向や一部のバリュエーション指標が示すリスクに注目しながら慎重に検討する必要があるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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アルトリア・グループ(MO)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間で、アルトリア・グループ(MO)のインサイダー取引を分析すると、インサイダーによる同社株式の取引は控えめで、買い付けが2件、売却が1件のみでした。
また、直近の3ヶ月および6ヶ月間ではインサイダー取引が行われておらず、役員や経営陣の動きが比較的静かであることが見受けられます。
ただし、インサイダーの同社株式の保有比率は0.61%とインサイダーが保有する株式の割合は少な目であることからも、直接的な影響力や財務的な関与が限定的であることが分かります。
このため、積極的な自社株の買い増しに対するモチベーションも低いのかもしれません。
一方、プロの機関投資家の保有率は60.44%とかなり高く、機関投資家が大きな割合を持つことで、短期的な業績指標や戦略決定への影響も予想されます。
以上より、最近のインサイダー取引の少なさや保有比率の低さから、インサイダーは現状の株価を特に割安とも割高とも見ていない慎重な姿勢を取っている可能性があります。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
アルトリア・グループ(MO)の流動性に関して
アルトリア・グループ(MO)は流動性が高く、直近の1日あたりの出来高は7,665,584株で、過去2ヶ月平均の出来高である8,160,294株をやや下回っています。
これにより、取引が若干減少していることが分かり、一時的な投資家の関心低下や、より広範な市場の影響が考えられます。
一方で、同社のダークプール指数(DPI)は49.5%で、取引の約半分が取引所外で行われていることを示しており、これは機関投資家や大口投資家の関与を示唆しています。
DPIがほぼ50%であることから、ダークプール取引と通常の取引が均衡している状況で、透明性の低い市場での取引も相当数行われていることがうかがえます。
以上より、アルトリア・グループの流動性は概ね十分で、活発な売買が行われていますが、取引量はやや減少しています。
また、ダークプールでの活発な取引は、大口投資家による戦略的なポジショニングを反映している可能性があり、株価にも影響を与えることが考えられます。
これらの指標は市場のセンチメントや今後の流動性の状況を把握するための参考になるため、投資家は注視していくべきでしょう。
さらに、その他のアルトリア・グループ(MO)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アルトリア・グループのページにアクセスしていただければと思います。
また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
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関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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