マイクロソフト(MSFT)の将来性は魅力的?最新決算ではAIチップへの設備投資加速を発表も今後の株価見通しへの影響とは?
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- 本稿では、注目の米国テクノロジー銘柄であるマイクロソフト(MSFT)の2025年1月29日発表の最新の2025年度第2四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- マイクロソフト(MSFT)のAI関連売上は前年同期比175%増と好調でした。一方、通常の事業は市場予想をやや下回り、第3四半期にはAIの処理能力が不足すると見込まれています。
- サティア・ナデラCEOは積極的な投資を継続しています。設備投資はデータセンターからAIチップなどの短期収益資産へシフトしており、エヌビディア(NVDA)への支出も増加する可能性があります。
- マイクロソフトはDeepSeekなどのAI技術革新を重視しています。コスト削減とAIスケーリングの最適化を進め、ナデラCEOはジェボンズの逆説を支持しています。
マイクロソフト(MSFT)の最新の2025年度第2四半期(暦年:2024年第4四半期)決算発表に関して
前回のジェボンズの逆説に関するレポートでは、私の懸念を率直に述べました。私が主に気にしているのは、価格が市場のセンチメントにどのような影響を与えるかです。詳細は下記のレポートをご覧ください。
そこで、GPUを世界で最も多く購入している2社、マイクロソフト(MSFT)とメタ・プラットフォームズ(META)の最新の決算分析、特に、決算説明会におけるやり取りの詳細な分析を通じて、米国株式市場の温度感を確認していきたいと思います。
まず、多くの人が、サティア(Satya Nadella)CEOをAI関連の設備投資(CapEx)において最も慎重な人物と見ていました。彼はマイクロソフトとOpenAIの投資方針を見直し、大規模な「Stargate Project」発表にも不在でした。しかし、だからといってサティア氏が支出を抑えているというわけではありません。
マイクロソフトのコメントや設備投資の動向、そしてAI競争における立ち位置を確認しましょう。
DeepSeekに関する質問を受けた際、マイクロソフトは「現在のコスト削減の流れに沿ったものだ」とコメントしました。下記は、決算説明会におけるやり取りの一部です。
「常にコスト曲線を下げつつ、その上に新たなポイントを積み重ねることが重要です。ムーアの法則が機能し、それを加速する技術があり、さらにAIスケーリングの法則(事前学習と推論のコンピュート要件の複合効果)があります。これらはすべてソフトウェアに関するものです。私の発言を思い出していただきたいのですが、私たちはこれまでにも観察してきたように、推論に関してソフトウェア最適化だけで10倍の改善が得られています。これが現在の状況です。」
つまり、DeepSeekには確かな技術革新があるということです。
「加えて、DeepSeekにはいくつかの革新的な技術があります。これはOpenAIが2001年に発見したものにも一部似ています。こうした技術はすぐに一般化され、広く利用されることになります。そして、このようなソフトウェア技術革新の最大の恩恵を受けるのは、最終的には顧客です。クライアント・サーバーからクラウドへの移行の際に学んだ最大の教訓は何だったでしょうか?それは、より多くの人がサーバーを購入するようになったということです。ただし、今度はそれを『クラウド』と呼ぶようになっただけです。」
さらに、サティア氏は「ジェボンズの逆説(Jevons Paradox)」の支持者であることも明らかになりました。
「トークンの価格が下がり、推論の計算コストが下がると、それによってより多くの計算リソースが消費され、アプリケーションの開発が進みます。興味深いのは、現在非常に強力なモデルが登場していることです。2025年の初頭には、かつて大規模なクラウドインフラを必要としたモデルが、PC上で動作するようになるのは驚くべきことです。」
マイクロソフト(MSFT)の最新の業績
AI関連の売上は非常に好調でしたが、一方で通常の事業は市場予想をやや下回った可能性があります。AI関連の売上は前年同期比で約175%増と急成長を遂げましたが、これは他の事業がほぼ一桁台の成長にとどまっていることを意味します。それでも、マイクロソフト(MSFT)は第3四半期にはAIの処理能力が不足すると予想しています。
「ありがとうございます、ブレット。この四半期はMicrosoft Cloudの成長が引き続き力強く、初めて四半期売上が400億ドルを超えました(前年同期比21%増)。企業はPoC(概念実証)段階から、本格的な全社導入へと進み、AIによるROIを最大限に引き出そうとしています。そして、AI関連事業の年間売上は130億ドルを突破し、前年同期比175%増となりました。」
「第3四半期にはAIの処理能力が不足すると予想していますが、2025年度末までには、現在の需要にほぼ追いつく水準まで拡張できる見込みです。これは、私たちの積極的な設備投資の成果によるものです。」
また、データセンターの容量についても注目すべき発言がありました。マイクロソフトは、過去3年間でデータセンターの容量を2倍以上に拡大し、2023年だけでも過去最高の設備増強を行いました。
「AzureはAIのインフラレイヤーです。私たちは、短期および長期の需要に対応するため、データセンターの容量を拡大し続けています。過去3年間でデータセンターの総容量を2倍以上に増強し、2023年には史上最大の拡張を行いました。」
マイクロソフト(MSFT)のデータセンター投資におけるシフト
現在、マイクロソフト(MSFT)の設備投資の焦点は、長期資産(データセンター)から、短期的な収益に直結する資産(AIチップなど)へと移行しています。
「次に、設備投資について説明します。第3四半期と第4四半期の投資額は、第2四半期と同水準を維持すると見込んでいます。2026年度には、引き続き強い需要を背景に投資を続けますが、成長率は2025年度よりも低下し、支出の内訳も変化する見込みです。具体的には、短命資産(AI向けチップなど)への投資比率が高まり、長期インフラ投資は抑えられることになります。」
この動向から、エヌビディア(NVDA)向けの支出は2026年度も増加し、前年を上回る見込みである一方で、データセンター関連の投資は減少すると予測されます。これは、エヌビディアの長期的な成長リスクを軽減する要因となるでしょう。
マイクロソフト(MSFT)のサティアCEOは引き続き「攻めの投資」を継続
マイクロソフト(MSFT)の決算を見る限り、サティア氏は依然として積極的な投資姿勢を崩していません。AI関連事業の成長に対する確信は揺るがず、今後もAI技術の拡充に向けた投資が続くと考えられます。
次章では、メタ・プラットフォームズ(META)の最新の決算に関して詳しく解説していきますのでお楽しみに!
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※続きは「メタ・プラットフォームズ(META)今後の株価見通しは魅力的?最新の2024年第4四半期決算分析を通じて将来性に迫る!」をご覧ください。
アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA
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