マックスリニア(MXL)今後の株価見通しは明るい?最新の2024年第3四半期決算の分析を通じて、同社の将来性に迫る!
ダグラス・ オローリン- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるマックスリニア(MXL)の10月23日に発表された最新の2024年第3四半期決算の分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- マックスリニアの最新の決算では、業績自体は平凡な結果ではあったものの、同社の株価は上昇し、PAM4 DSPの成功が確認されています。
- 同社は業界で最も低消費電力の800ギガビットDR8トランシーバーを発表し、テレコム業界の回復が進んでいるように見えます。
- また、ブロードバンド事業や受注率も上昇しており、今後の成長に期待が持てる内容と言えます。
マックスリニア(MXL)の最新の2024年第3四半期決算発表に関して
マックスリニア(MXL)について、私が早すぎたのか、それとも間違っていたのかを考えると、結論としては間違っていたと思います。
ただ、同社の業績がようやく底を打ったと感じています。
そして、PAM4 DSPの出荷が実現するという予測も正しかったことが分かりました。
PAM4 DSPとは、「PAM4(Pulse Amplitude Modulation 4-Level)」技術を使った「DSP(Digital Signal Processor、デジタル信号処理装置)」のことを指します。
PAM4は、データ通信の分野で使用される信号変調技術で、4つの異なる振幅レベルを使って1つのシンボルで2ビットの情報を伝送する方式です。
従来のデータ通信では主に「NRZ(Non-Return-to-Zero)」と呼ばれる2レベルの信号を使っていましたが、PAM4はそれを4レベルに拡張することで、同じ帯域幅で2倍のデータ量を送信することができます。
このため、高速なデータ伝送が求められるデータセンターや通信ネットワークの分野で、PAM4が注目されています。
10月23日に発表された最新の2024年第3四半期決算は平凡な結果でしたが、株価は上昇していることから、本稿ではその理由を深掘りしてみたいと思います。
同社は、市場の投資家からあまり好かれていない企業ですが、テレコム業界の回復は確実に進んでいると感じています。
2024年度第3四半期決算
・EPS(特別項目除く):-0.36ドル(FactSet予想:-0.32ドル)
・売上高:8,110万ドル(FactSet予想:8,040万ドル)
・Non-GAAPベースの粗利益率:58.7%(前四半期:60.2% / 前年同期:60.8%)
2024年度第4四半期ガイダンス
・売上高:8,000万〜1億ドル(FactSet予想:8,880万ドル)
今回の決算において売上高の大幅な増加も重要ですが、特に注目すべきはPAM4 DSPです。
同社は「業界で最も低消費電力の800ギガビットDR8トランシーバー」を持っていると発表しています。
(原文)At ECOC along with ONET, we demonstrated the industry's by far lowest power 800 gigabit DR8 optical transceiver solution consuming less than 12 watts for data center applications.
(日本語訳)ECOCイベントでは、ONETとともに、データセンター向けに12ワット未満で動作する業界で最も低消費電力の800ギガビットDR8光トランシーバーソリューションを発表しました。
これは非常に驚くべきことで、一般的なトランシーバーは25ワット以上の消費電力があるため、同社の製品は桁違いに低い消費電力です。
信じがたい話ではありますが、同社の中核事業はついに回復に向かっているようです。
(原文)In closing, following a prolonged market correction, we are now seeing a positive turning point in our business. We're excited that our innovation and investment in strategic applications such as optical high speed interconnects, wireless infrastructure, storage, Ethernet, Wi-Fi and fiber broadband access gateways are creating transformative opportunities for long-term growth.
(日本語訳)最後に、長引く市場調整を経て、現在ビジネスがプラスに転じる兆しが見えています。光高速インターコネクトや無線インフラ、ストレージ、イーサネット、Wi-Fi、ファイバーブロードバンドアクセスゲートウェイなど、戦略的アプリケーションにおける革新と投資が、今後の長期的な成長を牽引していくと確信しています。
また、ブロードバンド事業も徐々に回復しています。
(原文)So Tore, obviously from where we are, we expect the broadband business to grow in 2025. However, as we sort of straddling the bottom here, the order rates have picked up. And as you know, it's a full platform solution, they tend to come in a chunky manner.
(日本語訳)Toreさん、現状からすると、ブロードバンド事業は2025年に成長する見込みです。ただし、今は底を打っている状況で、受注率は上昇しています。ご存じの通り、フルプラットフォームソリューションは一度に大規模に発注される傾向があります。
さらに、受注が増え始めており、これは重要な先行指標です。
(原文)Yes. So I think we don't break out the bookings number. We feel very good. I mean we saw a really significant uptick in bookings in this past quarter. So that was very encouraging and we're seeing follow through now even and so backlogs building nicely for Q4 and Q1 already and so we're running at higher levels than we were in previous quarters. So another encouraging sign.
(日本語訳)そうですね。受注の具体的な数字は公表していませんが、非常に良い手応えを感じています。今期では受注が大幅に増加し、非常に励みになっています。この勢いは続いていて、第4四半期や第1四半期に向けたバックログも順調に増えています。前の四半期と比べても、より高い水準で進んでおり、これも良い兆候です。
このカンファレンスコールは私にとって非常に確信を持たせるものでした。
PAM4が大きな成功を収めるという仮説は正しかったと思いますが、少しタイミングが早かったようです。
同社への見通しに関しては、下記のレポートを以前執筆しております。
関心のある方は、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上でご覧いただければと思います。
マックスリニア(MXL)注目の半導体銘柄の最新の2023年第4四半期決算と今後の株価見通し・将来性
その他のマックスリニア(MXL)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、マックスリニアのページにアクセスしていただければと思います。
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