01/13/2025

強気
ネビウス・グループ
強気
現在は追加資金を必要とし、まだ収益を上げていないものの、2025年第4四半期までに年間経常収益(ARR)10億ドルを達成すると見込まれており、年平均成長率(CAGR)は250%を超えるペースで成長しています。
【AI】ネビウス・グループ(NBIS:旧ヤンデックス)の将来性:目標株価は60ドル!最新決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

a group of white robots sitting on top of laptopsマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、注目のAI関連銘柄であるネビウス・グループ(NBIS:旧ヤンデックス)の最新の2024年度第3四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社は、オランダに本拠を置くハイパーグロースAIインフラ事業を展開しており、エヌビディアの支援を受けています。
  • 同社は、高いエネルギー効率を誇るAIクラウドプラットフォーム「Nebius AI」や「Toloka」「Avride」などのプロジェクトを提供し、顧客に大幅なコスト削減をもたらしています。
  • 現在は追加資金を必要とし、まだ収益を上げていないものの、2025年第4四半期までに年間経常収益(ARR)10億ドルを達成すると見込まれており、年平均成長率(CAGR)は250%を超えるペースで成長しています。
  • 今年の予想売上高の8倍のバリュエーションで取引されているものの、250%以上の成長率とエヌビディアの強力な支援を踏まえ、2026年夏までの目標株価として1株60ドルを見込んでいます。

注目のAI関連銘柄ネビウス・グループ(NBIS)とは?

ネビウス・グループ(NBIS:旧ヤンデックス)は、ハイパーグロース企業です。同社はロシアの資産を完全に売却し、現在はオランダを拠点に急速な成長を遂げています。

かつてロシア企業だったことや、アメリカの馴染み深い企業ではないかもしれませんが、同社は非常に魅力的な投資対象であると考えています。

同社はエヌビディア(NVDA)やその他の主要プレーヤーの支援を受けており、創業者が自ら多くの資産を投じて経営している企業です。

この投資機会には期待すべきポイントが多く、2026年夏までの同社株式の目標株価として60ドルを設定しています。

ネビウス・グループ(NBIS)の短期的な見通し

ネビウス・グループ(NBIS)はオランダを拠点とするテクノロジープラットフォーム企業で、顧客がAIを活用できる環境を提供することに注力しています。

同社は「Nebius AI」と呼ばれるクラウドプラットフォームを提供しており、これにより高度なAIシステムの構築と運用が可能です。同社はAIインフラ事業を展開しており、AIエコシステムの一部を担っています。企業が高価なハードウェアや複雑なインフラに投資することなく、AIモデルのトレーニングや運用に必要なコンピューティングパワーにアクセスできるよう支援しています。

さらに、データ収集と準備を支援する「Toloka」や、自動運転車や配送ロボット向けの技術を開発する「Avride」など、他のプロジェクトにも取り組んでいます。

データセンター:スーパーコンピューティングによる効率向上

(出所:ネビウス・グループの2024年10月の投資家向けプレゼンテーション資料

ご覧の通り、ネビウス・グループは非常にエネルギー効率の高いスーパーコンピューターであり、まだあまり知られていないAI企業でありながら、エネルギー効率が最も高いスーパーコンピューターの上位5%にランクインしています。この点は特筆すべきポイントです。

同社の高いエネルギー効率は、顧客にとって大きなメリットとなっています。これにより、顧客は高性能コンピューティングシステムを自前で保有する必要がなくなるだけでなく、AI処理タスクのエネルギー消費を抑えることができ、競合他社に比べて運用コストを大幅に削減できます。これが顧客のコスト削減に直結しているのです。

ネビウス・グループは競合他社に比べて、総所有コストが低い

(出所:ネビウス・グループの2024年10月の投資家向けプレゼンテーション資料

上記の内容からわかる通り、同社を利用することで、競合他社と比較して運用コストを抑えることができます。

また、冒頭で触れたように、この事業は以前はヤンデックスの一部として隠れていました。しかし、制裁措置の影響でヤンデックスおよびロシアの全事業が売却され、この優良事業は創業者によって保持され、現在はネビウス・グループという名前で運営されています。

(出所:ネビウス・グループのSECへの提出資料)

上記リンクをクリックすると、Arkady Volozh氏が自身のLASTAR Trustを通じてネビアスの約7%以上の株式を保有していることが確認できます。8.5%という全保有比率ではなく「約7%以上」と表現しているのは、2024年12月にエヌビディアなどが同社に出資した際に、彼の保有比率がどれだけ希薄化されたか正確にはわからないためです。

このような背景を踏まえ、次にネビウス・グループのファンダメンタルズについて詳しく見ていきましょう。

ネビウス・グループ(NBIS)の驚異的な売上高成長率

ネビウス・グループの売上高成長率(%)

(出所:筆者作成)

ネビウス・グループ(NBIS)の売上高成長率は目覚ましいものがあります。

ただし、この企業には長期的な実績がありません。もちろん、理想を言えば、投資判断の基盤となる長期的な実績がある方が良いのですが、現状ではそうではありません。

そのため、この特性を踏まえ、2025年第4四半期(2025年末)の成長率についてはかなり厳しい推計を立てています。2024年第3四半期に報告された766%の年成長率という驚異的な数字は持続不可能であると判断し、2025年第4四半期には成長率が275%まで落ち着くと見込んでいます。

もちろん、これはあくまで私の推測に過ぎません。この推計は、年間経常収益(ARR)が10億ドルに達するという経営陣のガイダンスに基づいています。ただし、このARRの数字は、2025年の最終月の売上高を12倍して算出している点に注意が必要です。そのため、最終的な数字は275%を下回る可能性もあれば、逆に上回る可能性もあります。

いずれにしても、同社は非常に急成長している企業であることに変わりありません。

ネビウス・グループ(NBIS)のバリュエーション:予想売上高の8倍

インフレクション投資家として、クリーンなバランスシートでスタートできるかどうかが強気の投資判断において極めて重要だと考えています。短期的には市場がこの点にあまり関心を示さないこともありますが、6~12か月というスパンでは、強固なバランスシートを持つことで事業への大規模な投資が可能となり、逆に弱い場合は事業運営が大きく制約される可能性があります。

この点において、ネビウス・グループ(NBIS)は非常に優れています。Accelやエヌビディア(NVDA)などから約7億ドルの資金注入を受けた結果、同社は約30億ドルのキャッシュを保有しており、負債が一切ない状態にあると考えています。

これが将来的に同社が再び資金調達を必要としないことを意味するわけではありませんが、時価総額の約30%がキャッシュで構成されていることを示しています。このキャッシュにより、同社はフルスタックAIインフラを構築するという目標に向け、GPUクラスターへの大規模な投資が可能になります。

では、どこに落とし穴があるのでしょうか? 落とし穴は、以下のとおり、この段階では事業がまだ利益を上げていないことです。

調整後EBITDA

(出所:ネビウス・グループの2024年10月の投資家向けプレゼンテーション資料

さらに、年間経常収益(ARR)を約10億ドルに成長させるためには、多額の設備投資(Capex)が必要になることも明らかです。この点については、以下の情報をご覧ください。

(日本語訳)

2025年における投資プログラムを賄うために利用可能な資本の額に応じて、以下の計画を実行する予定です:

・600百万ドルから15億ドルのCAPEXを支出予定(その大部分はNVIDIA GB200 GPUの購入およびデータセンター容量の拡張に投資)

・2025年末までに500〜1,000百万ドルのARR(年間経常収益)を達成し、これに基づく年間売上400〜600百万ドルを見込む(拡張された容量を前提として計算)

・2025年通年で調整後EBITDAをプラス化

(出所:ネビウス・グループの2024年10月の投資家向けプレゼンテーション資料

私は、2025年末までにネビウス・グループの設備投資(Capex)需要がピークに達すると考えています。具体的には、2025年末時点で同社のキャッシュはおそらく7億ドル程度にまで減少しているでしょう。

また、2026年にはGPUaaSやAIクラスターのために約5億ドルの投資が必要になると予想しており、2025年のどこかの時点で同社は株主の持分を約5%(多少の誤差はあるものの)希薄化する形で資金を調達する必要が出てくると考えています。

しかし、これが最後の資金調達になる見込みです。というのも、同社は2025年第4四半期に正のEBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)を達成し始めると予想されるからです。

総じて、予想売上高の8倍のバリュエーションでネビウス・グループに投資することは非常に合理的であり、年平均成長率(CAGR)250%以上という比類なき成長率を考えれば非常に魅力的だと考えています。

ネビウス・グループ(NBIS)を取り巻くリスク要因

この事業は、インフラ構築のために多額の資本を必要としています。これが最初のリスク要因です。

さらに、市場がネビウス・グループ(NBIS)をどのように評価するかという点もリスク要因の一つです。ヤンデックスとの関連性を理由に、この企業に割引評価を適用する可能性があるのでしょうか?正直なところ、それは分かりません。しかし、事業の成長スピードを考えると、その可能性は低いと考えています。

個人的には、この企業の優れたポジショニングと高い成長率を踏まえれば、投資家は同社に前向きな評価を与える可能性が高いと考えています。しかしながら、これがリスク要因であることに変わりはありません。

3つ目のリスク要因として強く意識しているのは、同社の売上高がまだ小さな規模からスタートしているという点です。小さな基盤からの成長は比較的容易ですが、規模が拡大するにつれて成長を維持するのは難しくなります。

とはいえ、この経営陣はこれまでに優れた運営能力を示してきた実績があります。ただし、ロシアへの制裁という予期せぬ、かつコントロール不可能な要因によって、事業拡大が一時的に阻まれたという背景もあるのです。

ネビウス・グループ(NBIS)に対する結論

私はネビウス・グループ(NBIS)に対して強気の見方をしており、2026年夏までに1株60ドルという目標株価を期待しています。その理由は、同社がAIインフラ分野で希少な高成長企業であり、非常に大きな可能性を秘めているからです。

短期的には追加の資金調達が必要であり、今年後半までは正のEBITDAに到達しない見込みですが、2025年第4四半期までに年間経常収益(ARR)を10億ドルに達成するという成長軌道は非常に魅力的です。

そして、今年の予想売上高の8倍というバリュエーションで取引されるていることは、年平均成長率(CAGR)250%以上を誇る企業として非常に魅力的な投資機会だと考えています。

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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ

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